正覚寺 裕然(うらにわ丹波守)

奥三河の城や歴史を調べています。古宮城の整備活動や各地の史跡整備ボランティア活動もして…

正覚寺 裕然(うらにわ丹波守)

奥三河の城や歴史を調べています。古宮城の整備活動や各地の史跡整備ボランティア活動もしています。

マガジン

最近の記事

講談社学術文庫「本願寺」を読む

 久々に趣味の歴史本を読もうと積読になってた本を引っ張り出す。井上鋭夫氏の「本願寺」(講談社学術文庫)です。  真宗が誕生から宗教集団として封建的な制度を構築し、権威主義的になっていく過程を追っています。鎌倉から明治までをわずか300ページ弱で概観する脅威の本。1966年のものだけあって、思想的に権威主義、封建主義に批判的な視点を持っているようにも感じられ興味深い一冊です。 読書の動機 戦国時代の歴史では、本願寺があちこち顔を出す。石山本願寺と信長、百姓の持ちたる国加賀一向

    • 今年も武田の騎馬隊を迎え撃つ準備してきた

      今年も2度目の陣触れが来た。 前回は体調不良で参戦できなかったので、今回は、と、覚悟を決めていたところノロノロ台風10号のせいで中止に。。。と、翌週9月7日(土)に再度陣触れが。 と、いうことで今年も参加してきました。 暑さがまだまだ厳しいため、体調に十分気をつけて事故怪我のないようにしましょう、との訓示。いずれもベテラン勢のため、阿吽の呼吸で動き出す。日程がズレたこともあってか、地域外参加者は私一人でした。 雨と暑さで草も結構伸びてます。馬防柵の最下段の横木のあたりまで生

      • 長距離通勤が苦痛なことを調べた論文はあるのか?

        長距離通勤は苦痛なのか? 何故自分が論文読んで感想書いてるかと言えば長距離通勤者だから。この4月から片道2時間を超えてます。往復4時間半くらい。この時間が勿体無いので始めた習慣が論文読んで書く、です。都会の勤務が嫌で大好きな城のある田舎に引っ越したのですが、再び名古屋勤務になり、辞めるほどの能力もないので我慢してます。  たまには毛色の変わった論文を読んでみようと思い、長距離通勤がテーマの論文てあるのか?と、Google scalarで検索したら、あった…。なんでも研究になる

        • 市民活動の行政の下請化について意思決定から考える

           まちづくりにおける意思決定に関する論文を探していたら、ちょっと古いですが2007年の後藤純氏、小泉秀樹氏、大方潤一郎氏による「プロジェクト型協働のまちづくり制度における意思決定手続き」を見つけました。今回の内容は、これまで書いてきたゴミ箱モデルのような理論的な内容とは異なり、協働のまちづくりに向けてどのようにまちづくり団体の提案が採用されるのか(=採用の意思決定がなされるのか)に着目した内容となっています。 何が書いてあったか 協働のまちづくりを進めるため、市民活動をまち

        講談社学術文庫「本願寺」を読む

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        • 論文読んでみた
          19本
        • 長篠・設楽原の戦い
          13本
        • 古宮城(愛知県)の整備活動
          10本
        • 体力歴史街道
          9本
        • 東三河の城
          23本
        • 極寒の水鉄砲合戦in設楽城
          5本

        記事

          旅先で特別な体験をしよう! 旅×ボラ

           東三河って、結構歴史的に面白いものが多い。  日本一マッチョな人骨が見つかったりすごく大切に犬が葬られた貝塚、あの城好き博士イチオシの武田氏の最高傑作の山城、火縄銃で日本の歴史が大きく動いた教科書にも載ってる戦い等々。  こうした史跡は、他っておけば文字通り埋もれていきます。じゃあ、旅するついでにボランティアして、充実感込みで楽しむっていうのはどうでしょうか?  東三河地域では、県と市町村が協力して新規のボランティア参加者の受け入れ態勢のできている地域活動を紹介しています。

