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すてきな女むてきな女

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すてきな女、なっちゃんはむてきだった。 不思議な縁をきっかけに始まった、なっちゃんとの交流の記録。
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#なんのはなしですか

すてきな女むてきな女⑥

すてきな女むてきな女⑥

2月の再開以来、なっちゃんとは頻繁にLINEをするようになった。どの友達よりも頻繁に連絡を取っている。

『この間のあと寝る、聴いた?』

私がなっちゃんにすすめた又吉のラジオ。それは【あとは寝るだけの時間】。
昔一緒に暮らしていた又吉、パンサー向井、サルゴリラ児玉の3人が、リビングで寛いで話しているのをそのまま放送しているような番組。リスナーはそれをこっそり盗み聴きしているような感覚になる。

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すてきな女むてきな女⑤

すてきな女むてきな女⑤

ピザ屋さんを後にし、私達はハセショ(長谷川書店)へと向かった。ハセショまでは徒歩5分くらい。その間も話は尽きることがなかった。

又吉の担当編集者になるべく出版社に転職したなっちゃんだったが、配属先は経営本だった。となると担当するのは経営者ばかり。
『お前なら経営者でも対応できる。』
と上司に言われたそうだ。うん。納得。
ちょっと偏屈そうな妙齢の人、偉そうな若僧、はたまた人のできた人格者。どんな人

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すてきな女むてきな女④

すてきな女むてきな女④

なっちゃんからの家の帰り、小さめのショルダーバッグは行きと違ってズッシリと重かった。
歩いていると『街とその不確かな壁』の重みが左の肩にズンと伝わって来る。

つい1時間前までどこか遠くの人だったなっちゃんに本を借りた事が、まだ信じられなかった。

帰宅するとなっちゃんからのLINEが届いた。

『(略)
またこっちに帰ってきたら連絡してね。
Rが「むくみちゃん、めちゃくちゃおしゃれやわ」って❤️

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すてきな女むてきな女③

すてきな女むてきな女③

「むくみちゃーん。久しぶり。何年振り?!」
なっちゃんは素敵な笑顔で迎えてくれた。

私ははにかみながらも平静を装い
「20何年振り?」
と返した。
「そんなわけ無いよー。もっとだよ。」
なっちゃんは笑いながらそう言った。
緊張のあまり、咄嗟に48−12 すらできなかった。

「むくみちゃん、変わってない。」
「なっちゃんも、変わってない。」
「こちらは娘のRです。」
「初めまして。」
「どうぞ中

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すてきな女むてきな女②

すてきな女むてきな女②

なっちゃんのお母さんが倒れ、なっちゃんが大丈夫なのかが心配だった。

なっちゃんは夜遅くまで仕事をし、出張もあり、子供のことや家事は全てお母さんに任せきりだった。
お母さんが倒れてしまったことで、生活は一変。なっちゃんにかかる負担は想像以上のはずだ。

もし今、私の母が倒れたら?
仕事をしながら、母の面会に行き、実家に父の様子を見にいって…そんな事ができるだろうか。
きっと出来ない。
今の職場に実

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すてきな女むてきな女①

すてきな女むてきな女①

『お早う
山口さんのなっちゃんの
正式の 名前は なんて言うのかな
なっちゃんのお母さんが
卓球の練習中 休憩してる間に 意識がなくなり救急車で運ばれて 脳内出血で 緊急手術したんだけど まだ 人工呼吸 意識は戻ってない状態です 心配です
なっちゃんから 電話貰ったんだけど 
私が なっちゃんて
言うのも変かなと思い
LINEしました』

昨年の2月、母から突然こんなLINEが来た。

母のLIN

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