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GⅡ札幌記念



序文:奔流の因果律


サラブレッドの血統は川の流れによく似ている。

競馬はブラッドスポーツである。その競技が産声を上げてから間も無くして、源泉から「血統」というひとつの流れが生まれた。最初それはごく僅かな、小川にも満たないような小さな流れだった。競馬が続けられていく中で、流れもまた脈々と血を繋ぎ、いくつもの支流と重なり合い、次第に大きな流れへと変貌を遂げていった。父から子へ、子からそのまた子孫へと受け継がれ続けるその「血統」という流れは、いま多くの者を熱狂させる激流へと進化している。
その奔流は決して大海へと流れ出ることはない。連綿と繰り返される交配の末に生まれた優駿たちは、自らのルーツを証明するため走り続ける。そしてその歩みを止めた時、次は血を受け継がせる役目に回り、新たな流れを創り出す。奔流はより太く、より激しくなり、流れ続けることによって、私たち競馬ファンにとこしえに続く夢を見せてくれるだろう。

一頭の芦毛馬がいた。最初、彼の血統は全くといっていいほど期待されていなかった。
良馬か否かが血統で決まる世界において、彼の身体に流れるその血脈は極めて小さな傍流のようなものだった。
彼はより大きな流れの中にその身を置いたとき、ただ一頭、抗うことを決めた。
自分以外の馬たちは流れに沿って走っていく、その中で一頭だけ立ち止まってみる。
やがてその姿に、夢を託そうとする者が現れた。ひとり、またひとりと賛同者は集い、新たな流れへと姿を変えていった。
98年クラシック、彼は自らが作り上げた奔流の中にいた。

セイウンスカイ
クラシック二冠、運命に抗い続けた馬。

セイウンスカイの物語は、彼を育んだ牧場との物語でもある。
1995年4月26日、セイウンスカイは北海道鵡川町の西山牧場で誕生した。西山牧場は西山興業の創業者であり、自らも馬主業を営む西山正行の手によって1966年に開業された。元自民党代議士で「政界の爆弾男」と呼ばれていた田中彰治から買い取ったことが始まりだった。創業当時から西山牧場は大量生産の牧場として知られており、最大250頭もの繁殖牝馬を抱えながら、自家繋養や安価な種牡馬の産駒を乱発していた。数多く生ませれば、その中から活躍する馬も出てくるだろう。安直だがそれが西山の経営理念だった。当時生産者リーディングで常に1位の座にいたのが社台ファームで、毎年多くの優駿を輩出していた。社台に追いつけ追い越せと生産を繰り返す西山牧場は、73年に重賞勝ちを収めたキョウエイグリーン、サクライワイなどの活躍で一時だけリーディング1位に輝いたが、それ以降は徐々に下降線を辿っていった。

89年、西山は一頭の種牡馬を輸入した。馬の名はシェリフズスター。英国馬で仏のGⅠサンクルー大賞他、重賞4勝を挙げた期待の一頭だった。西山は現役時からこの馬に惚れ込み、その産駒に大きな期待をかけていた。
ところがこの計画は失敗に終わる。シェリフズスターは91年に最初の種付けをしているが、産駒たちの成績は一向に振るわず、散々な評価だった。
95年、シェリフズスターは30頭もの産駒を輩出した。その中にセイウンスカイもいたが、他の馬同様全く注目されていなかった。次第に牧場の経営もだいぶ苦しくなっていった。
翌年病を患った西山正行に代わり、息子の茂行が経営を担うことになった。茂行は以前から父正行の方針に疑問を抱いており、これを機に牧場を再建させようと経営改革に踏み切った。大量生産から一転、少数精鋭の経営方針へと鞍替えをしたのだ。茂行は250頭いた繁殖牝馬を50頭まで減らし、自家繋養の種牡馬はすべて外部へ売却と、かなり大胆な改革に着手した。
この年の30頭に及ぶシェリフズスター産駒も全て整理するつもりだったが、すでに受け入れ先の厩舎が決まっていた3頭だけ残すことになった。その内の1頭がセイウンスカイである。

同じ頃、西山牧場へある調教師が訪れた。保田隆芳。メジロアサマによる天皇賞他数々の重賞を制してきた名伯楽である。引退を間近に控え、新しく厩舎を開業する長男・保田一隆へ引き継ぎをするため、親子二人で挨拶周りの最中だった。茂行は新しい保田一隆厩舎へ、開業祝いにと若駒を一頭預ける約束をしていた。
改革断行中で、ほとんど空っぽになった馬房を見て回る保田一隆は、一頭の芦毛の前で足を止めた。セイウンスカイだった。
毛づやも馬体のバランスも良くないこの馬のことが、一隆は妙に気になった。西山は言った。
「この馬はシェリフズスター産駒でね、受け入れ先が決まっていたから残したんだが、いつになっても調教師が引き取りに来ないんだよ。嫌われてしまったかな。」
事実だった。引き取りが決まっていたはずのスカイの調教師は、期限が過ぎても西山のもとへやってこなかった。
種牡馬の名前を聞いた一隆は納得した。シェリフズスター産駒は調教師の間でも評判が悪かったからだ。しかし、この馬の母の名前を聞いて驚いた。母親はシスターミル。その父ミルジョーシは米のGⅠ馬で、日本ではイナリワンやオサイチジョージら多くの産駒が活躍していた。
結局一隆はこの芦毛を預かることにした。母系を辿るとシンボリ牧場の名前があり、父・隆芳が管理したメジロアサマを想起させた。芦毛という共通点もあった。

