浅輪たかひろ

地域の持続可能性に興味があります。主な影響:宮本憲一、ジェーン・ジェイコブス、ルソー、…

浅輪たかひろ

地域の持続可能性に興味があります。主な影響:宮本憲一、ジェーン・ジェイコブス、ルソー、マルクス、クロポトキン、ポランニー、柄谷行人、中村剛治郎ほか。リバース(逆転と再生)。生の地域 に根ざした経済社会。トランスコミック同人。ときどき、歌を作ります。壊れたファンクブルース

マガジン

  • SDGsという第二の大転換?

    商品経済化が人間の労働力にも自然にも及んだ近代の第一の「大転換」。 今度はそれをさらに「第二の大転換」、つまり、持続性ー自己充足性が人間の労働にも自然にもおよび、資本と国家と国民同質性を抑え込むことができるのか? 図やグラフを多用して考察しています。

  • セカイノカラクリ・セカイノシュウリ

最近の記事

サステナブルとは?

サステナブルとは? 単純に訳して「続く」「できる」。人間の立場で言えば、「生きていける」でしょうか。 ひとまず、人間主体に考えたとしても「環境」がなければ生きていけません。「環境」は全ての人間活動/生命活動の大元です。 しかし、サステナブルシティは、環境、だけではなくて、社会、経済、の面も入れて考えた方が良いといわれます。ただ、その3つの言葉それぞれは何を意味するのか?本当にこの3つだけで良いのか?定義づけ・検討が必要です。 少し、独自の視点から私なりに定義してみます。

    • 貨物列車はトラック65台分の力

      貨物列車。 1編成で10トンのトラック65台分も運搬可能。 トラックは65人の運転手が必要なところ、列車は1人でもオッケー。 ついでにCO2排出量は11分の1。 ーーー いままで:「より多くの雇用、より多くの製品を作る」=「社会が満足する」 ただこれは同時に公害と、都市文化や農村環境の破壊につながり、低賃金労働の増加ともなった。あまりに多い製品は家庭内や道路上を過密にしてかえってサービス満足が低下する。 これから:「製品の共同利用を進める」→「最小の雇用と最小の資源利用

      • 新しい保守政策とは?

        今は昔、急激に人口増大する団塊の世代。 その働き口が足りず、社会問題となった。1968年の学生運動はその影響とも言えよう。 そこで対策として、都会に多くの人口を移し、地方には有力企業の工場や大店舗、大発電所などを誘致し、たくさんの道路工事を始めとする土木工事を行なっていく政策をとった。 そのための有効な政策を行なったのが池田勇人や田中角栄らの自民党保守政党だったのだろう。 各地の要望を吸い上げ、予算付けをし、地方議員に金を回して、また選挙に当選する。 そんな方法が崩れつつ

        • 2023年に見た映画のベスト10(+1)

          今年の私的映画ベスト10‼️ と言っても年間で13本くらいしかみてなかった… ほぼ見た映画10💦 『アイヌの結婚式/チセ・アカラ~われらいえをつくる~』  人間の喜びは競争ではなく相互扶助、共同作業にあるのでは?と改めて感じました。 『アンデス、二人ぼっち』  都市へ人々を集中させ、温暖化を起こし山の気候を変えていく人類の試みとはなんなのか?神であるかのような老夫婦にはもう力がない。神と自然と人間。自然の条件の中で楽しくも必死に生きていた二人が文明の利器、蝋燭を追い求め

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        • SDGsという第二の大転換?
          8本
        • セカイノカラクリ・セカイノシュウリ
          4本

        記事

          SDGsという第二の大転換(8)1970年代の転換

          …より続く 高度成長モデルが行きついた課題と解決への模索 前回、1960年代から1970年代にかけて、大量生産=大量消費による各国の高度成長が急速にブレーキをかけられてきたことを記しました。戦後高度経済を支えるさまざまな要因のいくつか、例えば、インフラ整備の継続(戦時軍事体制を支えるために始まった)と、人口増大(出生率向上と抗生物質の進展による幼児死亡率の減少による)、そして安い資源エネルギー価格(植民地時代の特権を引き継ぐ)、これらの要因が次から次へと課題に直面したこと

          SDGsという第二の大転換(8)1970年代の転換

          なぜ、気候危機対策が難しいか? 工業化社会の流れを大きく変えるしかないから。

          なぜ、気候危機対策が難しいか?  工業化社会の流れを大きく変えるしかないから。 端的に言えば、モノ依存(製造品、巨大インフラ)。 ・人々の欲求やニーズは、本来「サービス」を欲しいのであって、ものがそのサービスを満たせてくれる気がしてたので(たとえば、洗濯とか移動とかコミュニケーションとか安全安心とか)、ものづくり大国を目指した。サービスのニーズを達成してくれる「もの」をどんどん作れば良いと。 つまり、洗濯機や自動車や携帯電話やセキュリティ監視装置、などなど。 ですが、そ

          なぜ、気候危機対策が難しいか? 工業化社会の流れを大きく変えるしかないから。

          ものづくりからサービスへ

          製造業の勢いが世界的に弱く、サービス業に頼っているそうです。 資源や環境への負荷を考えたら、良い方向だと思います。この深刻な温暖化の進行や生態系の破壊を見ると、実際はもっと急速にサービス化、または一次産業化が必要。 人々の欲求やニーズを、ものをたくさん与えて満たそうとする時代は終わらせないといけないでしょう。 人々の欲求やニーズは、本来「サービス」を欲しいのであって、ものがそのサービスを満たせてくれる気がしてたので(たとえば、洗濯とか移動とかコミュニケーションとか安全安

          ものづくりからサービスへ

          「君たちはどう生きるか」を通して自分の関心を語る大人たち

          ついに鈴木敏夫さんが、「君たちはどう生きるか」について語った! 「じゃあ、ちょっとおもしろい話をしますね。僕の家、日曜日にはけっこう色々な人たちが集まるんですが、封切り直後の時には若い人たちが来て『もう一回見なくては』『見直して内容をちゃんと正確に理解したい』と話していた。そこにいた11歳になる僕の孫が『え、なんでもう一回みたいの?』と言い出したんです。彼はその前日に映画を見ていたのですが、内容を全部覚えていて、だーっと一気に説明できるんですよ。もう一人、ある女の子も、セリ

          「君たちはどう生きるか」を通して自分の関心を語る大人たち

          SDGsという第二の大転換(7)大量生産の終わり?

