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長時間労働とメンタル不調の相関関係はあるのか?

心身の疾患、過労死のリスクが高くなる長時間労働を禁止する法律は益々厳しくなっています。
日本人の労働時間は世界的に見ても かなり長時間になっています。
ですが、実際、長時間労働は企業側だけの責任とは言い切れません。
戦後の高度経済成長期からの長い日本人の働き方が文化となっているところもありますし、働く側も残業時間が生活費になっているから減らされることへの抵抗感も否めないでしょう。

長時間労働が美徳の時代はもう終わりです。この美徳にぶら下がっているのは中高年だけ。その過去の常識を今の若手社員に強制したら、どうなるか、、上司と部下との溝は益々深くなるばかりです。

そういう日本では やはり強制的に「残業は禁止」という法律を打ち出すしか、長い歴史のある文化から脱出できることはできないといったところでしょうか。

では残業を減らしただけで 心身の疾患、過労死はなくなるのでしょうか。
心臓疾患や脳疾患、過労死は長時間労働に直結していると思いますが、私の経験では、メンタル不調の訴え、会社への不満など 心の問題については労働時間と比例する事例は それほど多くないと実感しています。

極端な事例ですが、ある時40代男性社員が毎月100時間以上の時間外労働を数か月続けていまして、毎月産業医面談勧奨をしておりました。一過性のトラブル対応の長時間労働でしたが、この件の法的な問題はさておき、彼の体調については すこぶる調子がよかったのです。
健康診断結果もメンタルの状態も。

長時間労働が何故ダメなのか、これには大きな意味があります。
1日は24時間。長時間労働をすれば 仕事以外の生活の時間や睡眠時間が減るのです。日本人の睡眠は世界比較でも最低レベルです。睡眠時間が少ないほうが仕事ができる人、のように勘違いしている人も多いですが、本当のショートスリーパーはそう多くはありません。
気づいていないだけでお、実はほとんどの人は 「酩酊状態」で仕事をしている状態なのです。

長時間労働は 睡眠時間やリフレッシュの時間が取れなくなる。そうすると、当然脳みそが休まることもなく、脳の疲労が蓄積していく、だから心身の不調のリスクが高くなる、ということは確実に正しいのです。
でも、実は「時間」ばかりではない、という現実も理解しておかないと、組織のメンタル不調は減らないのです。


働く人のメンタル不調は、ただ長時間労働をやめるだけでは解決しません。むしろ、やりがいを持って働ける環境であれば、喜んで働く意欲を出すでしょう。(長時間はダメですが)
仕事自体に意味を感じ、自分がやることが社会の役に立っていることを実感できる、そして組織が自分の居場所になっている、そんな仕事だったら ストレスより楽しみのほうが 勝るということもあると思いませんか? 
例題にあげた40代の男性は ここに満足感とやりがいを感じていた。もちろん残業を良しとする気はありませんが、それが現実でした。
(これが続くとワーカホリックになっていくので、しっかり監視は必要です)

長時間労働を法令遵守として考えるのではなく、社員の健康、生産性の向上の一環だと考えてほしいと切に願います。

労働者の労働時間を ただ数字的に管理のではなく、組織の風土はどうなってるか、本当に社員はやりがいや働き甲斐を感じている組織になっているのか、データから分析できる組織の課題はないのか。
もう一度見直してみる手段として 考えてみることをお勧めしたいです。

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