見出し画像

【人間関係】ハラスメントのタイプと10の攻撃パターン

こんにちは。
フォレスト出版の森上です。
 
職場やママ友、学校、ご近所さん、趣味サークルなど、あらゆるコミュニティに存在する「女子ボス」
 
「自分を脅かす存在だ」と思ったら、“子分”とともに、嫉妬、陰口、マウンティング、無理難題の押し付け、集団無視……といった、めんどくさい攻撃を仕掛けてきます。
 
産業カウンセラーとして、人間関係の悩みや相談に応じてきた川村佳子さんによると、そんな「女子の人間関係」に大きな影響力を持つ、この厄介な人物に悩む人は多くいるそうです。
 
川村さんいわく、女子ボスがやっている攻撃や嫌がらせは、立派な「ハラスメント」だと言います。
 
川村さんによると、「ハラスメント」は、大きく2つのタイプに分けられ、いくつかの攻撃パターンが存在するそうです。ハラスメントをする人物は、同じようなことをいろいろな場所で繰り返し行なっています。
 例えば、職場の新人に対して、ママ友同士の間で、趣味のコミュニティで出会った仲間など、どこへ行っても同じようなことを繰り返しています。ハラスメントをせずにはいられないのです。
 ハラスメントを受けた側は、攻撃をされると恐怖を感じ、委縮してしまうかもしれません。しかし、こちらが落ち着いて観察をすると、ハラスメントのパターンを見つけることができるといいます。
 
川村さんの新刊『「女子ボス」のトリセツ』では、ハラスメントの2つのタイプに分類し、10の攻撃パターンを解説しています。今回は、その該当箇所を一部編集して公開します。

ハラスメントの2つのタイプ

①「支配型ハラスメント」タイプ

 不安や怖れから自分を守るため、攻撃の欲求が非常に強く、他者をコントロールしようとするタイプです。
 ハラスメントに共通するのは、前述のとおり「ナルシシズム」です。その強い攻撃性から、「自分に自信があり、自分が大好きでたまらない人物」に見えるかもしれません。しかし、そこには深刻な劣等感と隠された自己存在への自信のなさがあります。
「弱い犬ほど、よく吠える」という言葉がぴったりでしょう。
「気に入らない」と判断した新人や、「自分の立場が脅かされるかもしれない」と判断した人間には、出会ったその日から攻撃が始まります。「優位性」を保とうとする必死さがゆえに、相手を攻撃せずにはいられないのです。
 自分が大好きな反面、「自分の自信のなさに気づかれたらどうしよう」という恐怖心が存在しているのがナルシシズムです。
 例えば、いつも新人をターゲットにいじめをし、次々に人が辞めていくようなブラック企業やコミュニティなどには、このタイプの人間が存在しているケースが多く見られます。

②「ストレス発散型ハラスメント」タイプ

 他者や職場、社会といったように、すべてを相手の責任にして、憂さ晴らししたいタイプです。「ただムカつくから」といった理由で、不快な行動や、脅威を与える行動を取ってきます。
「八つ当たり」という言葉がぴったりでしょう。
 例えば、「私は結婚していないのに、なんであなたには素敵な旦那様がいるわけ?」という嫉妬心や、「私は上司から気に入られていないけど、あなたが気に入られているのは納得がいかない」といった身勝手な理由からハラスメントをするタイプです。
 自信のなさや、人生がうまくいかない理由をすべて他者のせいにして、ストレスを発散します。
 嫉妬心や、差別意識を持ちやすいのが特徴です。例えば、「結婚が決まった女性に冷たい態度を取る」「外国人や年下には態度が大きい」「わざと大きな音を出して威嚇する」など、態度に出やすく幼稚なのが特徴です。

ハラスメント特有の10の攻撃パターン

①二重拘束(ダブルバインド)

