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GⅡセントライト記念

序文:暁の三冠馬


空の彼方に最後の軌跡。
2020年10月25日、京都競馬場で行われた牡馬クラシック3戦目、菊花賞を制したコントレイルは史上8頭目の三冠馬に輝いた。未だ記憶に新しい、新型コロナウイルス感染拡大下で行われた未曽有の年の出来事だった。無観客開催措置が解除されたものの、解放された席数は僅か700余り。関係者を含めても例年とは比べるべくもない、静けさ漂う京都競馬場になってしまった。
歴代三冠馬の中ではシンボリルドルフ、ディープインパクトに次ぐ史上3頭目の無敗による達成だった。
夕暮れに染まる京都競馬場。歓声も、喝采も鳴り響くことのないその空間に、僅かに集まった観客はできり限りの拍手をもってその勝利を讃えた。
鞍上を務めた福永祐一は「この馬に乗れたことを誇りに思う」と力強くコメントを残したのだった。
そのコントレイル号の勝利から遡ること79年前。1941年、戦争への機運高まる日本競馬界において、同じ京都競馬場にて史上初めてのクラシック競争三冠馬が誕生した。

馬の名はセントライト
GⅡ重賞「セントライト記念」としてその名を残す
後のJRA顕彰馬である。

セントライトは1938年、岩手県にある三菱財閥経営下の小岩井農場で生を受けた。創設は1891年(明治24年)と古く、日本鉄道副社長の小野義眞、三菱社社長の岩崎弥之助、鉄道庁長官の井上勝の出資によって立ち上げられた。牧場名は三名の頭文字をとったもので、三菱系グループ会社として現在も存続する有力企業である。
戦前は酪農だけでなく育馬事業にも力が入れられていた。これは当時農林省馬政局が実施した「第二次馬政計画」が背景にあったが、第一次から続くこの計画の大まかな骨子は、戦時に際する軍馬の育成が主たる目的だった。日露を経て日中戦争が行われていた時代、優駿たちが産み落とされる陰には戦争の存在があった。

セントライトの母フリッパンシーは1928年に小岩井牧場がイギリスから輸入した馬で、英セントレジャー3着の素質馬。日本では既に帝室御賞典勝ちのタイホウを生んだ実績があった。父ダイオライトは英2000ギニー(皐月賞のモデル)に勝利した正真正銘の駿馬だった。35年に宮内省管理の下総御料牧場が種牡馬として輸入していた。当初は種牡馬としての素養を疑われていたが、セントライト他多くの名馬を輩出し、現在ではダートグレード「ダイオライト記念」としてその名を後世に残している。

セントライトを買った馬主は加藤雄策という人物だった。商船学校を卒業後に出版業界入り、「平凡社」の専務を務めた後に独立し「非凡閣」という会社を興していた。もともと競馬とは縁のない生活を送っていた加藤だが、作家の菊池寛との交流を経て競馬をたしなんでいった。菊池とは平凡社時代に全集を出版したことがきっかけで知り合い、気の合った二人はすぐさま意気投合したという。
菊池寛は『真珠婦人』をはじめとしたヒットで、当時の文壇を代表する作家であったが、自らも馬を所有するなど競馬好事家としても知られていた。加藤はこの昭和を代表する作家の影響で競馬を覚え、あっというまにその世界に没入していった。
1934年に馬主として活動を始めた加藤だったが、先輩である菊池をすぐに追い抜いた。加藤が自らの目で選んだ馬は皆よく走り、その見識の高さは界隈で瞬く間に広がっていった。こと相馬眼には一家言を持ち「騎手や調教師の中にも、馬の分かるものは幾らもいない」と豪語していた。
加藤は豪放磊落でよく笑う人物だった。すでに文壇では大家だった菊池寛のことを「菊池」と呼び捨てにしていた。それでも不思議と彼のことを憎む者は少なく、むしろ業界の快男児だと皆に慕われていた。

1936年加藤はとある一頭の馬と出会う。「クモハタ」という名前の馬は、当時の大種牡馬シアンモアを父に持ちその血統を期待されていた。クモハタは四肢の足元が靴下を履いたように白く、顔に大きな流星を持つ「四白流星」の馬だったが、当時馬商人の間では「四白に名馬なし」と言われており敬遠されていた。
この時代にありながら加藤は迷信や根拠のない妄信を嫌う、近代的な価値観の持ち主だった。
「なんとしても手に入れたい」と大枚をはたいて購入したクモハタに、周囲は懐疑的な視線を向けたが、加藤の期待に応えたクモハタは目覚ましい活躍を見せ、8回目の東京優駿競争(日本ダービー)を制覇した。

1940年、小岩井農場で行われたセリで加藤はセントライトを購入した。価格は32,200円。現代の貨幣価値に換算すればもちろん大金だが、このセリで最高値を付けていたのはクモハタと同じシアンモア産駒のミナミモアという馬で、57,000円で競り落とされていた。セントライトは英ダイオライト産駒でクモハタ、ミナミモアにも劣らない良血であることを保証されていたが、セントライトに向けられた専門家の目は厳しかった。当時は血統よりも見た目や体型を重視する傾向が強く、標準より馬体が大きくもっさりとした印象のセントライトは、そこまで評価されていなかったのである。
セントライトに対する評価に加藤は憤慨したようだった。血統の正当性と、種牡馬であるダイオライトの実績を書き連ねた「ダイオライト礼賛記」という手稿を、当時の競馬誌に掲載したという記録が残っている。
加藤はいささか独りよがりな性格ではあったが、この時代にあって常識を疑うことができ、確固とした独自性と近代的な思考を持ち合わせた人物だったと思う。外見だけでなく馬の血統に素質を見出す考えは、極めて現代的な競馬観である。

