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上司だけ・部下だけの問題ではない。職場のコミュニケーションで大事なのは○○

多くの人が直面している人間関係問題

仕事の悩みとして必ず挙げられるのが人間関係。関係性の悪い上司・同僚の下で毎日働かなくてはいけない状況に一度陥ってしまったらなかなか抜け出せないもの。そして毎日が憂鬱になる負のスパイラル。

今ではテレワークが導入されて出社する機会が減ったという方も多いと思いますが、ウェブ会議などで話をする機会は少なくありません。

勤勉な日本人は「休むのは甘え」「自分の能力が低いせいだ」と考える傾向にあり、関係性の悪い職場で無理をして心身を病んでしまうことが往々にして見られます。

僕も仕事の現場で精神を病んで休職・退職に追い込まれてしまった人を何人も見てきました。

某有名転職サイトが公開している「退職の本音」を見てみても

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

と、1位と3位が人間関係の問題であることがわかります。実際に僕も上司からのパワハラ、かつ同僚からも無視攻撃を受け鬱状態になりかけたことがあります。

無事に脱することができましたが、このような事態が様々なところで起きているのは事実。誰しもが大きな心の傷となることは間違いありません。

僕はこのような経験からメンタルトレーナーへの興味を持ち始め、かつ自分自身も働いている中で、居心地の良い職場作りについて考えを巡らせることとなりました。

今回は職場でのコミュニケーションで心がけること、そして自分の職場の雰囲気の良し悪しを自分で把握できる方法をお伝えしたいと思います。

この方法は、まさに今悩みの渦中だという方にはおすすめです。
なぜならその職場で厄介な人たちと自分のやり取りを客観的に、幽体離脱して上から眺めているような気分になれるからです。

目に見えないけど確実に存在する「雰囲気」

例えばオフィスにあるいくつかの部署。その中のA部署のドアを開けると、なぜかわからないけど重苦しい空気がいつも流れている。声をかけたり、物音を立てるのにも気を遣う。

別のフロアのB部署に行くと、悪い空気感は感じない。照明の明暗度が違うわけでも、BGMが流れているわけでもないのに、先ほどより居心地がよく、ほっとする。どちらもみんな静かに仕事をしているのに、なぜ?

こんな経験はありませんか。

条件は同じなのになぜこんなにも違いがあるのでしょうか。

それは部屋に入った人にしかわからない、肌で感じる雰囲気がそうさせているのです。目には見えないけれど、確かに雰囲気というものは存在します。

例えるなら魚が泳ぐ水槽の、水の透明度のようなものです。A部署ではまるで濁った川の水のよう。それでは魚は元気に泳げません。B部署は、濾過装置がついているかのように水がきれいに保たれている。なぜ、流れる雰囲気が職場によって違うのでしょうか。

人が集まる空間の雰囲気は、「会話」によって作り出されます。

A部署で雰囲気が悪い要因としては次のようなことが挙げられます。

・出勤時のあいさつが暗い
・ミスをすると怒られる
・意見を述べても聞き入れられない
・会議では意見がぶつかる

どれも相関して起きているような感じがしますね。

人の感情は言葉によって大きく左右されます。自分が発した言葉はもちろん、他人が発した言葉にも大きく影響があります。日ごろからの会話が不足していたり、劣悪になっていると表情が暗くなったり、ため息がでたりします。それが、雰囲気の悪化につながるのです。

基本的には自分の言葉が最も潜在意識に届くと言われており、だから「ポジティブ思考」や「前向き言葉を使おう」などとよく紹介されています。

職場では他人の動きが自分の業務に影響しますから、それだけやっていればよいというわけにはいかないというジレンマがあります。

雰囲気の良好度を図る方法

職場の雰囲気が悪くて悩んでいる人は、まずは次に言う方法で「良好度チェック」をしてみてください。

まず、良好度の高さは次の公式を使って数字で確認できます。

会話の量  ×  会話の質  =  良好度の高さ

1日に1つの計算式を作ることをお勧めしていますので、集計は1日の終わりに行ってください。

✿会話の量について✿
これは、1日に仕事チームの全員で行った話し合いの回数でもいいですし、あなたが上司や同僚など特定の個人と話した回数でもよいです。回数なので、自分が数えていればすぐにわかるはずです。

✿会話の質✿
重要なのはここです。会話の質を数字化するのはどうすればよいのか。それは、自分の心に聞いてください。判断基準は、話し終わった後に「ハッピーな気持ちになったかどうか」となります。

・意外とあの人って笑顔になるんだな
・実は趣味が似ているな
・丁寧な仕事をしているな

など、小さなことでも感じることがあるはずです。これらはプラスのポイントと言ってよいでしょう。自分の心と相談しながら、それを客観的に判断していきます。

自分の心に正直になるアンテナを立てておきましょう。なにか1つでも話せてよかったと感じることがあれば、その人との関係性や翌日以降の動きを鑑みて自分で「1ポイント」なのか「2ポイント」なのかそれ以上なのか、決めてください。

逆に、会話した結果嫌な気持ちになった。話さなければよかった。と思ったら「-1」「-2」のようにマイナス点をつけます。

仮にやってみるとこのようになります。

例)5/15 職場のF上司との良好度チェック
  会話の量 × 会話の質  = 良好度の高さ 
  (朝の朝礼・退勤前の報告)×2P(進捗を褒められた)=4P  

この日は4ポイントでした。この上司とはまあまあ良い関係性で仕事を終えられたことがわかります。これを一定期間続けて平均点を出せば、この上司との距離感がわかります。

続けていくと、何が高得点の要因で、何がマイナス点の要因かがわかってきます。それは、自分が「対人関係でなにを重要視しているか」ということでもあるのです。

「頑張ったじゃん」と言われた=うれしかったので+2ポイント と判断する人もいれば、
「頑張ったじゃん」と言われた=上から目線で嫌だった。-1ポイント 
と考える人もいます。

