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GⅠ日本ダービー




序文:英雄の条件


英雄の死は突如として訪れる。

競走馬の世界の話ではない。
ギリシア神話に登場する英雄アキレウスは、大詩人ホメロスが作ったとされる一大叙事詩「イーリアス」の主人公であり、不死身の肉体を誇った超人だった。誰よりも速く戦場を駆け抜けたその姿から「駿足のアキレウス」の二つ名で呼ばれた。
アキレウスが生まれたとき母である女神テティスは、彼に不死の肉体を与えるべく冥府を流れる川ステュクスの水に息子を浸した。そのとき、テティスの手はアキレウスのかかとを掴んでいたためにそこだけは水に浸からず、かかとのみは不死とならなかった。
青年になったアキレウスは親友のパトロクロスと共にトロイア戦争に参加する。
親友の死を乗り越え、敵国イーリオスの名立たる将軍を討ち破り、数々の武功を立てたアキレウス。その無双ぶりにもはや叶うものなどいないと恐れられたが、ある日イーリオスの王子パリスの放った矢が彼を捉えた。
矢は唯一不死ではないアキレウスの踵に刺さり、彼はその命を落とした。
トロイア戦争随一の英雄もその幕切れはあっけないものだった…。
この物語は神話の中に組み込まれているが、歴史的な交渉もなされており、事実であればBC1200頃の出来事とされている。神話体系として語られる物語のその多くは歴史的史実に基づくものであり、引喩や教訓を後世に伝えてくれる。
永遠に続く命も栄華も存在しない。どんな強者にも弱点は存在する。
この無残な英雄の結末は「アキレス腱」の呼称と共に、現在の私たちにひとつの教訓として残されている。

そして時は流れ1973年、現代の日本に「駿足のアキレウス」に劣らない英雄が現れた。

ハイセイコー、10戦無敗。
地方競馬から始まった快進撃。
ダービー直前には不敗神話として謳われていた。

大井競馬場でスタートしたハイセイコーの活躍は、やがて全国区へ広まり空前の競馬ブームを巻き起こした。
そしてその快進撃に歯止めを掛ける馬が登場する。

タケホープは73年日本ダービーを制覇。
ハイセイコーの終生のライバルとして在り続けた。

タケホープは1970年3月24日北海道浦河町の谷川牧場で産まれた。やがてダービーで激突するハイセイコー誕生から、18日後のことだった。母の名はハヤフブキ、英国から輸入されたビューチフルドリーマーの血統で、69年にタケフブキという名の牝馬を生んでいた。ちなみに二頭の「タケ」という冠名は馬主の近藤たけの名前が由来したものである。
72年7月に新馬デビュー、姉ハヤフブキがオークスを制した直後(当時は7月)のことだった。主戦騎手は9年目の嶋田功が務めた。姉ハヤフブキのオークスも騎乗しており、牝馬を悉く勝たせることから「牝馬の嶋田」と言われ始めていた。
タケホープは外国血統で現役オークス馬の弟ということで、大きく注目を集めた。結果この新馬戦を勝利したが、ちょうどその3日前に地方の大井競馬ではハイセイコーがデビュー。ほとんど注目されていなかったが、かの馬は新馬戦を8馬身差のレコードで圧勝していた。
タケホープは新馬戦を制したものの、以降しばらくの間スランプに陥ることとなる。
年内12月まで6戦して全て惨敗、馬体が出来上がっておらずまったく勝てなかった。年明けの若竹賞でようやく2勝目を挙げ、次走の東京4歳S(現在の共同通信杯)でどうにか3着、続くダービー前哨戦である弥生賞に4番人気で出走した。このレースはハイセイコーの中央デビュー戦で、地方で破竹の6連勝を飾った「怪物」がやって来ると戦前から話題をさらっていた。結果タケホープは7着に敗れる。連勝を「7」に伸ばしたハイセイコーに、7馬身差以上離されていた。この時、3か月後に控えたダービーの結末を予期していた者など、誰一人としていなかっただろう。
立て直しを図るべくタケホープ陣営は一旦の休養を選択、皐月賞を回避することとした。その間にハイセイコーはスプリングS、皐月賞、NHK杯と、ダービー前哨戦全てに出走した。現代の尺度では完全に常識外のローテーションであるが、ハイセイコーはその全てに勝利。連勝記録を「10」まで伸ばしていた。
一方タケホープはダービーへの出走が危ぶまれる状況下にあった、当時は青葉賞が創設されていなかったため、条件戦である4歳中距離特別というレースに出走した。このレースでは逃げの手を打ったサクラチェスを直線で捕まえ、ハナ差で差し切り。辛勝をもってどうにかダービー出走権を得ることができたのだった。

