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読書感想 芥川龍之介 河童

またしても芥川龍之介です。よく飽きずに書くよなあと我ながら思います。笑


「歯車」で芥川龍之介にハマった私がその次に読んだのがこの「河童」だったと思います。初めて読んだ時と、芥川の作品をほぼ全て読んでから再読した時と、感じることが全然違うように思いました。

初めて読んだときは、早発性痴呆症(現在の統合失調症)の妄想という形をとって社会を風刺している作品なのかな?と思いました。

この作品は内容が内容だから、さまざまな解釈が出来ると思います。
その中で、河童の国は精神病入院患者の「疾患」による「妄想幻覚」という設定なのは確かだと思うのです。


世間一般でも言われているように、当時の社会を痛烈に風刺した作品だとは思うのですが、
それ以上に、芥川龍之介が抱えこんでいる心の闇の表層部の集大成のように思えました。

「歯車」の感想にも同じような事を書いたのですが、
この作品がご存命の作家さんだとか、あるいはすでに亡くなっていたとしても自死したのではない作家さんの作品だったならば、エンタメとして素晴らしい!と無責任に言えると思うのです。

しかし、芥川龍之介はこういったものを実際に抱えこんで自死したのだと想像すると、にぶーい狂気を孕んでいる作品に思えます。

芥川龍之介は、なんでキャラクターを河童にしたのかな。いかにも狂ってると読者に印象づけたかったのかな。それとも単純に河童が好きだったのかな。

この作品を再読したとき、なげやりで書いてしまったのではないかと思えてなりませんでした。


今不安に思っていることや納得いかないことなどを、風刺という形をとってストレートに表現しているような気がします。皮肉こそあるものの、珍しく裏がないように思えるのです。
 

上記は全て私の個人的な感想です。

河童の国では、お腹の中の子供に対し、生まれてきたいかどうかを確認します。子供が拒否すれば、生まれてこなくて済むのです。

芥川龍之介は、人間社会もそうであれば良いのにと思っていたのでしょうかね……。

 地位や名誉を手に入れても、家族に恵まれても、満たされない何かがあったのでしょうね。
幸せは外側に求めるものではなくて、自分が自分に与えるものなのかもしれないですね。





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