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Warm upには『FIFA11+』!!ケガ予防だけではない、スプリントやジャンプの影響を解説!!!

今回は練習や試合の前に行うWarm upについて紹介したいと思います。

はじめに

Warm upとは「運動によるケガの防止や、主運動を行うための身体の準備、その運動に対する能力を最大に発揮できる状態をつくること」を目的に行う、運動前の準備運動のことだそうです。
目的としては体温(筋温)を上げ、神経筋を活性化させることであり、そのあとにケガの予防パフォーマンスアップがあります。
サッカーやバスケットボールなど片足着地や方向転換動作が多いスポーツではこの神経筋活性化が重要です。
固有受容器と呼ばれる関節や靭帯にある器官や筋紡錘や腱紡錘などが活性化することが必要です。
バランストレーニングなどで活性化されるようですが、なかなか取り入れることが難しいのが現状の様です。
2021年のアンケート調査では、ケガ予防のためWarm up中にバランスの要素を取り入れているチームは26.8%ほどだそうです。

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Warm upもいろいろ種類がありますが、今回は簡便で取り入れやすく、ガイドラインでも推奨されている『FIFA11+』の効果について解説していきます。

『FIFA11+』とは

『FIFA11+』は名前の通りFIFA(国際サッカー連盟)の専門家が開発したWarm upプログラムです。
時間にして20~25分程度のプログラムになっています。
FIFAが考案したものではありますが、サッカーだけではなく、バスケットやハンドボールなどでも使用されており、ケガの予防に優れていると報告されています。

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方法はブログで書くより、JFA(日本サッカー協会)のサイトの中で日本語訳された動画がまとめられていますので、興味がある方はそちらを見ていただくと良いかと思います。

『FIFA11+』の即時的効果と長期的な効果と分けて紹介したいと思います。

ケガ予防効果

即時的にも長期的にも効果があるのはケガの予防です。
2017年の報告では13歳以上の男女アスリートのケガのリスクを30%減少すると報告されています。
過去のブログでも少し触れていますので興味がある方はどうぞ!


ケガを予防する最大の要因は神経筋制御機能の改善及び正常化です。
ジャンプからの着地動作や方向転換動作時の足首、膝、股関節のコントロールが円滑に実施できることがケガ予防につながります。

即時的効果

練習や試合前に行うので即時的な効果があります。
まとめた図がこちらです。

最初


従来の標準的なWarm up後と『FIFA11+』の後に計測したものを比較しています。

Warm up前のベースラインと比較し大腿四頭筋のMVC(最大筋収縮力)とRFD(筋力発揮率)は有意な変化ではありませんでした。
しかし、20mスプリント、アジリティーテスト、筋柔軟性、CMJ(カウンタームーブメントジャンプ)、スクワットジャンプ、SEBT(Star Excursion Balance Test)、心肺機能が向上しているのが示されています。

生理学的な反応としては、筋温、核温を上げることで筋肉への酸素供給量を増やし、血管拡張と血流増加を刺激し、神経伝導率を高め、パフォーマンスアップします。
VO2Max(最大酸素摂取量)も増加します。
血中乳酸蓄積量も増加しますが、従来の方法でも認められるような量のようです。

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パフォーマンスとしては、スプリント、CMJ、アジリティーが改善しています。
Warm upを行うことで核温の1%の増加と筋柔軟性改善が短期間のパワーを改善します。

SEBTでは、過去の論文でも最小で5~10回でも固有受容器の賦活に効果があると示唆されているので効果的であると思います。

SEBTも過去のブログで詳しくまとめてます。興味がある方はどうぞ!

ちなみに、他のWarm upと『FIFA11+』を比較したデータもあります。

他と比較

上図のように、他のWarm upと比較してスプリント、アジリティー、ジャンプで優れた結果となっています。


長期的効果

週3回、9週間で実施した報告です。
『FIFA11+』群とコントロール群(従来方法)を比較しています。

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Time to Stabilization(ジャンプから着地し安定するまでの時間)、アジリティー、スプリント、Core Stability(体幹安定性)ともにコントロール群(従来法)に比較し結果は良好でした。

Time to Stabilizationに関してSEBTでも示唆されている様、固有受容器の賦活はありますが、前十字靭帯損傷の患者と健常者では筋のリアクションタイム(反応時間)が17-50ミリ秒の差が解消される可能性があることを示唆しています。

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アジリティー、スプリント、筋増量に関しては、この論文の対象が成人であったことが要因だと考えられます。
思春期であれば、20mスプリントとジャンプに有意な改善が認められると報告があります。
成人であればWarm upであるのでセット数が少ない可能性があります。
この研究では10-12回×1セット。能力改善に必要なセット数は3セット以上と報告されています。


まとめ

 『FIFA11+』はWarm upとしてケガの予防とパフォーマンスアップに最適
 ジャンプやスプリント、方向転換にもWarm upとして最適
 他のWarm upと比較してもバランスの要素があり、取り入れやすい
 筋肥大やパワー増加には不足していることも考慮が必要

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                        理学療法士 稲吉直哉

参考文献

Anu M. Räisänen,et al. Warm-Ups and Coaches’Perceptions: Searching for Clues to Improve Injury Prevention in Youth Basketbal. BRIEF RESEARCH REPORT published: 11 February 2021;doi: 10.3389/fspor.2021.619291l

FRANCO M. IMPELLIZZERI,et al. Physiological and performance responses to the FIFA 11+ (part 2):a randomised controlled trial on the training effects. Journal of Sports Sciences, 2013 http://dx.doi.org/10.1080/02640414.2013.802926

Mario Bizzini,et al. Physiological and performance responses to the “FIFA11+” (part 1): is it an appropriate warm-up?. Journal of Sports Sciences, 2013 http://dx.doi.org/10.1080/02640414.2013.802922

David Sadigursk,st al. The FIFA 11+ injury prevention program for soccer players: a systematic review. Sadigursky et al. BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation (2017) 9:18.DOI 10.1186/s13102-017-0083-z

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