1973年5月27日、東京優駿(日本ダービー)に出走。皐月賞、NHK杯を連勝して10連勝の快進撃を続けるハイセイコーが、単勝支持率66.6%と驚異的な人気を占めていた。この記録は05年ディープインパクトの単勝支持率73.4%まで破られることがなかったが、この当時は現在とは異なり、競争体型が整備される以前の話。この年のダービー出走頭数は27頭もいた。その中で66.6%の支持率は現代と比べて言わずもがな、である。
タケホープはその50分の1の支持率に留まる9番人気で、枠順も不利とされる外側、7枠21番からの発走だった。ハイセイコーとの支持・人気の差は比べるまでもないだろう。
この日、東京競馬場には13万人もの観衆が駆け付けた。そのほとんどの目的はハイセイコーの勝利を見届けるためである。前走で初の東京、NHK杯を勝ったことによりハイセイコーがダービーを勝利することは、メディアの間でも既定路線になっていた。TV視聴率は日曜昼にも拘らず20%超を記録していた。
レースは序盤からボージェストやホワイトフォンテンなど先頭が頻繁に変わり、ハイペースな展開に。ハイセイコーは中団馬群の内側、タケホープはそれより後方に位置していた。内々を嫌ったハイセイコーは進路を求めて外側に転進、第3コーナー付近で早くも先頭集団まで進出していた。対するタケホープは焦ることなくじっくり構え、大外に移って最終コーナーを迎えた。ペースは完全に差し・追込み有利の展開になろうとしていた。ハイセイコーは先頭にいたが残り200メートルでイチフジイサミに交わされる。このタイミングで鞍上嶋田は相棒へと合図の鞭を入れた。タケホープは一気に加速、イチフジイサミをかわし1馬身以上の差をつけダービー制覇。ハイセイコーは3着に敗れた。
レース直後、嶋田は馬上でガッツポーズを作ったが、観客の反応は一様にみな冷ややかだった。誰もがハイセイコーの勝利を信じて疑っていなかった。わかってはいたが、タケホープの勝利は多くのファンにとって望まれていたものではなかった。嶋田の胸中は複雑だった…。
走破タイムは2分27秒8。東京優駿レコードタイムを更新。鞍上、嶋田功は前週の優駿牝馬をナスノチグサで制していたため、2週連続でクラシック競走優勝を果たした。
競馬とは公平な公営競技である。勝ち負けに善も悪も、良いも悪いもない。だがタケホープは当代一のアイドルホースに勝ったことで、まるで悪役であるかのような扱いを受けてしまった。そしてこの2頭の関係はその後も続いていった。
京都新聞杯を経て迎えた菊花賞は、2頭にとって4度目の対戦となった。落馬事故で騎乗できなかった嶋田に代わり、タケホープの鞍上は「タケクニ」こと武邦彦が務めた。武豊の実父である。この京都競馬場のすべてを知り尽くした名手により、ハイセイコーはまたしても敗戦に追い込まれた。
年が明け4歳になると、2頭の力関係は逆転していた。ダービー、菊と敗れたハイセイコーは死に物狂いでタケホープに挑んできた。この年タケホープは5戦したが、その全てにハイセイコーも出走していた。
2頭はその競技生活の中で数えること9回直接対決を行った。結果はタケホープ4勝、ハイセイコーが2勝と3回先着で、成績的にはハイセイコーが5勝4敗と勝ち越している。
だが最も栄誉のある日本ダービー、菊花賞のクラシック2冠、そして翌年の天皇賞春でもタケホープが勝利している。
この2頭のどちらがより強かったのか議論をするつもりは毛頭ないが、タケホープのその実力に、疑う余地がないことだけは確かである。

73年日本ダービー、勝ったのはタケホープである。9番人気で、期待もされていなかったが、間違いなく勝ったのは彼だった。名もなき戦士の放った矢はその時確かに不死身の英雄を葬り去った。そして、その後もその強さを証明し続けた。
84年日本中央競馬会はハイセイコーを殿堂入りの顕彰馬に認定した。理由は「競馬の大衆人気化への大きな貢献」である。ともに競い合い、ライバルとして走り続けたタケホープの名前はそこになかった。

冒頭のギリシア神話、不死身のアキレウスはその生涯をあっけなく終えたが、彼の武勇は神々の間でも高く評価された。一説によるとアキレウスは死後、神々の楽園「エーリュシオン」に迎えられたという。一方、その英雄を一矢で葬り去ったパリスは後に大きく語られることはなく、その名を神の世に刻むことはできなかった。

だが私たちは今の時代になって知ることができる、英雄を打ち倒せる者もまた、真の英雄であると。

73年日本ダービー、ハイセイコー一色に染まる競馬界。
そんな中、レース直前にタケホープ鞍上・嶋田功が放った一言は、当時はごく小さな扱いだったが、後に「名文句」として語り継がれた。
私は長い競馬史の数ある名言の中で、嶋田が残したこの言葉が一番好きだ。
なぜならそれはたった一言で、競馬の本質、競馬という競技が持つ面白さを言い表しているからである。
そしてその一言は、競馬に携わるすべての者を、明日の勝利へと駆り立てる魔法の言葉でもある。

「負かせない相手ではない。

 ハイセイコーも四本脚なら、

 タケホープも同じ四本脚だ。」

第91回東京優駿・日本ダービー、まもなく出走です

タケホープとハイセイコーは74年有馬記念で同時に引退。
このレースを勝ったのはタニノチカラだった。
タケホープ94年、ハイセイコー2000年没。
ともに日本競馬史に残る名馬だった。R.I.P

はじめに

お疲れ様です。早いもので日本ダービーです。当noteも5週連続で投稿しております。
今回はアイドルホースの開祖にして第1次競馬ブームの火付け役、ハイセイコーとその敵役タケホープに焦点を当ててみましたがいかがでしたでしょうか。毎回読んでいただいている常連の皆様、いつも本当にありがとうございます。ここからは日本ダービー攻略記事をお届けいたします。渾身のフルボリューム(?)になっていると思いますので、長文御免ですが、何卒よろしくお願い致します!