 ダブルバインドとは、両側から拘束され、見動きが取れない状態を意味します。私たちは、相反する2つのメッセージを受け取ると、どうしていいのかわからなくなり、精神的に束縛されていきます。
 例としては、以下のようなものがあります。
 母親から、「あなたの好きな、行きたい高校に行きなさい」と言われたので、自分の行きたい進学先を選んだとします。そして、実際に選んで進学先を母親に伝えると、「そこはダメでしょう! 最低でも○○高校ね」などと言われる。
「好きなところへ行きなさい」というメッセージと、「そこはダメでしょう」という、相反するメッセージをもらうと、子どもは何を選んだらいいのかわからなくなります。
 また、上司から「新人でも、やりたい仕事があったら、どんどん挑戦してくれ!」と言われたので、実際にやってみると、「新人のくせに生意気だ」などと言われたりするなど、私たちは相反する2つのメッセ│ジを受け取ると、真実がわからず混乱し、考える力を失っていきます。
 このダブルバインドは、ハラスメントの中でもよくあるパターンで、基本形とも言えます。
 ハラスメント常習者になると、言葉では褒めているけれど、態度が冷たいなど、送ってくる言語メッセージと非言語メッセージが違うというような手法を使ってきます。受け取る側は、相手の本心がどちらなのかわからず、混乱していきます。
 また、「あなたはやればできるのよね」という言葉も、ダブルバインドに該当します。「やればできる=今はできていない」という意味になりますので、できない自分が悪い、今は何もできていないのだと、どんどん罪悪感に苦しめられていきます。

②感情を搾取する「ミスティフィケーション」

 ミスティフィケーションは、イギリスの精神科医R・Dレインが提唱していた概念で、「相手の感情を搾取する」巧妙な介入方法を指します。
 要するに、自分の都合の良い方向に誘導し、わけをわからなくすることです。
 例としては、以下のようなものがあります。
 ママ友同士の場合、「○○さんは、ママ友同士の集まりに全然興味ないみたいだから呼ばなかったの」と言って、自分にとって都合の良い人間関係の方向に巧みに誘導していきます。
 友人同士でも、「あなたはああいう仕事は続かないよ」と決めつける、合コンで「あなたは、この男性は好きなタイプじゃないよね」などと言い、相手に「自分はもしかしてそうなのかもしれない」と思わせ、惑わせていきます。
 ハラスメント常習者が非常によくやる手法で、「あなたは、こういうことを望んでいるのよ」というメッセージを、いろんな方法を使って送り、相手を惑わせていきます。目的は、自分が望む方向に誘導していくためです。
「愛情を装いながら、他者の気持ちを搾取していく」
 これが、ミスティフィケーションです。

③人間関係を切り離していく「三角コミュニケーション」

 今ここにいない第三者の名前を利用し、「私はあなたの味方だから」という雰囲気を出しながら、人間関係を切り離していくコミュニケーションの手法を「三角コミュニケーション」と言います。
 例としては、以下のようなものがあります。
「あなたのこと、○○さんが悪く言っていたよ」
「○○部長があなたのことを仕事ができないと言っていた」
「あなたの彼氏が浮気しているのを見かけた」
 など、第三者が言っていたと伝聞する形のコミュニケーションです。
 この三角コミュニケーションは、かかわる人たちのエネルギーや信頼関係を少しずつ削いでいくのが特徴です。
 今ここにいない人の発言をコミュニケーションに取り込んでしまうと、一方的にバイアス(偏り)がかかってしまいます。
 例えば、それがネガティブな内容であれば、それを聞いた人はネガティブな想像が膨らみ、どんどん疑心暗鬼になっていきます。
 また、
「みんな言っていましたよ」
「他の人たちも思っていますよ」
 などという、あたかも大勢が言っているかのようなコミュニケーションの取り方も、一方的にバイアスがかかります。
 こういったコミュニケーションは、実際より話が大きく歪んでしまっている場合があります。
 ハラスメントをする人物は、極端なバイアスをかけてきますので、言われた側は、話半分で聞いておく必要があります。また、実際の話は反対だったということは、よくあることです。
 あなたと誰かを仲違いさせる目的や、人を不安に陥れるための手法として使われます。三角コミュニケーションに巻き込まれた場合は、動揺せず、事実関係を確認してください。

