見出し画像

駆けろ鉄路2千キロ!道東を鉄道で巡る旅 ~2日目③根室編

2022年8月22日(月)16:20 東根室駅

さて、最東端の駅に降り立つ、という目的を果たしたところで、本日の宿へ向かうことにする。
晩飯が待っているので、チェックインの時間制限がある。あまりチンタラするわけにはいかない。

根室、カモメに占領された街

根室駅に降りた時から、オオセグロカモメの「キャア゛ァァァ、キャァ、キャァ」という鳴き声が聞こえていたが、本当に根室はそこかしこにオオセグロカモメが居座っている。

ここはカモメのための団地なのか。

海沿いでなくても、団地や学校といった高めの建物の屋上とか、電柱に普通に止まっている。撮り損ねたけど近所の公園にもいるw そしてみんなでかい声で鳴いている。
地元の人達はこのでかい声を日々我慢しながら生活しているんだろうか。

\キャァァァ!/
…何か?

…いえ、何でもないです。すみません。

根室、ロシアに近い街

宿へ向かう道を歩いていると、道端に立っている看板に目が留まった。

北方領土返還を求める看板だ。

そして交差点に差し掛かると、

ローマ字に加えて、キリル文字でも町名が書かれている。初めて見た。
大きな通り沿いに立つ、標語の広告塔。

否応なく根室がロシアに近いことを実感させる。

北方領土といえばこの方も。

ふと視線を横にやると、家並みのはるか向こうにうっすらと山が見えるのに気がついた。

海の向こうにあるようだけど…
Google Earthで視線を再現してみた。視線の先にあるのは…
…国後島!?

見えていたのは、国後島にある羅臼山という標高880mほどの山だった。自分が立っていた場所からは70km近く離れているが、しっかりとその姿を確認することができた。

たまたま条件が良かったのかもしれないが、関東の人が時折遠くに富士山を見るように、根室の人は北方領土を見ながら暮らしている、ということになる。返還への思いが強いのも納得である。

先ほど立っていた標語の広告塔といい、キリル文字が書かれた交差点といい、どことなく平和裏に北方領土問題を解決しようという雰囲気が感じ取れる。ところが、昨今のロシアの件で、北方領土の問題も触れることができなくなってしまった。根室の人達はことさら複雑な気持ちだろう。

オホーツク海を望む、その目前に

さて、さらに歩いていくと、下り坂の向こうに海が見えてきた。オホーツク海だ。今回の旅で2つめの海、ということになる。

広い道路の向こうに広がるオホーツク海。

よし、海まで歩いて行こ…

!?
…あっ シカだ
シカでした。

大きな通りにも関わらず、エゾシカが悠然と横断していった。
花咲線でも遠くにエゾシカを見たが、まさかこんな近距離で見られるとは。通行を邪魔された車もクラクションを鳴らすこともなく、通り過ぎるのを静かに待っていた。共存してるなぁ。

歩いて行った先は根室港でした。
やはり我が物顔で居座るオオセグロカモメ。

お宿に到着

ちょっと遠回りをしたが、ようやく今日の宿に到着した。

照月旅館。歴史を感じる佇まい。

照月旅館は、2019年の北海道旅行計画の際に見たサイトの「ひとり旅特集」の記事で紹介されていた。宿の雰囲気が気に入り、是非行きたいと思っていた。3年越しの念願の訪問である。

周囲はちょっとした歓楽街なのか、スナックが入った建物が並んでいた。

実は宿の隣にも。

さっきまでカモメの鳴き声が夜中まで聞こえるのを気にしていたが、ひょっとすると人の騒ぎ声の方が気になるかも?と思いながら玄関に入った。

宿帳に記入すると、夕食の時間、朝食の時間、そして明日の出発の予定を聞かれる。
明日の予定…うーん…それが問題なんだよなぁ。

不安な明日

何が問題なのかというと、天気である。

到着した頃の天気図が以下の通り。

8/22 18:00時点の気象庁の天気図。 出典:気象庁ホームページ

注目してほしいのは大陸から迫ってきている低気圧。これが明日には北海道に到達する予想になっており、その影響で大荒れになる懸念があった。実際に翌日の釧路の天気は雨、昼過ぎをピークに風が15m近く吹く予報になっていた。

本来は10時に宿を出て、ゆっくり歩いて駅に向かい、11:03発の電車に乗る予定だった。しかし、もし風雨の影響で遅延や運休が発生すれば、乗り継ぎがうまくいかず、目的地に到達できない恐れがある。そうなると今回の旅は完全に詰む。 …宿のキャンセル料…

とりあえず早く出た方が、色々とリカバリできる可能性が高いだろう。1本前の8:24発の電車で出発する予定である旨を伝えると、明日の朝は駅まで送ってもらえることになった。ありがたい。

待望の夕食

部屋に案内されてしばしくつろいでいると電話があった。部屋に夕食を運んできてくれるそうだ。

おお…

一品一品、上品に盛り付けられた料理の数々。詳しく説明されながら覚えられず申し訳ないが(汗、いずれも根室の海産物をメインにした料理とのこと。

特に名物なのが、ウニの茶碗蒸しと、

茶碗蒸しをあんでとじている。上品。

何と言っても花咲ガニ!

どーん!

1人に1杯の花咲ガニ。これがあまりに大きいので他の料理が妙に小さく見えてしまったw
食べやすいようにあらかじめ解体して殻に切り込みを入れてくれていた。これはありがたい。自分は北陸に住んでいたことがあるのでカニを食べるのは割と慣れているが、それでも解体するところから始めていたら相当苦戦するのは容易に想像がつく。なんせこのトゲトゲである。

それでは、と、早速花咲ガニをいただく。
食べ慣れているズワイガニと比べると、脚の肉が肉厚で、かつ弾力があってプリプリとしている。味もかなり濃厚で、カニとはかなり違う味わい。これはうまいな。
脚の殻を開けると、肉の間に白いゼリー状のものが詰まっている。食べてみると、チーズのような濃厚さ。これもうまい…けど何だろう?脂かな?

…で、結果として、花咲ガニだけでだいぶ腹が膨れたw
他の料理も何とか完食できたところ、片づけに来た仲居さんが「ほら、ここに一番おいしいところが」と、カニのふんどしの所を開き、隠れていた部位を取り出してくれた。これがまたこってり濃厚でとどめを刺されたw

出してくれた布団に横になり、しばらくぼーっとして満足感に浸る。

根室、大変おいしゅうございました。

レトロな館内を散策

お腹も少しこなれてきたところで、カメラを持って部屋の外に出た。館内のレトロな雰囲気が気に入って、写真を撮ろうと思ったのだ。

昭和感の漂う佇まい。
壁掛け時計。手書きで書かれた「贈」の文字と、「KONPARU」のローマ字。良い。

…と、宿の主人がひょこっと顔を出して「写真撮りましょうか?」と声をかけてくれた。
自分は写真を撮りまくっているが、逆に撮られるのは慣れてない。でも折角なので、勇気を出してお願いすることにした。

こう見えて内心ガチガチです。

思わぬおもてなしに妙に照れながら、部屋に戻る。

二階の廊下。これまた良い雰囲気です。

おつかれさまでした。

本日の成果

  • アクセス駅数: 43

  • 北海道での通算獲得新駅: 51

  • 移動距離(駅メモ!基準): 238km

  • 北海道での通算鉄道乗車距離: 352.8km

次回予告

3日目、この旅最大の正念場を迎える。
目指すは遥か540km先の旭川、しかしそれを阻止せんと?迫る低気圧。
果たして無事目的地にたどり着けるのか!?


この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?