あくまで自分基準で点数をつけるので、自分特有の人との関わり方やこだわり、大切にしていることがわかってきます。
その傾向はのちのち、自分が今後どうすればプラスを得るために動くべきか把握するチャンスになります。

コミュニケーションに仕掛けられた罠

雰囲気が悪い職場というのは、「話しづらい空気がある職場」「風通しが悪い職場」と言い換えることもできます。

そのようにコミュニケーション不良に陥っている組織は仕事の報連相の質も悪く、タイミングも遅れがちです。なぜなら「できる限りしゃべらなくていいなら避けよう」「今話しかけたら迷惑がられるかもしれない」「なるだけ関わる時間を減らそう」と無意識に考えて行動するからです。

部下から報告が上がってこない。あいつらはなんて不出来なやつだ。
と考え、改善しようとした上司はどのような策を打ち出すでしょうか?

その上司は「1日に〇時と〇時に必ず報告に来ること」と、話し合いの場を機械的に設けようとします。指示してしまえば従わなくてはいけませんからね。

それではそのように会話の量を増やし、質は劣悪なままだったらどうなるでしょうか?

会話の量 4  ×  会話の質 -2   良好度の高さ-8

増やしたところで良好度ポイントは一気にマイナスになります。

会話の質が上がらないのであれば、会話の量を増やしたところで関係性が上向くことはなく、それどころか逆に良好度を下げてしまうことになります。

こうなるくらいならば会話の数は1回のほうが、
会話の量 1  ×  会話の質 -2    良好度の高さ -2

ですから、増やさないほうがましだということになります。

つまりは、

・話し合いをしても一向にまとまらない
・激しい言い争いになる(炎上する)
・プライベートなところまで突っ込まれてしまい腹が立った

などをしていては一向に良くなるわけはありません。

会話の質を上げる方法

会話の量が1日1回だとしても、「質」がプラスであれば1日に少しずつプラスポイントをためていくことができます。

それが1週間で「5」、2週間で「10」、少し行ったり来たりしても1か月で「15」…とためていけば、気が付けば自然と良好度は高まっています。

まずは1日をプラスで終えることから始めましょう。1でも、0.5でもいいです。


では、どんなことを意識していれば会話の質は上がるのでしょうか?
3つほど方法を紹介します。

①相手の関心に関心を持つ
これは目上の上司には難しいかもしれませんが、年が近い同僚レベルには有効です。「休日何しているんですか?」「どんな映画が好きなんですか」など、相手の心にスポットを当てていきます
もともと仕事の関係なのですから、業務のことは嫌でも話さなければいけません。であれば、そこから一歩踏み出してその人の人となりを知ることで新たな発見があります。その発見は自分との共通点であったり、新鮮さという「ハッピー」につながります。

②自分の気持ちをオープンにする 
自分の意見を伝えられず押し切られてしまうようなタイプの方には、「あなたはそうなんですね。私はこう思います」という否定も肯定もしない立場で考えを伝え、意見の相違があってもそんなの当たり前、くらいに受け止める心構えを持っておきます。

すれ違いを恐れて他人に対して無理に迎合する必要はなく、あなたはあなたであってよいのです。「私は○○です」と、主語を自分にして話すことで相手側に自分から伸びた一本の線が通ります。

その線があることで、相手と一定の距離をとることができ、相手はあなたの意見を無視することはできなくなります。そしてその線を通じて相手の気持ちも自分の中に通し、会話の着地点を見つけるようにしましょう。

自分の意見をいかに通せるかではなく、相手と自分の意見の中間地点を見つけてそこに一緒に降りていくイメージです。

③言葉のプレゼントをする
「いつもありがとうございます」「○○してくれて助かりました」など、相手の心をノックするつもりで小さな言葉のプレゼントをすること。
人の心は、聞いた言葉で創られるという言葉があります。
あなたは他人の言葉で心を乱されるのと、自分の言葉で相手を助けるのと、どちらを選びますか。

日テレで放送している朝のニュース番組「ZIP」では、番組の終わりに必ず言うキャッチフレーズがあります。

今日という日があなたにとってより良い1日となりますように

これは、テレビという電波を使って視聴者全員に小さな言葉のプレゼントを届けているのです。朝ご飯を食べながらこの言葉を聞いて「よし、今日も1日頑張ろう」という気持ちで家を出発していくサラリーマンは多いことでしょう。

ここまではっきりとした言葉でなくても、感謝の気持ちは最も簡単で相手に届きやすいプレゼントになります。


~まとめ~

いかがだったでしょうか。ここまでをまとめると、
職場のコミュニケーションで大切なのは会話の量ではなく質であるということ。そして「質」とは、お互いにハッピーな気持ちになれているかどうかでその価値が測れます。

そしてなにより職場の環境は「自分から動かなければ変わらない」ということ。過去と他人は変えられない。変えられるのは自分と未来だけ。何もせずに、人との良好な関係は作れないのです。

人の心も職場の雰囲気も、目には見えない。でも確実に存在し、良くなったり悪化したり生き物のように姿を変える。だからこそ、栄養を与えてできるだけ良い状態に保つようにしなければなりません。

仕事は、生きていくにあたって避けては通れない人生のタスクです。
みんなが働きやすい職場つくりのために動けたら、きっとよくなるはずです。上司も部下も、関係なく小さなハッピーを届け続けましょう。

これからも少しでも多くの人が、明日がくるのが楽しみになるような日々を送るヒントになる投稿ができたらと思います。

長文を読んでいただき大変ありがとうございました。

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