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2022年12月の記事一覧

読書感想 江戸川乱歩 火星の運河

読書感想 江戸川乱歩 火星の運河

江戸川乱歩のマイナーな短編小説です。
とても短いのですぐに読めます。
なんでかわからないけど私はこの作品が好きです。

語り手が得体の知れない場所を彷徨うお話なのですが、ストーリーらしいものもなく、しかも「全部夢だった」というオチです。
なので、普通の人が書いた小説なら「だから何なんだ?」という感想しか持てないような、意味のわからないお話です。

しかし、江戸川乱歩の手にかかると美しく幻想的な小説

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読書感想 芥川龍之介 河童

読書感想 芥川龍之介 河童

またしても芥川龍之介です。よく飽きずに書くよなあと我ながら思います。笑

「歯車」で芥川龍之介にハマった私がその次に読んだのがこの「河童」だったと思います。初めて読んだ時と、芥川の作品をほぼ全て読んでから再読した時と、感じることが全然違うように思いました。

初めて読んだときは、早発性痴呆症(現在の統合失調症)の妄想という形をとって社会を風刺している作品なのかな?と思いました。

この作品は内容が

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読書感想 三凛さとし 親子の法則

読書感想 三凛さとし 親子の法則

スピリチュアル リッチというYou Tubeチャンネルを運営されている三凛さとしさんの初書籍を読みました。
(アマゾンのリンクが貼れません……)

この方は、有料セミナー級の内容をYou Tubeでばっしばし配信されています。
いわゆる引き寄せの法則のような、ゴリゴリのスピリチュアルや精神世界に特化した内容が多いです。

しかし、スピリチュアルといえども、説明はすんごい論理的です。全くふわふわして

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読書感想 岡本綺堂 影を踏まれた女

読書感想 岡本綺堂 影を踏まれた女

青空文庫で読みました。岡本綺堂の短編ホラー小説です。
ホラーなんだけど、怖がらせようという気概があまり感じられない、あっさりとした、美しい物語だなあという印象です。

江戸時代、近江屋という糸屋の娘、おせきの身に起こった出来事です。
ある十三夜の前日の晩、子供に月の影を踏まれたおせきは、影を異常に恐れるようになります。やがて日光の影も恐れるようになり、家に閉じこもりふさぎこむようになります。

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読書感想 漫画版風の谷のナウシカ③

読書感想 漫画版風の谷のナウシカ③

ナウシカは、人種や宗教の垣根を越えて、目の前の命を救うために懸命に動きます。
そこには損得勘定は全く存在しません。ナウシカは、王蟲や腐海を含めたありとあらゆる生命の尊さを魂の底から理解しているように思います。
そんな姿が、血なまぐさい戦場でも周囲の人々に希望を与え、やがて神のように崇められていきます。

最終的に、ナウシカは巨神兵を伴い土鬼の首都にあるシュワの墓所という場所にたどり着きます。

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読書感想 漫画版風の谷のナウシカ➁

読書感想 漫画版風の谷のナウシカ➁

トルメキアと土鬼の戦争はますます厳しくなります。それは女子供などの非戦闘員まで巻き添えにし、相手の住む土地を全て焼き払うまでの徹底ぶりです。

果ては、土鬼は人工の腐海を兵器として使用し、敵の陣地どころか自国の土地まで不毛の地としていきます。

トルメキア王も土鬼の皇帝も、なんでそんなに頭おかしいの??と思ってしまいますが、
人類はこのようなことをひたすら繰り返しているのだと思います。

 もとは

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