とはいえ加藤がセントライトにクモハタ以上の期待をかけていたかというと、実際はそうでもなかった。当初加藤は同じセリで購入した牝馬、ブランドソールに執心していた。2頭ともに旧知の間柄である田中和一郎厩舎に預けられることになったが、ブランドソールの方が仕上りが早く、より将来性を感じられていたのだ。この点に関しては、調教師の田中をはじめ周囲の見解は一致していた。
ところがとある朝の出来事、調教中に2頭が併せ馬をした際に、わずかだがセントライトが先着したことがあった。この調教に何かを感じ取った加藤は、ブランドソールではなくセントライトを先にデビューさせると決めた。周囲の者たちは慌てたが、加藤は意に介さなかった。
41年3月、横浜開催初日の新呼馬戦でデビュー。鞍上を託されたのは小西喜蔵という騎手だった。当時32歳、前年に帝室御賞典(現在の天皇賞秋)を勝利し、名人の仲間入りを果たしていた。後にGⅠ6勝を挙げ、昭和初期の日本競馬を代表する名手となる。
小西は少し拍子抜けした面持ちで当日を迎えていた。というのも、セントライトに乗るよう依頼されたからだった。最初はあの素質馬と名高いブランドソールに跨れると聞いていた。ところが最終的に乗ることになったのは2番手と目されていたセントライト。なんだかなあ。自分は期待されていないのかと、勘ぐってしまいたくなった。とはいえ依頼は依頼、勝利を目指すしかない。
セントライトは予想家たちの評価も低く、12頭立てのレースで7番人気だった。よほど見栄えが悪かったのだろう。それでもただ一人、加藤だけは勝利を確信したような、自信に満ちた表情をしていた。
スタート直前になっても、鞍上の小西は不安な気持ちを拭えなかった。セントライト、この馬は大人しすぎる。これから初めてのレースを迎えるというのに、興奮する様子を全く見せない。本当に走るのかしらと、疑ってしまいたくなった。
レースが始まると、鞍上の不安を一蹴するかの如くセントライトはゲートを飛び出していった。終わってみれば後続に5馬身差をつける圧勝。払戻金が上限の200円を超える大波乱に、横浜競馬場は騒然となった。

レース後、小西のもとへ加藤が興奮気味に駆け寄ってきた。
「どうだ?見たか小西!」
見ているわけがない、俺はこの馬に跨っていたのだ。小西は以前から加藤のこういうところが苦手だった。かまわず加藤はまくし立てた。
「この馬なら東京優駿も夢ではないな。」
小西は目を丸くした。この馬で東京優駿競争を狙いに行こうと?ブランドソールではなく?
確かに良い走りを見せた、間違いなく強いがどうだろう。この馬の温厚すぎる性格が小西は気になったが、加藤はそんな心配をよそに愛馬の活躍を周りに自慢してまわっていた。

2週間後の3月30日、セントライトは「横浜農林省賞典四歳呼馬」に出走することとなった。現在の皐月賞である。
前走の衝撃的な強さが評価され、セントライトは1人気に推されていた。2人気に続いたのはミナミモア、あの時のセリで最高額に評価されていた馬である。当代一の素質馬と名高いライバルを、この大一番でセントライトは3馬身引き離して勝った。
この勝利に最も驚いたのが小西である。レースに至るまでの間セントライトは終始大人しく、走る素振りなど全くと言っていいほど見せなかったからだ。それがいざゲートを出ると放たれた矢のように駆け抜けていく。理解が追い付かなかったが、加藤の見立てが正しかったことだけは間違いない。本来ならばこのレースはブランドソールで走っているはずだったのだ。それが鶴の一声で変わってしまった。だがどうだろう、セントライトは見事主人の期待に応えてくれた。運命的な勝利と言わざるを得なかった。

その後は中山開催で2連勝。東京での初出走となったハンデキャップ競走では58kgの斤量を背負わされ、アタマ差の2着で初の敗戦を喫した。しかし東京優駿への前哨戦として臨んだ古呼馬戦では、当年秋の帝室御賞典を勝利するエステイツを破って勝利を挙げた。
現在の”東京優駿=日本ダービー”とはもともと英国のダービーのことを指し、かの国のように「生産と競争が直結するレースを作って欲しい」という主に生産者たちの希望から生まれたレースだった。「東京優駿競争」(この頃はまだ日本ダービーと呼ばれていなかった)は時代と共に少しずつ形を変えてきたが、1932年の創設以来、若駒たちの最高峰のレースとして在り続けてきた。日本競馬のクラシック体系はこの時代に産声を上げたといえる。

