正覚寺 裕然(うらにわ丹波守)

奥三河の城や歴史を調べています。古宮城の整備活動や各地の史跡整備ボランティア活動もして…

正覚寺 裕然(うらにわ丹波守)

奥三河の城や歴史を調べています。古宮城の整備活動や各地の史跡整備ボランティア活動もしています。

マガジン

最近の記事

まちづくりの「場」について考える。

想いがあるけど話が前に進まない!想いがあっても話が前に進まない。なぜかを考える「ゴミ箱モデル」なるけったいな名前の理論について調べてたのが前回。👇 ではその話合いが行われる「場」とはどういうものかを書いている論文を探してきました。日本福祉大学の吉村輝彦氏の「対話と交流の場づくりから始めるまちづくりのあり方に関する一考察」で、2010年の論文です。 論文の内容をざっくりと…。従来の都市計画ではすでに行政側などに予想される完成図があって、関係者が予想に対して意見を述べて決めて

    • 相続登記やってみた その2

      相続登記を自分でやってみよう、という話の続きです。 遺産分割協議をする実家の土地は母の持分が1/2。そして葬儀代としての死亡保険金程度。残念ながら相続税がかかるほどの財産はない。笑。(相続税の課税状況は国税庁のホームページで確認できます。) 相続の基本は大学時代に習った。民法だと、うちの場合父が1/2、子どもが2人なので各1/4となる。ただ、子どもらは実家から離れて家庭を持ち、土地は必要ない。そして、私が喪主をしたので葬儀料を負担している。 そのため、土地は今住んでる父親

      • 相続登記やってみた その1

        相続登記を自分でやってみようかと母が今年の3月に亡くなる。 実家の土地が父母に共有になってたので相続が発生することに。そしたら、今年の4月から相続登記の義務化がされたとあちこちで見かける。3年以内に登記しないと罰則もあるらしい。👇 登記の専門家司法書士に頼むことも考えたのですが、我が家は誰も知合いに司法書士がいない。もっとも、市役所だ、社会保険事務所だ、お寺だとあれこれ手続きして勢いがついていたのと、仕事で全く知らない社会保険の手続きをやらされてなんとかやってたし、なんと

        • まちづくりについて調べていたら、バカ殿様の論文にたどり着いた話。

           住民有志でまちづくりをすることについて調べていたら、ゴミ箱モデルなる変な名前の理論に出会い、その理解を深めようとしたらバカ殿様はなぜ殿様でいられるのか、という論文にたどり着きました。迷子だ。 ここまでの流れ まだ組織になってない集まりでなぜ話が前に進まないのかを考えるため、稲水伸行氏の2010年の論文「未分化な組織構造と問題解決・意思決定:ゴミ箱モデルのシミュレーション分析」を読んだらわからない点があって別の論文に手をだす。  今回は「日本企業におけるやり過ごし」という1

        まちづくりの「場」について考える。

        マガジン

        • 体力歴史街道
          9本
        • 東三河の城
          23本
        • 長篠・設楽原の戦い
          11本
        • 古宮城(愛知県)の整備活動
          9本
        • 極寒の水鉄砲合戦in設楽城
          5本
        • 「え?」な戦国逸話
          5本

        記事

          『「まちづくり」と「ゴミ箱」は似てる』という説について考える。

           2年に渡りまちづくりの現場に参加し、なぜ話が前に進まないのか、なぜ混沌とした状況になるのか、をずっと考えてました。異なる年齢、職業の住民有志の集まりなので、会議の顔ぶれが毎回異なり、参加者の理解度も異なる中、議論がうまく噛み合う時とそうじゃない時があって、結論が出たり出なかったりする。  1970年代にマーチとかコーエンとかオルセンという学者さんが、ゴミ箱に次々ゴミが放り込まれて捨てられて空になる状況ともやっとしてる状態で物事決める様が似てることから「ゴミ箱モデル」なる変わ