まだ奔流とはいえない、小さなせせらぎのようなものが、この時生まれようとしていた。

それまでの西山牧場の馬には「シロー」や「ニシノ」という冠名が用いられることが多かったが、茂行の代になって「セイウン」という冠名も使用するようになった。これは「青雲の志で事業を進めていく」という、親子2代による新たな決意表明だった。
3歳(現2歳)秋、セイウンスカイは大きく成長し、調教を積むごとにその素質を開花させているようだった。だが一方で、気性の激しい一面を見せるようになっていた。この時スカイの育成に一役買ったのが、調教助手を務めていた青柳義博だった。かつての2冠馬ミホシンザンの調教助手も務めた名トレーナーである。青柳は日を追うごとに感じていた。「この馬は間違いなく走る」と。セイウンスカイは、周囲の人間を巻き込みながら少しずつその流れを形成していった。

98年1月5日、中山芝1600mの新馬戦でデビュー。鞍上は徳吉孝士だった。シェリフズスター産駒ということで評価は低く、フルゲート16頭の大外枠を引いたこともあって単勝5番人気に留まっていたが、好位の一角につけ第3コーナーで先頭に立つと、そのまま押し切り後続に6馬身差をつけて勝利した。
さらに続くジュニアカップでも3番人気と評価は低かったが、スタートからあっさり先頭に立つと、スピードに乗ってそのまま逃切った。1人気の2着メガヒットに5馬身差をつけ連勝。低評価から一変、クラシック候補へと名乗りを上げた。
保田と助手の青柳が確かな手応えを感じる一方、オーナーの西山茂行はいまだ半信半疑だった。
「本当にあのシェリフズスター産駒なのか?」
自らが良く知るその血統を疑ってしまうほど、セイウンスカイは強かった。

98年のクラシックは今一つ盛り上がりに欠く幕開けだった。3冠に最も近いと言われていたのがキングヘイローで、あの凱旋門賞勝ち馬ダンシングブレーヴの産駒だった。
ライバルと目されていたのがサンデーサイレンス産駒のスペシャルウィーク。鞍上を担う武豊の、ダービー制覇の悲願を背負っていた。その後を追うのがセイウンスカイだったが、この頃はまだ3強体制とは言えなかった。デビュー2戦でその強さを証明して見せたが、評価の低いシェリフズスター産駒に加え、保田一隆は開業2年目の新米厩舎。また鞍上の徳吉もクラシックでは実績皆無だった。宿命を背負った2頭と比べると、ドラマ性にも事欠いていたように思う。
3頭が初めて顔を合わせたのが皐月賞トライアルの弥生賞だった。セイウンスカイは2頭に続く3番人気。陣営はその真価を試される時が来たと意気込んだ。

レースはスペシャルウィークが猛烈な追込みで差し切り、その強さを際立たせただけのようにみえた。逃げ粘るスカイは半馬身差の2着に敗れたが、3着までに付与される皐月賞の出走権を手にすることが出来た。3戦目にして初の敗北。だが茂行は、このレースを経てセイウンスカイの強さに確信を抱くようになった。というのもレース直前、スカイは前肢に骨膜炎の症状がみられ、満足のいく調教が出来ないまま出走していたからだ。それでいて同期の強豪たちと互角以上の勝負を演じてみせたのだ。もし万全だったら勝てていたのではないか…。これには保田と青柳も同じ見解だった。
茂行の父正行は、高齢で病状も悪化の一途を辿っていた。父にとってはこれが最後のチャンスになるかもしれない。茂行の中でクラシック制覇へ向けた思いが再燃していった。悔いのないレースをしなければならない。

一つ問題があった。弥生賞最後の直線、セイウンスカイは気が抜けた素振りを見せていた。明らかに鞍上の未熟さが原因だった。そこで西山は騎手の乗り替りを保田に持ち掛けた。西山牧場初のGⅠ馬・ニシノフラワーを御した河内洋や、ベテラン岡部幸雄らの名前を挙げたが、最終的に「長く保田厩舎の馬と付き合ってくれる騎手を」という観点から、一人の騎手に白羽の矢を立てた。それが横山典弘である。
86年デビュー、90年にキョウエイタップでエリザベス女王杯を制覇。この時すでにGⅠを7勝しており、その実力に疑いの余地はなかった。人気馬を飛ばすこともままある一方で、穴馬を馬券内にねじ込んで来る勝負勘に長けており、当時人気・実力ともに№1だった武豊の1年先輩として、騎手界を牽引していた。
この若き勝負師はレース前、不敵な笑みを浮かべながらこう言い放った。
「いつも武豊じゃ、面白くないでしょう?」

