森タイツ

主にJRA重賞の記事を書いてます。 ①序文で名馬やレースにまつわるコラムを掲載。 ②過…

森タイツ

主にJRA重賞の記事を書いてます。 ①序文で名馬やレースにまつわるコラムを掲載。 ②過去10年のデータによる、当該レースの分析を行います。 ③推奨する馬を数頭紹介、イラストや数値で戦力比較。 初心者にわかり易く、玄人にもなにか気がつけるように、がモットーです。

記事一覧

GⅠオークス

序文:マイ・フェア・レディ 映画『マイ・フェア・レディ』をご存じだろうか。1964年に公開された同名ミュージカルの映画化で、米アカデミー賞を8部門受賞。日本でも公開…

森タイツ
5日前
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GⅠヴィクトリアマイル

序文:夢幻のごとく幸若舞(こうわかまい)の演目の一つ『敦盛』の中に、有名な一節がある。 人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 人間(=「じんかん」と…

森タイツ
12日前
47

GⅠ NHKマイルカップ

序文:二刀流の神髄「真の勇者は、戦場を選ばない。」とはJRAがとある1頭の馬へ送ったキャッチコピーである。馬の名前はアグネスデジタル。競馬ファンならいわずもが…

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2週間前
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GⅠ天皇賞春

序文:そして伝説へ…今から遡ること34年前、1985年4月29日。天皇賞春。 単勝1.6倍断トツ1人気に支持されたシンボリルドルフは、残り200mを過ぎると一気に加速、ライバル…

森タイツ
3週間前
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GⅠ皐月賞

序文:ローカルより愛を込めて🍃北からやってきた馬 2023年のJRA年間売り上げは約3兆2754億円。前年22年度を僅かだが上回った。競馬場の開催入場人数は462万人。新型…

森タイツ
1か月前
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GⅠ桜花賞

序文:葉桜の季節に君を想うということ 🌸桜咲く季節に 春4月、桜の季節である。 この記事を書きはじめたその前日、例年より少し遅い桜の開花宣言の報が届いた。 今年…

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1か月前
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GⅠ大阪杯

序文:画竜の見た夢遠い昔の話、中国は南北朝時代の話…。時の皇帝・武帝は当代きっての高名な画家・張僧繇(ちょう そうよう)に、「安楽寺の壁に竜の絵を描いて欲しい」…

森タイツ
1か月前
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GⅠ高松宮記念

序文:うつろわざるもの達へ払暁と落日 川田将雅という騎手をご存じだろうか? 2004年デビューから順調に勝ち星を積み上げ、2016年に日本ダービー制覇。 2022年に史上4人…

森タイツ
2か月前
37

GⅡ金鯱賞

序文 ラストダンスは私に 逃げ馬にロマンを求める競馬ファンは多い。 武豊が「サラブレッドの理想」と形容したサイレンススズカ、皐月賞・ダービーと逃げきって見せた…

森タイツ
2か月前
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GⅠフェブラリーステーク

序文 最低からはじまった最強の伝説 今年で41回目を迎えるGⅠフェブラリーS、歴代の中でも最大の番狂わせとなったのが今からちょうど10年前の第31回大会。 勝ち…

森タイツ
3か月前
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GⅡ京都記念

序文 「芦毛は走らない」 京都記念の創設は1942年、太平洋戦争下のことだ。当初は春・秋の2回開催だったが84年に春開催のみに、94年からは別定戦に変更と、形を変えなが…

森タイツ
3か月前
11

GⅢ根岸ステークス

序文 あなたが競馬を愛する理由 嘉永6年(1853年)、米の代将マシュー・ペリー率いる合衆国海軍・東インド艦隊が横須賀の浦賀港に来航、鎖国国家日本および江戸幕府への…

森タイツ
3か月前
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GⅠ東京大賞典

序文 『挑戦』 ―地方から中央へ― 羽田空港から車で5分、航空の町の護岸沿いを走ると大きな赤鳥居がある。 御祭神は『豊受姫命(トヨウケビメノミコト)』。東京を代…

森タイツ
4か月前
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GⅠホープフルステークス

序文 名馬になるための条件 つい先日の有馬記念は22年ダービー馬、 ドウデュースの勝利で幕を閉じた。 鞍上は武豊騎手、競馬界を代表するレジェンド騎手が勝ったことで…

森タイツ
4か月前
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GⅠ有馬記念

序文 「もろもろの心、柳に任すべし」 「グランプリ」という言葉は「Grand Prix」、フランス語で「大賞」、grand(大きい・最高の)prix(賞)を指す語である。 年末に…

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5か月前
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GⅠ朝日杯FS

序文 血統の証明 2015年の朝日杯は、歴代の中でも特に印象深いレースだった。 まず武豊の平地GⅠ全レース制覇がかかった一戦だったこと、もう一つはその武が騎乗するエ…