          『「まちづくり」と「ゴミ箱」は似てる』という説について考える。

          住民の声を聞いてまちづくりしようと思ったけど、進まないのはなぜかを考える。

          なぜタイトルの問いに至ったのか。 ある地域で住民の声を聞くワークショップを行なった。その声を実現させたいと考えた若手住民有志が集まった。色々と夢を描いて有志で話し合って地域を巻き込んで活動を始めた。が、なんとなく前に進まないので、知恵を貸して欲しい。ということから、2年ほど一緒に活動してます。最近はご無沙汰になってますが。住民の地域の困りごとや将来の不安の声があって、解決活動に自分の力が活かせそう。なんなら気持ち小遣い稼ぎに繋がれば最高。と、いう思惑もあったそうです。  で、

          住民の声を聞いてまちづくりしようと思ったけど、進まないのはなぜかを考える。

          「具体的に観光まちづくりってどうやるの?」の、ヒントになる論文を読む。

           観光まちづくりを含め、まちづくりって実際にどうやるの?と、考えていた時に面白いと思った論文です。「システムズ・アプローチによる住民選好の数量化・見える化ー中心市街地活性化の新しい政策創出の方法論ー」というタイトルだけ聞くと、難しそうで読む気を無くしそうですが、とっつきやすく分かりやすい内容です。慶應義塾大学の津々木晶子氏ら(2011年当時)の論文です。 超要約すると…、 秋田市の中心市街地活性化の取組をVモデルなる枠組みでやってみたら意見がまとめやすく良い案ができた、とい

          「具体的に観光まちづくりってどうやるの?」の、ヒントになる論文を読む。

          「よそ者、若者、バカ者。『よそ者』て何?」を考える論文を読む。

           観光まちづくりに関する新めの論文を読んでいたら、まちづくりへの参加に関して面白い考察をしてました。その元ネタが今回の論文。 「よそ者、若者、バカ者ってよく言うけど、よそ者ってそもそも誰?」  「そう言われりゃ、確かにそうだわ!」(名古屋弁)というテーマ。  かく言う私は移住者なので俄然興味が湧き、読んでみました。今回も北陸先端科学技術大学院大学の敷田麻美教授の論文です。 超要約すると…、 地域にとって、時に新たな担い手として期待され、時に嫌悪の対象となる「よそ者」。しかし

          「よそ者、若者、バカ者。『よそ者』て何?」を考える論文を読む。

          「新しい観光まちづくりへの期待と観光地経営」を読む

           今回は2021年の論文。これまでの論文が少し古かったため、最近の観光まちづくりの動向を知る身としては読んでなんとなくモヤモヤしてたのですが、一気に解消する爽快感がありました。北陸先端科学技術大学院大学の敷田麻美教授の論文です。 超要約すると…、 ① 観光は、時代により有名観光地を巡る団体旅行→得難い体験を得る極地ツアー→知識により楽しみを得るエコツアー→SNSにより自分が主人公のナルシズム消費へと変遷した。その結果観光は、観光地が提供する観光資源やサービスの体験から、旅行

          「新しい観光まちづくりへの期待と観光地経営」を読む

          「観光まちづくりを考える」を読む

          「観光まちづくり」という言葉の提唱者、東京大学西村幸夫教授(当時)の論文というか記事(2006年)を見つけたので読んでみました。インタビューを編集した内容なので短く、わかりやすい内容です。 「観光まちづくり」について① 定義  地域が主体となり観光を取り入れ生活環境を向上させること。  (観光とまちづくりの一体化) ② 言葉の生まれた背景  また、景観法の登場で、個人の財産権だけでなく、住環境全体への配慮を検討する機運が高まっており、インテリアだけでなくエクステリアにも配慮

          「観光まちづくりを考える」を読む

          鳶ヶ巣砦を奇襲したい! 2024

          鳶ヶ巣砦を奇襲したいから案内してくれ、との依頼が。 以前、観光ボランティアをお願いし、ハイライトを車を使って気軽に楽しめるよう案内してくれた。満足はできたが、戦国武士の苦難が体験できない。苦難を感じたい!だから案内して!とのこと。 バグった思考の持ち主が近年増えていることに注意を要する。 と、いうわけで終日雨予報の中、狂戦士7名で鳶ヶ巣砦を奇襲しました。 山歩きに慣れてる人から慣れてない人まで。遠くは三重県から参戦。朝9時半に長篠城駐車場に集合。その後吉川公民館へ移動してス

