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【老父母との旅行】イタリア珍道中④旅の教訓

投稿:024
【記事の要約】
海外旅行の経験がない両親を
日本国外に連れ出すと何が起こるのか?
「両親にも一生に一度は世界を体験してもらいたい」。
そんな気持ちでイタリア旅行に繰り出した親子旅を振り返る。

前回の記事はこちらから

最終回は「両親2人だけのローマ観光」「年配者との旅の教訓」がテーマ


フィレンツェでの1日

両親たっての希望でフィレンツェでは
ウフィツィ美術館を中心に観光した。

ヨーロッパの美術館のいいところは
ほとんどの作品で写真撮影が許可されていること。
撮影禁止にこだわる施設が多い日本とは違って
大らかで、芸術に理解のある雰囲気が好きだ。

ウフィツィ美術館は予約必須の上に
チケットを発行する窓口や入場口がわかりにくい。
初見泣かせだが、それだけの価値がある場所だ。
『ヴィーナスの誕生』をはじめ、傑作が並ぶ。
建物内の装飾も見事だ。
あまりに感動したのか、
父が絵に近づきすぎて警報が鳴り
職員から注意されていた。

ウフィツィ美術館3階から眺めるヴェッキオ橋

教会や市内を観光した後は
締めのジェラートを親子で満喫した。
自分で好きなフレーバーをカップに盛り、
量り売りしてくれるお店だった。
いろんなジェラート屋があって面白い。

さすがフィレンツェ。
ローマに劣らず人で街中がごった返していた。
教会に並ぶ列も長く、日差しが辛い。
かと思えば、帰りがけには
車軸を流すようなにわか雨に遭遇。
天候の急変には他の観光客も戸惑っていた。

別行動した2日間

初日のローマ・テルミニ駅到着時に
地下鉄との接続通路近くにあるチケット売り場で
公共交通機関の2日間乗り放題チケットを購入しておいた。

実は4日間のイタリア滞在中、
後半2日は両親と別行動することにしていた。
両親だけ、夫婦水入らずの時間があってもいい。
そこで上述の乗り放題チケットで
「好きなところに行ってみたら?」と提案したのだ。

2日間乗り放題チケット。使用開始から48時間使えるので、3日にわたって使うこともできる

おすすめの場所を一緒に考え
最終的にバチカンと
その周辺を散策することにしたらしい。

バチカンでは、
サン・ピエトロ大聖堂と
美術館のシスティーナ礼拝堂が見どころだ。
「ちゃんと2人で行けるかな?」と心配しつつ、
私は単独で別行動していた。

結果から述べると、
2人でバスやメトロを乗りこなし
観光を満喫できたようだ。

サン・ピエトロ大聖堂では
クーポラまで登って広場を一望したり、
聖ペトロの墓所がある
地下階まで散策できたらしい。

バチカン美術館はとにかく広過ぎて
2人にとって刺激的な体験になったらしい。
私も同じような感覚を味わった経験があるので
その気持ちはよくわかる。
あそこは1日あっても足りない。

システィーナ礼拝堂に辿り着く頃には
閉館時間も迫っていたらしく、
最後は人の波にのまれて出口まで
一直線の階段を進んだらしい。
母は螺旋階段を降りたかったらしく、
入口まで戻って交渉したというが、
時間切れで取り合ってもらえなかったとか。
英語を話せないはずだが、
そのガッツと健闘ぶりに拍手を送りたい。

ちなみに私はというと、
ローマから電車で移動して
聖フランチェスコの眠るアッシジと
ベスビオ火山の噴火で焦土となったポンペイを
日帰りで観光していた。

単独行動している時も
「ちゃんと電車に乗れているかな?」
「美術館のバウチャーを利用できたかな?」
と両親のことが気がかりで仕方なかった。

というのも、私は基本的に海外では
機内モードで過ごしているので
公共Wi-Fiがないと通信できないのだ。
(あらかじめ下調べしているので、
自分が渡航先で困ることはほぼない)
まるで「初めてのお使い」を見守るような気持ちで
親子の立場が逆転したみたいだった。