5月16日、セントライトは満を持して「東京優駿競争」に出走。
ライバルのミナミモアに1人気を譲り、セントライトは2人気だった。3番人気には前月の桜花賞を勝利した、同厩のブランドソールがいた。
その日は前日に降った豪雨の影響で重馬場での開催となったが、鞍上小西はデビュー時とは違い自信をもってこの一戦に臨んだ。ここまで6戦を戦い5勝を挙げた。その強さにもはや疑うところなどなかった。
ゲートが空くとセントライトはいつも通り抜群のスタートを決めた。ミナミモアにハナを譲ったが、道中は3番手につけ好位から先頭を窺った。あとは仕掛けどころだけだ。
直線に入り小西が鞭を入れると、セントライトはいまだかつてない加速を見せた。その走りに観客はあっけに取られた。今や帝室御賞典よりも栄誉あると言われているこの東京優駿で、かくも圧倒的な走りを見せる馬が現れるとは…。
セントライトは2着に8馬身差をつける圧勝を飾った。この着差は1955年にオートキツに並ばれたものの、今現在も破られていないダービー史上最大の着差である。加藤と調教師の田中はクモハタに続きダービー2勝目を挙げ、鞍上小西にとってはもちろん初めてのダービー制覇となった。

夏の休養を挟み、迎えた秋競馬。始動戦のハンデキャップ競争こそ3着に落としたものの、その後2連勝し前哨戦で2着と好走。クラシック3戦目、現在の菊花賞である「京都農林省賞典四歳呼馬」に駒を進めた。
このレースは6頭立ての少頭数で行われた。今回はダービーで負かしたミナミモアを抑え1人気だった。前走の古呼馬では2着に敗れていたが、66キロのハンデを背負わされていた。今回は同期の馬たちと共に57キロ、絶対的な自信があった。
ゲートが開くとミナミモアがまず先手を主張、セントライトは先行2番手の位置につけた。直線ではミナミモアを捉えると一気に加速、2馬身半差つけ難なく勝利を収めた。
この勝利を以って、セントライトはクラシック体系が完成してから3年目にして、初の三冠馬となった。史上2頭目はそれから23年後の1964年、シンザン登場まで待たされることとなる。まさに快挙だった。
とはいえ三冠競争が成立してからまだ3年目の出来事、陣営の喜びとは裏腹にマスコミや競馬関係者の反応は薄かった。当時創刊されたばかりの「優駿」誌面でも、「三栄冠馬」という言葉でその勝利を讃えたが、いまひとつ盛り上がりに欠く内容だったという。この事実に加藤は大いに憤慨した。
「せっかく評論家たちの鼻を明かしてやったというのに」と悔しさを露わにした。いかにも彼らしい口ぶりである。
とはいえ競馬界が盛り上がりに欠いたことには、もう一つ大きな理由があった。
当時国内の情勢は日中戦争から太平洋戦争へ向かおうとしていた緊張下。戦争への機運が高まる中、娯楽である競馬への関心は徐々に薄れていっていた。

セントライトは次走、秋の大目標である帝室御賞典を目指す予定だったが、出走に当たり彼に架されたハンデキャップは72キロ。またまた加藤は憤ったが「4歳馬に72キロも背負わせるくらいならいっそ」と、セントライトをあっさり引退させてしまった。御賞典以外にも選択できるレースは多々あったはずだが、三冠の栄誉を手にした愛馬を思い潔く勇退。この決断を作家の菊池寛は「優駿」誌面でこう讃えている。
「賞金を稼がせるつもりならまだ使えるのを、惜しげもなく引退させてしまう。ああ云う所は実に立派だ。天下の名馬も、彼の如きに認められて、はじめて終わりを全うし得るのかも知れない」

1941年12月、日本の真珠湾攻撃を皮切りに太平洋戦争が開戦。
翌年から競馬の活況は徐々に下火になっていったが、加藤雄策が情熱の火を絶やすことはなかった。44年住友財閥の西園寺八郎(西園寺公望の養子)から千葉県の若草牧場を譲り受けると、次なる三冠馬の育成を目指し馬主として活動を続けていた。
騎手の小西喜蔵は、同年に中止になった競馬の代替えである、「能力検定競争」の騎手として生計を立てていた。
加藤と小西、この時の二人は全く同じことを思い描いていた。
いつかこの戦争も終わりを告げる日がやって来る。再び平和になった日本で、大歓声に包まれながら新たな三冠制覇を目指すのだと…。

1945年、日本の戦局は悪化の一途を辿っていった。
同年3月10日には米空軍による都心部への集中攻撃が始まった。「東京大空襲」といわれる無差別爆撃は苛烈を極め、特にこの日の大規模爆撃では95,000もの民間人が犠牲になったと言われている。

そして5月25日の夜半過ぎ、爆撃による火の手が加藤を襲った。
翌日5月26日、加藤雄策は永眠。
戦火によりその命を絶たれた。44歳だった。

いつか戦争が終わり平和になった世界。生まれてくるであろう新たな三冠馬との邂逅を夢見た男、誰よりも競馬を深く愛していた男は、とうとうその再開に立ち会うことなく、多くの犠牲になった人々と共にその生涯を終えたのであった。

終戦後、47年に府中競馬場にて再び始まった日本競馬。ここから日本経済と共に競馬産業も目覚ましい勢いで復興を遂げ、隆盛の時を迎えることとなる。
同年10月に、史上一頭のみの三冠馬を讃え第一回目の「セントライト記念」が立ち上げられた。このレースを勝った馬はイーストパレード。調教師は戦前に加藤と苦楽を共にした田中和一郎、鞍上は小西喜蔵だった。
3年後の1950年小西は調教師へ転向。52年にサチヒカリで中山大障害を優勝し、調教師としての地位を確固たるものにした。57年にはラプソデーで菊花賞を勝利、念願のクラシック制覇を成し遂げた。

