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構成読み解きやっております。日本文学、外国文学、映画、アニメ、なんでもです。 https://note.com/fufufufujitani/n/n46e8b454d887

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キリスト教的作品リンク

今日の世界は西洋文明が中心にあります。西洋文明はキリスト教とギリシャ文化の融合したものです。 ギリシャ文化は多神教ですから、我々にもさほど理解が難しくない。問題はキリスト教です。西洋人はキリスト教を説明できず、日本人はキリスト教を理解しにくい。 西洋文明の中の人は、なにしろずっと世界覇権の中に居るわけですから、自分たちが世界の中心に居るわけで、周辺民族の気持ちになることなんてできやしません。だからキリスト教を端的に説明できません。それで自分が濃いクリスチャンだと気づかずに

    • イラン映画のご紹介

      物語能力は民族により差が有る。外交能力、戦略能力は物語能力にだいたい比例する。日本は文化的に豊かな国です。豊かですから、他国を評価すると実は点が辛くなる。しかしあんまり悪口言うと、言う本人が人間的ランクが下がる感じがあるから、言いづらい、だから他国の文化についてはさほど比較して論じた文章見たことないのですが、各国の文化の程度は物凄く差が有ります。どうにもならない超えられない壁なのです。そして文化の程度は必ずしも一人当たりのGDPに比例しません。 文化の中で最も重要なのは「物

      • 「暗殺の森(体制順応者)」あらすじ解説【ベルトリッチ】

        1970年のイタリア映画です。こちらは邦題が悪すぎます。原題は「Il Conformista」=「The Conformist」=「体制順応者」です。政治体制に過剰に順応してしまった人物を描きます。 あらすじ子供の頃ホモの憲兵リーノに、蝶々夫人の着物があるとか誘われて、 あげくに性的ないたずらされて、逆襲して殺してしまった男、クレリチ。 成人して、盲目の友人のイタロの口利きで、ファシスト党に入ります。 党の指令は、クレリチの学生時代の恩師、哲学の教授がパリで反ファシス

        • 「8½(はっかにぶんのいち)」あらすじ解説【フェリーニ】

          イタリア映画です。イタリア人といえばスチャラカキャラが相場ですし、本作は特にスチャラカな意味不明映画として有名です。しかし細かく解析してみると、明快な意味と厳密な構成を持った作品でした。 逆に言えば、明快な意味と厳密な構成を持っていながら、実際観るとスチャラカな意味不明映画なのです。ついてゆけません。 あらすじVer.1映画監督グイドは映画の製作に行き詰まり、人々の冷たい視線に耐えきれずに、ロケット人間になって空中に飛び立つ夢を見ます。 その後色々あって、映画製作は中止し

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          「インセプション」あらすじ解説【クリストファー・ノーラン】

          ツァラトゥストラに宣告されたとき、あなたは本当に死んでしまったのでしょう、多分、永遠に。でも私はあなたのことが忘れられず、あなたとの日々を思い出しながら生きてゆくのです、多分、永遠に。私が心から愛した、天地創造の神よ。 あらすじ相手の夢の中に入り込んで心の中の秘密情報を探る睡眠系産業スパイ、コブ。 潜り込んだ夢の中に、死んだ自分の妻が出現してきては邪魔をします。仕事になりません。悩ましいです。 でもコブの腕を見込んだ日本人企業経営者が近づいてきて、魅力的な提案をしてくれ

          「インセプション」あらすじ解説【クリストファー・ノーラン】

          「ミッション: 8ミニッツ(Source Code)」解説【ダンカン・ジョーンズ】

          監督はダンカン・ジョーンズ(1971生まれ)。デビット・ボイウの息子というほうがわかりやすいですね。寡作ですが、大変優れた映像作家です。 あらすじ場所はシカゴ。主人公はアメリカ人。といってもアフガンに派兵されて瀕死の重傷を負い、上半身だけの存在です。栄養チューブをつながれてギリギリ生きています。 ところがギリギリ生きているだけのように見えながら、夢を見ます。列車に乗っている夢です。女性と楽しくお話しています。 しかし8分間の夢の終わりには列車が爆破されて、目が覚めます。

          「ミッション: 8ミニッツ(Source Code)」解説【ダンカン・ジョーンズ】

          「シャッター アイランド」あらすじ解説【マーティン・スコセッシ】

          例えばですが、あなたの周りのひとたちが、財政破綻論を信じてまして、信じないのはあなただけ、周りは必死に説得しますが、あなたは絶対認めない。あなたはだんだん嫌われはじめて、モンスター扱いされだしました。 その時あなたはどうしますか?人間関係重視しますか?自分の信念重視しますか? あらすじ患者脱走の報告受けて、犯罪者専用の精神病院の島に渡った連邦保安官デカプリオ(エドワード・ダニエルスという役の名前がありますが、面倒なのでデカプリオで統一します)。 なにやらあやしい病院でし

          「シャッター アイランド」あらすじ解説【マーティン・スコセッシ】

          「戦場にかける橋」あらすじ解説【デビット・リーン】

          1957年の作品です。ナショナリズムとグローバリズムについての先駆的な考察を進めている作品です。 あらすじ硬骨漢ニコルソン大佐 ニコルソン大佐はイギリス軍人。男です。 日本軍の捕虜になります。将校も労働しろと言われます。ジュネーブ条約をたてに拒絶します。殴られます。でも屈しません。 怒った日本人軍人にプレハブに閉じ込められます。 死ぬほど暑いです。「オーブン」と言われているくらいです。干物みたいになっちゃいます。 でも屈しません。自分たちの文明の価値を信じているか