今年の日本ダービーはこれまで3戦無敗の皐月賞馬、ジャスティンミラノが優勝最右翼に挙げられています。亡き騎手の思いを乗せ勝ち続ける彼の姿は、さながら駿足のアキレウスのよう。不死身の英雄譚はまだ語り継がれるのでしょうか、それともこの英雄に逆転の一矢を放つ者が現れるのか。もうじき分かるでしょう。年に一度「競馬の祭典」は今年もすぐそこまでやって来ています。


現代に生きる「不死身の英雄」
ジャスティンミラノに弱点はあるのか?

というわけで日本ダービーです。今年は無敗の皐月賞馬ジャスティンミラノが今度は無敗のダービー制覇をかけて戦うわけですが、とりわけ大きな注目を集めているのはハイレベルな一戦となった皐月賞の内容です。歴代最速のコースレコードを樹立したその内容から、ダービーも優勝最有力馬として、5/21現在の想定オッズは単勝2倍台になっています。鞍上・戸崎圭太騎手にとっては、ダービージョッキーとなれる待望のチャンスが到来したといえるでしょう。

今回はどれほどまでジャスティンミラノへ信頼を置けるのか、その信憑性の確度を探るべくデータを用意してみました。まずは下記の「※表1」をご覧ください。

※表1

これは皐月賞全レースにおける歴代走破時計ランキングです。一番右にはその年のダービー馬の名前を記しました。
歴代のなかでも1分59秒まではいわゆる「高速決着」といっていい内容だと思います。そんな中意外だったのは、このランキングの中で2冠ないし3冠を達成した馬は15年のドゥラメンテと94年ナリタブライアンだけ、という事実です。10位のナリタブライアンは怪物級の3冠馬ですが、年代はかなり古く今回のデータの中では参考外にしていいでしょう。
では他の2冠・3冠馬が皐月賞を勝った年は逆にどうだったのか、下記の「※表2」を参考にしてみましょう。

※表2

日本競馬史上最強の一頭、ディープインパクトが勝った年は1分59秒2で11位。2冠メイショウサムソン、暴君オルフェーヴル、3年前の3冠馬コントレイル、日本競馬中興期の代表格「皇帝」シンボリルドルフが続きます。

さてここまで長々と書いて何が言いたいのかというと、もうお分かりいただけると思いますが、皐月賞の勝ち時計とダービーの結果は全くといっていいほど相関がない。ということです。今年の皐月賞が近年にないほどの、というより歴代でもトップクラスのハイレベルなレースになったことは誰しもが認めることですが、7着に入ったエコロヴァルツまでが、歴代2位のアルアインの走破タイムに勝っています。ジャスティンミラノが強いのは間違いないですが、今年は世代全体においてハイレベルであり、皐月賞で2~7着までに収まった馬たちが、ダービーで逆転する可能性は十分にあり得ると森タイツ式では考えています。
またもう2点ほど傾向が浮かび上がって来ていて、その一つが逃げ馬の存在です。
歴代2位の走破タイムを記録した16年は アダムバローズがハナを切り緩みのないペースを刻んだため、勝馬のアルアイン、2着ペルシアンナイトにとって有利な展開になっていました。また歴代3位のディーマジェスティが勝った年は、やはり逃げ馬にリスペクトアースがいてハイペースとなったため自然と高速決着になり、後方一気のディーマジェスティとマカヒキに展開が向きました。
その観点から今年の皐月賞を振り返ると、記憶に新しいメイショウタバルの暴走気味の大逃げがありました。これによりハイペースになったことは言うまでもなく、上位3頭は上手く立ち回ったと思いますが展開に幾分か恵まれたことも否めないです。
今回のダービーにもメイショウタバルが出走しますが、前回よりも折り合い面での課題をクリアしてきているようです。その他の逃げ・先行馬の存在も含め若干でもスローペースになるようであれば、皐月賞の時とはまた違った展開を迎えることになるかもしれません。個人的に広い府中の直線で長く脚を使えるタイプ、例えばシンエンペラーなどは抑えておきたいと思っています。
もう1点ですが、改めて「※表1」を見てみます。皐月からダービーの2冠を達成したのはドゥラメンテ(とナリブー)だけですが、それ以外の馬はディーマジェスティ以外ダービーでは馬券にすらなっていないという事実です。また「ハイペース皐月賞馬」の名前を見ていくとダイワメジャー、ロゴタイプら後年にマイラーとして活躍した馬が多い傾向がみられます。ジャスティンミラノはキズナ産駒なので、府中2400mに対する血統的な適性は相当に高いと思いますし、共同通信杯でもジャンタルマンタルを抑え1着になりました。しかし牝系はマイラー・スプリンターとしての血筋が濃く、これがダービーの舞台でどう作用するか少し怖い部分もあります。

