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小説集です
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記事一覧

Bonus Track.『Friends&Me』/オオヤケアキヒロ

“久しぶり、本当に久しぶりだな。いつ帰ってきたんだよ?

積もる話もあるけどまずは一杯やろうぜ。

みんなお前に会いたがってたよ、今何してるのかずっと気にしてるよ。

たまにはグループに一言入れてやれよ。

・・・こうやってグラスが鳴るとさ、静かに何か始まったような気がするよな。俺だけ?

それで今お前、仕事何してるの?

・・・へぇ、いいじゃんいいじゃん、頑張ってるじゃん。

ああ、俺?俺は大し

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Track 08.『Dry Ice』/オオヤケアキヒロ

森の中に壁が数片残っているだけの、もはや廃墟とも言えないような空間にある地下室の隠し扉を降りた先に不思議な空間がある。
噂だとここはホテルだったらしいが、特に曰く付きという話を聞いたこともない。
しかし、今、僕が椅子に座っている地下室は何度来ても妙だ。
意外なほどに天井が高く、真ん中に長めの食卓が設置されたこの空間は、左の壁には古い書物が本棚がびっしり、反対側にはワインラックと食器棚が置かれ、奥に

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Track 07.『とある魔法』/オオヤケアキヒロ

暑い夏の夕方、空が真っ赤に焼けていた。
蝉の声と肌を剥がしにかかるような暑さにうんざりしていた。
夏生まれだからか体に刺さる灼熱は嫌いではない。
が、生理的に疲れて来るのはしょうがない。
とはいえ、まだ少しだけ家路に強く香る夏の息吹を愉しむ余裕はあったが、それでも帰ってすぐにシャワーを浴びてニプシー・ハッスルを聴きたかったし、実際にそうした。

そう言えば、俺がニプシーを聴くようになったのは、彼が

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Track 06.『Endless Humiliation』/虫田痼痾

自分の中に何かがいる。そんな奇妙な感覚を覚える。しかしそれを文字通りに捉えられては困る。多重人格だの分裂症だのといったクールなものじゃない。端的に言えばただ"決められない"のだ。"すべきこと"と"やりたいこと"は生活において必ずしも一致しない。しかしそこは折り合いを付けねばならないことであり、それがポリス的動物というものである。しかし今の私にとってその舵取りは困難を極める。自分の中のいるある面は"

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Track 05.『CD-MM』/オオヤケアキヒロ

 行きては戻る旅、歩き続ける道中。
ここの所雨ばかり降るから、最近ずっとアノラックを着ている。傘を刺さないのは手が塞がるから。
白のシエラに乗る時でも、備えとしてバックパックに丸めて入れてある。気づけば同じような服が幾つかクローゼットに並んでいる。
ここの所、会う奴みんなが項垂れて座り込んでいる。雨宿りしようよと言って手を差し伸べても、握り返さずに濡れてしまったことを悲しんでいるか雨が降ることを呪

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Track 04.『社会復帰』/虫田痼痾

今日も体が動かない。
理由。そんなものは知らない。何につけてもやる気が起きない。上体を起こし、褥から背中を引き剥がすのさえ一苦労だ。腹の調子も良くない。内臓にも怠惰が充満しているのだろうか。息が苦しい気がする。肺が膨らまない。深く吸い込んだはずの空気さえ、気道の途中で外へとそそくさと引き返していく。脳ももちろんのことだ。正気ではないのだろう。脳は人間の中枢だ。その脳が体を指揮することを放棄している

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Track 03.『雲から一歩』/オオヤケアキヒロ

Yeah,yeah.初めに言葉ありき。メロディ、ラップ、スクリーム、すべては等しく音に合わせて話すのが始まり。初めて歌うかい?なら、上手い下手や小手先のメロディを追いかけない。始めて惚れた子の肢体を求めるが如く激しい愛は隠さない、しかし同時にダンスを踊る様に優雅にマナーを持って揺れるが良い、さすれば喉は開かれん、違うかい?

 …急速に、だが意図した通りにGigi Masinの『Clouds』が解

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Track 02.『少年の詩』 虫田痼痾

心の靄が晴れない。
日々の苛立ちはどうしようもないほどに些細なことだ。しかし指先に刺さった棘がやがては肉を腐らすように、瑣末な悩みが心を腐らせていく。
目下、私を悩ませているのは蝿だ。本格的な暑さも過ぎ去ったから大丈夫だろうと油断した。気がつけば台所を、あの鬱陶しい小虫どもが飛び回っていた。台所に、といえばいかにも平気そうに聞こえるが、ワンルームの一室においてはそこはリビングでもあり寝室でもある。

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Track 01.『落雷』/オオヤケアキヒロ

 しとしとと霧のような雨が降る、寒い寒い冬の日だった。どうしようもなく煮詰まって、逃げ込む様に部屋へと戻ってきた。
謂われのない罵声と叱責ばかりを突き付けられ、それをポーズだけの仕事しか出来ない馬鹿が陰で笑っているよ、とまた別の馬鹿からありがた迷惑なチクりを押しつけられ、やりたい事とやるべき事のギャップが埋まらない日々を
「もっと真面目にやれよ」
 なんて言うふうに頭ごなしに罵倒された、夜勤明けの

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