夕暮れに染まる京都競馬場。鳴りやまない歓声、万雷の拍手、小西の胸の中に熱いものが込み上げてきた。瞳から溢れた雫が頬を伝っていくのがわかった。
小西はかつて自分を三冠馬の背に乗せた、あの男のことを思い出していた。

「俺は誰よりもあんたに、この景色を見せてやりたかった。」

その後も小西は調教師として活躍を続けた。数多くの重賞を制し、89年に引退。そのわずか4か月後、自宅にて静かに息を引き取った。享年81歳だった。
歳月の流れと共に、戦禍の記憶も人々の中から薄れていった現代。コントレイルが史上8頭目の三冠馬となった2020年、戦争とは異なる形で人々の生活は脅かされていた。世界中に蔓延した未知の病原菌は、私たちの生活様式を一変させ、競馬もその存続を危ぶまれる事態に陥っていた。
それでも人々は危機を乗り越え、再び競馬のある日常を取り戻していった。
三冠を達成した鞍上の福永祐一騎手は「競馬を行えることは特別なことなんだと、改めた感謝したい」と言い、空白の客席へ愛馬と共に頭を垂れた。

全ては平和であればこそ、である。娯楽である競馬文化は、平和で明るい日常の中の一部に組み込まれてこそ、その醍醐味を真に味わうことが出来る。
そしてそこに辿り着くまでには、戦乱、災害、疫病と幾多の危機にも負けず、競馬を愛し続けてきた先人たちの努力があったことに、間違いはないはずだ。

今年も始まった秋競馬。選び抜かれたサラブレットたちはただ前を向き、未来に向け駆けていくだろう。ならば私たち人間は敢えて立ち止まり、過去を振り返ってみたい。
どれだけ尊い物語がそこにあっても、語り継ぐ者がいなくなっては薄らいでいくだけだ。
過去を生きた人たちの思いを汲み、未来へとつなぐのだ。
そして、心の底から私たちの競馬を楽しみたい。

過去を語り、未来を見据え、そして現在を生きる。
暁の時代を駆け抜けた、
はじまりの三冠馬に今、想いを寄せて…。

「GⅡセントライト記念、まもなく出走です」

戦火をくぐり抜けた「黒鹿毛の勇者」。
セントライトは1965年に没した。R.I.P
日本競馬の礎を築いた偉大なる先人たちへ
最大限の敬意と感謝を込めて…合掌。

はじめに ~コース攻略~

皆様お疲れ様です。前回のnoteから約一か月、予定を繰り上げGⅡセントライト記念のnote掲載することが出来ました。前回の札幌記念のnoteでは、セイウンスカイの物語が思いのほかバズってしまい、いろいろな方から高評価といいねを頂戴いたしました。本当に嬉しかったです。
これも偏に西山牧場オーナーの西山茂行社長が当note読んでくださり、SNSでご紹介いただいたからに他なりません。改めて御礼申し上げます。
というわけで調子に乗って、このビッグウェーブが引く前に間髪入れずに記事を書くことによって、さらなるフォロワー獲得が出来るのではないかと思い立ち、新作を書き上げてみました。本当にあさましい男です笑

戦前に活躍した初代三冠馬の物語はいかがでしたでしょうか。
平和を享受しながら競馬を楽しめることに感謝しつつ、秋のシリーズを迎えたいなと、私はそんな風に思いました。
読了していただいた方には御礼申し上げます。

さてここからはセントライト記念の攻略&予想をお届けしたいと思います。
(地獄の)夏競馬も終わり、ここからは秋~年末へ向けたビッグレースが目白押し。今年は特に豪華になると思います。そんな秋の前哨戦、クラシック世代のGⅡレースを(馬券的に)制して、軍資金づくりに励みましょう。笑

難解コース中山芝2200mとは

そんなわけで菊花賞トライアルです。例年堅めの決着が多く馬券的にはそこまで跳ねないですね。ただ数年に一回程度、結構な荒れ模様となる年もあります。傾向としてはGⅠ実績馬が少ない年に荒れがちな気がしますが、今年はどうでしょう?コスモキュランダ他ダービーから直行してくる馬と、そうでない馬。この戦力比較を正しく分析できるかが、的中へのカギとなるはずです。昨年はレーベンスティールがソールオリエンスを抑え、一昨年はガイアフォースがアスクビクターモアを抑えて、昇級組の活躍が目立ってきています。今年も何頭か有力候補がいるので、この後の推奨馬で解説いたします。
中山芝2200mは正面スタンド端からスタートし、外回りを一周してくるコースです。内回りと異なり、2コーナーから緩やかなカーブを描いているため、ペースは落ちにくいです。全体的な傾向として、持続力のある馬が前に行ったまま粘り込むことが結構あるので、逃げ馬の激走には十分注意が必要です。ペースが上がれば必然的に差し馬の台頭も増えますが、急坂を擁する2200mという距離からパワーとスタミナも求められます。

昨年のレースを振り返る

ほぼ横一線の飛び出しから、内枠5番のドゥラエレーデが先手を主張。競り合う馬はおらず、前半1000mの通過は1分00秒1と平均ペースに。
道中大きな動きもなく淡々としたレースでしたが、4角手前で各馬が徐々に動き出します。ダービー出走のシャザーンが好位から先頭を窺うと、皐月賞馬ソールオリエンスは最後方から一気にギアを挙げてきました。
シャザーンをぴったりとマークしていたレーベンスティールが早めに抜け出します。そのまま坂を登ったところで先頭に。ソールオリエンスは追込むも届かず。
勝ちタイム2分11秒4でレーベンスティールに軍配が上がりました。
鞍上モレイラ騎手の仕掛けのタイミングと、スピードだけでなく坂を登っても切れ味を失わない、パワーとスタミナが目立った快勝でした。
本番の菊花賞は京都3000mに対するスタミナを問う厳しいレースになりますが、中山の前哨戦は持久力よりもパワーと機動力を問う、レースとしての質が異なる点に注意が必要です。どこで仕掛けるべきなのかという、鞍上の経験値も大いに重要になってくるでしょう。中山中距離を得意とする騎手にはアドバンテージがあると思います。