ここまでお読みいただくと、このnoteはジャスティンミラノを絶対に勝たせたくないんじゃないか、と思われるかもしれません笑。別にそういう訳でもなく、データ上から浮かび上がる可能性を示唆しているだけです。傾向からいえば、ですが、今回のダービーで1人気のジャスティンミラノが馬券外に飛ぶ可能性は、相応に存在すると思います
以上の点を踏まえたうえで、恒例の必勝5か条、好走データ、それから推奨馬を今回は5頭挙げてみたいと思います。ここまでで既に長丁場になってきていますが、せっかくなのでどうぞ最後までお楽しみください。
それから先に言っておきますが、現時点での森タイツ式本命馬は
「◎ジャスティンミラノ」です。


7700頭の頂点へ…。勝利への必須5箇条

ここからは過去10年のデータとその傾向に基づき、勝利への必須条件を挙げていきます。

重賞での勝利経験がある

過去20年で19頭に該当しています。非該当馬は19年のロジャーバローズのみで大波乱の使者に、12番人気からの戴冠で前走は京都新聞杯でした。例外もありますが基本は重賞馬に目を付けるのが先決だと思います。

前走が皐月賞

過去10年で8頭が該当。非該当は上記ロジャーバローズと21年シャフリヤールで、前走は毎日杯からでした。皐月賞組が王道で、過去40年見ても30頭が皐月賞からの直行で勝利しています。今年は特にハイレベルな一戦となったのでやはりここから注目していきたいですね。前走が青葉賞、スプリングS、京成杯、プリンシパルSから勝利した馬は史上一頭もいません。

上がり3ハロン最速での勝利経験

オークス同様直線の長い東京競馬場では、その末脚の切れ味を問われます。各馬の上がりタイムに再度注目し、33秒台での勝利経験があれば評価を上げたいです。これは過去10年で9頭に当てはまりますが、非該当は昨年優勝のタスティエーラです。ちなみに今回1人気のジャスティンミラノも非該当になります。果たして…?

主戦騎手が継続騎乗

ダービーにおけるジンクスは種々ありますが、最も有名なのはこれでしょう。過去10年で8頭に該当していますが、21年シャフリヤールの前走毎日杯は川田将雅騎手の「代打騎乗」だったため、実際は昨年のタスティエーラ鞍上のDレーン騎手の勝利が初めてだったことになります。昨年は多くの「史上初」が多く、ジンクスが破られましたが今年はどうでしょうか?
騎手の点に関しては乗り慣れた騎手に優位性があるのは言うまでもなく、代打・テン乗りは基本割り引いた方が良いと思います。

キャリア6戦以内

14年キャリア9戦目で制したワンアンドオンリー以外の9頭に当てはまります。例外あるものの未勝利脱出までに時間を要した馬に対しては、その成長過程および育成に疑問を抱かざるを得ません。順当にここまでキャリアを積んできた馬を評価すべきだと思います。今回の上位人気ではコスモキュランダがキャリア7戦を消化しており、割引対象となります。

ここまでが勝利への必須5箇条となります。また馬体重500㌔以上の馬には注意です。先週のオークス同様、若駒たちにとっての長距離戦となる東京2400mに過剰な馬格・筋肉は不要です。過去10年、大型馬で勝ったのは16年マカヒキだけでした。
それともう一点注意しておきたいことがあります。3項目目に「上がり最速での勝利経験」を書き記しましたが、逆に上がりのかかったレースでの勝利経験(もしくは好走経験)のある馬にも注目しておきたいです。上りがかかる≒スタミナが豊富、を示す材料になりますが、府中の長い直線では末脚の威力とともにその持久力が問われます。一見矛盾しているようにも思われますが、目安としては35秒台の上がりタイムでの勝利経験もしくは好走経験がある馬がいたら、要チェックです。さらに上がり最速での勝利経験があれば、「スピードとスタミナを兼ね備えたタイプ」と評価できると思います。近年で最もこの条件を満たしていたパーフェクト3歳馬は20年無敗3冠のコントレイルでした。


日本ダービー過去10年特注データ集

1番人気の成績は

1番人気は【2-3-2-3】で連対率50%です。皐月賞馬が1人気の場合は【2-3-1-1】となり今年は連対率UPですね。19年サートゥルナーリアは単勝1.6倍から4着に。この年の勝ち馬は12人気のロジャーバローズでした。この馬を除く過去10年の連対馬19頭は全て5人気以内になので、基本連対は人気決着と考えておいた方がよさそうです。

激走は内枠の先行馬に期待

2桁人気から馬券内に入った馬は4頭いて、皆1桁馬番で2~9番手につけていました。ロジャーバローズは1枠1番でした。穴馬の激走に期待したいなら内枠の先行脚質から選びたいです。
(枠順発表されました)今年はジューンテイク、ダノンデサイル、ミスタージーティーなどが該当しますね。

追込みを決めるのは上位人気のみ

人気薄が先行で来る代わりに、追込みで差してくるのは人気上位の実力馬だけです。4角10番手以下からの成績は【1-2-4-69】となっており、22年はドウデュースとイクイノックスのワンツーで決まりました。4人気以下の追込み脚質は【0-0-1-65】なので、後方一気は真の実力馬しかできません。ご注意を。

3着以内が条件ただし皐月賞組は除く

過去10年の連対馬全20頭の内、16頭が前走3着以内でした。4着以下から連対した4頭は全て前走が皐月賞で、4・5・6・7着からの巻き返しでした。前走3着以内を基準に考えますが、皐月賞組は中位からの連対もあり得るということですね。想定2人気のレガレイラは皐月賞6着から参戦。一発ありそうな雰囲気です。

枠番別成績は?

