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『小江戸ぶらり珍道中』 第五話 帰りがてら「最終回」

《あらすじ》
 銀婚式を迎えた夫婦の金田勝治と信子は、結婚して既に独立した長女の美穂から、娘婿と一緒に住んでいる川越での食事の誘いを受けた。
 あまり乗り気でない勝治とは違い、信子は久しぶりのお出掛けに胸膨らませていたのだ。そして小江戸(川越)へと二人の珍道中が始まるのであった。
《目次》
第一話 一本の電話
第二話 到着までの道中
三話 約束の場所

四話 お店の中で

第五話 帰りがてら

第五話 帰りがてら「最終回」

 娘の美穂が勝治のエンジ色のジャケットを川越の芋のイメージで着て来たのではと勝治に指摘したことに対して、勝治はこう反論したのだ。
「実は今日(9月6日)はな……本当は東京オリンピックの閉会式の日なんだよ。そして信子には秘密にしてあったが、ふたりで閉会式を観るためにチケットを買ってあったんだ」

 この時、その場に居合わせた娘の美穂や妻の信子、そして娘婿の正平も驚きを隠せなかった。なぜなら、勝治と言う男は気の回る男ではなかったからだ。しかし勝治からこんな言葉を聞くことが出来た。
「いやぁー。 東京オリンピックは来年に延期になってしまったが、チケットは来年も有効だから来年は東京オリンピックに行くぞ! 信子・・・・・・」

 こんな風に勝治は信子に投げかけたのだ。この時、妻の信子は嬉しかった。夫である勝治が今まで、こんなビックイベントを企画していたなんて知らなかったからだ。だから信子も嬉しそうにこう答えた。
「もちろんですよ! ア・ナ・タ・・・・・・」

 勝治は妻の信子に日頃の感謝を込めて、何かプレゼントを送りたいと思っていた。そして勝治は今年が勝治と妻の信子の二人の『銀婚式』であることを覚えていたのだ。だから勝治の頭の中で『銀婚式』と言えば『銀メダル』そして『東京オリンピック』がひらめき、『新国立競技場』で今日(9月6日)開催されるパラリンピック閉会式のチケットをネットで申し込んで、見事に当選してチケットを入手していたのだった。

 こうして『鰻割烹「小澤菊」』のお店の中で、親子夫婦共にお互いの絆を深めたのであった。そして食事も終わりお店を後にすることとなったのだ。すると孫の俊太が、こんな事を言った。
「おばあちゃん 駄菓子食べたーい!」

 この言葉に対し信子は孫の俊太にこう言ったのである。
「あらぁ・・・・・・。 ずいぶんちゃっかりしてるわねぇ、今の子は・・・・・・」

 一緒にいた娘の美穂や娘婿の正平も俊太にこう言ったのだ。
「俊太! アイス食べたでしょ!」
「俊太! お前は誰に似たんだか・・・・・・」

 こんな言葉を投げかけられた俊太は、またしても勝治に助けを求めるようにこう言った。
「おじいちゃん 僕を再び助けてよ・・・・・・」

 これに対して勝治は、俊太やその場に居合わせた家族にこう言ったのだ。
「ジイジとバアバは若殿を『菓子屋横丁』に連れて行くので、小一時間後くらいに『時の鐘』の下で落ち合おう」

 そんなこんなで、金田家 長山家による勝治と妻の信子の『銀婚式』の食事会が無事に終わり、後は蔵つくりの小江戸(川越)の街並みを勝治と妻の信子、そして孫の俊太で散策するのであった。

おわり

《あとがき》
#旅のようなお出かけ をテーマにアセアンそよかぜさん主催の企画に応募させて頂きました。当初、自身の体調の問題もあり参加するか悩んだのですが、申込み期間が間に合いそうでしたので参加させて頂きました。
 途中、体調を崩し間を空けてしまいましたが、なんとか無事に書き上げる事が出来ました。内心、ホットしております。
 どうも有難う御座いました。

参加させて頂いている企画(#旅のようなお出かけ)

#旅のようなお出かけ

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《私の書いた作品のご紹介》 

主人公で心理カウンセラーの倉田 学と、解離性同一性障害(二重人格)の病を持つ木下 彩とのカウンセリングを中心に、銀座ホステスのママやお店の子(ホステス)、そして新宿歌舞伎町ホストクラブのホストなど、それぞれ自分の過去を引きずり生きている。またそれは主人公で心理カウンセラーでもある倉田 学も同じだ。

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