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読書感想 江戸川乱歩 火星の運河

江戸川乱歩のマイナーな短編小説です。
とても短いのですぐに読めます。
なんでかわからないけど私はこの作品が好きです。

語り手が得体の知れない場所を彷徨うお話なのですが、ストーリーらしいものもなく、しかも「全部夢だった」というオチです。
なので、普通の人が書いた小説なら「だから何なんだ?」という感想しか持てないような、意味のわからないお話です。

しかし、江戸川乱歩の手にかかると美しく幻想的な小説になるのです。

「又あすこへ来たなという、寒い様な魅力が私を戦かせた。にぶ色の暗やみが私の全世界を覆いつくしていた。恐らくは音もにおいも、触覚さえもが私の身体から蒸発して了まって煉羊羹のこまやかに澱んだ色彩ばかりが、私のまわりを包んでいた。」

上記は物語の冒頭です。
すんごい表現力ですよねぇ。
ねりようかんの色彩よ?

ただの夢の話をここまで美しく描写出来るとは、現代の作家さんにはなかなか出来ない芸当だろうなと思います。
江戸川乱歩の想像力の豊かさ、語彙力の豊富さはもちろんのこと、普段の言葉づかいからしてもう現代とは違うからなのだろうな……と思います。

最近はもう、なんでも「マジでヤバい」で通じますもんね。笑


わたしはあまり夢を見ないので、時々鮮明な夢をみると驚きます。

たまーに、もう何年も会っていない、思い出すこともない、知り合い程度の人が夢に出てくることがあります。
恐ろしいのが、夢を見た当日にその知り合いに偶然会ったり、またはその人に関する情報が入ってきたりすることです。

 相手が自分のことを思うと、その相手が自分の夢に出てきたりする、と以前聞いたことがあります。
色々恐ろしいので、夢について深く考えないことにしています。笑

クリスマスイブ、素敵な夢が見られるといいですね。
皆様良い週末を。





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