1枠と6枠がそれぞれ4連対しています。特に1枠1番は【1-2-1-6】で複勝率40%を記録。先述のロジャーバローズがそうでしたので、人気薄でも注意したいです。
6枠の4連対は勝ったのがレイデオロとタスティエーラ、2着がエポカドーロとサリオスで全頭2~4人気でした。シックスペンスは好枠を引いたと言えるでしょう。
8枠は1~3着がそれぞれ1回ずつありました。イクイノックスが2人気から2着、アドミラブルが1人気から3着、ワグネリアンが5人気から1着。従って6人気からの馬券内はゼロとなります。メイショウタバルは穴人気しそうかなと思いましたが、今年の大外枠は静観した方が良いかも?


「生涯一度の晴れ舞台」東京優駿2024
 ~森タイツ式推奨馬の解説~

異次元の女傑、偉業へ挑む

勝てば07年ウオッカ以来、牝馬として17年ぶりのダービー制覇に向け、2歳中距離女王レガレイラが挑みます。
7月函館新馬戦でデビュー勝ちを果たすと、10月の東京アイビーSでダノンエアズロックの3着に、その後12月の2歳GⅠホープフルSへ参戦。
今回ダービーに出走する、シンエンペラー、サンライズジパング、ミスタージーティーら牡馬の精鋭を抑えて、史上初の牝馬となる勝利を飾りました。このレースでは大きく出遅れ道中はほぼ最後方に位置、スローペースから直線では大きく外を回し一気に加速、器用に立ち回ったシンエンペラーを豪快に差し切りました。
レガレイラはスワーヴリチャード産駒、昨年から産駒がレースデビューしており、昨年の新種牡馬リーディングでは堂々の1位。この馬のホープフルS制覇が初のGⅠ勝利となりました。先週のオークスではアドマイヤベル、スウィープフィートが、ダービーではレガレイラとアーバンシックが出走し、今最も勢いのある産駒といえるでしょう。現在までで既に4つの重賞勝ちを挙げており、その全ての勝ち馬が牝馬であることも特徴です。
また先週も解説いたしましたが、産駒の特記事項として、関西よりも関東圏において強さを発揮しています。22勝を関東及び新潟・福島で、さらに+5勝を夏の北海道で挙げており、中京より西の競馬場では8勝しか挙げていません。現時点で大箱の府中は、この産駒の最も得意とする条件になります。
さらにレガレイラの牝祖を辿るとウインドインハーヘアの名前があり、この牝馬はかのディープインパクトの母に当たります。数々の名馬を生み出してきた繁殖牝馬です。母父はハービンジャーでこちらも種牡馬リーディングでは常に上位におり、先週のチェルヴィニアやかつてのノームコアら、オークス馬を輩出しています。そのコース適正は血統的に間違いなく、今回の東京替りも距離延長もプラスに働くでしょう。

レガレイラは過去4戦した全てのレースにおいて上がり最速を叩き出しており、スピード勝負になれば牡馬たちにも引けを取りません。レコード決着で6着に敗れた皐月賞でも上りはメンバー最速タイでした。狭い中山2000mでそれだけの能力を発揮しているので、広い府中に変われば巻き返しは必至といってもいいでしょう。この馬最大の課題はゲート。名手ルメール騎手の腕をもってしてもスタートが難しく、今回最内枠を引いたことにより、基本有利と捉えられますが、出遅れた際には一気に競馬が難しくなってしまいます。ダービーを獲るためにはなんとしても発馬をしっかりと決めたいところです。
牝馬による制覇が成れば07年ウオッカ以来となりますが、かの女傑は桜花賞を戦ってからのダービーでした。混合GⅠを2戦経てからのダービー参戦は史上初で、ここを勝てば歴史的快挙といって過言ではないです。
幼きその時から牡馬たちに囲まれ、戦い抜いてきた「異次元の女傑」。その激走に注目です。

その実力は未知数、「幸運の銀貨」

ジャスティンミラノと同じく3戦全勝、無敗のダービー戴冠へシックスペンスが今そのベールを脱ぎます。昨年9月の新馬戦中山マイルでデビュー、1.5倍の単勝1人気に支持され難なく勝利。次走12月の中山ひいらぎ賞も突破すると、年明け初戦を皐月賞トライアルであるGⅡスプリングSに照準してきました。このレースは10頭立ての少頭数で開催され、アレグロブリランテの逃げにコスモブッドレアが続き、前半5ハロン63.1秒の超スローペースの展開になりました。シックスペンスは3番手追走から、直線では一気に抜け出すとハナを行くアレグロブリランテを文字通り「一瞬」で突き放すケタ違いの末脚を披露。3馬身半差をつける圧勝となりました。メンバーレベルは疑われていますが、それにしても見事な勝ちっぷりだったと思います。