          鳶ヶ巣砦を奇襲したい! 2024

          観光まちづくり人材の育成に関する論文を読む。

           今回ご紹介するのは、二松学舎大堀野正人教授の「観光まちづくり論の変遷に関する一考察〜人材育成にかかわらせて〜」です。  いつも思うのですが、論文のタイトルってコース料理の名前みたい。「春の恵みを満喫〜春キャベツにキャビアを添えて〜」的な。知らんけど。「〜」の存在のせいかと。 本論文を要約すると…、 観光まちづくりに人材が必要とか育てなきゃと言われてるけど、そもそも人材て何?、どうやって育てたらいいの?という疑問について、「観光まちづくり」を巡る議論を振り返ることで明らかに

          観光まちづくり人材の育成に関する論文を読む。

          つくで古城まつりで水鉄砲合戦開催しました!

          第43回つくで古城まつりが2024年5月12日に開催されました。今年は亀山城築城600年の節目だそうです。 地元の観光ボランティアガイドで色々活動しているI さんから、昨年、地元の子どもたち向けに何か城を知ることを一緒に考えて、と依頼があったので、それなら戦うのが一番でしょう、と、提案。昨年は残念ながら雨で流れたのですが、今年はなんとか天気が持ちました。 なにぶん初めての開催。しかも地元作手小学校の全校生徒が参加するとのこと!怪我させてはいけない。合戦させると興奮しすぎる

          つくで古城まつりで水鉄砲合戦開催しました!

          「定義から見た観光まちづくり研究の現状と課題」を読んでみた

           観光まちづくりとよく言いますがが、説明してみろと言われると、「え…、あれ、迷うなぁ〜、観光なの?まちづくりなの?どっちが目的で成果なの?」と、松浦亜弥の歌詞並みにあやふやしている。(わからない人は「ね〜え?」で検索。)  これはいかん、と、泥縄式で検索してヒットしたのが本論文。阪南大学森重教授の論文。作成年が2015年と少し古いですが、私が抱いた疑問を解説してくれる。  話は少し逸れますが、自分で問いを立て調べるとあれこれと興味が湧いて問いが拡散し、何が先行研究かわからなく

          「定義から見た観光まちづくり研究の現状と課題」を読んでみた

          「軽トラ市 まちが活きる可動商店街」を読む

          この4月から長距離通勤者になってしまいました。前向きに捉えると読書時間が確保できる。今回は論文ではなく本のご紹介。「軽トラ市」に関する本です。著者は愛知大学地域政策学部の戸田教授です。 軽トラ市をご存知でない方もいると思います。軽トラを売る中古車市場のことではなく(実際そういう勘違いはあるとか。)、「農家の皆さんがその日の朝に収穫した野菜などを、普段使っている軽トラックに積み込んで、商店街に乗り付けて、軽トラックの荷台をそのまま売り場にしてお客様に買っていただく。」(14ペ

          「軽トラ市 まちが活きる可動商店街」を読む

          「観光客数と人口規模に関係はあるのか?」という問いの論文を読む。

          趣味の歴史も長いことやっていると話をする機会をいただくことがあります。 その際、付け焼き刃で論文を読んでお守り代わりにすることが多いのですが、「これは面白い!」という内容に出会うこともあるため、備忘録的に感想を書いてこうと思い立つ。 今回は、2016年に日本国際観光学会論文集23巻に掲載された「観光客数と人口規模の関係〜宿泊客数を対象に」という論文で、公財日本交通公社の山田雄一氏と柿島あかね氏の著作です。 増田レポートを受けた地方創生の流れで観光は人口縮小社会への有力な振

          「観光客数と人口規模に関係はあるのか?」という問いの論文を読む。