3冠初戦、皐月賞は圧倒的1人気のスペシャルウィークに続く2番人気に推された。懸念していた骨膜炎の症状から完治し、万全の状態で臨むことが出来た。枠入りでは嫌がる素振りを見せたものの、スムーズに発馬するとコウエイテンカイチを先に行かせて2番手を追走、第4コーナー手前で楽な手応えのまま先頭に躍り出た。キングヘイローとスペシャルウィークの猛追を抑え、鮮やかな逃げ切り勝ちを飾った。これは西山牧場にとって初の牡馬クラシック競走制覇であり、鞍上の横山にとっても初のクラシック勝利となった。また、調教師の保田は開業2年目のGⅠ出走にして、初の制覇となったのだった。
横山は喜びを爆発させ、馬上から飛び降りた。西山親子、保田一隆、助手の青柳、皆一様に笑顔を浮かべ、勝利を祝っていた。そんな中、自らの血統にかけられた呪縛を振りほどいた芦毛は、ただ一頭静かに佇んでいた。己の運命に向き合い、「俺はここにいる。」と何者かに語りかけているかのようにもみえた。

迎えた日本ダービーは、逃げの手を打ったキングヘイローにペースを壊され、4着に沈んだ。スペシャルウィークと鞍上武豊の悲願のダービー制覇により、競馬ファンは大いに沸いたが、セイウンスカイと陣営はすでに3冠目へとその視線を向けていた。
秋初戦に選んだ舞台は、古馬との混合重賞である京都大賞典だった。
この年は、メジロブライト、シルクジャスティスのG1馬2頭の他、ステイゴールドやローゼンカバリーといった強豪馬も出走しており、7頭の少頭数ながらも粒揃いだった。このレースは横山典弘の真骨頂が発揮された一戦となった。セイウンスカイは4番人気だったが、果敢にハナを切ると大きく後続を突き放しにかかる。3コーナー付近で一旦ペースダウンをして後続を引き付けると、直線で再加速。メジロブライトら歴戦の古馬たちをまとめて千切った。華麗な逃げ切り勝ちに、横山とセイウンスカイのコンビをファンは「変幻自在の魔術師」と称賛した。

菊花賞直前、茂行はスポーツ紙の連載に「5馬身差をつけて勝つ」と大胆な発言をした。茂行の願望とも言えたが、確かな自信もあった。京都大賞典でみせた走り。古馬たちを一蹴したあの走りを見せれば、京都3000mも逃げ切ることが出来る。父シェリフズスターは欧州の長距離GⅠを制した名馬である、本来その血統に間違いなどはないのだ。
そこまで考え、ふと思いとどまった。

「血統」

彼を形作る、その身体に流れる血は、本来名馬のそれだったはずだ。
幾多の馬を生産し犠牲にしていく中で、いつしか牧場は上手くいかなくなっていった。そんな時に現れたのがセイウンスカイだった。全く勝てなくなってしまったその血筋に、自分を含め誰も期待などしていなかった。開業祝いの一頭といっても、行き場のない芦毛を上手く引き取ってもらっただけのこと。一歩間違えれば、二束三文で売られていても何らおかしくない馬だった。
それが今、クラシック最終戦の栄誉をかけて戦おうとしている。とてもではないが説明がつかなかった。ただ父と、馬を取り巻く者たちの気持ちが乗り移ったとしか思えない。
彼を走らせる大きな流れ、それが血統でないのだとしたら一体何だというのだろう?
茂行はただ一つの言葉しか持ち合わせていなかった。

それは「夢」
セイウンスカイよ、俺たちの夢を乗せ走ってくれ。

果たしてセイウンスカイは、そのキャリアにおける最高のパフォーマンスを発揮した。
西山父子の思いを汲み取った保田と青柳は、馬を最高の状態に仕上げていた。鞍上の横山は、まるで馬の気持ちを理解したかのような手綱捌きを見せた。スタートから馬の行く気に任せて一気に後続を引き離す。いささか暴走気味に走っているようにすらみえたが、中間1000mで64秒3といったんペースを落ち着かせ、完全にレースを支配した。2週目の下り坂からスパートをかけると最後の1000mは59秒3、完璧なペース配分。セーフティリードを保ったまま余裕の逃げ切り勝ちを飾った。2着のスペシャルウィークとは3馬身差開いていた。淀の3000mを逃げ切るのは誰の目から見ても至難の業であり、菊花賞の逃げ勝ちは59年のハククラマ以来39年ぶりのことであった。また、このときの優勝タイム3分3秒2はレースレコードを記録した。
血統という運命に抗ったその芦毛は、自らを囲む者たちの思いを乗せ、そこに大きな流れを作り上げたのである。

古馬になってからもセイウンスカイの戦いは続いた。翌年春の天皇賞ではライバルのスペシャルウィークと、メジロブライトに借りを返される格好で3着に敗れた。
夏の札幌記念では人気に応え、青雲の名に恥じぬ爽快な捲り走法で勝利。魔術師が健在であることをアピールした。
しかし最終目標だった天皇賞秋では、本馬場入場時にダイワテキサスと接触した上に、枠入りを約5分間に渡って嫌がるアクシデントなどもあり5着に敗退。その後屈腱炎を発症すると、1年6か月にも及ぶ長期休養を余儀なくされた。
引退も囁かれる中、茂行は最後の最後、2001年天皇賞春へセイウンスカイを送り出すことを決めた。後先短い父正行へ、どうしても春の盾を贈りたかった。
スタートから逃げ脚を見せると、久々の走りに競馬場が沸いた。生涯最速となる1000m58.3秒のハイペースで逃げたが、2周目第3コーナーで早々に失速。勝ったテイエムオペラオーから16秒近く離され最下位に敗れた…。

