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生きやすい心と、働きやすい職場を作りあげる<藤野裕道・前編>


心のバランスを崩す人も多い昨今、メンタルを支える仕事はさまざまな場所で必要とされています。メンタル不調の引き金になりやすい「職場」を変え、より生きやすい心と環境を作るメンタルサポーターを取材しました。

企業や団体で働く人の心を守りたい

優しく明晰な語り口に引き込まれる…

――メンタルサポーター、って初めて聞きました。
心理職ってあまり世の中の認知度がないかもしれませんね。資格も複数あって、その違いなども普通に暮らしていたら意識しないかもしれません。「病院にいる専門職?」「精神病の人の治療をする人?」くらいの印象だと思います。

――藤野さんは、病院や大学で治療をしているわけではないんですよね。
はい。私は企業や教育機関、役所、労働組合で、研修やカウンセリングをしています。心が疲れてしまった人に向き合うというより、メンタルのバランスが取れるように健康な人に向き合っている感じです。生き方や働き方、ハラスメント、コミュニケーション、セルフケアなど、メンタルを核とした研修・カウンセリングがメインで、働く人の心を守りながら、うまく組織作りや職場にもつなげていくためのお手伝いといえばイメージしやすいでしょうか。

企業などのニーズに合わせて、単発やシリーズでの研修・セミナーをやっています。新入社員に向けた「働き方を考える」8時間の研修もあれば、「セクシャルハラスメントへの対応」などテーマを設定した数回のセミナーもあります。これ、という決まった教科書やスクリプトはなく、お客さまの課題を捉えて毎回内容を調整します。

ーーカウンセリングも気になります。
カウンセリングを希望する従業員に対応することもありますし、全従業員のカウンセリングをする企業もあります。意外と多いのが、経営層のカウンセリング。ストレスが多いですし、悩みを相談できる人も少ないので、需要が高いんです。社長さんって、結構一人で悩んでますよ(笑)。

研修とカウンセリングの両方行えることが私の強みになっていると思います。講義内容を踏まえて、より深い話をカウンセリングでするとか、理論や一般論を講義して、個別の事象にはカウンセリングで向き合うとか。研修とカウンセリングは親和性が高いので、両方からサポートできるのが効果的だし、顧客にとってもメリットですよね。

「営業ってしたことないかもしれません」


――コロナ禍で企業はコストカットしてますよね。…失礼ですが、お仕事減ったりしませんでしたか?
ご心配ありがとうございます(笑)。コロナ禍でも大きくオファーが減ることはありませんでした。さすがに緊急事態宣言が出た頃は、対面での研修は難しく、ウェビナーなどの形式でフォローしていました。でも新型コロナを理由に完全になくなってしまった案件はなかったような…。

近年、企業はメンタルサポートの必要性を認識するようになってきましたし、一度私の講義を受けていただけば、その意義を実感してくださるんだと思います。そういうお客様は、リピートで別の年度や別の内容でも呼んでくださいますし、そこから別の企業や団体に紹介してくださって、新たにお仕事をいただくことも多いです。

――えええ!紹介だけでお仕事獲得してるんですか。営業活動はしないんですか。
うーん、営業ってほとんどしたことないかもしれません。本当に恵まれていますよね。ありがたい限りです。だからこそ、毎回の研修やカウンセリングの質にはこだわってます。頼んでよかったと思ってもらわないと、次に繋がらないですからね。

仕事道具 極太のホワイトボードペンは必携

――またまた失礼なんですが…、どれくらい稼働して、どれくらい稼げるものですか。
週4日以上は企業や団体の施設などに足を運んでいます。セミナーやカウンセリングは、顧客に合わせて作り上げるのでマチマチではありますが、1時間の研修を5万円程度で請け負っています。これまでに1,000本以上のカウンセリングも行ってきました。

元気に働ける人を増やすべく日々是勉強!

――営業はしないと言っても、SNSは使いこなしてらっしゃるんですよね?講師業の方って、SNS集客マスターという印象です。
SNS音痴です(笑)!全然やってないですね。HPは一応作ってますけど。精神保健福祉士と日本メンタルヘルス協会の公認心理カウンセラーを取得しているので、そこでプロの心理職として最初の信用はいただけるのかもしれません。

ーー心理系の国家資格をお持ちとはいえ、クライアントごとに求めることは違うでしょうし、勉強やインプットも必要そうですね。
決まった時間の拘束こそないですが、常に勉強して新しい知識や方法論を学んだり、顧客について深く理解したり、もっと工夫できないか考えていたりで、結局休日なのか仕事なのかわからない時間もありますね。全ての人が元気に楽しく働けるように、どうしたらいいのか、ずっと考えているかもしれません(笑)。でも、それも含めて大きなやりがいを感じています。


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