森タイツ
5か月前
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GⅠオークス

序文:マイ・フェア・レディ 映画『マイ・フェア・レディ』をご存じだろうか。1964年に公開された同名ミュージカルの映画化で、米アカデミー賞を8部門受賞。日本でも公開され大ヒットを飛ばした。 物語のあらすじはざっとこうだ。 言語学が専門のヒギンズ教授はひょんなことから、下町生まれの粗野で下品な言葉遣い(コックニー訛り)の花売り娘イライザと出会い、彼女をレディに仕立て上げられるかどうかを巡り友人のピカリング大佐と賭けをすることになる。 教授は初めから義務感でつきあっていたもの

GⅠヴィクトリアマイル

序文:夢幻のごとく幸若舞(こうわかまい)の演目の一つ『敦盛』の中に、有名な一節がある。 人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 人間(=「じんかん」と読む)の生涯は約50年。 下天とは幾つもの層に分かれた天界における一番下の階層、つまり人間界に最も近いとされる天上で、ここでの1年は人間の世界における50年に相当するといわれている。 この『敦盛』はかの戦国武将、織田信長がこよなく愛したことでも知られる。 もの凄く長いと思われる人間の生涯も、見方を変えればほんの

GⅠ NHKマイルカップ

序文:二刀流の神髄「真の勇者は、戦場を選ばない。」とはJRAがとある1頭の馬へ送ったキャッチコピーである。馬の名前はアグネスデジタル。競馬ファンならいわずもがなご存じであろう、芝・ダートGⅠ制覇を達成した二刀流の名馬だ。99年~03年の現役期間で32戦して12勝。その活躍は芝・ダートだけでなく、中央・地方・世界とまさにボーダレスに戦い続け結果を残した、歴史に残るオールラウンダーだった。 さて今週末に控えた3歳GⅠ『NHKマイルカップ』。かつてこのレースを制し、後に芝・ダート

GⅠ天皇賞春

序文:そして伝説へ…今から遡ること34年前、1985年4月29日。天皇賞春。 単勝1.6倍断トツ1人気に支持されたシンボリルドルフは、残り200mを過ぎると一気に加速、ライバルミスターシービーを尻目に独走するとそのまま1着でゴールイン。危なげなく当時最多の八大競争5冠を達成。鞍上の岡部幸雄は壇上で大きく5本指を立てた。今の時代になってもなお語り継がれる日本競馬史の名場面である。 さらにそこから18年前、1967年のことである。 春の天皇賞、同じくしてシンボリ牧場で生を受け

GⅠ皐月賞

序文:ローカルより愛を込めて🍃北からやってきた馬 2023年のJRA年間売り上げは約3兆2754億円。前年22年度を僅かだが上回った。競馬場の開催入場人数は462万人。新型コロナ期こそ来場人数は制限されていたが、売り上げは12年連続で増加し続けている。既存の競馬ファンに加え若年層の取り込み、新規ユーザーに競馬の魅力を伝えながら、競馬産業は隆盛の一途を遂げている。 翻って地方に目を向けてみよう。全国15か場で実施される地方競馬の23年の総売上金額は、1兆888億円。2年連続

GⅠ桜花賞

序文:葉桜の季節に君を想うということ 🌸桜咲く季節に 春4月、桜の季節である。 この記事を書きはじめたその前日、例年より少し遅い桜の開花宣言の報が届いた。 今年も花見の予定などは一切ないが、なんとなく心が軽やかになる。そんな季節である。 桜という花の名前の由来には諸説があり、「咲き群がる」という言葉が変化したなど、様々だ。 数ある説の一つに日本神話「木花之佐久夜毘売(コノハヤサクヤヒメ)」がルーツになっているものがある。 神話に登場する女神の中で最も美しいとされた「サク

GⅠ大阪杯

序文:画竜の見た夢遠い昔の話、中国は南北朝時代の話…。時の皇帝・武帝は当代きっての高名な画家・張僧繇(ちょう そうよう)に、「安楽寺の壁に竜の絵を描いて欲しい」と命じた。 命を受けた張僧繇は寺の壁に4匹の竜の絵を描いた。それはそれは見事な竜の姿だったが、竜の瞳は白いまま、眼が書き入れられていなかった…。 人々は張に尋ねた。「どうして眼を描かないのか」と。 張はこう答えた「竜は眼を書き入れられると、空へと飛んで行ってしまうのです。」 人々は張に懇願した。「どうか竜の眼を書き入

GⅠ高松宮記念

序文:うつろわざるもの達へ払暁と落日 川田将雅という騎手をご存じだろうか? 2004年デビューから順調に勝ち星を積み上げ、2016年に日本ダービー制覇。 2022年に史上4人目となる騎手大賞に輝き、昨年23年にはリバティアイランド騎乗で3歳牝馬クラシックレースにおける3冠を達成。24年に入り通算2000勝をマーク、と今や日本を代表するトップ騎手である。 …当然、このページを訪れたなら知らない人はいないはずだ。 そんな川田騎手のJRA重賞初制覇になったのが2006年の小倉大

