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司書が経験した面白レファレンス集

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司書時代に経験したレファレンス(調べ物の相談)で特に面白かった事例を紹介しています。
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#私の仕事

4月30日の図書館記念日にとある問い合わせを受けた思い出

4月30日の図書館記念日にとある問い合わせを受けた思い出

こんにちは、古河なつみです。
本日4月30日は「図書館記念日」です。
これは日本で図書館法が公布された日を記念して設けられています。
ある年の図書館記念日にたまたま受けた問い合わせ(レファレンス)を思い出したので、ご紹介します。
※細かい部分の会話は少し変更を加えてお送りします

「これってコラボポスターだよね?」

私が図書館内で書架整理(本棚の並び順を直したり、本が少なすぎたり多すぎたりしない

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図書館司書のお仕事「魔法の呪文みたいなタイトルの小説探してるんです」

図書館司書のお仕事「魔法の呪文みたいなタイトルの小説探してるんです」

こんばんは、古河なつみです。
少し前に福井県立図書館さんが出版した『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』という本が話題になりましたが、図書館は本当に「覚え違い」の宝庫です。今回は私が遭遇した事例をいくつか紹介していきたいと思います。

『100万回死んだねこ』福井県立図書館

導入で最初に挙げたこの本が生まれた事で新しい混乱が起きています。
「100万回のねこみたいな本ありますか?」
「ああ

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図書館司書の失敗談⑤「それは落書きじゃないんです……!」

図書館司書の失敗談⑤「それは落書きじゃないんです……!」

こんばんは、古河なつみです。
デジタルで本を編集して印刷する技術が発展した事で、昔の本では見かけないような特別な「演出」が施されている書籍が出版されるようになってきましたね。その中で私が図書館司書をしていた時に最も問い合わせが多かった資料について、今回はお話していきます。

貸出1回目で落書きがある本!?

とあるマダムが返却本を持ってきてくださった時の事です。

「この本返すんだけれど……こんな

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司書の失敗談④「そんな刑事さんがいるんですか……!?」

司書の失敗談④「そんな刑事さんがいるんですか……!?」

こんばんは、古河なつみです。
図書館に所蔵されている本の中にはミステリ小説もたくさんあります。
ミステリ小説と言えば名探偵・名刑事が登場するのが醍醐味ですよね。
よく問い合わせでも「あの刑事のシリーズの続きが読みたいけど名前が思い出せないんだよねぇ……」という相談を受けます。

そのせいで私も先入観を持ってしまっていたために情報の特定までに時間が掛かってしまったレファレンス(調べ物)を紹介します。

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図書館司書の失敗談②「手ごわかったレファレンスの話」

図書館司書の失敗談②「手ごわかったレファレンスの話」

こんばんは、古河なつみです。
今回は図書館司書をしていた時に知識が足りずに思わず「えっ?」と首を傾げてしまった利用者さんからのレファレンス(調べ物)の質問を紹介します。(※事例についてはところどころ単語を差し替えてあります)

Q1「ラズベリーパイの本ってありますか?」

若い男性からの質問にNOT理系の私はこう答えてしまいました。

「ええ、料理のレシピ本に掲載があるかもしれないのでお探しを……

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図書館司書が「こどもの頃に読んだ本」を探した話

図書館司書が「こどもの頃に読んだ本」を探した話

こんばんは、古河なつみです。
今回は「こどもの頃に読んだ本探し」のレファレンス(調べ物)の依頼を受けた時の出来事を紹介します。
※紹介する事例の内容や単語は適宜差し替えてあります。

「ウィリアムなんとかさんっていう人の小説を探してるんですけど……」

ちょっと自信が無さそうな様子で若い女性の方がレファレンス相談のカウンターへやってきました。

「昔、学生の頃に読んだんですけど……エリー、みたいな

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