駆けろ鉄路2千キロ!道東を鉄道で巡る旅 ~3日目①大移動前半戦
2022年8月23日(火)3:45 根室 照月旅館
バラバラバラ!という激しい音で目が覚めた。なんだ!?と起き上がり外を見ると、雨が降っていた。
北海道などの豪雪地帯の住宅の屋根は、冬に雪が積もらないよう、瓦ではなく金属製になっていることが多い。で、金属製の屋根に雨が打ちつけられると、けっこう大きな音を立てるようだ。カモメに加えて雨音も…根室、意外と賑やかな街だ。
しばらくすると雨も止んだので、布団に入ってもう一寝入り…
旅館の朝食
7:00。いつもよりちょっと早起きして、朝食をいただく。
漁獲量日本一の本場、根室のサンマが出てきた。まだ旬には早いせいか、ちょっと細身な感じはしたが、それでも何年かぶりにいただくサンマの味は最高だった。写真を撮りそびれたが、花咲ガニを使った「鉄砲汁」もまた絶品。朝から根室の味覚を堪能する。
今日はこの後8:24の電車で根室を発たないといけない。朝食の余韻もそこそこに、慌ただしく部屋に戻り、荷物を持ってチェックアウトを済ませる。
霧の根室駅
宿の人に送ってもらい、8時前に根室駅に到着した。
周囲は深い霧で一面真っ白になっていた。霧は時折南から吹く強い風に流されている。
駅前には、昨日来た時と同じように自転車を収納している人達がいた。納沙布岬まで行ってきたと思われる…が、この様子ではきっと何も見えなかっただろう。こればかりは仕方ない。
生暖かい南風と湿度のせいで若干ムシっとする中で、電車を待つ。
今日の行程
今日は根室から花咲線で一旦釧路に戻り、そこから釧網本線で北上、網走から石北本線の特急オホーツクに乗り、旭川に到達する。
その移動距離、実に540km。山陽本線起点の神戸から、関門海峡を渡った先にある終点の門司駅までの距離に近い。
北海道の東端から一気に中央まで移動する、まさにこの旅のメインイベントと言っても過言ではない大移動。しかしその道のりは低気圧のせいで必要以上に綱渡りとなっている。果たして旭川までたどり着けるのか、それとも途中で進行不能となってしまうのか。
霧の花咲線
まずは540kmの第一歩、花咲線で釧路を目指す。
まずは無事に花咲線が平常運行していることに感謝した。JR北海道のページを見てみると、現時点で遅延や運休予定の情報は出ていないようだ。
これは…行ける…のか?
8:24、定刻通り根室駅を出発。
実はこの列車、落石海岸や別寒辺牛湿原、厚岸湾といった見どころで徐行運転をしてくれるものだった。ダイヤでゆっくり走ることが決まっているのでこの日も徐行してくれたのだが、案の定すがすがしいほど何も見えず、まさに「五里霧中」を地で行く移動となった。
延々と続く白い景色にちょっと飽きてきたので、車両の後ろにあるデッキに移動し、霧に向かってまっすぐ伸びる線路を撮ってみる。
唐突に霧が晴れてびっくりした。地形の起伏とかで霧の出方が変わるんだろうか。だが、結局このまま天気が回復することはなく、厚岸湖の手前で再び霧に包まれてしまった。
…と、真っ白い風景なりに写真をそこそこ撮り続けて2時間半。車両はほぼ定刻で釧路駅に到着した。
釧路は風が強いものの、雨は降っておらず、運行に影響はなさそうだった。
さて、どうしよう
トラブルなく釧路に着いた…が、それはそれで問題だった。
釧路からは釧網本線で網走へ向かう。1本前の車両で着いたので、釧網本線も1本前のやつがあると思いきや、次の網走行きの列車は、当初乗ろうとしていた14:14までないのだ。
3時間先に根室を出たことで生じた3時間の空白…うーん、どう過ごそうか。
あれこれと考えていると、突如後ろからけたたましい汽笛が聞こえた。昨日も見た、くしろ湿原ノロッコ号が駅を出発していった。荒天ではなかったので、平常通り運行しているようだ。
…それだ!
ノロッコ号は1日2往復しており、さっき出発した列車が釧路に戻ってきて、13:35に再度出発する。それに乗って終点の塘路駅まで行き、その後、釧路を14:14に出発した網走行きの列車に乗り換える、というプランを思いついた。
ノロッコ号の車両は、窓付きのボックス席の自由席と、窓を完全に開放できる展望車両の指定席がある。せっかくだからと、展望車両の指定席券を購入した。数時間前まで荒天による遅れや運休を気にしていたのに、まさか展望車両に乗ることになるとは…だから旅というものは面白い。
ノロッコ号発車まで2時間。期待を胸に、駅の待合室で黙々と、時々うつらうつらしながら待った。
くしろ湿原ノロッコ号に乗車
13:05、ノロッコ号が釧路に戻ってきた。
ノロッコ号の写真を撮っていると、花咲線の「快速はなさき」が入線してきた。当初乗ろうとしていた根室11:03発の列車だ。こちらでも間に合ったか。
ひとしきり写真を撮ったところで、改めてノロッコ号に乗り込む。
釧路湿原の旅
13:35、汽笛一発、釧路湿原への旅へ出発!
東釧路駅で花咲線と別れて北上していくと、早速釧路湿原が見えてきた。小高い場所を走るため、遥か遠くまで広がる釧路湿原が良く見える。
しばらくすると水門が見えてきた。岩保木(いわぼっき)水門という。
手前に見える立派な水門は「新岩保木水門」で、2本の塔の間にひっそりと見える、白い屋根の木造の建物が岩保木水門とのこと。実は写真を見返すまで存在に気付かなかったw
現在は「新」じゃない方の岩保木水門は使われていないものの、木造の構造物を持つ水門が貴重ということで保存されているそうだ。
岩保木水門を過ぎると、釧路湿原駅に到着。この辺りから、本格的に釧路湿原に沿って走ることになる。
続いて細岡駅。ガイドさん曰く、近くにあるカヌーの拠点の最寄り駅として利用者がいるとのこと。
「運が良ければカヌーに乗っている人に会えるかもしれない」とのことだったが、先週の雨で釧路川はかなり増水しており、カヌーに乗っている人は一人もいなかった。流れはかなり穏やかなのだが、それが逆になかなか水位が下がらない理由なのかもしれない。
そんな中でもエゾシカは川沿いにたたずみ、何なら水の中に肩まで漬かっているやつもいた(撮れなかったけど。 野生の力を思い知る。
窓が開放されているからこそ「体感」できる自然を満喫し、ノロッコ号は終点、塘路駅へ到着。「ノロッコ」という名の割にはあっという間に感じた。
駅には展望台が併設されており、釧路湿原と車両を一緒に見ることができる…はずなのだが、木が生い茂っていてうまく撮れなかった。
そそくさと駅に戻り、さらに北上する列車を待つことにする。
次回予告
3日目もここまでで結構尺を食ったので、記事を分けることにした。
釧網本線はまだ始まったばかり、さらに先には石北本線も待ち構え、目指す旭川はまだ400km近く先。
無事旭川に到達できたのか?後半戦もお楽しみに。
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