こうしてセイウンスカイの競走生活は幕を下ろした。運命に抗い、孤独に走り抜こうとするその姿に心を打たれた者たち。それはオーナー、調教師ら間近にいた関係者だけではない。彼の走りに魅了された、多くの競馬ファンの夢と思いを乗せ、その一つ一つが奔流への因果律となり「史上最強の菊花賞馬」を誕生させたのではないだろうか。

引退したセイウンスカイは、その後アロースタッドで種牡馬として後年を過ごした。産駒からは「父セイウンスカイ・母ニシノフラワー」という西山牧場の結晶ともいえる一頭が生まれた。ニシノミライは未勝利で終ったが、その孫ニシノデイジーはダービー5着の後、障害に転向。22年中山大障害を制覇した。しかし、それ以外に目立った活躍をする産駒は生まれておらず、セイウンスカイは種牡馬としては成功しなかったといえるだろう。
セイウンスカイは11年、馬房での事故により急逝。16歳でその生涯を終えた。その血統は時と共に薄れてきているが、「血」ではなく「夢」を乗せた大きなあの流れは、今もなお私たちの胸の中に残されている。

そして現在、西山牧場の一角にはセイウンスカイの墓所が設置されており、その墓碑には西山茂行自身の言葉でこう刻まれている…。

『 青雲の空を 駆け抜けた稲妻よ 永遠なれ 』

 第60回GⅡ札幌記念、まもなく出走です

主戦の横山典弘はセイウンスカイを親友と呼んでいた。
「どんなことをするのか、いつもワクワクしていた。
人間味があるって言うとヘンだけど、人間っぽかった」
2011年馬房で頭部を強打し死去。どうか安らかに…R.I.P。


はじめに ~コース攻略~

皆様お疲れ様です。1か月と経たずnoteを掲載することが出来ました。今回は札幌記念優勝馬の中から一頭、セイウンスカイの物語を書いてみました。いわゆる98世代の中でもとりわけ人気実力ともに高かったスカイですが、彼を語る上で西山牧場の物語もやはり欠かせないだろうと思い、つらつらと長ったらしく書いてしまい…。今回も長文にお付き合いいただいた方がいらっしゃいましたら、心より御礼申し上げます。
西山茂行オーナーは現役バリバリでSNSも頻繁に更新している方なので、この好き勝手に描いた物語が見つからないことを祈ります笑
悪意など全くなく、西山オーナーとセイウンスカイのファンとして書かせていただきましたので何卒…。

さてさてここからは札幌記念の攻略&予想をお届けしたいと思います。
夏競馬もいよいよ佳境、このスーパーGⅡレースを(馬券的に)制して良い形で秋の開催へと向かいたいところですが…。
今回もレース傾向と、お役立ちデータ、そして推奨馬解説と、どうか最後までお付き合いください。

札幌芝2000mを読み解く

夏の終わりの名物GⅡ、ゴールドシップ、
ソダシら名だたるGⅠ馬たちが制してきた

サマー2000シリーズ4戦目にあたる当レースは、夏競馬唯一のGⅡ重賞。毎年豪華な顔ぶれが揃い「スーパーGⅡ」として盛り上がりをみせます。4コーナー奥のポケットからスタートし、4つのコーナーを回る小回りなコース。馬をスピードに乗せづらく、一見すると逃げ先行馬が有利に思えますが、差し追い込みが決まってしまうのがこのレースの特徴でもあります。先行争いが激しくなったり、前に行った馬が早めに仕掛けるとレースが動き、後方で脚を溜めていた馬が一気に浮上してきます。最終の直線は266mとかなり短いため、差し込みには早い上がりが求められます
夏の2000mを走り切るためのスタミナ、コーナーをこなす機動力、そして一瞬の瞬発力と、総合力が求められるまさしくスーパーな重賞と言えるでしょう。

昨年のレースを振り返る

昨年覇者プログノーシス。金鯱賞を連覇。
札幌記念も連覇をかけ挑んでくる。

勝った川田騎手騎乗のプログノーシスは2番人気。勝負所で押し上げると一気に先団を強襲、後続を引き離すこと4馬身差の圧勝劇でした。当日は稍重の馬場に見舞われ前半5Fが60秒4。勝ったプログノーシスはメンバー最速の上り36秒ジャストで勝利しました。1人気で武豊騎手のジャックドールは本来の実力を発揮できず馬群に沈み、9番人気のトップナイフが2着に。ダービー14着と完全に伏兵扱いでしたが、内々をロスなく回ってきた横山和生騎手の手腕が光りました。3着はルメール騎手のソーヴァリアント。1枠1番のスタートでした。内枠優勢の傾向と、内に潜ってロスなく回ってくる馬の台頭に注意したいですね。