目指せクラシック戴冠!注目topics"5"

ここでは恒例の過去10年データをもとに、抑えておきたい有力なトピックを5点、解説いたします。

①📝ダービー最先着馬の成績

秋のクラシックを占う3歳GⅡ戦、夏の放牧を挟んでダービーから直行してくる馬もいる中で、最先着馬の成績はどうだったのか。

今年はコスモキュランダがダービー最先着6着から出走。想定1人気になりそうです。あくまで過去10年ですが、ダービー3着以内の馬は連対率80%とかなりの好成績。逆に5着以下からの直行だと20年のガロアクリークが3着に入っただけで、少々危うい感じがしますね。ダービー組が惜敗した年に勝った馬の前走は、ラジオNIKKEI賞組がまずまずな成績を収めています。過去10年で4連対、今回はヤマニンアドホック(3着)、ログラール(6着)で、妙味を求めるなら買い要素は高いと思います。

②📝当日1番人気の成績は?

当日1人気に推され、馬券内を外したのは15年サトノラーゼン(7着)、21年タイトルホルダー(13着)で連対率80%となっています。信頼度は高いと言えますね。単勝1倍台なら勝率100%(2勝)です。ダービー6着で今回1人気想定のコスモキュランダはどちらに転ぶのか?今年は少々読みづらいですね。今回は恐らく単勝3倍前後のオッズになるでしょう…。中山への適性を考えれば推せるが、それ以外の不安要素を考慮すると高く張ることはできない。そんな馬券購入者の心理が現れたオッズになりそうです。コスモキュランダに信頼を置けない場合は、2人気に注目してみてください。おそらくアーバンシックでしょうか。過去9年1・2番人気のどちらかが必ず連対しています。基本堅めの決着が多いレース、上位人気を軸にすることをお勧めします。

③📝前々走皐月賞組に注目

過去10年の連対馬全20頭のうち、前々走において皐月賞に出走していた馬は全12頭。複勝圏内に入った30頭のうち前々走皐月賞は17頭、皐月の着順が2桁であってもここで好走する例は多いです。これが有益なデータかと問われれば何とも言えないですが、要はクラシックに出走した経験は大きな成長材料になっている、ということは間違いないと思います。その点で言うと、皐月賞2着だったコスモキュランダはやはり1人気として信頼に足り得るのではないかと思います。

④📝関東騎手騎乗馬

昨年は短期免許のモレイラ騎手、一昨年は松山弘平騎手が勝ちましたが、ここも"過去十"の統計で拾うと、関東所属の騎手が騎乗した馬が【6-5-2-14】と好成績で単勝回収率は142%とかなり優秀です。この傾向はセントライト記念だけでなく中山芝重賞に多く見られます。ただし関西所属でも中山実績が高い騎手はそこまで問題ではないかも。Mデムーロ・横山典弘騎手両名は昔から中山重賞での成績が優秀ですね。もちろんルメール騎手も買えます。美浦所属組で怖いのが田辺裕信騎手、今年のリーディングは現在21位で連対率19.9%ですが、直近1年での中山競馬場に限定すると、連対率22.7%、複勝率29.9%と跳ね上がります。21年アサマノイタズラ、18年ジェネラーレウーノで同舞台を制しており、今回人気薄であっても抑えてみる価値はありそうです。

⑤📝前走新潟出走は要注意!

では前走がローカルに出走した馬はどうだったのか?というと最も危険なのが新潟直行便の馬で【0-0-0-23】とかなり危険なデータが浮かび上がってきます。人気の一角スティンガーグラスは前走を新潟の1勝クラスを快勝、今回武豊騎手騎乗で人気を集めそうですが、データ上はかなり危険と言わざるを得ません。ルメール騎手からの乗り替りという点も不安を誘います。
また前走が札幌・函館だった馬も【0-2-0-11】とかなり不安定です。
基本的に夏の競馬で消耗した馬の好走はあまり見られません。ローカルからの直行でも前走福島の馬は比較的成績が安定しているので、買うならこちらでしょう。
さらにもう2点、「前走から中8週以内での出走」「関西からの輸送」をこなす馬も危険度が増します。今年は特に酷暑、疲労の蓄積は思った以上に大きいかもしれません。この夏消耗しているような馬は、素直に割り引くべきだと思います。