④話の主旨を本来のテーマから移す「カテゴリーエラー」

 自己防衛のために話の主旨をズラし、自分の正当性を主張するのが「カテゴリーエラー」です。
 例としては、以下のようなものがあります。
「社員食堂の冷蔵庫から、飲料水や食品がなくなる日が続いています。防犯カメラに盗んでいる年配の社員が確認できました。これは犯罪です。このまま放っておくのはまずいです」
 と社員の不正を追及している部下に対し、上司が、
「あなたは、私の信頼する同期を侮辱するの?」
 と恫喝する。
「不正についての追及」が、管理不行き届き責任や、面倒な問題から逃れたいという自己保身から、いつのまにか「上司の人間関係問題」に話題がすり替えられています。
 他にも、体調不良になった社員の休職の必要性について議論しているのに、上司がメンタルヘルスについての知識が全くなく、「気の持ちようで何とかなる。気合いが足りない」など、精神論にすり替えられていくケースなどがあります。
 このように、一見正当な主張に見えますが、詳細に検討していくと論点がズレていることがわかります。
 無意識的な心理的防衛により、本来話すべき話題の論点が、巧妙にすり替えられていくのがカテゴリーエラーの特徴です。

⑤自分が「善」だと決めつけ攻撃する「人格攻撃」

 教育や指導とはかけ離れ、「対話」が成立せず、精神論的なところで人格を攻撃してくるハラスメントです。
 例としては、以下のようなものがあります。

「お前は甘えている」
「人間として失格。親の顔が見たい」
「あなたみたいな人は、職場にいらない存在」
「教師に向いていないから、早く仕事を辞めなさい」
「荷物をまとめて新しい職場に行ったほうがいい」

 人格攻撃は、精神的暴力に該当します。絶対に許されません。
 あなたがたとえ重大なミスをしてしまったとしても、ミスをどのようにリカバリーするのかが問題であり、精神論的なところで人格を攻撃されることは間違いだということを知っておいてください。

⑥小さなネタを重く扱って責め立てる「針小棒大」

 小さなことを、あたかも重大なことのようにして攻撃してくることを言います。
 攻撃された側は、少しずつ罪悪感を植え付けられます。言われたことを鵜呑みにしてしまうと、事実が見えなくなり、判断能力を失っていきます。そのせいで、人間不信に陥り、孤立してしまうこともあります。
 例としては、以下のようなものがあります。

◎一度のミスを、毎日ミスをしているかのように話を誇張して伝える。
◎あたかも大勢が言っているかのように「みんながあなたの悪口を言っていた」「全員が噂している」などと言う。
◎話に尾ひれをつけて、言いふらす。

 ハラスメント常習者になると、「相手のミスをすべて紙に書き留めておく」「小さな相談を重大な出来事として扱い、裏で上司に報告する」など、相手を陥れる材料にします。

⑦最初は親切! 過保護な態度で恩を売る「布石」

 最初は親切に挨拶をする、いつも仕事を教えてくれる、毎回お土産をくれるなど、過保護とも思えるほど世話を焼いてくれる。ところが、それは将来に備えて行なう手回しに利用されるパターンです。本当の目的は、別にあります。
 例えば、以下のようなものがあります。
 次期トップの座、あるいは自分の思いどおりにまわりを動かすことが目的であり、今のうちに恩を売っておいて、後々言うことを聞かせるためや、支持率や人気を得ておいたほうが得だろうという、利己的な考えから過剰に親切にするパターンです。
 親切心なのか、ハラスメントなのかを見分けるのは難しいですが、ハラスメント常習者は、得てして損得を計算する能力に長けています。そこをよく観察できるかが、ポイントです。

⑧密室になると途端に変貌「悪魔の顔」

 周囲の人には人当たりも面倒見も良く、好印象だが、ターゲットと2人だけの密室になると、途端に「悪魔の顔」へと変貌する攻撃パターンです。
 例えば、以下のようなものがあります。
「直属の上司がいない間に、新人に嫌がらせをする」
「口実を見つけては個室に呼び出し、人目のつかないところで説教を始める」
 などです。
 家族間の場合は、家の中では独裁者だが、一歩外に出れば愛想の良い、理想の父親や母親を演じるなどです。
 DVの加害者にも似た姿と言えます。
 世間体が気になり、自分に対する周囲の評価は落としたくないため、こっそりバレないように攻撃を行なうパターンです。
 密室になると、目撃者がおらず、会話の録音などをしない限り、証拠材料が少ないため、悪質なハラスメントに発展する可能性が大きいパターンです。

