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青空怪談ツイキャス「禍話」さんの過去放送話から、特に好きな話をリライトさせていただきま…

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青空怪談ツイキャス「禍話」さんの過去放送話から、特に好きな話をリライトさせていただきます。

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禍話リライト「かぞくの家」

 Yさんという女性が、大学生だったときの話だ。  彼女は地元から離れた大学に進学し、独り暮らしをしながら授業にサークルにと充実した毎日を送っていた。  大学2年生になると、サークルの後輩のFさんという女の子と仲良くなった。Fさんは実家から通学しているという。サークルの活動がある日も7時には帰るため、親が厳しいのかな、とYさんは考えていた。  ある日のこと。Yさんが授業の合間の時間帯にサークルの部室に行くと、ちょうどFさんも来たところで、しばらく2人でダラダラと時間をつぶして

    • 禍話リライト「庭の家」

       Aさんという女性が、社会人1年目の時に体験した話だという。  Aさんには、大学時代の友達の中に、社会人になってからも定期的に遊ぶ仲間が何人かいた。  お互い就職先の職種もバラバラだったが、気心知れた友達と「職場がこんな感じでさ、」と愚痴を言い合えるのは、楽しいひとときだった。  そういった友達に、Bちゃんという女の子がいた。  夏目前のある日、Aさんは彼女から「今度、肝試しに行こう」という誘いを受けた。 「肝試し? そういえば昔、サークル旅行の夜にさ、みんなでトン

      • 禍話リライト「青い物置」

         ※注意※ ・この話はいわゆる「感染系」です。特に読んだり聞いたりした方の夢に影響を及ぼす恐れがあります。十分ご留意のうえ、お読みください。 ・自死に関する表現があります。 ・設定上は関西の話ですが、関西弁は分からないのでほぼすべて標準語(関東弁)です。 1 Mさん(20代、男性)の話  へえ、かぁなっきさんて怖い話集めてるんですか。変わってますね。  怖い話か……。そうですね、よく分かんないな、って話でもいいならありますよ。  結構最近……、コロナ流行る直前くらいだっ

        • 禍話リライト「遺骸の儀式」

           その家がどこにあるのか、地方でさえも絶対に明かさないで欲しい。  そんな条件で聞かせてもらった話だ。  山本さんは都会の会社に就職してから、そこで出会った女の子と付き合うことになった。かわいくて気立てもよく、まさに理想の彼女だった。  付き合ってしばらく経ったころ、彼女の方から誘いがあり、泊まり掛けで彼女の実家に挨拶に行くことになった。  その時点でもう有頂天だった山本さんであったが、しかも彼女の実家はかなりのお金持ちだった。  彼女自身は普段質素な暮らしをしていたの

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        禍話リライト「かぞくの家」

          禍話リライト「明ケミちゃん・その後」

          はじめに 以下は、ツイキャス禍話で「明ケミちゃん」の話が語られた後、緊急放送という形で明らかにされた関連話を紹介するものです。先にシン・禍話 第六夜の該当部分を聞くか、禍話リライト「明ケミちゃん」を読むことをお勧めします。  なお以下を読むとお分かりいただけるように、「明ケミちゃん」やそれにまつわる話は、読んだり聞いたりすると何らかの現象が起きる可能性があります。予めご承知おきください。 第1話 Sさんの夢  ツイキャス禍話で「明ケミちゃん」が語られる、2日か3日ほど前の日

          禍話リライト「明ケミちゃん・その後」

          禍話リライト「明ケミちゃん」

           以下の話は、聞いたり読んだりした方に何らかの現象が起きる可能性が示唆されています。このまま読み進める際には、どうぞご承知おきください。  ◆ ◆ ◆ ◆  Nさんが大学生のときの、ある夏のことだった。  彼が住んでいた団地では、地区の子ども会が少年自然の家に泊まりに行く、夏休み恒例の行事があった。  当然子どもたちは地区の大人が引率するのだが、その年は参加する保護者の人数が足りなかったらしい。  そういう事情で、Nさんたち大学生くらいの奴ら4、5人も、その行事に駆り出

          禍話リライト「明ケミちゃん」

          禍話リライト「子供の成人式」

           Hさんが小学生だったころの話だ。  夏休み中のある日曜日のこと。Hさんが家にいると、突然友達のMくんが押しかけてきたのだという。  Mくんとは他の2人の友達と一緒に普段から遊ぶ仲ではあったが、その日は特に予定はなかった。  どうしたわけか、Mくんは大変腹を立てていた。Hさんら普段の遊び仲間である3人を名指しして、「おまえら最低だな、ダメだよ代理の人間を寄越すとかさ!」と玄関口でなじってくる。  Mくんが激怒しているのは分かったが、何に対してそんなに怒っているのか、Hさんに

          禍話リライト「子供の成人式」

          禍話リライト「血天井」

          ※文中に自死を思わせる表現があります。現在希死念慮をお持ちの方は読まないことをお勧めします。  Iさんが大学受験の真っ只中にいたときの話だ。  彼は志望校の判定が思わしくなく、滑り止めのためにかなり地元から離れた、あまり有名ではない大学を受験することになったという。  彼は長男でなかったため、わざわざ試験を受けるためだけにそれほどお金をかけられなかったのだが、幸運なことにその大学の近くに住む親戚がいた。  Iさんは、その親戚の家には幼稚園に上がる前に1、2回ほど行ったこと