読む時間がない方へ、要点まとめました。

画像は特に意味のない、AI生成のウマ娘っぽいやつ笑

森タイツ式推奨馬の解説

ここからはこちらも恒例になりました、個人的な推奨馬を紹介させていただきます。時間の問題もあり、4頭までとしますが予想に際して参考になれば幸いです。

春の激走、この秋再び

春の2冠、ダービー6着、皐月賞2着という上々の実績でこの前哨戦に挑んでくる馬が一頭、コスモキュランダです。
年明け頃までは1勝クラスを戦っていた馬ですが、3月の弥生賞に出走すると6人気から爽快な捲り走法で勝利を掻っ攫っていきました。その弥生賞では平均的なペースになったのを見逃さず、捲り気味にコーナーから進出を開始。直線でもその勢いを殺さず、そのまま押し切り勝ち。シンエンペラーら難敵を抑え、1分59秒8でレースレコードを記録しました。
続く皐月賞では前走の実績をフロック視され7人気で出走。しかし名手モレイラ騎手を背にジャスティンミラノへタイム差なしの2着に奮戦と、その実力が本物であることを証明してみせました。
日本ダービーでは痛恨の出遅れからの6着と奮いませんでしたが、後方追走と利がなかった状況から、一度は好位の一角までポジションを上げてきていたことは評価できると思います。ここで好相性の中山へ戻ってくるわけですから、普通に考えれば巻き返しは必至でしょう。

コスモキュランダは皐月賞、大阪杯と2000mの中距離GⅠを2勝したアルアインの初年度産駒です。スワーヴリチャード産駒などと同じで昨年に産駒デビューを果たしていますが、その成績はイマイチ振るわず。1年間で183戦して勝利数はわずか「7」、弥生賞が重賞初制覇でした。コスモキュランダはその父によく似ていて、中山2000mで捲りを決めれるような、機動力に飛んだ中距離馬といった趣きがあります。母サザンスピードの牝系は豪州血統で、豪重賞のコーフィールドC(芝2400m・GⅠ)を制したこともあり、ダービーの舞台でも期待をしていましたが、現時点での走りを見る限り父親譲りの血筋なのかもしれません。

弥生賞と皐月賞、レースレコードを更新した2走で1着2着ですから早い時計への対応力は間違いないでしょう。奇しくも先日中山紫苑Sでは、クリスマスパレードによるコースレコードが記録されました。現在の中山の馬場が相当な高速使用になっていることは間違いないはず。春の中山での2戦の内容を見る限りでは、間違いなく追い風となる状況でしょう。
懸念材料は、ダービーまでで既に9戦消化しているというその濃密なキャリアでしょうか。弥生、皐月と好走できた理由は間違いなく若駒としての急激な成長があったからだと推測されますが、ダービーではその勢いを感じられませんでした。夏の放牧を挟み、この馬がどこまで更なる進化を遂げてるかどうかがカギを握りそうです。加藤調教師の発言を聞く限りでは全く問題なさそうですが…。陣営の青写真通りに事が運べば、ここを通過点として菊の戴冠も見えてくる。そんな盤石のレースを期待したいと思います。

未完の大器、完成へ

前走日本ダービー4人気から11着に大敗。シルクレーシングから1頭、アーバンシックが巻き返しを狙いにやってきました。
昨年8月、真夏の札幌でデビュー。その後11月府中の出世レース、百日草特別を勝ち上がると、年明けのGⅢ京成杯で2着と好走。皐月賞は4着に敗れるもその走りは高く評価され、ダービーの大舞台では上位人気に推されました。中山よりも府中への適性が見込まれていたのでしょう、期待を背負ってのレースとなりましたが敢え無く惨敗。鞍上横山武史騎手は最後方からレースを組み立てましたが、伸びを欠いた直線での走りに「(百日草特別の時のような)爆発力を感じなかった」と悔しさを滲ませました。

アーバンシックはスワーヴリチャード産駒、何度も解説しましたが、昨年新種牡馬リーディング1位の実績です。牝系にも注目で、祖母にランズエッジの名前があります。この馬から生まれた牝馬、ロカは同世代の最上位馬レガレイラの母。同じく近親のブルークランズは桜花賞勝ち馬ステレンボッシュの母で、アーバンシックはこの2頭とは従弟の間柄にあたります。また曾祖母がウインドハーヘアでこの馬はあのディープインパクトの母、曽祖父ダンスインザダークの父はサンデーサイレンスと、アーバンシックは21年の皐月賞馬エフフォーリアと同じ、サンデーサイレンス3×4「奇跡の血量」の持ち主。クラシックを制する血統として、その資質に疑いの余地はないでしょう。

以前にもアーバンシックについて解説しましたが、強い勝ち方を見せた百日草特別。このレースではスタート直後に不利を受けながら、大外最後方から差し切る強い競馬を見せました。上り3F33.2秒の切れ味は上り最速。その後の3戦も勝ちきれないながら、京成杯では上がり最速、皐月では上がり2位、スローになったダービーでも上がり3位と、切れ味の鋭さは敗けたレースでも垣間見せています。
心配なのがゲートで、5戦して4回、80%の確率で出遅れています。またダービーを見ても出足の鈍い馬であることは明白で、スピード勝負が濃厚な中山2000mではしっかりと発馬を決めることが求められるでしょう。その点に関して言えば今回はルメール騎手に乗り替りということで、武史騎手も信頼度の高い騎手ですが、やはり鞍上強化と言えるでしょう。とくにスタートの改善には期待したいです。またデビュー当時は、道中もたれ気味になったり、気を抜いたりなど精神的に幼い部分が多々見られてきました。クラシック2戦と夏の放牧を経て大きく成長していて欲しいです。
陣営サイドはもともと大目標として日本ダービーを目指していました。その夢は叶えることができませんでしたが、まだクラシック最終戦・菊花賞を残しています。まずはここをしっかりと勝って、良い形で最後の目標へと向かっていってもらいたいですね。