勝利への近道!
抑えておきたい5つのポイント

1~3番人気

昨年は馬連万馬券となりましたが、基本は上位人気から一頭軸を選ぶのが吉。まあセオリーと言えばセオリーですが、注意点として1人気は過去10年未勝利という事実。【0-4-3-3】連対率40%ですが勝ち切れていません。最も勝っているのが2番人気で【5-1-0-4】、人気決着が多いですが落とし穴には注意です。2~3年周期で人気薄の連対がみられます。

芝2000m以上重賞で勝利経験(連対経験)がある

遡ると、昨年はプログノーシス、一昨年ジャックドール、ラヴズオンリーユー、ノームコア、ブラストワンピースと連対馬は芝2000m以上の重賞で勝利経験がありました。かつては人気薄から穴をあけた馬もいましたが、近年この傾向は高まってきています。夏唯一のGⅡレース、照準を合わせてくる馬は皆GⅠ実績豊富な強豪揃いです。

父がノーザンダンサー系の血統である

過去10頭の勝ち馬のうち半数が該当しています。昨年勝ち馬のプログノーシス含む4頭がディープインパクト産駒(SS系)、17年勝ち馬のサクラアンプルールのみキングカメハメハ産駒(キングマンボ系)でした。今年の想定1人気はプログノーシスでしょうから、相手探しにノーザンダンサー系を選ぶのも面白いかもしれません。他の重賞レースより好走率は間違いなく高いです。また父か母父にロベルト系を内包した血統の馬が5年連続で勝利しています。ここも忘れてはいけないポイントだと思います。

前走で負けている

意外なことに前走勝ってここで連勝した馬は過去10年存在しません。【0-3-2-8】の結果が物語っています。前走連対(2着)した馬が6連対しています。前走重賞や海外のレースで跳ね返された馬が、ここで再び輝きを放つ。というケースが多いようですね。

非ノーザンファーム生産馬

過去10年の連対馬20頭のうち13頭が非ノーザンF生産馬でした。近年のノーザンF一強体制において、有力な重賞の中では珍しい傾向だと思います。今年は有力馬の半数近くかそれ以上がノーザン系の馬になるでしょうから、敢えて逆らってみるのも面白いかもしれませんね。昨年連対したプログノーシスは社台、2着のトップナイフは杵臼牧場生産馬でした。今年も出走しますがリピート好走も多いレースなので、その点も忘れずに。



お役立ち♪過去10年データ集

やっぱり内枠に注目

過去10年1枠は4連対、2枠も同じく4連対しています。上位人気であれば当然抑えたいところですが、17年は6人気のサクラアンプルールが1枠で1着。20年は6人気のペルシアンナイトが2枠から2着と、中穴人気でも十分買えそうです。

逃げ馬は人気馬のみ

逃げ馬の成績は【2-1-0-7】で連対した3頭は全て5番人気以内。逃げ脚質ならジャックドールやパンサラッサのようなGⅠクラスの馬でしょう。先行馬は4連対で、こちらも上位人気の馬が中心です。残りの13連対は全て差し・追い込みで決まっています。先述したとおりハイペースもしくは早仕掛けになり、後方からの競馬で決着しやすい傾向があります。

関東VS関西

関東馬【5-1-5-45】
関西馬【5-9-5-66】

と勝鞍の数は変わりませんが、連対している馬は関西所属の馬が優勢です。6番人気以下で見ると関東馬1連対、関西馬が4連対と下位人気から選ぶ場合も、関西馬優勢となります。

安田記念で善戦した馬

前走安田記念を走った馬は【2-2-1-5】、安田記念で5着以内だった馬が上位人気なら【2-2-0-2】と好走率は高めです。18年サングレーサーは安田5着から、20年ノームコアは安田4着から札幌記念を優勝しています。今年の出走予定馬ではジオグリフが安田記念最先着で6着から出走します。本来の能力を考えればここで好走してもおかしくはないかも。またステラヴェローチェが安田記念9着から臨んできます。

年齢別成績

過去10年で…
3歳馬【2-1-1-5】勝率22.2% 連対率33.3%
4歳馬【3-0-2-28】 勝率9.1% 連対率9.1%
5歳馬【3-6-5-29】勝率7.0% 連対率20.9%
6歳馬【2-1-1-26】勝率6.7% 連対率10.0%
7歳馬【0-1-1-17】勝率0.0% 連対率10.0%

3歳馬は出走頭数に比して勝率が高いですが2勝を挙げたのがソダシとハープスターで2頭とも牝馬でした。いかにも夏の重賞といった感じです。4歳馬の3勝は全て3番人気以内なので、上位人気の3歳馬は堅実だと思いますが、下位人気で「背伸び」して出走してきた馬には危険が伴います。5歳馬は2~5番人気で3勝2着2回の成績を収めているので、ここが狙い目になりそうな気がしています。


