森タイツ

主にJRA重賞の記事を書いてます。 ①序文で名馬やレースにまつわるコラムを掲載。 ②過…

森タイツ

主にJRA重賞の記事を書いてます。 ①序文で名馬やレースにまつわるコラムを掲載。 ②過去10年のデータによる、当該レースの分析を行います。 ③推奨する馬を数頭紹介、イラストや数値で戦力比較。 初心者にわかり易く、玄人にもなにか気がつけるように、がモットーです。

最近の記事

GⅠ天皇賞春

序文:そして伝説へ…今から遡ること34年前、1985年4月29日。天皇賞春。 単勝1.6倍断トツ1人気に支持されたシンボリルドルフは、残り200mを過ぎると一気に加速、ライバルミスターシービーを尻目に独走するとそのまま1着でゴールイン。危なげなく当時最多の八大競争5冠を達成。鞍上の岡部幸雄は壇上で大きく5本指を立てた。今の時代になってもなお語り継がれる日本競馬史の名場面である。 さらにそこから18年前、1967年のことである。 春の天皇賞、同じくしてシンボリ牧場で生を受け

    • GⅠ皐月賞

      序文:ローカルより愛を込めて🍃北からやってきた馬 2023年のJRA年間売り上げは約3兆2754億円。前年22年度を僅かだが上回った。競馬場の開催入場人数は462万人。新型コロナ期こそ来場人数は制限されていたが、売り上げは12年連続で増加し続けている。既存の競馬ファンに加え若年層の取り込み、新規ユーザーに競馬の魅力を伝えながら、競馬産業は隆盛の一途を遂げている。 翻って地方に目を向けてみよう。全国15か場で実施される地方競馬の23年の総売上金額は、1兆888億円。2年連続

      • GⅠ桜花賞

        序文:葉桜の季節に君を想うということ 🌸桜咲く季節に 春4月、桜の季節である。 この記事を書きはじめたその前日、例年より少し遅い桜の開花宣言の報が届いた。 今年も花見の予定などは一切ないが、なんとなく心が軽やかになる。そんな季節である。 桜という花の名前の由来には諸説があり、「咲き群がる」という言葉が変化したなど、様々だ。 数ある説の一つに日本神話「木花之佐久夜毘売(コノハヤサクヤヒメ)」がルーツになっているものがある。 神話に登場する女神の中で最も美しいとされた「サク

        • GⅠ大阪杯

          序文:画竜の見た夢遠い昔の話、中国は南北朝時代の話…。時の皇帝・武帝は当代きっての高名な画家・張僧繇(ちょう そうよう)に、「安楽寺の壁に竜の絵を描いて欲しい」と命じた。 命を受けた張僧繇は寺の壁に4匹の竜の絵を描いた。それはそれは見事な竜の姿だったが、竜の瞳は白いまま、眼が書き入れられていなかった…。 人々は張に尋ねた。「どうして眼を描かないのか」と。 張はこう答えた「竜は眼を書き入れられると、空へと飛んで行ってしまうのです。」 人々は張に懇願した。「どうか竜の眼を書き入

        GⅠ天皇賞春

          GⅠ高松宮記念

          ※本文に先立ちまして、今回の冒頭コラムも相当に長く、GⅠ予想とはあまり関係がありません。データによる攻略等のみ興味がある方は、目次から飛ばしていってください。それではよろしくお願いします。 序文:うつろわざるもの達へ払暁と落日 川田将雅という騎手をご存じだろうか? 2004年デビューから順調に勝ち星を積み上げ、2016年に日本ダービー制覇。 2022年に史上4人目となる騎手大賞に輝き、昨年23年にはリバティアイランド騎乗で3歳牝馬クラシックレースにおける3冠を達成。24年

          GⅠ高松宮記念

          GⅡ金鯱賞

          序文 ラストダンスは私に ※今回のコラムはかなり冗長なうえ、金鯱賞の予想とは1ミリも関係がない(笑)なので、予想・攻略記事が読みたい方は目次から飛ばしていってください。 逃げ馬にロマンを求める競馬ファンは多い。 武豊が「サラブレッドの理想」と形容したサイレンススズカ、皐月賞・ダービーと逃げきって見せたミホノブルボン、8戦全勝「スーパーカー」マルゼンスキー、懸命な大逃げからファンを沸かせたツインターボら、過去を振り返れば枚挙にいとまがない。 またここ数年の競馬界は逃げ馬

          GⅡ金鯱賞

          GⅠフェブラリーステーク

          序文 最低からはじまった最強の伝説 今年で41回目を迎えるGⅠフェブラリーS、歴代の中でも最大の番狂わせとなったのが今からちょうど10年前の第31回大会。 勝ち馬は最低16番人気からの勝利。JRAの平地GⅠレースでは、エリザベス女王杯サンドピアリス、スプリンターズSダイダクヤマトに続き、史上3頭目の快挙だった。 コパノリッキー 33戦16勝、引退までの獲得賞金はおよそ9億5千万。 ダート競馬史に残る金字塔を打ち立てた。 主な勝ち鞍は14・15年のフェブラリーS連覇他、

          GⅠフェブラリーステーク

          GⅡ京都記念

          序文 「芦毛は走らない」 京都記念の創設は1942年、太平洋戦争下のことだ。当初は春・秋の2回開催だったが84年に春開催のみに、94年からは別定戦に変更と、形を変えながらも長く続いてきた。 GⅡ重賞でありながら、JRA伝統の一戦である。 今回、京都記念をテーマに何か書こうと決めてから、歴代の優勝馬を一頭ずつ見ていた。クロノジェネシス、テイエムオペラオー、ビワハヤヒデ、錚々たる名前が並ぶ中、ある一頭に目が留まった。 スダホークは1986年に京都記念を制覇。 ファンから〝白