その脚質、自在につき


こちらも日本ダービー直行組、ブラックタイド産駒のエコロヴァルツを推奨したいと思います。
エコロヴァルツは前走ダービーで8着でしたが、下位の17人気からの激走と考えれば、良い意味で大きく期待を裏切った走りをしたと言えるでしょう。デビューは昨年7月夏の福島新馬戦。素質馬ルシフェルを抑え勝利を収めました。その後札幌のOP特別コスモス賞で武豊騎手に乗り替わると、2着のコスモディナーに6馬身差の大勝を飾り、夏の上り馬として大いに注目を集めました。次走GⅠ朝日杯でジャンタルマンタルの2着と好走を続けましたが、年明けの共同通信杯、皐月賞は結果を出すことが出来ず、5・7着で終りました。精神的に成長がみられず、掛かりやすい性格で武豊騎手をもってしても、かなり手に余る問題児ぶりだったようです。

エコロヴァルツはブラックタイド産駒です。ディープインパクトの全兄として知られ、あの名馬キタサンブラックの父でもあります。とはいえ近年活躍している馬はフェーングロッテン、ブラックアーメットくらいで、GⅠ馬はキタサンブラック以降輩出していません。産駒の傾向としては、芝中距離への適正は相応に高いと思われますが、瞬発力勝負は苦手で、トップスピードでの追い比べとなると他の種牡馬より劣ってしまいます。どちらかと言えば馬場は重い方が走る傾向があり、高速馬場として特化した現状の中山の芝には一抹の不安が残ります。一方で右回り、急坂が得意というデータもあるので、馬場が渋った際には台頭してくる可能性が高まりそうです。
母父の傾向を探るとミスプロ系との相性が良く、母父キングカメハメハの当馬は、この点においては期待が持てるといえるでしょう。

ダービー出走の際は、それまで主戦を務めていた武豊騎手がシュガークンで出走したため、岩田康誠騎手で臨むこととなりました。岩田騎手はそれまでの追込み脚質を捨て、自らの判断で逃げの手に打って出ました。結果は8着。悪くなかったと思います。
今回のレースではシュガークンの出走が見送られたため、武騎手に戻ると思っていましたが、岩田騎手の継続で決まりのようです(武豊はスティンガーグラスに騎乗)。調教から騎手自身が積極的に乗り感触をつかんでいるようで、本気度は高そうです。今回のレースで岩田騎手がどのような騎乗をするかは大きなポイントになるでしょう。また朝日杯の時に4か月ぶりの休養明けで好走したように、夏の放牧を挟んだ今回がこの馬の狙い目のような気がします。精神面での課題は残されていると思いますが、その辺りの解決を得意とする鞍上の積極策で不安を一蹴。初の重賞制覇に期待したいと思います。

激走必至?!穴馬候補の一頭

人気馬ばかり解説していてもしょうがないので、期待を込めて穴馬を一頭。弥生賞で4着だったエコロレイズを推奨してみます。前述のエコロヴァルツと同じ原村正紀オーナー所有馬で、同じ冠名が2頭出走することになります。
昨年6月の東京マイル新馬戦でデビュー。9着で惜敗するも以降は中山の2000mを走り、未勝利を2着・3着と惜しい競馬をしながら4戦目で勝ち上がり。緩やかな曲線を描きながら成長してきました。
6戦目となった今年3月の弥生賞へ11人気で出走すると、激走。急遽乗り替わった横山和生騎手の好騎乗もありクビ差の4着に入線しました。

エコロレイズはアメリカンペイトリオット産駒。重賞クラスでは少し馴染みが薄いですが、有名どころで言うとビーアストニッシドが近年活躍していますね。アメリカンペイトリオットの父はウォーフロント、米競馬を代表する名馬にして大種牡馬です。またゴドルフィンの繋養馬としても知られています。なんとなくダート向きな血統をイメージしがちですが、実際は芝中距離での好走が多く、高いスプリント能力を誇ります。
また母父の系統にサンデーサイレンス系を持つ血統とも相性が良く、ディープインパクトの血を引くエコロレイズは、秘めた素質を持っていてもおかしくない気がします。

弥生賞の激走により次走以降は人気を背負うことになりましたが、以後2戦して4着2回と勝ちきれない競馬を続けています。弥生賞から前後してみると4戦連続4着ですね。ただ戦ってきた相手を見ると意外と骨っぽい相手が多く、山藤賞ではヤマニンアドホックとショーマンフリート。前走、白百合SではミナデオロとラジオNIKKEI賞を勝ったオフトレイル、と新馬の頃から素質を見込まれた、もしくはここに来て力をつけてきた有力馬ばかりです。
エコロレイズもまた少しずつですが上積みをしているはず、ここで激走する可能性も十分にあると思います。また弥生賞と前走白百合Sの際には上がり最速を記録していて、それ以外の敗けたレースでも早い上がりを繰り出すなど、その末脚には大きな魅力を感じます。中山の芝が高速使用になっており、スピード勝負になりそうな点は先述した通り。プラスに働きそうです。鞍上は弥生賞で沸かせてくれた横山和生騎手に戻ります。この馬には出遅れが全くないことも好印象で、和生騎手はスタートの得意な馬と特段相性が良い点もさらにプラスに作用しそうです。先日は1人気のピューロマジックで残念な結果に終わってしまいましたが、人気薄に乗った時の怖さは広く知られてきています。父親に似てきましたね笑
人気決着が想定される今回のセントライト記念ですが、穴狙いに一頭、抑えておいてもいいかもしれません。自分は馬券に組み込もうと考えています。