          …より続く 大量の資源とエネルギーを使った大量生産と、戦後の人口増大による拡大市場とによる高度成長 前回の章で、第二次世界大戦後、大量生産と大量消費市場が生まれた結果、急速な経済成長が起きたことを述べました。2度の世界大戦によってできた軍事体制によって、大規模な製造工場群とそれを支えるインフラが整備され始め大量生産の基盤ができます。そして、ベビーブームの到来により、急速な人口増大がおき、それに伴い、消費者市場の拡大が起きたのです。その裏側には、大量の資源とエネルギー燃料の

          SDGsという第二の大転換(7)大量生産の終わり?

          SDGsという第二の大転換(6)自動車に食われる人類社会

          …より続く 近代の成長は、化石燃料の投入によるのか?労働力の生産性向上によるのか? 前回の章では、近代の初めにジャン=ジャック・ルソーが嘆いたように、地上の富みで楽しみ尽くすことを忘れ、地下にある地下資源(鉱物と化石燃料)を掘りつくし、地上と空中に廃棄物を大量に吐き出すことを人類の富の増大と思い込んでしまった近代の姿を描きました。 再度引用する次のグラフの通り、人類にとって「化石燃料」を投入物として考えた場合の成長率は比例しているだけで改善していません。化石燃料を使用す

          SDGsという第二の大転換(6)自動車に食われる人類社会

          SDGsという第二の大転換(5)人類の成長は化石燃料がもたらした

          …より続く 産業資本は人間の労働価値によって生まれたのか? 前回の章では、商業資本と産業資本の誕生まで書きました。産業資本、すなわち、固定資本(工場や機械など)への投資によって剰余価値/利潤を得ようという資本の動きの開始です。しかし、気になる統計があります。産業資本は次の形で表せます。 投資→固定資本(工場や機械・インフラ)と変動資本(原料・労働力・エネルギー)→商品→販売(投資回収と利潤) ここで投資回収と利潤が増えるということは、左にある投資や固定資本・変動資本も

          SDGsという第二の大転換(5)人類の成長は化石燃料がもたらした

          SDGsという第二の大転換(4)産業革命

          …より続く 「貨幣」を用いた市場交換では「同等の交換」を繰り返してなぜか儲けられます。 これがとても不思議なことなのです。一回一回の交換は前回触れたように「「同等」であると人間がみなしたものどうしで起きる物やサービスの行き交い」なのです。同等のものとの交換なのに、あるいは数字で表せる貨幣との交換なら「等価」の交換なのです。等価交換を繰り返しているだけなのに、なぜか「買う交換」、そしてそれを「商品」にして「売る交換」をすると、同等の交換ではなくなっているのです。その最後には

          SDGsという第二の大転換(4)産業革命

          SDGsという第二の大転換(3)3つの交換と「資本主義」

          …より続く 「交換」には三種類しかないとされています。 互酬制、再分配、そして市場交換です。これは、ポランニーが、日本では「経済の文明史」という書物に収められている名論文「制度化された過程としての経済」で指摘しています。 そもそも交換とはなんだろうか。 それは「同等」であると人間がみなしたものどうしで起きる物やサービスの行き交いです。同等と思っていなかったら、一方的な略奪か贈与となります。 互酬制とは、贈与を土台にしているが、同等であるとみなしたものを反対贈与するこ

          SDGsという第二の大転換(3)3つの交換と「資本主義」

          SDGsという第二の大転換(2)ポランニーの大転換

          『大転換』という著書はご存知カール・ポランニーの名著です。 ここでは、あらゆるものが市場で売り買いされる商品となったことを「大転換」と呼んでいます。例えば、人間の労働が労働力という商品になる。自然が「土地」という売買される商品になる。貨幣も金融商品となる。 なんでも商品になる。貨幣も自然も人間も… 実は人間自身は早くから「奴隷」として強奪して売り買いできる「商品」となっていました。いや、それまでは「商品」というより、奴隷とは、程の良い労働力、コマ使い、官吏、手下、慰みも

          SDGsという第二の大転換(2)ポランニーの大転換

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          SDGsという第2の大転換(1)

          SDGsという第2の大転換(1)

          「人新世の資本論」と宮本憲一と相乗り社会

          斎藤幸平さんの話題の書「人新世の資本論」という奇抜なタイトルだが、これが大ヒットとは本当に嬉しい。読んでみると、爽快!の一言だろうか。 とはいえ、結構色んな人を一網打尽にしているので、腹立てている人も多いのかも。 たとえば、「成長と炭素排出のデカップリング」。いくつかの国や地域で経済成長しているのに、温室効果ガス排出量は減っている例がある、として、省エネや再エネを進めている良い例だ、と紹介されている。それを斎藤幸平さんは軽薄だ、とばかりに簡単に批判している。が、あまり根拠

          「人新世の資本論」と宮本憲一と相乗り社会