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優秀な奴と同じ土俵で戦うな。灘男との出会い。

 これは田舎から息巻いて東京に出てきた学生が、灘高校卒のクレイジー男と出会い、ちょっとだけ成長したというお話。

 あの頃の僕は、ただの大学生で何の実績もないくせに(だからこそ)、根拠のない自信を持っていて、そう簡単に周りのやつらには負けないぜと思っていた。

 そんな時に出会ったのが同級生、灘男だった。彼は有名新学校の灘高校出身という肩書にも関わらず、特にオーラのない普通の好青年という見た目の学生だった。

 彼はスポーツもできてオシャレだけど、頭がキレキレというよりはむしろ抜けているところがあっていつも指摘されてはケタケタと屈託なく笑う奴だった。

 僕と彼は同じ理系の専門で、同じ研究室の配属となり、そこから僕らは仲良くなった。そこで僕は灘男のクレイジーさに驚愕することとなった。

 まず彼は「時間がいっぱい使えるから」という理由で毎日1-3時間しか寝ない。ちなみに眠れない訳ではなく、めちゃくちゃ眠たいけどとんでもない精神力で我慢しているだけで、食事途中に寝ていたことすらある。

 次に集中力。「テスト前日のテンション」と言えばわかってもらえるだろうか。「今日しかない、やり切らなきゃ」というくらいのモチベーションで灘男は日々生きていて、1日20時間全力で実験をしているなんてこともざらにあった。(本人は冗談半分で、爆速で生きて40歳までに死ぬと言っていた)

 これはまともに競争しても絶対勝てないと思った。

 違う戦い方をするしかない。

 それ以降の僕は、必死に効率の良いやり方を常に探すようになり、本質は何かを考えてそこだけでもできるように必死に努力するようになった。(灘男なら本質も本質以外もすべてやり切る)

 そうしていると、だんだん研究成果が出るようになって、いつしか灘男からも周りからも「カエルは着眼点も効率も良くて凄いなぁ」と言われるようになってきた。

 違う、クレイジーな奴に勝てないから必死に別の道を探しているだけなのだ。

 灘男は正面突破でどんな競争にも勝っていける。
 僕は、そういう凄い奴が住んでいない、ニッチに潜むしかないのだ。

 社会人になった僕は、語学と海外相手に働く経験で差別化をし、ニッチに潜り込んでいる。会社に優秀な奴らはたくさんいるけど、それでも結構重宝される。

 だから、自信がなくて、必死に仕事術の本を読み漁っている若手社会人や大学生には、ニッチを探す努力を勧めたい。
 優秀な奴らと同じ土俵で消耗せずに、価値のあるポジションをとることはできるのだ。

 灘男みたいな奴には、来世でなれたらいいな。

カエル

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