見出し画像

本ってやっぱ良いよな


「推し、燃ゆ」(宇佐見りん)
芥川賞最年少受賞。
これを選んだ審査員のフレキシブルな感性に拍手。

推しが燃えた。
ファンを殴ったらしい。
まだ詳細は何一つ分かっていない。


何の変哲も無いようで、読み終えてから2週間たった今もなぜか印象に残っている冒頭の文。
まずタイトルで始まっていること。
これが印象を与える第一の理由。
そして推しが炎上したにもかかわらず、冷静な口調で描かれていること。
現実をいまいち受け止めきれないことを感じさせる。
事実を述べるだけで、読者に感情を想起させることができるんだと驚いた。

カバーはまた印象的だ。
思わず目を引いてしまうピンク色。
ビビットではなくペールトーンで手触りが良かった。
ダイスケリチャードというイラストレーター作。

芥川賞は正直、お堅い文学しか選ばないと思っていた。
近現代的なテーマ、「押しの炎上」を描いた作品を選んだことに驚いた。
これを機に若者に文学好きが増えればと願うばかりである。

集中力もいらず、手軽に楽しめるコンテンツ(Youtube、Netflixなど)が流行している。
2倍速で見る人が多いことを揶揄するような記事を目にした時、コンテンツの大量消費社会が来てしまったのかと悲しく思ったりもした。
なぜならぼくもその一人だからだ。

誰もが気軽に発信できる時代。
面白いコンテンツが飽和し、とても全ては見れない。
でも少しでも多くみたい。
だから目まぐるしく画面が切り替わるTikTokやInstagramが流行する。

1つのことを継続して楽しむことが少なくなっている。
できるだけ多くの“楽しみ”を享受することが主流になっている。

だからこそ、本を読んで欲しい。
短時間の多くの刺激からは得られない、長時間にわたる末に獲得できるじんわりとした幸福感。それを本は与えてくれるのだ。
10分で読める名作とか、そんなものは馬鹿らしい。
1冊をしっかりと読み込んで、楽しみを享受してほしい。
楽しみのために時間に追われないでほしい。
楽しみのために時間にゆとりを持ってほしい。

とまあ、ずいぶんと読書感想文とは程遠いものになってしまった。
けど、「本って良いな」と思わせてくれる一冊で。
作者が1歳差と知って、自分もっと頑張れるなって思えた。
内容に踏み込んで書きたいけれど、ネタバレせずに書く自信がなかったので諦めました。ご了承。
自分の目で是非読んでみて下さい。よろしく。




この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?