ホテルで合流してから
どうだったか尋ねてみると、
「全然問題ないよ!」と自信満々な父。
こちらの心配も知らずに……と思ったが、
両親とも無事で良かった。

笑顔で帰って行った両親

こうして別行動の2日間も無事に終え、
帰国の時を迎えた。
1人旅とは違った緊張感もあり、
専属のツアーガイドになったかのようだ。
両親と旅行した体験は私にとって
大切な思い出になった。

両親もイタリアを旅行できたことを
とても喜んでくれたようで何よりだ。

リモンチェッロにハマった母は
最後のチャンスと言わんばかりに
空港で酒瓶と睨めっこしていた(笑)。
諦めきれず、帰国後日本で購入したらしい。

空港の免税店にて。母が物欲しそうに眺めていたリモンチェッロ

往路と同様にフランクフルト国際空港まで引き返し、
そこで日本に戻る飛行機に乗り継ぐ。

乗り継ぎまでの時間で
旅の無事と楽しい時間を祝い、
両親を労うための夕食を取った。
ここではソーセージやシュニッツェルなど
ドイツ料理をビールと一緒に頂いた。

特にドイツビールの種類の豊富さ、
皮を剥いて食べる白ソーセージの
ユニークさに驚いているようだった。
豊かな食事は心まで豊かにする。
嬉々として食事する両親を見ていて
微笑ましく感じた。

フランクフルト空港から歩いて行ける鉄道駅の上階でお疲れ様ディナー

実はこの後、私は仕事の出張で
フランクフルトに数日間滞在することになっていた。
両親とは保安検査場で
お別れということになる。

ところが、うっかりして
食事が済むまで両親のチェックインを忘れていた。
今から間に合うかと冷や汗が出てくる。
空港のカウンターに行くと担当職員が
席を離れようとしていたので慌てて呼び止める。

すでにほとんどの人がチェックインを済ませていて
両親の席はバラバラなら乗れるという。

迂闊だったが、帰国できればそれでよし!
チェックインできたことに胸を撫で下ろし、
両親を保安検査場まで見送った。
両親は疲れていたが、最後まで笑顔だった。

こうして初めての親子海外旅行は
ドタバタしながらも
事故も、怪我も、目立ったトラブルもなく
無事に終わりを迎えた。

後日談だが、
帰りの機内席で両親は隣同士になれたらしい。
どうやらチェックイン手続きをしてくれた
空港職員のドイツ人女性が
配慮してくれたらしい。

最後まで海外で心温まる対応を受けて
両親は一層旅行を楽しめたそうだ。


両親との旅を通して学んだこと

4回にわたる記事を通して、
両親(高齢者)との旅について綴った。

これから年配の方と旅したいと考えている方へ
反省を含め、私が感じたことをまとめておく。

  1. スケジュールは通常の2倍で見積もる
    歩くスピード、観光名所にかける時間など
    すべてに余裕を持たせると安心。

  2. 移動経路と時間はできるだけ短く設定する
    当初、旅行はベネツィア〜フィレンツェ〜ローマだった。
    だが、移動時間や両親への負担を考えると
    ローマとフィレンツェだけで十分だった。

  3. できるだけアメニティの充実したホテルを選ぶ
    多少コストがかかっても交通の便がよく、
    アメニティが充実した場所にしたほうがいい。
    滞在期間が長いほど影響が大きい。

  4. 事前に一緒に行きたい場所を調べておく
    自分が直接アテンドしなくい場合でも
    何がポイントになるのか
    あらかじめ調べておくといいかもしれない。
    施設によっては入場方法が煩雑だったり、
    ややこしいこともある。
    今回はウフィツィ美術館やバチカン美術館が
    鬼門になり得たかもしれない。

  5. Wi-Fiルーターを持ってもらう
    特に旅慣れていない場合、
    英語がほぼできない方の場合、
    翻訳アプリは必須になる。
    両親の場合も駅員や美術館のセキュリティと
    アプリを通してコミュニケーションを
    取ったらしいので
    持参しておいて損はない。

    これで「【老父母との旅行】イタリア珍道中」シリーズはおしまい。
    最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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