森タイツ式推奨馬の紹介

ここからは恒例のオリジナルイラスト付き推奨馬の紹介を致します。今回は4頭、その後その他の有力馬の短評を添え当noteを了とさせていただきます。

未完の大器、完成の時へ

昨年の札幌記念覇者、6歳にして連覇を狙う雄、プログノーシスが満を持して出走です。
その素質を期待されながら、3歳3月までデビューが遅れ、新馬戦を勝利も中1週で挑んだ毎日杯では後のダービー馬シャフリヤールに惜敗。その後は地道に条件戦から勝ち鞍を挙げながら、重賞戦線へと名乗り出てきました。
昨年春の金鯱賞、夏の札幌記念を制すると、迎えた秋天ではイクイノックスの3着に健闘も、香港GⅠを3戦して未勝利と、GⅡまでは圧倒的な力量をみせながら、GⅠの壁を超えることはできていません。
今回は同期のダービー馬シャフリヤールや、皐月賞馬ジオグリフらGⅠ馬が多く顔を揃えるハイレベルな一戦となりましたが、近走の安定感、馬自身の上昇度を考えれば、本馬が圧倒的1人気で間違いないでしょう。

プログノーシスはディープインパクト産駒、数々の大物を世に送り出してきた大種牡馬で、今さら説明不要でしょうか。札幌の洋芝との相性を解説すると、過去5年における産駒の札幌芝2000m戦績は勝率約8.0%連対率19.5%とかなりの好成績を残しています。札幌記念に限れば先述した通り、過去10年でディープインパクト産駒が4勝を挙げており、その一頭がこのプログノーシスです。

今回は仕上りも良く、最終追い切りは函館芝コース単走で力むことなく3ハロン43秒7、ラスト1ハロン11秒8をマーク。陣営サイドも昨年以上、6歳でも進歩を感じると、手応えを口にしています。香港帰りで3カ月半ぶりですが、まず万全と見ていいでしょう。ここを勝てば、豪GⅠのコックスプレートが視野に入ってきます。もともと海外志向の強いこの馬、国内GⅡ戦はまずは通過点と、しっかり勝って次に駒を進めたいところです。鞍上はリーディング最上位の川田将雅騎手がここも務めます。これといった死角もなく、自信をもって臨んで来るでしょう。プログノーシスの悲願であるGⅠ達成へ向けた一戦として、自信を持って推奨します。

イクイノックスを破った優駿

22年のクラシック戦線、ダービーを制したのはドウデュース。そのライバル・イクイノックスは古馬との一戦天皇賞秋を制し躍進を…。しかし思い返せばクラシック初戦の皐月賞、その2頭を千切ったのがこの馬ジオグリフでした。
朝日杯5着、共同通信杯2着の成績も、皐月の舞台で輝きを放ったのは2000mというその距離適正だったのかもしれません。その後、ライバルたちにも引けを取らない王道が開けていたはずですが、秋天でイクイノックスらの9着に敗れると、香港・サウジ・ドバイと立て続けに挑戦した国際舞台でも思うような成績は残せず、国内復帰以降も交流ダートGⅠでの惜敗など、いささか”迷走”が目立ったようでした。今年に入り、始動戦の中山記念で3着に奮戦すると、徐々に立て直してきました。

ジオグリフはドレフォン産駒、父はBCスプリントを制した名馬で、本馬の他にはデシエルトや先日のレパードSを制したミッキーファイトなどがいます。芝でも走りますがどちらかというダート向けの血統で、この辺りがダート重賞を走らせた陣営の苦心に現れているかもしれません。距離の融通は利く方なので、2000mという点は全く問題ないでしょう。母アロマティコは秋華賞、エリザベス女王杯をそれぞれ3着、牝馬限定重賞で活躍した隠れた名牝でした。血統的には面白い一頭だと思います。

安田記念からの臨戦が好走を見せることは先に述べた通りですが、先行脚質でポジションを取りに行けるジオグリフにとっては、優位に立ち回れそうなレースになりそうです。鞍上に抜擢された横山武史騎手は札幌巧者でもあり、過去5年の連対率は約25%で、今夏も札幌で大暴れしていて信頼の置ける乗り替りと言えるでしょう。またジオグリフの重賞初制覇は札幌芝1800mの札幌2歳S(GⅢ)でした。この点も今回推奨するにおける大きな強調材料となります。Xの方でポストしたオカルトサインの条件も満たしており、個人的には強く推したい一頭です。

古豪のGⅡ番長、見参

JRA重賞を戦うこと20戦目、8歳となった古豪ボッケリーニが札幌記念でも異彩を放ちます。84年のグレード制以降、ここで勝てば初の8歳馬による勝ち馬誕生となります。
19年デビュー、以降条件戦で勝ち負けを繰り返し20年の中日新聞杯で重賞初制覇、それからは中長距離の重賞戦線ではお馴染みの顔となり、22年日経賞ではタイトルホルダーの2着、同年の目黒記念を優勝、またGⅠでは昨年の宝塚記念7着で爪後を残すなど、年を重ねても活躍を続けています。
今年は5戦して未勝利ですが、全て重賞を走り2着4回、5着1回と流石の安定感を見せています。

