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【座談会】テレビ番組リサーチャーたちのあるある「リサーチャーはテレビ番組をこう見ている」

こんにちわ。
テレビ番組のリサーチ会社フォーミュレーションnote編集部です。

今回は、テレビ番組のネタ探しや人探し、情報リサーチなどをしている現役リサーチャーが、テレビ番組をどういう風に見ているか。
「リサーチャーあるある」や「燃えるリサーチ」、「困ったリサーチ」を座談会形式でご紹介したいと思います。
現場のスタッフにざっくばらんに語ってもらいました。

【座談会メンバー紹介】

・高木(リサーチ歴19年目/部をまとめるキャリアウーマン)
・長尾(リサーチ歴18年目/職人気質のリサーチャー。愛称・博士)
・井上(リサーチ歴14年目/社員紹介記事でいいねが伸び悩んでいる)
・秋田(リサーチ歴10年目/女性メインのトーク番組を担当)
・近江谷(リサーチ歴9年目/雑学番組を担当する部のマスコット的存在)
・丸山(リサーチ歴8年目/脱力系お酒大好き男子)
・久保田(リサーチ歴3年目/お酒大好き今時女子)
・奥野(リサーチ歴2年目/イケメン元スタバ店員)

【テーマ①】リサーチャーあるあるネタ

・海外映像や情報の出典元を気にしてしまう
・心霊を探すリサーチは、リサーチャーも怖い
・会議で盛り上がったネタ・・・それ本当ですか?
・タレントさんのプロフィールを調べていると、親近感がわいてくる

【井上】
僕は海外案件、特に海外映像を多く扱っているので、海外リサーチャー目線でいうと、テレビ番組で海外映像を見た時、だいたい、「あ~、この映像はあの映像会社のものだな」とか、画面上に表記されている「クレジット」を見て、「この映像はこの人が権利を持っているんだ~」って、映像の権利元を気にしちゃいますね。
あと、面白い映像って何年たっても採用されることが多いので、僕としては「懐かしいなぁ」とか「また使われてる」って思うけど、視聴者の皆さんからしたら初めて見る人も多いだろうし、反応もいいから、やっぱり古くても良いものは良いんだなって思います。

【近江谷】
「クレジット」見るのはリサーチャーあるあるかもですね! 
海外案件やってない私も「こんな会社あるんだ」とかもあるし。

【奥野】
僕も普段からテレビを見ててクレジットとか「尺長いから料金高いだろうな」とか放送内容よりも裏のことを考えるようになりました・・・。
あるあるかはわからないのですが、担当番組の都合上、普段から心霊映像を見すぎてる弊害で休みの日に心霊番組やホラー映画を見ても何も感じなくなってしまいました。
今めちゃくちゃお化けに強いと思います。

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【井上】
昔、働いていたスタッフに、心霊映像が全く見れないスタッフがいて、
心霊番組の映像リサーチきたけど、
絶対無理ですって泣きながら言ってきたから、変わったことあるよ。
リサーチ頑張ったけど、なかなか怖い思いしたよ。
お化けはいるよ。

【久保田】
私は怖いのだめだったんですが、廃墟を調べすぎて最近は写真に写ってる~とか自殺スポット~とかぐらいなら大丈夫になりました。
全部嘘だろって思っちゃいます。
お化けはいません。

【長尾】
最近は内容の裏をとって欲しいみたいなリサーチもあります。
会議中にwikipediaで見た情報を話されることもあるけど、こちらとしては、wikipediaは裏取りしづらいんですよね…。

【高木】
これ、本当に「あるある」です。
昔は情報が無いものを必死に探して追いかけて辿りつく…がリサーチだったんですけどね。
今は「コレが正しいか?」って“裏取り”のお仕事も多い
です。
(要するに“エビデンス”ってやつです 苦笑)
ネットが広がって、誰でもなんでも発信できる様になって。情報が「嘘」か「本当」かを探る…って、これからもますます増えていきそう。