          「戦場にかける橋」あらすじ解説【デビット・リーン】

          アラブ関連映画

          アラビアのロレンス(1962)https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00S0ZR2T4/ref=atv_dp_share_cu_r 主役はイギリス人です。第一次世界大戦中、イギリスはドイツと戦っていました。敵が手ごわいです。ドイツはオスマントルコと同盟組んでいました。トルコをぐらつかせることが出来れば、イギリスは楽になります。そこで希望に燃える文学青年ロレンスをアラブに派遣、なんとかトルコ支配下にあるアラブに反政府運動させよう

          アラブ関連映画

          「リヤ王」解説【シェイクスピア】

          シェイクスピアはこれで7本目です。十分飽きています。でもやります。 あらすじ娘を三人持っているイギリスの王様リヤ。領土を均等分割しようとします。 しかし最愛の三女がなんだか反抗的な言い方をしたので、怒って三女相続分は没収、上の娘二人に均分相続します。短絡的な老人です。 ところが上の娘二人は性根が悪く、父をいじめて追い出します。 絶望して荒野をさまようリヤ。気がふれてしまいます。 フランスに嫁に行った三女が救い出そうとしますが、あえなく失敗。最愛の三女は死にます。ショ

          「リヤ王」解説【シェイクスピア】

          「貧しき人々」あらすじ解説【ドストエフスキー】

          ドストエフスキーの出世作でなければ、誰も読まないような小説です。面白くありません。なんせ24歳の作品です。 あらすじ貧乏な役人と若い女性が文通します。若い女性はお金持ちのところに嫁に行きます。役人はこれからどうしようと嘆きます。(終わり) あらすじ詳細に書く気もしません。まるで盛り上がりがありません。なにしろ殺人事件が発生しないのです。ドストエフスキーなのに。 構成だいたいこんな感じだろうと思われます。対称(鏡)構成ですね。白の部分だけ1日だけです。 ドストエフスキー

          「貧しき人々」あらすじ解説【ドストエフスキー】

          時系列倒置の研究 8・「地下室の手記」【ドストエフスキー】

          解説はこちら 構成はこうなっていまして、 より簡略に図式化するとこうなります。 第一部も第二部も内部に反復構造を内包している、「反復構造の二重」になっています。かなり奇抜です。物語としての効果というより、自分の言いたいこと、ここではキリスト教におけるキリストの喪失の問題を際立たせるために採用された構成です。実際わかりにくく効果が上がっているとは言い難い。ある問題をロジカルに考えて、その上で小説化する。その場合ロジカルさを優先すると小説としての効果が薄れ、小説としての完成

          時系列倒置の研究 8・「地下室の手記」【ドストエフスキー】

          「スペードの女王」解説【プーシキン】

          1834年の作品。多分名作です。「多分」というのは自信がないからです。 単純な因果応報話あらすじは 参照ください。 工科将校ゲルマンは、伯爵未亡人の老婆(以下老婆で統一)の幽霊からカード必勝法を教えられます。なんで老婆が幽霊になっているかというと、ゲルマンに殺されたからなのですが、「そのことは許してあげる、ただしリーザと結婚してくれたら」と言われます。 ところがゲルマンは愛の無い人間ですので、リーザはほったらかしにしてカード勝負に臨み、三日目に大逆転で負けて発狂します。ご

          「スペードの女王」解説【プーシキン】

          「ベールキン物語」あらすじ解説【プーシキン】

          1831年、日本でいえば江戸時代後期の作品です。残念ながら名作ではありません。良い文学読んだ時に特有の充実感がありません。しかし重層的な才能豊かな作品だということは感じられます。 あらすじ6章からなっています。本来章番号はないのですが、分かりやすくするために本稿では番号振って説明します。序文として置かれる「出版社より」も章の一つとして見ます。 1、出版社より このたび刊行となりましたベールキン物語集の準備のために、作者である故ベールキン氏の略歴を調査しました。ご友人の紳

          「ベールキン物語」あらすじ解説【プーシキン】

          「ライダーズ・オブ・ジャスティス」・ヨーロッパのアメリカ批判映画

          アマプラで観れる「ライダーズ・オブ・ジャスティス」 Amazon.co.jp: ライダーズ・オブ・ジャスティス(字幕版)を観る | Prime Video デンマークのアメリカ批判映画でした。表面的な皮肉だけでなく、根源的な部分まで踏み込んでいるので取り上げます。出来は非常に良いです。内容関係なく映像美だけで十分見れます。 あらすじ父はアフガンに派兵されています。 母と娘は家を守っています。 ところが列車事故で母が死にます。 事故に遭遇した数学者、およびその友人の

          「ライダーズ・オブ・ジャスティス」・ヨーロッパのアメリカ批判映画

          「地下室の手記」あらすじ解説【ドストエフスキー】

          「こんにちは! ボクはミトコンドリア!」とか、「俺は集合無意識だ」みたいな、奇抜な主人公の小説って読みにくくて嫌ですよねえ。「地下室の手記」の主人公はキリスト教です。奇抜な主人公です。読みにくいです。 構成第一部と第二部に分かれます。 それぞれ前半と後半に分かれます。内容は前半が「自意識」の存在について、後半が「自由意志」についてです。この分け方に到達するまでが一苦労です。納得のゆく分割ができれば後は普通の作品です。第二部の前半は将校や同級生など、世俗的に成功している人と

          「地下室の手記」あらすじ解説【ドストエフスキー】