⑨突然やってくる優しさ「ハネムーン期」

 ハラスメントを行なう人物は、時々、突然ぱったりと攻撃をやめ、優しくしたり、励ましたりするような素振りを見せることがあります。
 これを、「ハネムーン期」と呼びます。
 例えば、以下のようなものがあります。
「いつも頑張っているね! 本当に助かるよ」
「うちの団体はあなたの力があってこそ! 期待しているわね」
「君は将来有望なのだから、これからもよろしく頼むよ」
 これらは真の優しさではなく、他者から「必要以上に新人や部下を攻撃した」と非難されるのを怖れるために行なう社会的担保としての優しさです。もしくは、「自分もされたらイヤだな」と思う以上の攻撃をしていることへの罪悪感からきている免罪符としての優しさです。
 したがって、見せかけの優しさにすぎません。
 なお、この奇妙な優しさは長続きせず、季節のように移り変わっていきます。元々ターゲットに対する愛情や優しさがあるわけではなく、自己保身が一番だからです。自分の社会的保身と、心理的免罪符のために行なうので、それさえ叶えてしまえば、あとは用済みなのです。
 このように、見せかけの優しさをサイクルに入れてくるハラスメントは、単純な攻撃だけのハラスメントより、深く相手を傷つけます。
 相手の優しさに安堵し、信頼を寄せたタイミングで、また裏切られるからです。
 ターゲットにされたほうは、「ハネムーン期を過ぎれば、また攻撃がやってくるのか」と怯えるようになり、家族や友人を含めた他者からの好意的な態度全般に警戒するようになり、孤立していきます。

⑩仲間外れを延々と続ける「復讐攻撃」

 ハラスメントをする人物の復讐は、中学生のいじめと同レベルの、非常に幼稚な手段を用います。
 陰口を言い続ける、裏で非難するのはもちろんのことですが、特徴的なのは「孤立化」。つまり、仲間外れにするという手法です。
 例えば、以下のようなものがあります。
 同じチームなのにもかかわらず、1人だけ会議が行なわれる場所を知らされない、会議中に帰らされる、突然、当日に1人だけ違う仕事を割り振る、または、全く仕事を割り振らない、飲み会に1人だけ誘わない。このような手法です。
 こうして物理的にターゲットと周囲の人を引き離すようにし、または、1人だけ恥をかくように仕向けることで、周囲の人を自分の味方に誘導していき、ターゲットの逃げ道を絶っていきます。
 この追い込み方は、異常なほど粘着質であり、相手が潰れたと認識するまで攻撃の手を緩めません。
 一度でも受けたセルフイメージを傷つけられた反論(「否定された」という身勝手な被害者意識)を、忘れたくないのです。そうすれば、いつまでも被害者の立場を利用し続けることができます。
 そのため、それを思い知らせるための復讐を行なっていきます。
 こうして、ターゲットは独りぼっちの環境下に置かれ続け、孤独感で正常な判断を見失っていきます。
 ターゲットをメンタル不調にまで追い込んでもなお、「完全に潰れた」と認識するまで攻撃を続けるのです。

いかがですか?
 
今回は女子ボスに限らず、「ハラスメント」の2タイプと10の攻撃パターンをご紹介しました。

今回ご紹介したような女子ボスからのめんどくさい攻撃から身を守るためにはどうすればいいのか?
 
「ハラスメントの駆け込み寺」として人間関係に悩む、多くの女性の心を救ってきた産業カウンセラーの川村佳子さんが、数多くの事例を交えながら「女子の人間関係」のキーパーソン「女子ボス」の生態と対処法をわかりやすく解説した新刊『「女子ボス」のトリセツ』は、明日7月13日より全国主要書店で発売開始です(Amazonではただいま先行発売中)。興味のある方はチェックしてみてください。

本記事のヘッダーイラスト:くにともゆかりhttps://hoshiimoppp.tumblr.com/

表紙をクリックすると、Amazonに飛びます。
7月13日より全国主要書店の「心理」コーナーで発売開始

▼関連記事はこちら

 
 





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?