ボッケリーニはキングカメハメハ産駒。ディープインパクトに並ぶ大種牡馬として、ロードカナロアやドゥラメンテなど多くの名馬を輩出しています。その産駒は芝・ダート問わず活躍し、距離は適性を問わないオールラウンダータイプの血統といえます。
母ポップコーンジャズは06年オークス6着で、その父は菊花賞馬ダンスインザダークでした。ボッケリーニの長距離に対する適性の高さはこの辺りに垣間見えますね。同じ父母を持つラブリーデイも同様のタイプだったと記憶しています。ちなみにラブリーデイが秋天を勝った時の鞍上も、浜中俊騎手でした。

今回は8歳馬にして栗東からの長距離遠征、しかも初の北海道ということで少なからず不安も感じますが、裏腹に陣営は強気な発言を放っています。気になる洋芝適性も、重馬場で実績を残してきた本馬にとって、有利に働くと判断しているようです。ボッケリーニのその背中には、モレイラ騎手ら名手が跨ってきましたが、最も多く騎乗しているのが今回の鞍上も務める浜中俊騎手です。浜中騎手もまた中堅の上位騎手ですが、彼の魅力はそのスタートの上手さにあると個人的に思っているので、先行力が武器の本馬との相性はやはり抜群だと言えるでしょう。31戦して出遅れは3回のみ、それも全て3歳馬までのことなので、ここもまずは発馬を決め優位な立ち周りを期待したいです。
ボッケリーニは常にフレッシュさに溢れ、良くも悪くも幼さを見せる元気が売りですが、8歳馬ということで流石に引退が視野に入ってきているはずです。ここで好走し、秋の大一番と勇退へ向け良い形で弾みをつけたいところ。年老いてもGⅡでは負けられない、ベテラン馬の奮戦に期待です。

枯れることなき素質が花開く

今年の大阪杯4着、宝塚記念9着のステラヴェローチェが、復活をかけ真夏の大一番へ挑んできました。
20年新馬勝ちでデビューすると2戦目のサウジアラビアRCでいきなり重賞制覇、その才能を遺憾なく発揮し翌年クラシックでは皐月賞、ダービーで3着、菊花賞で4着と同期のシャフリヤール、エフフォーリア、タイトルホルダーらと常に鎬を削ってきました。翌年3月にドバイシーマクラシックに挑戦にすると9着に敗れ、その後屈腱炎を発症。長期休養を余儀なくされました。復帰したのは昨年10月の富士S(GⅡ)1年半振りのレースは7着で終りましたが、今年の3月大阪城S(L)で復帰後初勝利を飾り、GⅠ大阪杯で4着、安田記念で9着と徐々にですが復調の兆しを見せてきています。

ステラヴェローチェはバゴ産駒です。日本では馴染みが薄いですが、仏の名馬で3歳時にはあの凱旋門賞を制しています。産駒で最も活躍した馬といえば、やはり名牝クロノジェネシスが真っ先に挙げられるでしょう。産駒の全体的な特徴としては、洋芝の2コース、函館・札幌ではとりわけ好成績を残していて、それぞれで過去10年で連対率13%以上、複勝率20%以上を叩き出しています。ステラヴェローチェにとっては初の洋芝レースになりますが、血統的な観点で言えば大きな不安はありません。

デビュー当時こそマイルを中心としてレースに出走してきましたが、クラシックでの戦績を見る限りでは2000mがこの馬にとってベストといえる距離だと思います。中間・最終の追切では横山典弘騎手が駆け付け騎乗、入念に乗り込んでいます。陣営は「騎手にお任せ」ということで、今回典弘騎手がトップナイフではなく、こちらに騎乗する点からも高い本気度が窺えます。前走マイルGⅠの安田記念こそ9着敗れていますが、今回と同距離の大阪杯では上がり2位の34.2秒で4着という結果を残しています(鞍上は坂井学騎手)。あの走りを再現できれば浮上は間違いないでしょう。ここを勝てば、3年前の神戸新聞杯以来の重賞制覇。素質だけなら今回出走馬の中でも上位に位置する本馬。まだまだ枯れてはいないと、復権をかけた激走に期待しましょう。

終りに~その他の馬たち~

以上が今回のnoteの要訣となります。ここまでお付き合いくださいました方がいらっしゃいましたら、御礼申し上げます。特に毎号読んでくださっている方、いつもありがとうございます。日々の励みになり、本当に感謝しています。

それでは最後になりますが他有力馬の短評などを添え(添えるんかい)、今回のnoteを終いとさせていただきます。来月からは秋GⅠが始まります。まずは第1戦目のスプリンターズSに向けて当noteも準備してまいります。
冒頭コラムはやはりあの馬を書こうか…ニシノフラワー?