シックスペンスはキズナ産駒ですがこの産駒についても直近のnoteで何度も解説してきました。今回1人気で話題をさらっているジャスティンミラノもキズナ産駒ですが、今年は5世代目を迎えたこの産駒の活躍が目覚ましく、まさしくキズナイヤーといえるでしょう。現時点での重賞勝利数は既に「7」に達しており、シックスペンスを受け持つ国枝厩舎の管理馬にもダービー卿CT勝ちのパラレルヴィジョンがいます。父キズナは13年の日本ダービーを制しており、血統的にはもちろん問題ないでしょう。
また母のフィンレイズラッキーチャームは米のダートGⅠマディソンS他、GⅡ・GⅢ勝ちがあります。母父トワーリングキャンディも米ダートGⅠを制しており、牝系の血統はダートメインですが、いかにもなスピード偏重型の北米血統といった感じで、この馬の末脚の鋭さもこのあたりに由来する部分が大きいのかもしれません。

シックスペンスはスプリングSからダービーへの直行ローテを選択してきました。スプリングS勝ちでダービー制覇というと、真っ先に「暴君」オルフェーヴルの名前を思い出しますが、3冠馬のオルフェーヴルはいわずもがな皐月賞を勝ってから臨んでいます。スプリングS勝ちから皐月を回避してダービーとなると、記憶にあるのは19年エメラルファイトくらいですね。
皐月賞を敢えてパス、ということであればシャフリヤールが毎日杯を制してから直行でダービーを勝っています。シックスペンスも似たようなイメージでしょうか。皐月賞回避の折には脚部に不安などの報も流れましたが、見聞する限りでは当初からこのローテを想定していた模様。その管理を行う国枝厩舎ですが、3歳GⅠの成績においては群を抜いており、過去5年20戦以上して連対率30%超えを誇っています。かねてより「牝馬の国枝厩舎」といわれ牝馬GⅠでは数々の栄冠を手にしてきた厩舎も、日本ダービー制覇は未だ叶わず。定年まで残り2年を迎え、その切望は日本人騎手ではトップの川田騎手の手腕に託されました。直前の会見では多くを語らない印象でしたが、内なる闘志を感じたのもまた事実。異例のローテに加え初の府中、初の距離と、不安要素を多く抱えていますが、いまだその実力は底を見せていません。3戦すべてで好位から抜け出して勝っており、末脚だけでなく立ち回りの器用さも感じられます。ハイペースよりもスローになった方が、川田騎手の好位取りからの積極騎乗が活きてきそうな気がします。
今回「6」枠を引いた幸運の「6」ペンス銀貨が、馬券を握るアナタに思わぬ幸運を運んできてくれるかもしれません。要注目です。

レースレコードを叩き出した皐月賞馬

今年の皐月賞では歴代ぶっちぎりのコースレコードが記録されましたが、そのトライアル弥生賞でレースレコードを叩き出した馬がコスモキュランダです。
弥生賞ではシリウスコルトがハナを主張し、平均的なペースになったのを見逃さず、コスモキュランダは捲り気味にコーナーから進出を開始。直線でもその勢いを殺さず、そのまま押し切り勝ち。シンエンペラーら難敵を抑え、1分59秒8でレコードを記録しました。
デビューは昨年6月の中山、新馬戦での着順は12位でした。その後勝ち上がるまでに都合4戦を要し、新潟の芝2000mの重馬場でようやく初勝利。この時点でクラシック候補に挙がって来るとは夢にも思っていませんでした。転機を迎えたのは年が明けてからで、1月の中山1勝クラスを2着で終えると上記弥生賞で覚醒し重賞初制覇、先日の皐月賞では7人気からジャスティンミラノの2着と、勢いに乗ります。

コスモキュランダは皐月賞、大阪杯と2000mの中距離GⅠを2勝したアルアインの初年度産駒です。スワーヴリチャード産駒などと同じで昨年に産駒デビューを果たしていますが、その成績はイマイチ振るわず。1年間で183戦して勝利数はわずか「7」で、弥生賞が重賞初制覇でした。コスモキュランダはその父によく似ていて、中山2000mで捲りを決めれるような、機動力に飛んだ中距離馬といった趣きがあります。母サザンスピードの牝系は豪州血統で、豪重賞のコーフィールドC(芝2400m・GⅠ)を制したこともあり、日本ダービーの舞台でも活躍を期待できるかもしれません。

