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『しらなみのかげ』

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こは、日々つらつらと念ひしことのとみに濫れてはすぎゆくに、浦によする沖つ白波の八重をりて、ささなみの下にあまたうたかたの浮かぶがごとく、そのかたちの成りては千々に消ゆるさまを、よ…
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#カント

【しらなみのかげ】「自然化」と「歴史化」の中で「人間」から/を問うこと―19世紀ドイツ思想哲学史概観 #36

【しらなみのかげ】「自然化」と「歴史化」の中で「人間」から/を問うこと―19世紀ドイツ思想哲学史概観 #36

18世紀後半のアメリカ独立革命、そしてイギリスの産業革命とフランス大革命に端を発した「近代」という時代は、一言で言えば、常に「人間」が問題となる時代であった。この時代においては、あらゆる問いが「人間とは何か」という問いと共に問われていた。「「人間」は波打ち際の砂の表情のように消滅するだろう」と『言葉と物』(1966)の末尾にミシェル・フーコー(1926-1984)は書いたが、絶えずその内容を問い続

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【しらなみのかげ】「絶対的なるもの」の帰趨とデカルトの神の存在証明 #34

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0.近代における「宗教」の諸相

前回の記事では、「宗教」への問いは「近代」への問いである、という私の根本的な学問的関心の核心を書いてみた。その概略を改めて記せば以下のようになる。



−自明の範疇であるかのように思われる「宗教」という概念は、それと対置される「世俗」という概念と共に、ルネサンス、宗教改革、そして近代国家と政教分離の成立と共に近代において歴史的に構成された範疇であり、近代の人々

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