サピエンス全史のユヴァル・ノア・ハラリも指摘/コロナ後の未来は "虚構(ストーリー)" の書き換えが起こる?
サピエンス全史も指摘、人は "虚構" を信じて生きている
この世の中の全てのものが "虚構(ストーリー・フィクション)" でできているということは、ユヴァル・ノア・ハラリのサピエンス全史を読んで納得したという方は多いのでしょう。
ユヴァル・ノア・ハラリは人類が他の生物よりも進化・発展できたのは、虚構を共有することができたからと語っています。
宗教、国家、通貨、資本主義、これらはどれも人類が作り上げた虚構(ストーリー・フィクション)であり、我々はそれを盲信しているだけだと。
労働も人々が作り上げた虚構にすぎない
労働……という言葉のイメージ聞いて、気持ちいい、快楽、良いイメージを連想する人は少数でしょう。人間界における "労働" といえば、大変とか、辛い、疲れる、生きていくため、ごはんのため、と苦しい共通イメージをもつ人が多い。
それならもし「明日から全国民労働しなくていいですよ!ご飯も、欲しいものもあげます」と言われたらどうでしょう?
きっと1ヶ月くらいは幸せな気持ちででいられるでしょう。
しかしそのうち「することがなくて暇だ」とか「生きがいがない」とか「生活にメリハリがない」「何をしていいかわからない」と文句を言い出す人が多く出るということは予測がつきます。
労働=アイデンティティ=生きる意味
現在無料公開されている山口揚平さんの著書 "1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法" でとても興味深い章 人生を生存から創造へ変えよ がありました。一部抜粋します。
先進国では、いまだに大量生産・大量消費のサイクルによって経済を回し続けることが前提となっており、実際に人が生存していくために必要なものは余っている。しかも日本企業で働くサラリーマンの実態として、仕事の大半は価値創造とは無縁の会議や、他の部署の仕事を作り出すための資料作りなどをしており、会社の多くは価値を生み出す経済体ではなく、月30万円の給与という名の年金を配る社会福祉団体と化している。それを銀行や政府、行政が必死になって支えているという壮大な虚構である。それなのになぜ多くの人は、理不尽な上司や非合理な業務を我慢しているのか?なぜ政府は雇用が大事だと言い続けるのだろうか。
イギリスの経済学者であるケインズ的な経済における労働・雇用効果を信奉しているからだろうか。当然、違う。理由は「アイデンティティ」である。出世や給料、売上といった従来の指標に専念していれば「生きる意味」を失わずに済む。生活コストは下がり、全国の空き家率が14%という時代において、私たちはもはや生存が保障されていることは知っているはずだ。だが虚構の中で自分のアイデンティティを確立してしまった人は、その虚構を直視しようとしない。
やはり労働というのは我々が盲信している虚構であり、すでに必要がないものである可能性があるのに我々はそのストーリーを手放さない。
たとえそれが辛く苦しいもので、ただただ自然環境や地球を破壊するだけのものであったとしても断固として手放さない。
なぜなら怖いから。
労働というストーリーを手放し、自分のアイデンティティや生きる意味を手放してしまうのが怖いから。
アフターコロナはベーシックインカムの導入でストーリーが書き換わる?
コロナウィルスの発生がきっかけとなり、このストーリーが書き換わる兆しが見えてきています。例えば今回大きな被害を受けたスペインは経済大臣がユニバーサル・ベーシック・インカムを導入する発言を行なったとか。ベーシックインカム自体は以前から各国実施や検討がされていて、2016年にはスイスでベーシックインカム導入案の国民投票が行われました。(否決されましたが)今回日本でも10万円の一律給付が行われるようですが、これもある側面でベーシックインカムのようなものですね。
サウジアラビアやブルネイなど石油産出国はすでに再分配は行われています。もちろん日本は資源国ではないのでその財源は?というところが論点でしょうが、ロボット・AI化がさらに加速すればスムーズに移行ができるのではないかと考えています。
その時、人類は労働というストーリを手放すことができるのか?
ストーリーを創造へ書き換える必要性
多分無理でしょう。人々は一度信じた労働というストーリーをなかなか手放すことができない。
そのような時代になれば、私たちは人生の目的を「生存」から「創造」へと変えなければならない。
山口さんの著書にもありますが、私たちは労働のストーリーと時間を創造に書き換える必要がある。
さらにこれはアフターコロナ後の人間の精神的進化とは?マズローの欲求段階説からみるアフターコロナの次元上昇の記事でも述べた、創造次元への移行にも通ずる話であります。理解が深まると思うのであわせてどうぞ。
一度盲信した労働、そして体に染み付いた労働体質を拭い去り、人生の時間を創造に使う、どうしたらスムーズに移行ができるのか。
個人的な見解では、ウィルバーやハラリもいう通り瞑想、というか自分の内面への探求であり、己と繋がることによる超自我の消滅にキーがあるのではないかと考えております。(具体的な方法論Zen method 作成したのでおいおい紹介したいと思います)
コロナ期だからこそできる生産を放棄するニート期間
以下は山口さんの著書内の提案です。
ではどうやったら人生の意味を「生存」から「創造」へと転換できるかと言ったら、一つの方法はニートとして1-2年、名実ともに生産を放棄する期間を設けることだと思っている。だがそれらの世界に身を置いていると、そのうち禁断症状が出てくる。どうしても社会復帰したくなる。食えないからではない。生きる意味を見出せないからだ。
辛いかもしれないが、この期間を耐えながら、従来の社会の指標ではなく、自分だけの指標を設計しなければならない。最初は単純なものでいい。ナイキプラスでジョギングの記録をし、クックパッドのマイフォルダ機能で作ったレシピを増やし続け、農園を作り野菜を育て、収穫を記録すること。グーグルマップを使って自分が旅した場所に星マークをつけていくこと。
生産を放棄して、自分のやってみたいことにコツコツと勤しむこと。これが創造への転換と山口さんは提案しています。この本はコロナ前に出版されたものですが、これってコロナで外出自粛の今だからできることですよね?
さらに外出自粛という大義名分もあるので罪悪感や誰かの目が気になるといういうことがないでしょう。今こそがストーリーを書き換える機会です。
小さな記録が小さな達成感を生み、成長を促す。少しずつ大きくて社会的な目標が生まれ、「じゃあ、人に貢献してみよう」と思えるようになる。貢献をお金に変換するということができるようになる。それが新しい時代の仕事の方法である。それを続けていれば、仕事と仕事を組み合わせてさらに大きな価値を生み出すシステムを創り始めるだろう。それがビジネス創造である。そして「仕事は遊び。ビジネスは価値と信用を創造するゲームにすぎない」と悟るときがきたら、ようやくパラダイムシフトが完了した証である。
アフターコロナ、従来の労働のストーリーを生きたいですか?それとも新しいストーリーに移行・創造したいですか?
他人の声に翻弄されずに今こそどんなストーリーを生きたいのか、自分自身に問い直してみませんか?
参考 "1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法"
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