          旅先で特別な体験をしよう! 旅×ボラ

          組織の意思決定研究の歴史について読む。

           まちづくり組織がどうやって物事決めるのか、なぜ決まらないのか、組織の意思決定について調べてます。どちらかというと組織論に入り込んで経済や経営学の領域に立ち入ってますが、専攻分野じゃないのであれこれ論文読んでる、というのが現状です。体系的に理解したいなと考えていたら、よき論文に巡りあう。東洋学園大学赤尾充哉准教授が2022年3月に現代経営経済研究に掲載した「意思決定と組織行動の理論からみるダイナミック・ケイパビリティ論:サイモン、マーチおよびトヴェルスキーからティースへ」です

          組織の意思決定研究の歴史について読む。

          まちづくりはDNAと同じ構造、という論文を読んでみた。

           前回の論文に気になる一文がありました。 「現代社会はポストモダニズムとは異なる再帰性の高い後期近代社会であるとする再帰的近代化論が提起されている」  …。  何やら頭の良い高所得者層が読みそうな雑誌にでも書いてありそう。そもそも単語の意味がよくわからない。ポストモダニズム、サイキセイ、コウキキンダイシャカイ。社会学を体系的に学んでない私には、もはや呪文。このところ漂流教室を話読みしてるので「催奇性」と脳内変換されて、えらいこと気になってしまいました。  「再帰性」とはなん

          まちづくりはDNAと同じ構造、という論文を読んでみた。

          「わたし」を「わたしたち」にするワークショップの範囲を考える論文を読む。

          まちづくりの意思決定の仕組みを調べるため論文を読んでます。 今回は「熟議」をテーマに個人の意見を集合体への判断に広げるメカニズムについて考察した論文です。2021年に地域社会学会年報第33集に収録されている「参加するまちづくり、熟議のコミュニティ」で明星大学伊藤雅春教授のものです。 こんな論文 まちづくりでよく行われるワークショップ。  議題の利害関係者が参加することが多いものの、無作為に選ばれた一般市民が参加する市民討議会などと呼ばれるワークで一定の地域意見を出そうという

          「わたし」を「わたしたち」にするワークショップの範囲を考える論文を読む。

          三河古宮城整備活動 2024 実施日程のお知らせ

          今年も開催!名城古宮城ボランティア整備活動!! あのお城博士も大好きと公言する愛知県新城市にある名城古宮城。 土の城なので手入れしなければあっという間に笹が生え、城の形など全くわからなくなります。そこで草刈りやゴミ・枝拾いをすることで、年間1万5千〜2万人が訪れるという隠れた名城を見学しやすくしようという完全ボランティアの整備活動を今年も実施します!地域内外の古宮城好きが年に一度集まります。 開催日程と集合場所13年目12回目(コロナで一回休み)となる今年の開催日は、 2

          三河古宮城整備活動 2024 実施日程のお知らせ

          まちづくりの意思決定のプロセス論文読んで、悩みが深くなった話。

          ここまでの経過今年に入って興味の赴くまま論文を読み散らかしてます。 未成熟なまちづくり集団の話し合いを前に進めるにはどうすべきか、から、決め方についてゴミ箱モデルを読み、その後、決める「場」について読みました。そして今回は決断のプロセスを理論化しようという論文出会う。2017年にガバナンスに掲載された「まちづくりにおけり意思決定モデルの構築」という九州大学の土中氏、德永氏、古橋氏の3名による論文です。経済、社会科学、歯学という異分野の共同研究で「九州大学持続可能な社会のための