弥生賞と皐月賞での好走の要因は何処にあるのでしょうか?弥生賞で初めて手綱を握ったMデムーロ騎手と皐月賞で乗ったモレイラ騎手の存在はとても大きかったと思いますが、騎手が変わっただけでここまで変り身を見せれるかというとそんな単純な問題でもなく、やはりこの馬がその臨戦過程においてしっかりとした成長曲線を描いて見せたからに他ならないと思います。
過去のレースでは推奨した33秒台の上がりタイムこそ計測していないものの、長く使える末脚で他馬を負かしてきました。府中の直線ではスピード勝負となった場合は分が悪いような気もしますが、持久力勝負になれば勝ち負けまで十分に持ち込めそうです。
コスモキュランダは既にデビューから8戦を消化しています。前項で記した通り本番で雌雄を決するためにはキャリア6戦以内を推奨しており、過去の傾向を見てもここまでレースを消化して、ダービーで好走したケースはあまり例がないのが正直なところです。しかし弥生・皐月と良い意味で期待を裏切り進化を遂げてきたコスモキュランダ。皐月賞後も疲労によるダメージは問題なく在厩調整で順調に進んでいるようで、今回再び跨るMデムーロ騎手に言わせると、経験を積んできた分「競馬を分かっている」とのこと。
父アルアインが果たせなったダービー制覇の夢へ向けて、今回も周囲を驚かせるような激走を期待したいと思います。

「新皇帝」誕生なるか…?!

かつてはNHKマイルCが“マル外ダービー”とも言われたように、ダービーには外国産馬が出走できませんでした。これはクラシックが内国産馬の資質向上を目的として創設されたためで、門戸が開かれたのは2001年になってから。当時は外国産馬が隆盛の一途を辿り、マル外解放当初は外国産馬によるダービー制覇も期待されましたが、結果として未だ一頭も勝っていません。この馬が勝利すれば、やはり歴史的な快挙となります。シンエンペラーです。
デビューは遅咲きの昨年11月の東京競馬場、ここで勝利すると同月に行われた京都のGⅢ・2歳Sでいきなり重賞初制覇。その血統の素質の片鱗を早速披露してくれました。レースは前半5Fが59秒1のハイペースでしたが、名手モレイラ騎手に導かれ上手く馬群を縫って上がってきました。勝ち時計1分59秒8はレースレコードで時計も速く、2歳重賞の中ではハイレベルな一戦だったと思います。

シンエンペラーはフランス生まれ。Siyouni産駒は日本では全く馴染みがないと思いますが、今をときめくサイバーエージェント社の藤田晋氏が1歳時におよそ2億9000万で競り落とした、超々良血馬です。半姉のシスターチャーリーはBCフィリー・メアターフなどGⅠを7勝、そして全兄のソットサスはガネー賞、凱旋門賞の勝ち馬で、欧州屈指の血統を引いている言えるでしょう。どんな状況でも走れそうなオールラウンド型の中長距離馬といった体ですが、3戦した中山よりも広い府中の方がより適性は高そうな気はします。

シンエンペラーは過去5戦全て異なる騎手の鞍上で戦ってきました。そんな中2勝4連対、ハイレベルな皐月賞でも5着掲示板確保と比較的安定した走りを見せてきています。弥生賞では上がり最速の2着の他、その前のホープフルS・京都2歳では前項のポイントとして挙げた35秒台の上がりタイムで連対しており、一瞬の瞬発力においても持久力勝負においても、どちらでも好走できる点が大きな強みであると言えます。皐月賞の内容は、素質馬である彼にとって凡走に近い内容になってしまった感は否めませんが、矢作調教師曰く「放牧明けで馬体が戻っていなかった」との弁。今回はより良い状態で大舞台に望めそうです。そして鞍上は坂井瑠星騎手が継続騎乗。同じくして藤田オーナーのフォーエバーヤングに騎乗し、海外で躍進したのは誰の記憶にも新しいところ。昨年のダービーではスタート落馬と悔しい思いをしましたが、今年は大きく成長した姿を見せてもらいたいです。
世界的な名馬の良血と日本の若きエース。日本ダービー、そして最終目標の凱旋門賞まで夢を乗せ、「新皇帝」誕生なるか、刮目しましょう。

おわりに~皐月賞馬とその他の馬を添えて~

ここまでお読みいただきまして、誠にありがとうございました。現在金曜朝。日が昇り、空が白んできております笑。毎度毎度この長文noteを読んでくれる方がいることに驚いておりますが、心底感謝しております。いつもありがとうございます。
さて当noteもここで終幕となりますが、やはり今回のダービー大本命に推されているあの馬について解説をしなければなりますまい。いや書くんかい。
時間も時間なのであっさりとさせていただきますが、本命候補なのは間違いいありません。ジャスティンミラノです。