          禍話リライト「血天井」

          禍話リライト「苧うに」(怪談手帳より)

          苧うには、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』で描かれている日本の妖怪。口が耳まで裂けた鬼女のような顔をした妖怪で、全身が毛に覆われている。石燕による解説文はなく、どのような妖怪であるかは不明である。「苧うに」の「苧」とは植物のカラムシ、あるいはカラムシや麻の繊維から作られた糸を束ねた房を意味しており、この妖怪の髪や体毛が積み上げた苧を連想させることから、石燕が「苧うに」と名づけたといわれる。  出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』  昔、山仕事──今でいう林

          禍話リライト「苧うに」(怪談手帳より)

          禍話リライト「ばらばらの山」

           どこの地域かは分からないが、とある小高い山であった話だという。  そこは車の通る道も整備されており、中腹までは民家も点在するような、ごく普通の山だったそうだ。  当時大学生だったAさんは、サークルの仲間が運転する車でドライブに行った帰り道、たまたまその周辺を通りかかった。  単調な道が続いていて飽きたのだろう、ドライバーが 「ちょっと気分転換にさ、久しぶりにこの山通っていい?」 と聞いてきたのだという。  Aさんたちには特に断る理由もないため「おう、お前の好きにしろよ」と

          禍話リライト「ばらばらの山」

          禍話リライト「作られた幽霊」

          第1話 あるクリーニング店で  小学生のときにWさんが住んでいた団地には、クリーニング屋があった。  民家の敷地内の、車2台分ほどのスペースに建てられたプレハブで、家族だけで営まれている小さな店だ。  Wさんは、よくお使いでその店に行っていたのだという。  ある日の夕方だった。  Wさんはお母さんから、そのクリーニング店にスーツを取りに行くよう頼まれた。そろそろお店が閉まる、ぎりぎりの時間だった。  急いで向かうと、まだ店内には明かりがついている。   よかった、まだ

          禍話リライト「作られた幽霊」

          禍話リライト「ともだち」

           ただでゲームができるからって、親しくもない友達の家に行くと、ろくでもないことが起きるよ、とDさんという人が話してくれた体験である。    Dさんが小学生だったころは、「あいつんち、○○ってゲームあるんだぜ」なんて理由で、それほど仲が良くない子の家にも遊びに行ったものだったという。    Eくんという、Dさんのクラスメイトの家は、まさにそんな理由でよく押しかけられていたそうだ。    Eくんは当時にしては珍しく塾に通っていて、頭のよい、大人びた感じの子だったが、周りの連中を小

          禍話リライト「ともだち」

          禍話リライト「みゆき」

           Oさんは、当時付き合っていた彼氏と、友人カップルと一緒に、とある廃校に遊びに行ったのだという。  友人カップルは校庭を、Oさんたちは校舎内を散策することになった。  教室の中を巡っていくと、埃が積もった室内に意外と当時のものが残されていた。   先生が使う大きな三角定規やら、生徒の机の中には教科書まで入っている。2人で「なんでこんなに物が残ってるんだろうね」と言い合いながら歩き回った。  Oさんは、こういったところの探索が好きな性格だった。ごそごそとあちこちの机を漁っ

          禍話リライト「みゆき」

          禍話リライト「やまのこども」

          「山にやばいモノがいる話ってさ、ネットの怪談だと姦姦蛇螺とかヤマノケとか色々あるけど、実際のところどうなんだろうね? 実体験だと聞かないよなあ。やっぱりネット上のフィクションなのかな」  趣味で怪談を集めているCさんは、たまに友人たちにそうぼやいていた。すると後日、それを聞いていたある人が、 「山にやばいモノがいる話、聞いてきましたよ」と声をかけてきた。 「俺にこの話をしてくれた人、かなり枝葉の部分をぼかしてたんですけど、この話、結構怖いですよ」  そう言って、こんな話を聞か

          禍話リライト「やまのこども」

          禍話リライト「人足りの葬式」

           頼まれて葬式に行くとろくなことがない。そんな話である。  Nさんは既に独り立ちをしていたが、独身で実家の近くに住んでいたため、ちょくちょく親元に顔を出していた。  その日もNさんは実家に帰っていたのだが、両親から「悪いんだけど、今度お葬式に行ってもらえないかな」と頼まれたのだという。 「えっ、誰か亡くなったの?」と聞くと、遠い親戚のおじさんの名前を出された。Nさんの記憶では、子どものときに2、3回会ったかどうか、くらいの間柄だ。 「その人のお葬式、なんで行かなきゃい

          禍話リライト「人足りの葬式」

          禍話リライト「湿った家」

           大学生のA君には、母親のいとこにあたる、親戚のおばさんがいた。  その夫や一人娘とも、昔から家族ぐるみの付き合いがあった。特に娘のKちゃんとは年も近く、幼い頃はよく遊ぶ仲だったという。  その親戚が、10年ほど前から金貸しに手を出した。金貸しとは言っても、同じ団地の高校生や主婦に少額だけ貸し付けるというものだった。  ところが、取り立ての仕方が悪かったらしく、金を貸していた高校生が死んでしまったのだという。自殺なのか事故なのか分からない、そんな死に方だったそうだ。  

          禍話リライト「湿った家」