【近江谷】
「○○が好きな芸能人」のような、タレントさんのキャスティング案を提案する機会も多い中で、「知名度ある人だけど、実は○○が好き、でもその情報はほぼ世に出てない」ような情報が見つかると、その情報をもとに実際にキャスティングされ、番組内で焦点があたって話題に…みたいな事が起きたりするので、力が入りますね。
それが”テレビ初出し情報”となったり、タレントさんの新しい一面として別の何かにつながると嬉しいですね。

【秋田】
タレントさんの情報リサーチは、色んなエピソードが出てくるのでやってるとその人への好感度が上がります。
たとえば、長濱ねるちゃんの近況エピソードを調べているときに、家飲みで「ハイボールを10杯は絶対飲む」と告白していて、一気に親近感が湧きました。わたしもお酒が好きなので。
Twitter上で誰とどんな絡みしてるのかとかも見ると、意外な交友関係が知れたりするのは楽しいです。

【長尾】
タレントの情報リサーチやっているうちに親近感がわくのは、リサーチあるある。

【近江谷】
テレビでみた事あるあの人!がどんな事が好きで、どんな番組に出演した事があって、どんな事にハマっていて…というのを、古い雑誌や本人のインタビュー記事、本人の公式SNSから探っていくのは、好きですね。
その人のことを調べていると、全然自分の中で興味のなかったジャンルとか音楽、映画とかドラマも興味がわきますし。
仕事面でも会議場で「そういえばあの俳優さん、〇〇好きですよ~~」とか話せます。

【テーマ②】こんな調査依頼は燃えるリサーチ

・連絡先や場所など、何かを特定するリサーチは燃える
・「○○を最初にやった人は?」、発祥を探すリサーチは燃える
・キャスティング案の提案は燃える

【丸山】
連絡先調べてくださいとか写真からその場所を特定するようなリサーチは好きです。見つけた時のスカッと感含めて。謎解きみたいな感じです。

【近江谷】
写真をすご~く拡大して周りの看板を読み取ったり、映っているお店の位置から確認したりね。

【井上】
写真から辿るのは燃えるよね。
昔、写真に写っている飛行機の機体記号から国や地域を割り出したことある。日本はJAから始まって、アメリカはNから始まるみたいな。

【長尾】
「〇〇を最初にやった人は?」とか発祥を探すリサーチは燃えるかも。
ルーツがはっきり分かるものってなかなか無いですが。
過去やったので言うと「アルプス一万尺の手遊びのルーツ」を探して欲しいというリサーチ。ネットを叩いても(←リサーチャー用語?)出なかったのですが、古い文献を当たる中で「アレ最初に作ったの私たちです」という人を探し当てられたのは妙に感動したのを覚えてます。
ちなみにこの情報、今ググったとしても出てこないぐらい。

【井上】
そこまで掘り下げれるのは、経験の賜物ですね。
ネットがない時代の情報を探すのって、めちゃめちゃ大変ですね。
昔はよく図書館巡ったり(今もだけど)、いろんな人に電話して聞いたり、オープンになってない情報ばかりだったから、リサーチにしても資料作りにしても、時間と手間がかかった印象があります。
映像データだって、めちゃめちゃデカいテープを海外から1週間とかかけて取り寄せてましたもん。

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【長尾】
昔話はほどほどにしますが、アーカイブに関しても「こんな映像持もっていませんか?」と関係各所に電話をかけまくってたり、文献も国会図書館とか大宅壮一文庫にこもって探すみたいなことは結構ありましたね。

【高木】
私はこの「ルーツ」話、厄介案件のイメージですよ。
発祥だの、初だの、発だの、元祖だの…皆さん「我が我が」で宣伝してるものも含め、触ると「なんであっちが最初なんだ」の地雷。
コレを紐解くのは難しい…。