無敗のダービー馬、そして3冠へ…。

ここまで3戦無敗。前走クラシック1冠目、皐月賞を制しダービー制覇を期待されるジャスティンミラノ。意外なことに今まで1人気に支持されたことがありませんでした。常に周囲の懐疑論を跳ね除け、強豪たちをなぎ倒し、ここまで勝ち上がってきました。そもそも今年の皐月賞は素質馬が一堂に会した大混戦ムードのなか迎えられました。1人気のレガレイラで単勝オッズ3.7倍。2人気ジャスティンミラノで4.8倍と割れていました。人気が分かれるのは皐月賞の恒例とはいえ、今年も馬券購入側にしてみれば悩ましいレースだっと思います。
レースはメイショウタバルが大逃げを敢行し、離された2番手以下もハイペースに巻き込まれた感がありました。過去2戦、スローペースからの瞬発力勝負で勝ってきたこの馬にとっては、不利な展開といえたはずです。それでも先に抜け出したジャンタルマンタルをしっかりと捉え、後続勢を離したそのレース振りは、好位にいたと言え「強い」の一言に尽きる勝ち方だったと思います。
ジャスティンミラノはキズナ産駒です。過去何度も解説してきたので中略しますが、今回の戴冠は父、そして祖父ディープインパクトまで遡り父系3代でのダービー制覇をかけての戦いとなります。キズナ産駒はいままではアカイイトなど牝馬や、ビアンフェなどの短距離路線の馬に活躍した馬が多かったですが、この馬はディープボンド以来、牡馬の中長距離路線の馬として王道クラシックに挑んでいます。母マーゴットディドはアイルランド産馬で英1000mGⅠを制しており、短距離馬的な一瞬の切れ味も持ち合わせる点が魅力です。
さていよいよ日本ダービー本番を迎える訳ですが、今年のクラシック路線は牡馬牝馬共に、例年以上にハイレベルな素質馬が揃ったと思います。牝馬クラシック2戦、NHKマイルもやはりレベルの高い争いとなりました。その中にあって、コースレコードを大きく更新した皐月賞は1分57秒1という驚愕の勝ち時計でした。あの激戦を制したジャスティンミラノの素質と能力はここでも最上位といえるでしょう。しかし冒頭で記した通り、皐月賞はライバル馬たちも例年よりも速い時計で走破しており、一強体制に穴を穿つだけのポテンシャルを秘めているとも思います。コントレイルやディープインパクトのような3冠濃厚ムードとは、個人的にはどうしても思えなく、この馬に先着する馬が出てきてもおかしくない気がしています。仮にジャスティンミラノが苦戦を強いられるようであれば先に挙げた推奨馬や他のトライアルを勝ち上がって来た馬にもチャンスが巡ってくると思いますので、そうなれば今年のダービーはより熱くなりそうな、そんな気がしています。
もちろん森タイツ式ではジャスティンミラノに重く印を置くつもりですし、戸崎騎手の悲願達成に向け期待したいところではあります。

以下にその他の有力馬の短評を添えて、本稿を了とさせていただきます。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。ではまた…。

📝アーバンシック

有望なスワーヴリチャード産駒で皐月賞では当noteでも推奨させていただきました。皐月賞は速い流れでこの馬には向かい風になりましたが、それでも追い上げて4着入線。広い府中は合っていると思います。横山武史騎手にも期待できるでしょう。しかし発馬に癖があり、出遅れの可能性が高いかもしれません。スタンド前のスタートには一抹の不安がよぎります。

📝ダノンデサイル

京成杯覇者、父エピファネイアは近年デアリングタクト、エフフォーリアを輩出し、クラシック向けの血統のなのは間違いありません。京成杯では今回人気している上記アーバンシックを負かしており、実力は高く十分あります。皐月賞出走直前での取り消しが人気を落としていると思いますが、馬体・追切ともに仕上がって来てるとみて良いでしょう。鞍上はベテラン横山典弘騎手、発馬次第では上位争いに加わることもできるはずです。

📝メイショウタバル

皐月賞では暴走気味の逃げで大敗。大きく期待を裏切りました。ゴールドシップ産駒で気難しそうです。勝った毎日杯は道悪だったにもかかわらず、後続に6馬身差をつけての圧勝。上手く御することが出来れば、そのスピードは出走馬の中でも最上位です。今回は「逃げない」と公言していますが、果たして…。

📝ミスタージーティー

ドゥラメンテ産駒から一頭。トライアル若葉Sを勝利しての参戦です。近親馬にはアスコリピチェーノがおり血統的には間違いないでしょう。上位陣に比して力不足な感も否めませんが。馬込を苦にしないタイプなので馬群に入れてしまった方が折り合えると思います。今回内枠を引いた優位性を活かせれば、脚の使い方ひとつで浮上の目もあり得るでしょう。鞍上藤岡祐介騎手も今季好調で、紐穴候補として抑えておきたい一頭です。

📝シュガークン

こちらもドゥラメンテ産駒で半兄キタサンブラックはGⅠ7勝の顕彰馬です。兄の勝てなかった日本ダービーを制すればそれはまた新たなドラマとなるでしょう。先行力が武器ですがハナにはこだわらなくても良いので、練達の鞍上が上手く好位につければ、面白い存在になりそう。青葉賞含む2000m以上のレースで3連勝中です。ただ青葉賞勝ち馬でのダービー制覇は未だなく、デビューが今年2月で中3週2400mを走るというのはかなり酷なローテです。個人的には軽視している一頭ですが…。

📝サンライズジパング

2桁下位人気から一頭、こちらも当たり年のキズナ産駒。半兄にはハーツクライ産駒のグランシエロなどがおり、血統的にも面白そう。当初弥生賞への出走を予定していましたが、右後肢に違和感あり回避しました。中間でトラブルがあった割には皐月賞では9着とそれなりの結果を残せたので、今回の本番ではさらなる前進も期待できそうです。日曜は雨の予報もちらほら出ているでしょうか?道悪になった際は抑えておきたいと思っています。懸念点として東京コースは2回走って4着15着と、左回りの適正に疑問を感じており、自身を持ってオススメできるかと言われれば、そうではありませんね。


今回参考にさせていただいたサイト


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