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「図書新聞」現代美術回顧

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撃たれる覚悟を!──2022年現代美術回顧[部分]

撃たれる覚悟を!──2022年現代美術回顧[部分]

コンセプチュアル・アートの政治利用──。「国際芸術祭あいち2022」でもっとも印象深かったのは、会場のひとつ、愛知県美術館の展示が河原温からはじめられていたことだった。言わずと知れた世界的なコンセプチュアル・アーティストである。同芸術祭の芸術監督・片岡真実は、おそらく河原温から展示をはじめることにかなり自覚的だったように思う。いや、戦略的だったといってもいい。同芸術祭のテーマ「STILL ALIV

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2018年現代美術回顧 「五輪」を引き込み、「沖縄」に飛び込む

2018年現代美術回顧 「五輪」を引き込み、「沖縄」に飛び込む

止めどない底抜けの感覚――。今に始まったことではないが、とりわけ2018年は政治社会の前提が音を立てて崩壊してしまった現実を痛感させられた。嘘に嘘を重ね、その虚偽にあわせて記録や情報を改竄して憚らない反歴史主義、あるいは弱者を露骨に切り捨てる一方、身内をなりふり構わず優遇する縁故主義。近代国民国家の大前提だったはずの三権分立や立憲主義、そして公共性ですら、今や存続の危機に瀕していると言わねばなるま

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