          まちづくりの意思決定のプロセス論文読んで、悩みが深くなった話。

          相続登記やってみた その3

          相続登記を自分でやってみよう、という話の続きです。以前の話はこちら👇 登記手数料を支払う登記申請書の記入が終わりいよいよ手続へ。 登記手数料が必要とある。相続だと評価額の4/1000。3万円以下だと収入印紙で良く、それ以上だと納付金の領収書を貼付する、と、書いてあります。収入印紙なら郵便局でも買えるのですが、納付金が税務署で払うとか説明書に書いてあるので、どうしたものかと思い法務局へ電話する。結局、三万円以上であっても収入印紙を貼ることになるそうです。そして、法務局でも売っ

          相続登記やってみた その3

          まちづくりの「場」について考える。

          想いがあるけど話が前に進まない!想いがあっても話が前に進まない。なぜかを考える「ゴミ箱モデル」なるけったいな名前の理論について調べてたのが前回。👇 ではその話合いが行われる「場」とはどういうものかを書いている論文を探してきました。日本福祉大学の吉村輝彦氏の「対話と交流の場づくりから始めるまちづくりのあり方に関する一考察」で、2010年の論文です。 論文の内容をざっくりと…。従来の都市計画ではすでに行政側などに予想される完成図があって、関係者が予想に対して意見を述べて決めて

          まちづくりの「場」について考える。

          相続登記やってみた その2

          相続登記を自分でやってみよう、という話の続きです。 遺産分割協議をする実家の土地は母の持分が1/2。そして葬儀代としての死亡保険金程度。残念ながら相続税がかかるほどの財産はない。笑。(相続税の課税状況は国税庁のホームページで確認できます。) 相続の基本は大学時代に習った。民法だと、うちの場合父が1/2、子どもが2人なので各1/4となる。ただ、子どもらは実家から離れて家庭を持ち、土地は必要ない。そして、私が喪主をしたので葬儀料を負担している。 そのため、土地は今住んでる父親

          相続登記やってみた その2

          相続登記やってみた その1

          相続登記を自分でやってみようかと母が今年の3月に亡くなる。 実家の土地が父母に共有になってたので相続が発生することに。そしたら、今年の4月から相続登記の義務化がされたとあちこちで見かける。3年以内に登記しないと罰則もあるらしい。👇 登記の専門家司法書士に頼むことも考えたのですが、我が家は誰も知合いに司法書士がいない。もっとも、市役所だ、社会保険事務所だ、お寺だとあれこれ手続きして勢いがついていたのと、仕事で全く知らない社会保険の手続きをやらされてなんとかやってたし、なんと

          相続登記やってみた その1

          まちづくりについて調べていたら、バカ殿様の論文にたどり着いた話。

           住民有志でまちづくりをすることについて調べていたら、ゴミ箱モデルなる変な名前の理論に出会い、その理解を深めようとしたらバカ殿様はなぜ殿様でいられるのか、という論文にたどり着きました。迷子だ。 ここまでの流れ まだ組織になってない集まりでなぜ話が前に進まないのかを考えるため、稲水伸行氏の2010年の論文「未分化な組織構造と問題解決・意思決定:ゴミ箱モデルのシミュレーション分析」を読んだらわからない点があって別の論文に手をだす。  今回は「日本企業におけるやり過ごし」という1

          まちづくりについて調べていたら、バカ殿様の論文にたどり着いた話。

          『「まちづくり」と「ゴミ箱」は似てる』という説について考える。

           2年に渡りまちづくりの現場に参加し、なぜ話が前に進まないのか、なぜ混沌とした状況になるのか、をずっと考えてました。異なる年齢、職業の住民有志の集まりなので、会議の顔ぶれが毎回異なり、参加者の理解度も異なる中、議論がうまく噛み合う時とそうじゃない時があって、結論が出たり出なかったりする。  1970年代にマーチとかコーエンとかオルセンという学者さんが、ゴミ箱に次々ゴミが放り込まれて捨てられて空になる状況ともやっとしてる状態で物事決める様が似てることから「ゴミ箱モデル」なる変わ

          『「まちづくり」と「ゴミ箱」は似てる』という説について考える。