          GⅡ京都記念

          GⅢ根岸ステークス

          序文 あなたが競馬を愛する理由 嘉永6年(1853年)、米の代将マシュー・ペリー率いる合衆国海軍・東インド艦隊が横須賀の浦賀港に来航、鎖国国家日本および江戸幕府への開国を要求した。 世にいう「黒船来航」である。 この事件を機に日本は幕末の動乱期へと突入することとなる。 翌年、江戸幕府は「日米和親条約」を締結。正式に国交が始まると、幕府は東海道から離れた小さな漁村「横浜村」を開発し、外国人向けの居留地を作り上げた。…現在の横浜市の基礎はこの時生まれた。 外国人の居留とと

          GⅢ根岸ステークス

          GⅠ東京大賞典

          序文 『挑戦』 ―地方から中央へ― 羽田空港から車で5分、航空の町の護岸沿いを走ると大きな赤鳥居がある。 御祭神は『豊受姫命(トヨウケビメノミコト)』。東京を代表する稲荷神社であるとともに、大正年間からは空港に最も近い神社として「空港鎮護」の任を負う。由緒正しき神社である。 穴守稲荷神社(あなもりいなりじんじゃ)は、地元では古くから「あなもり様」の愛称で慕われている。 1985年、後に東京馬主協会の会長を歴任する保手濱忠弘オーナーが、自身がよく参拝する穴守稲荷で、「一番に

          GⅠ東京大賞典

          GⅠホープフルステークス

          序文 名馬になるための条件 つい先日の有馬記念は22年ダービー馬、 ドウデュースの勝利で幕を閉じた。 鞍上は武豊騎手、競馬界を代表するレジェンド騎手が勝ったことで、レース後の競馬ファンはいつも以上に盛り上がっていたように思う。そういう私自身も、馬券を外してしまったにもかかわらず、レース後のコメントには大層感動してしまった。不意の怪我から復帰しての一発回答。TV実況も言っていたが役者が違う、素直にそう思った。 鞍上はこれで有馬記念4勝目。オグリキャップ、ディープインパクト

          GⅠホープフルステークス

          GⅠ有馬記念

          序文 「もろもろの心、柳に任すべし」 「グランプリ」という言葉は「Grand Prix」、フランス語で「大賞」、grand(大きい・最高の)prix(賞)を指す語である。 年末になると話題になる「M-1グランプリ」等、現代の我々にとっては耳馴染みの強い言葉であろう。 戦後、はじめてこの単語が広まったのが1951年に黒澤明監督の映画「羅生門」が公開された時だといわれている。ヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した際、「国際映画祭でグランプリ受賞」と国内報道された

          GⅠ有馬記念

          GⅠ朝日杯FS

          序文 血統の証明 2015年の朝日杯は、歴代の中でも特に印象深いレースだった。 まず武豊の平地GⅠ全レース制覇がかかった一戦だったこと、もう一つはその武が騎乗するエアスピネルとライバル・リオンディーズの血統関係にあった。 デビューから2連勝、GⅡデイリー杯を制して1番人気で乗り込んできたエアスピネルは父・キングカメハメハ、母・エアメサイアの良血馬。 対する2番人気、Mデムーロ騎乗のリオンディーズは父・キングカメハメハ、母・シーザリオというこれまた超良血統だった。 エアメサ

          GⅠ朝日杯FS

          GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ

          序文 「名牝万事塞翁が馬」 馬は馬でも現代の競馬とは全く関係のない話。 古代中国の塞(さい:砦のこと)の近くに一人の翁(おう:じじい)が住んでいた。ある日翁が飼っていた馬が逃げ出してしまう。 周囲は翁に同情したが、本人は「このことが幸運を呼び込むかも」とどこ吹く風だった。 翁の言う通り、逃げた馬が後日立派な馬を連れて帰ってきた。 周囲は翁を祝福したが、本人は「このことが不運を呼び込むかも」とどこ吹く風だった。 翁の言う通り、翁の息子がその馬から落馬し大怪我を負ってしまっ

          GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ

          GⅠチャンピオンズカップ

          序文 砂塵の覇道をゆけ 世代別に語られることの多い競走馬の世界。それぞれの時代に、激しく競い合ってきたライバル馬たちの相関が常にあった。 とりわけ多くのファンから「最強」とよばれているのが「98年世代」である。日本総大将スペシャルウィークを筆頭に、グラスワンダー、エルコンドルパサー、セイウンスカイ、キングヘイロー。 マイル王エアジハードや、海外で活躍のアグネスワールドなどの名も挙がるだろう。 そんな98年世代の中にあってダート路線の一線級として活躍したのが"ウイングアロ

          GⅠチャンピオンズカップ

          GⅠジャパンカップ

          序文 「未来の中に生きる」 いきなりだが問題。 1981年創設「第1回ジャパンカップ」優勝馬の名前は? この問いに即答できる方がいたとすれば、古参の競馬ファンか余程の競馬オタクのどちらかだろう。はたまたその両方か…。 正解は「メアジードーツ」 あまり聞き覚えのない馬名だがそれもそのはず。 メアジードーツは、母国アメリカでもさほど活躍をしていないマイナーな牝馬だったからだ。 この、本調子とはいえない牝馬の、東京芝2400mコースレコードを叩き出しての勝利は、当時の日本競

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