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野菜は小さい方を選ぶといい⁉(第1回)

こんにちは、フォレスト出版編集部の杉浦です。

みなさん、ふだん、野菜はどういう基準で選んでいますか?「形がきれいなものは美味しそう」「色がはっきり濃いのは栄養価が高そう」「買うなら少しでも大きい方がお得」……こんなところでしょうか?

野菜を選ぶ際、価格や見栄えなど、いくつか基準があるかと思いますが、

「安全」
「栄養価」

という2つの観点からすると、実は、野菜によっては、

「色が薄い」 
「きれいな円形じゃなくて細長い」 
「サイズは小さめ」

といったものが、より安全で栄養価が高い、とされます。ちょっと意外な気がしますが、私はこの話を聞いたとき、納得する部分もありました。というのも、大学の同級生が鹿児島で自給自足に近い暮らしをしていたことがあり、庭で鶏を飼って卵を食べていたのですが(最後は自分で鶏を“つぶして”、あますところなく戴いていました)、同級生は、「本当の卵って黄味の色が薄いんだよね」と言っていたのです。いかにも卵黄!といった、濃いオレンジの黄味こそ珍重されるイメージですが、それは、不自然な配合飼料の影響なのだそうです。黄味の色が濃いと、オートマティックに「栄養豊富そう!美味しそう!」と思っていましたが、そういうわけではないんだと、なかなかインパクトのある思い出があったのです。

そうした体験や、ロシアのダーチャを始めとした農業に関する色々な話がきっかけになって、このような本をつくった、と以前に記事を投稿しましたが、その書籍から、ズバリ、“安全で栄養価が高い”野菜の選び方をご紹介します。

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人参と玉ねぎ、どちらもいちばん右のサイズの小さいものが栄養価が高い

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(上の写真の右)種が多く、味もしっかりした在来種のトマトがオススメ
(下の写真の右)小松菜などの葉野菜は、本来葉脈が左右対称に伸びる

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(上の写真の右)玉ねぎは本来細長い形に育つ
(真ん中の写真の右)表面に虫が這ったあとがある芋類は無農薬の証拠
(下の写真の右)本来の自然なピーマンは色が薄い

いかがでしょうか? 今まであまり耳にしたことがない基準ですよね。これらの判断基準を記したのがこちらの書籍です。

本日は、本書から「はじめに」をご紹介し、次回以降、どうしてこういった判断基準になるのかをお伝えしていきたいと思います。

はじめに

「野菜は小さい方を選びなさい」
「オーガニックだから『安全』『美味しい』ではない!」

 あなたはどんな気持ちでこの本を手に取ったのでしょうか?

「え! 本当?」

 そんなふうに思われたのではないでしょうか?
 世の中でよいと思われていること、正しいと思われていること、常識と思われていることのなかには、本来の姿とは真逆であることが多くあります。
 特に、自然を相手にしたものであればあるほど、その傾向は顕著です。
 僕は、もともとテレビ業界、IT業界に長いこと身を置いてきました。人生が大きく変わるような出来事があって、今は、農業を生業にしています。
 都会から離れ、自然のなかに身を置くようになってから、今まで教わってきた、自然についての多くのことが間違った思い込みだったことに気づきました。
 自然に寄り添えば寄り添うほど、自然には一切の無駄がなく、実はとても効率的な世界であることがわかりました。完璧にシステム化された都市生活のオペレーションをもってしても、自然に敵うことはないと断言できます。
 本書では、僕自身が身をもって体験してきた気づきを、みなさんにシェアしていきたいと思います。
 それらの事実は、自然からの恩恵である食への考えを変えるものになるかもしれないし、あなたの生き方を問い直すことになるかもしれません。
 現代人は、見えない敵と戦っている。僕にはそう見えます。
 敵はいったいどこにいるというのでしょうか。
 畑に行けば、目の前に土があります。そして手のなかに種があります。その種を土のなかにそっと埋めると、種が芽吹きます。
 芽吹いた種は茎を伸ばし、葉を出し、花を咲かせ、実を付け、種を残します。
 あなたがしたことは、手のなかの種を土に戻しただけです。あとは、太陽と空気と水と、そして土のなかの微生物の力だけで、種は命のリレーを繰り返していきます。
 種を蒔くあなたの存在はとても重要ではありますが、植物の成長にとって、あなたの手は必要ありません。
 しかし、あなたは見えない敵と戦いはじめます。草と戦い、天候と戦い、虫と戦い、成長という時間と戦います。
 その戦いは本当に必要なのでしょうか。
 あなたが争いを望まなければ、戦いは起きません。なのに、あなたは一生懸命戦いを作り出しています。
 戦いを挑まないこと。争いを望まないこと。
 それが僕が提唱する無肥料栽培の基本です。
 都会に暮らし、あるいは街に暮らし、生活のために働く時、時に嘆き、時に苦しみ、時に絶望することもあるでしょう。
 それは、あなたが見えない敵に戦いを挑んだ結果に過ぎないのです。
 人生は必然を繰り返しながら進んでいきます。あなたに起きた出来事を素直に受け止め、そのまま受け入れると、戦いは終わります。
 戦わなければいいだけです。戦わなければ、人は幸福になれると、僕は思います。
 岡本よりたか 

※本稿は『野菜は小さい方を選びなさい』(岡本よりたか 著)より抜粋したものです

「野菜の本なのに人生の話?」と思われたかもしれません。先述した大学の同級生は、「食べることは生きること」と言っていました。本書も、野菜の選び方から始まって、最終的に、著者の岡本さんの哲学や想いが目一杯詰まった本になりました。ゆっくりと版を重ね、先日3刷に。スローペースですが着実に、必要としている方々に届いているようです。

それでは次回から、どうして小さい野菜を選ぶべきなのか、その理由に迫ります。

(Photo by Lucy-Claire on Unsplash)

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