終りに~それ以外の馬の短評を添えて~

今回もめっちゃ長文となりましたが、ここまでお読みいただいた方、最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。
最近とみに、冒頭序文をはじめ当noteに対する好意的な意見や感想が増えてきており、非常に嬉しく思います。予定では今週から年末まで週1ペースで記事をアップしていきたいと思っておりますので、当初から読んでいただいている方、今回初めて立ち寄っていただいた方、皆様今後ともよろしくお願い申し上げます。まあ、なかなか大変なミッションになりそうですが、読んでくださる方が僅かでもいらっしゃる限り、頑張ってみようかなと思っています。(途中で無理が来ちゃったらゴメンね。)
それでは最後になりますが、前項で紹介しきれなかった有力馬たちの短評を添えて(まだ書くんかい)今回のnoteを了とさせていただきます。次回はオールカマー攻略、冒頭コラムは「鉄の女」と呼ばれた牝馬について書く予定です。フゥー!
ではまた…。

📝スティンガーグラス

前走は新潟の1勝クラスを5馬身差の圧勝。ルメール騎手鞍上でした。今回は武豊騎手に乗り替わってスプリングS以来の重賞初勝利を目指します。
前走では力の違いを見せつけましたが、ここではどうでしょう。相手は一気に強化されますし、前述した通り新潟から直行した馬はセントライト記念ではさっぱり勝てていないので、データを重んじる自分としては買いづらい一頭です。ただキズナ産駒ということで、今年の中山はキズナがかなり好成績を収めてますので、血統的には気になる一頭です。
今回森タイツ式では割り引き対象とします。3連系の紐までとして、来ちゃったらごめんなさいです。

📝アスクカムオンモア

ブリックスアンドモルタルの初年度産駒として見込まれている快速馬。前走6月の東京1800mのレースではかなり強い競馬を見せてくれました。(個人的に)期待の若手、西塚騎手の騎乗も光りましたね。
今回は戸崎圭太騎手との初コンビでこの中山GⅡに挑みます。中山中距離を庭としている戸崎騎手に乗り替りは、言うまでもなくかなりの鞍上強化です。森タイツ式では条件戦から上がってくるの馬の中では、スティンガーグラスよりも上位に捉えてます。ダービー組を負かせるとしたらこの馬でしょうか。ただ若干時計が足りていない印象です。前走稍重で勝っているように、今回も馬場が少し重くなるか、時計がかかる展開になってはじめて利があるのかなと。現在の高速仕様の中山ではやはり不安が残ります。

📝ヤマニンアドホック

前走福島のGⅢラジオNIKKEI賞で3着、ラジニケ組が好成績な点は先に述べました。ただ前走では若干折り合いを欠いた感があり、精神的な幼さが見受けられました。そんな中、先行ポジションからしぶとく脚を使って3着にねじ込んできた点は大いに評価できると思います。この馬は先行の位置取りから直線に入っても、切れ味を落とさず最後まで走り切れる点が魅力です。中山中距離は3戦して2勝と相性が良いようにも見えますが、2200m戦は初。前に行く馬だけに、1F延長がどう響くかが気になりますね。鞍上は引き続き津村騎手で、デビュー時から乗り続けて6戦目を迎えます。継続騎乗で好走を見せる中山巧者の騎手ですから、期待はできると思います。

📝ルカランフィースト

皐月賞8着からの直行、5か月ぶりの復帰戦となります。もともとダービー路線を予定していた馬ですが、疲労を考慮して陣営は長期休養を選択しました。夏の放牧を経て、一回り大きくなって帰ってきた印象です。皐月賞は460キロ台で出走しましたが、8月20日の帰厩時に490キロとの報せが。その後調教を経て現在は480キロ前後でしょうか、久々の実戦でも仕上がりは良さそうです。鞍上は横山武史騎手なので、そこは信頼は置けそうですね。また管理の鹿戸厩舎は本馬の他にも、シュバルツクーゲル、トロヴァトーレ、セットアップと有力3歳馬を多く抱えているトップステーブルですので、その点にも注目したいです。

📝ログラール

個人的に推したい穴候補。
前走ラジオNIKKEI賞6着、3月スプリングSでは10頭立ての8着と重賞では奮っていません。ですが前々走の1勝クラス、阪神2000mを勝利した際の内容は少頭数ながら良かったと思います。長い脚で跳びの大きい走りはステイヤーの素質を感じますし、父モーリス×母父キングカメハメハの血統はいわゆる"ニックス"で、近年はノッキングポイントなどを生み出しています。また母ディアデラマドレはJRA重賞3勝の牝馬、血統面ではかなりの良血馬であると言えます。
鞍上は北村友一騎手で、現在リーディング16位。昨年あたりから復調しはじめ、なんとなく全盛期の勢いを取り戻しつつある感じがします。
この方は本当に2歳馬との良縁というか、巡り合わせが多いですね。この馬もデビュー当時から乗っていますが、他にもクロデュワール、アスクシュタン、先日の新潟2歳S勝ちのトータルクラリティと楽しみな馬が多いです。ここもしっかりと好走して、お手馬を取られないようにしと欲しいなと笑。個人的にはクロノジェネシスとのコンビが印象的な、好きなジョッキーですので。


今回参照にさせていただいたサイトなど

【歴史が眠る多摩霊園】
https://web.archive.org/web/20160314123228/http://www.prcenter.jp/yushun/column/pdf/01.pdf


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