【テーマ③】過去調査報告に困ったリサーチ

・番組に出演してくれる一般の方探し
・ざっくりとした発注や「何でもいいのでください」は結構やりづらい
・ツチノコは見つけられません

【井上】
困ったリサーチ・・・リサーチは無理を言われることが前提の職業なんですが(笑)
一般の方で番組に出演してくださる方を探すリサーチは、内容によってはなかなか見つからず、困りますね。
前に、ある番組で日本に来たばかりで日本語もできない日本のタレントの事も知らない外国人の方を30名集めてほしいと言われたことがありました。
普通に日本人一般人の方を探す場合は、アンケートだったり、ピンポイントで当たるんですが、この場合はそうはいきません。
あまり時間もない中、都内の日本語学校に電話をかけまくったりして、出演承諾書も取り付けて、あと数人というところまでは何とか集めましたが、そこからが全然見つからず。
どうしようか途方に暮れていました。
その時、会社の裏の神社で祭りをやっていたので、息抜きにフラッと行ってみたら、イケメン外国人が2名!思い切って声を掛けたら、1か月前に日本に来たばかりのフランス人で、某有名インターネット企業に勤める方たちでした。企画を説明したら、出演を承諾してくれて、当日もちゃんと来てくれました。
収録が遅い時間からでしたが、自分も立ち会い、30名の外国人の方たちのテンションが下がらない様に控室でずっと話してました。
みんないい人たちで、なんとか無事に収録を終えることができました。
困ったというか、大変だったけど思い出に残るリサーチでしたね。

【高木】
懐かしいですね。あれはファインプレーでした。笑
テレビって「事務所に所属してる人」に出演依頼するのが多いんだけど、「一般人がいい」っていうのも常にあって。
一般の人の方が場慣れしていなからこそ、時々笑神さまが降りてくるんですよね。

【丸山】
発注が来た時に○○っぽい感じって言うのがだいたい固定されてきます。
「迫力のあるスゴ技」みたいな発注がきたら「奈良の中谷堂の餅つきっぽい感じ」とか「資格を持ってる芸能人」って発注がきたら「西村知美的な」って感じになります。
あと、「なければないでいいので…」みたいなものが一番困ります。調べてみて出てきたら困るので「なかった」で返すわけにはいかないし、かといってなさそうなものを発注されてる時点で情報が見つかるかもわからないので…解決法あれば知りたいです。

【高木】
個人的な意見かもしれないですが…リサーチって細かい依頼の方が、探しやすく燃えやすいって思ってます。
例えば、依頼が「なんでもいいから雑学ください」、これ、スゴイやりづらい。
それより、「野菜の雑学ください」これ、一般的。
更に、「トマトの雑学ください」
ここまで来ると、やりがいもあるし、リサーチャーも調べていて面白い。
連絡先探すのも、「この人」って人がピンポイントの場合が面白いし、人探しも、狭ければ狭いほど(条件が厳しいほど)探し出した時はヤッタッタ感、あります。
(とはいえ、ホドホドじゃないと見つかりませんが…)

【近江谷】
雑学系で言えばたしかに細かければ細かいほど、やりやすいですね。
その時期は『世の中でここまでトマト知ってるの私だけじゃない?』て思うくらいに詳しくなりますね。

【長尾】
「なんでもいいから雑学ください」っていうリサーチって大概は「出る分だけで良いので」みたいな感じで締め切りの設定されることも多いから困る。

【高木】
リサーチ歴十うん年の私の【困ったリサーチ】。
速攻でお断りしちゃいましたが「ツチノコを探してください」の依頼。
高木:「ツチノコって、あの…」
制作:「そう、あの…」
高木:「えっと…探して見つけるってことですかね?いません、できません、無理です…」
制作:「え…」

当時、ツチノコって見つけたら1億だか2億だか…報奨金が出る生き物で。リサーチャーが探して見つかる訳ないじゃん!と。
いや、居るかもしれませんので、いつか、いつの日か、見つかることを期待しつつ、、、笑。

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【井上】
オカルト系の番組によくあるやつですね。僕も何度かあります。
「ビッグフット撮りに行きたいんですけど、いますかね?」って。
「ん~、どうでしょう」としか言えませんでした・・・。
撮りたいのはすごくわかるんですよ。僕も協力したいですよ。
でも、それって・・・。

最後に

リサーチ現場で働く現役リサーチャーたちのざっくばらんな座談会、いかがでしたか?
人によっていろんな見方があったり、燃えるリサーチがあったり、リサーチャーも個性の塊みたいな人たちが多いです。
また、同じリサーチでも、ご依頼の仕方でリサーチのしやすさもずいぶん変わるので、ご参考にしていただけると嬉しいです!
番組作りに少しでもお役に立てればと思い、今日もリサーチ頑張ります!

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