まあ楽しみにお待ちください、今後ともよろしくお願い申し上げます。

その切れ味は抜群、次世代の名刀候補

前走の函館記念で本命を打ったトップナイフです。怪我からの長期休養明けということで前走の直線では振るわなかったですが、個人的に2歳時から推している馬なので、ここも期待はかけたいです。主戦の横山典弘騎手がこちらではなくステラヴェローチェを選択したため、長男の横山和生騎手が前走に続き乗るのかと思っていましたが、中京CBC賞ピューロマジック騎乗へ(8/15現在ではまだ不透明)。
そこで選ばれた鞍上が美浦所属の田辺裕信騎手ということですが、私が記憶している中では、昆貢厩舎の馬及び安原浩司オーナー所有馬に田辺騎手が跨るのは非常に珍しいなと思います。
馬の出来も休養明けで凡走した前走から大きく進歩はないようですし、陣営サイドも控えめな発言に終始しています。このままいくと下位人気は間違いないですが、そんな時の田辺騎手ほど怖いものはなく、不気味さという点から抑えておきたいなと思わせる一頭です。

📝シャフリヤール

21年ダービー馬。その実績と素質もそうですが、根強い人気もあり、今回は武豊騎手騎乗も相まって想定2人気になりそうです。シャフリヤールは昨年もドバイシーマから札幌記念という臨戦過程で11着に惨敗しており、今回も同じ轍を踏むのではと、個人的には不安視している一頭。いわゆる「危険な人気馬」だと思っています。昨年の有馬記念で5着に入り復活を予感させましたし、今回札幌は初でも中山同様の小回りコースということで、適性は悪くないと思います。また、この馬最大のストロングポイントはその勝負強さだと思っていて、というのも過去4勝その全てがタイム差なしでの勝利だからです。叩き合いや追い比べの、接戦になった際は無類の強さを発揮しています。そういう意味では、今回も展開次第ではプログノーシスやその他の競合を蹴落とす可能性を秘めていると言えますが、やはり当てにはし辛いかなと、馬券内に組み込むなら3着まで、というのが現状の評価です。

📝ドゥラエレーデ

ダートGⅢエルムSから中1週での電撃参戦。ローテも驚きですが、芝の上を走るのは昨年のセントライト記念以来となります。その前走エルムSでは武豊騎手騎乗で1番人気に支持されるも、5番人気のペイシャエスに差され2着に。敗れはしたものの、好位につけて走り切ったその内容は悪くなかったと思います。追切は終始軽めの内容で現状を維持、力を出せる状況にはあるようです。乗り替りの藤岡佑介騎手も騎乗して感触を掴んでおり、ポジティブなコメントを残しています。ダート戦で培われてきたパワーが洋芝に活きそうで、デビュー2戦目は札幌芝1800mで2着と好走例もあります。
伏兵候補として上位に食い込む可能性は十分感じられます、当日の気配によっては軸候補にしても面白いかもしれません。

📝ノースブリッジ

プログノーシス同様、香港GⅠ・QE2世カップ経由で挑んできます。香港ではロマンチックウォーリアー、プログノーシスに次ぐ3着に入線しており、能力は高く特にその先行力とスピードは今回のメンバーにあっても脅威だといえるでしょう。懸念していた長距離輸送の影響も少ないようで、鞍上の岩田康誠騎手は好調をアピールしています。ハナを主張しても面白そうですし、鞍上の積極騎乗が活きてくれば番狂わせも起こせるかも…?穴党向けの一頭と言えそうです。

📝チャックネイト

今年のAJCC勝ち馬、重賞2勝目を狙って出走です。天皇賞春の惨敗は間違いなく距離だと思うので度外視して問題ないと思います。前走函館記念は6着でしたが、鞍上の佐々木騎手は少し中途半端な騎乗をしていた気もします。ハーツクライ産駒は鞍上の手腕にもろに左右される傾向があると言われています。佐々木騎手の素質に関しては疑いようもないですし、札幌は得意のローカル競馬場でもあるので、焦らずじっくりと脚を溜める競馬を見てみたいです。差し・追込みに向いた展開になりやすいことは先に述べた通りなので、この馬の能力を出し切ることが出来れば浮上の目も十分あると思います。

📝アウスヴァール

古川吉洋騎手騎乗というそれだけで、穴馬の匂いが漂ってくるようです笑
前走函館記念では、先手を主張してからの驚異的な粘りで14人気から3着入線。波乱の使者になりました。さらにレベルが上がる一戦でどこまでやれるのか、順当に考えれば目は薄いですが、昆厩舎は2頭出し。人気薄から狙えというセオリーもありますし、なんとなく買い目に入れたくなってしまいそうな一頭です。

📝モズゴールドバレル

紅一点、牝馬の出走。能力は高く、侮れないとは思いますが。今まで走った重賞は全て牝馬限定戦。このハイレベルな混合GⅡでどこまで…といった感じですね。札幌記念は定量戦なわけですが、56㌔というのもなかなか。ここで経験を積んで秋の重賞どこかに照準を合わせてくるのでしょうか。鞍上の池添騎手は悪くないですが、可能であれば若手の高杉騎手の経験にして欲しかったかなとも思います。

📝ホウオウアマゾン

今年に入ってGⅢを5回戦っているのですが、結果が付いてきません。出走する度に陣営は前向きなコメントを残していますが、肝心の馬自身に走る気が無くなっているような気がします。もともと素質馬なのは間違いないので、逃げ先行への脚質転換など大胆な奇策が必要かもしれませんね。菱田騎手に期待ですが、個人的には坂井瑠星騎手でもう一度見てみたいなと思っています。



今回参考にさせていただいたサイト


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