GⅡ金鯱賞

序文 ラストダンスは私に 逃げ馬にロマンを求める競馬ファンは多い。 武豊が「サラブレッドの理想」と形容したサイレンススズカ、皐月賞・ダービーと逃げきって見せたミホノブルボン、8戦全勝「スーパーカー」マルゼンスキー、懸命な大逃げからファンを沸かせたツインターボら、過去を振り返れば枚挙にいとまがない。 またここ数年の競馬界は逃げ馬が豊作だった。パンサラッサ、ジャックドール、そしてタイトルホルダー。GⅠ級の逃げ馬がこれだけ揃うことも珍しい。この背景には専ら、ディープインパクト

GⅠフェブラリーステーク

序文 最低からはじまった最強の伝説 今年で41回目を迎えるGⅠフェブラリーS、歴代の中でも最大の番狂わせとなったのが今からちょうど10年前の第31回大会。 勝ち馬は最低16番人気からの勝利。JRAの平地GⅠレースでは、エリザベス女王杯サンドピアリス、スプリンターズSダイダクヤマトに続き、史上3頭目の快挙だった。 コパノリッキー 33戦16勝、引退までの獲得賞金はおよそ9億5千万。 ダート競馬史に残る金字塔を打ち立てた。 主な勝ち鞍は14・15年のフェブラリーS連覇他、

GⅡ京都記念

序文 「芦毛は走らない」 京都記念の創設は1942年、太平洋戦争下のことだ。当初は春・秋の2回開催だったが84年に春開催のみに、94年からは別定戦に変更と、形を変えながらも長く続いてきた。 GⅡ重賞でありながら、JRA伝統の一戦である。 今回、京都記念をテーマに何か書こうと決めてから、歴代の優勝馬を一頭ずつ見ていた。クロノジェネシス、テイエムオペラオー、ビワハヤヒデ、錚々たる名前が並ぶ中、ある一頭に目が留まった。 スダホークは1986年に京都記念を制覇。 ファンから〝白

GⅢ根岸ステークス

序文 あなたが競馬を愛する理由 嘉永6年(1853年)、米の代将マシュー・ペリー率いる合衆国海軍・東インド艦隊が横須賀の浦賀港に来航、鎖国国家日本および江戸幕府への開国を要求した。 世にいう「黒船来航」である。 この事件を機に日本は幕末の動乱期へと突入することとなる。 翌年、江戸幕府は「日米和親条約」を締結。正式に国交が始まると、幕府は東海道から離れた小さな漁村「横浜村」を開発し、外国人向けの居留地を作り上げた。…現在の横浜市の基礎はこの時生まれた。 外国人の居留とと

GⅠ東京大賞典

序文 『挑戦』 ―地方から中央へ― 羽田空港から車で5分、航空の町の護岸沿いを走ると大きな赤鳥居がある。 御祭神は『豊受姫命(トヨウケビメノミコト)』。東京を代表する稲荷神社であるとともに、大正年間からは空港に最も近い神社として「空港鎮護」の任を負う。由緒正しき神社である。 穴守稲荷神社(あなもりいなりじんじゃ)は、地元では古くから「あなもり様」の愛称で慕われている。 1985年、後に東京馬主協会の会長を歴任する保手濱忠弘オーナーが、自身がよく参拝する穴守稲荷で、「一番に

GⅠホープフルステークス

序文 名馬になるための条件 つい先日の有馬記念は22年ダービー馬、 ドウデュースの勝利で幕を閉じた。 鞍上は武豊騎手、競馬界を代表するレジェンド騎手が勝ったことで、レース後の競馬ファンはいつも以上に盛り上がっていたように思う。そういう私自身も、馬券を外してしまったにもかかわらず、レース後のコメントには大層感動してしまった。不意の怪我から復帰しての一発回答。TV実況も言っていたが役者が違う、素直にそう思った。 鞍上はこれで有馬記念4勝目。オグリキャップ、ディープインパクト

GⅠ有馬記念

序文 「もろもろの心、柳に任すべし」 「グランプリ」という言葉は「Grand Prix」、フランス語で「大賞」、grand(大きい・最高の)prix(賞)を指す語である。 年末になると話題になる「M-1グランプリ」等、現代の我々にとっては耳馴染みの強い言葉であろう。 戦後、はじめてこの単語が広まったのが1951年に黒澤明監督の映画「羅生門」が公開された時だといわれている。ヴェネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した際、「国際映画祭でグランプリ受賞」と国内報道された

GⅠ朝日杯FS

序文 血統の証明 2015年の朝日杯は、歴代の中でも特に印象深いレースだった。 まず武豊の平地GⅠ全レース制覇がかかった一戦だったこと、もう一つはその武が騎乗するエアスピネルとライバル・リオンディーズの血統関係にあった。 デビューから2連勝、GⅡデイリー杯を制して1番人気で乗り込んできたエアスピネルは父・キングカメハメハ、母・エアメサイアの良血馬。 対する2番人気、Mデムーロ騎乗のリオンディーズは父・キングカメハメハ、母・シーザリオというこれまた超良血統だった。 エアメサ