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日本全国不動産掘り出し情報⑩

このnoteでは、『月刊不動産流通』の過去の記事を紹介しています。

今回は、「日本全国不動産掘り出し情報」
知る人ぞ知る全国各地の不動産情報を(株)遊都総研が解説するコーナーです。『月刊不動産流通2019年10月号』より、「総社市」「北斗市」を紹介します。

★総社市

既存路線を活用したLRT化が話題。
新たな地域活性化モデルに

LRT化計画の終点・JR「総社」駅。伯備線・井原鉄道も乗り入れている

岡山県の中南部に位置し、東に岡山市、南に倉敷市が接する総社市は、古くは門前町・宿場町として栄え、戦後は自動車部品や食品などの工場が立地したほか、岡山市・倉敷市のベッドタウン化が進展。現在の人口は約6万9,000人、2000年以降は伸びが鈍化しているものの、比較的最近まで増加が続いていた。東側に接する岡山市とは川を挟んで一部市街地が連続している一方、南側の倉敷市の市街地とは山林で隔てられている。

同市では現在、「岡山」駅~「総社」駅を結ぶJR吉備線の次世代路面電車「LRT(ライトレールトランジット)」構想が話題となっている。同線は現況、全長約20㎞の非電化路線で、所要時間は40分ほど。計画では、全線を電化し、現在の駅に新たに7駅を新設。交換設備を整備した上で、日中の運行本数を現在の30 ~ 60分間隔から15分間隔に増やす。また、バリアフリー型の低床車両を導入することで、高齢者などがアクセスしやすい環境を形成、岡山市・総社市双方の沿線活性化を目指すという。

ところが、自治体による費用負担も少なくないことから協議が難航。2018年4月、JR西日本、岡山市、総社市の3者がようやく合意に達した。ただ、「総社」駅~「岡山」駅間は、吉備線以外にもJR伯備線・山陽本線経由が倉敷経由で結ばれており、距離的には遠回りながらも高規格の電化路線であるため、吉備線よりも所要時間が短い。JR吉備線にしても、乗客が多いのは岡山市内の区間が中心で、総社市側は市街地北側を遠巻きに走っているため、総社市側の効果は限定的との見方もある。

既存路線のLRT化は、成功例とされる富山市以外には前例がない。しかも、全線単一の市内を走っている富山とは全く事情が異なる。同線のLRT化が新たな地域活性化のモデルとなるのか、注目したいところだ。

★北斗市

発展途上の「新函館北斗」駅周辺。
新幹線延伸に向けホテルの建設がスタート

「新函館北斗」駅南口。左手正面の角地でビジネスホテルの建設が始まった

北海道のほぼ南端、函館市の西隣に位置する北斗市。2006年に旧上磯町と旧大野町の合併により誕生した。市街地は、海岸沿いに集中、隣接する函館市とはまち並みが継ぎ目なく連続している。現在の人口は約4万6,000人、市域全体では牧歌的な景観が広がる一方、函館市のベッドタウンとしても発展。長期にわたり人口の減少が続いている函館市をよそに、比較的近年まで人口増が続いていた。

同市では16年3月、市域北西部・函館本線の旧「渡島大野」駅に併設される形で北海道新幹線「新函館北斗」駅が開業。同駅は現時点で北海道新幹線の終点となっており、道南の表玄関としての機能が期待されている。しかし同駅がある場所は、「函館」駅から17㎞も離れた原野の一画。新幹線の線路も、30年度末の札幌延伸開業を見据え、函館方面には背を向けるように真逆の北西方向を向いている。

また、「新青森」駅から「新函館北斗」駅まで開業した北海道新幹線も、青函トンネルが貨物列車と併用のため速度制限があり、東京までの所要時間は4時間を切ることができず、「羽田」~「函館」間を運航する航空機にし、優位性が高いとは言い難い状況だ。

同駅南口では区画整理が完了しているものの、ホテルと観光・商業施設が入居する複合ビルが1棟あるほかは、レンタカー会社などが出店しているのみで、広大な未利用地が目立つ。さらに北口は、駅正面に一面の農地が広がっており、当面、具体的な開発計画はない。現況、道南の表玄関としては、かなり寂しい印象を受けるだろう。

こうした中、南口の未利用地では、ようやく新たなビジネスホテルの建設が始まった。別途、商業施設の建設計画もあるという。この先、札幌延伸開業までは10年あまり。北海道新幹線の全線開通時までにどこまで同駅周辺の整備が進むのか、期待したい。

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