美忘錄

筆は折りません。

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マガジン

  • 社会に出たみたい。

  • 現実に帰ってくるために旅するタイプ

  • 多分、自我

    多分、本音。

  • 創作

    ショートショート小説。ちょっぴりネガティブで、でも元気が出るお話が好き。

  • 就活/アルバイト

    真面目に不真面目。

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本ってやっぱ良いよな

「推し、燃ゆ」(宇佐見りん) 芥川賞最年少受賞。 これを選んだ審査員のフレキシブルな感性に拍手。 何の変哲も無いようで、読み終えてから2週間たった今もなぜか印象に残っている冒頭の文。 まずタイトルで始まっていること。 これが印象を与える第一の理由。 そして推しが炎上したにもかかわらず、冷静な口調で描かれていること。 現実をいまいち受け止めきれないことを感じさせる。 事実を述べるだけで、読者に感情を想起させることができるんだと驚いた。 カバーはまた印象的だ。 思わず目を引い

    • 社会人1年目まとめ。

      長く短い1年目でした。 研修、配属、1人暮らし、残業、飲み会。 嬉しかったり、腹立ったり、悲しかったり、悔しかったり。 コロナが鳴りを潜めると同時に働き始めたので、 「人生始まったな」という感覚が強く感じられた1年でした。 たった1年、されど1年。 4つの観点(金、人間関係、時間、仕事)からの学びをここに記します。これから社会人になる方々の参考になれば幸いです。 少し長いですが、気になる章だけでもどうぞご覧下さい! 1.金:今も将来も不自由したくない生きるにはとにかく金が

      • お風呂前の億劫さは、入浴後にはすっかり忘れている

        特にやりたいことが無くなった。 だから金曜日の夜、衝動的にチケットを買った。行き先はどこでも良かった。 消去法でベトナムのハノイにした。 旅行の準備をするのが面倒だった。 だから金曜の夜に深酒をした。 朝は目覚ましの音で目覚めた。 出発までまだ2時間あった。 普段はしない掃除をして、素早く皿洗いをして、干していた洗濯を取り込んだらやることが無くなった。 お腹がすいていることを思い出したので、納豆ご飯に卵をかけて流し込んだ。 しなびたナスビを見て、こいつを食わずしてベトナ

        • 旅のスキマ時間

          旅には移動がつきもの。 必然的に生まれる何もしなくても良い時間。 持て余した脳のリソース。 あなたはそのスキマ時間を何に使う? Twitter、youtube、Instagram。 旅という非日常の空間に日常を持ち込む方は多い。でも、どうせなら、俗世間から離れてみるのも一興では。 カメラロールを漁ってみる。 去年の今頃は何をしていたか。 不必要な写真は無いのか。 デジタルデトックス、スマホの電源を落としてみる。顔を上げて、視界が開けて、何をしようか思考を巡らせて、眠気が

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        • 色々な感想とか(マンガ、小説、映画、ドラマ)
          19本

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          新卒一年目の皆様、久しぶりにRADWIMPSでも聞きませんか?

          研修期間が3日の企業もあれば、半年近く続く企業もある。 希望、絶望、失望、展望。 色々な”望み”が見え隠れするこの4月。 新卒1年目のみなさん、お元気でしょうか。 希望部署に配属されて、夢にまでみた理想の職種につけた。 思っていた数倍、自分の何もかもが通用しなかった。 採用サイトとは異なって、矮小な上司ばかりで呆れた。 未来はこれからだと、人生百年時代だと知った。 学生時代とは何かが違う。 頭の中では既にそんなことは分かっている。 だけども出来れば、あと少しだけ。 社会人

          新卒一年目の皆様、久しぶりにRADWIMPSでも聞きませんか?

          良薬は口に苦し

          コンペに負けた。 重い足取りで上司のデスクに報告へと向かう。 「すいませんでした」 下げた頭をなかなか上げることが出来ない。 「こればっかりは仕方ないよ」 悲しそうに苦笑いを浮かべる複雑な表情が心苦しさをかき立てる。 「次あるって!」 同期で一番の営業成績をおさめる慰め文句。 マンガの中ならたいていこういうセリフを吐くのは裏のある嫌味な奴で殴りたくなるのだろうが、現実世界では出来るやつは良いヤツでもある場合が多い。 「今日は早く帰ろうぜ」 その言葉に甘えて定時で退社する。

          良薬は口に苦し

          クリエイティブの有限性

          社会人と学生の違いはなんですか、と新人研修で訊ねられた。 自由時間。 お金の余裕。 責任感。 二次方程式の答えみたいに決まった答えがあるわけでもないのに、自称キャリアマスター?みたいな名前の講師はなぜか自信ありげに 「消費側から生産側に回ることだよ。」と教えてくれた。 無からお金は生まれないという常識に従うとたしかにそうとも言えるが、大学生がいくら生産性のない日々を送っているからといって何も生産していないわけではない。 大学生のアルバイトが全て生産性のないルーティンワー

          クリエイティブの有限性

          上京一日目。

          日曜日。 目が覚めると見慣れない構図の部屋が眼前に広がる。 20余年染みついた朝食習慣に則り、パンを焼く。 ポッドで沸かした湯をインスタントの一回きりのドリップバックコーヒーに注ぎ込む。 Wi-Fi環境が整っていないため、通信料を気にしつつも、applemusicでカネコアヤノを検索、一括ダウンロード。 洗濯物をいれなくちゃ、干していた洗濯物を思い出す。 未読のマンガを読まなくちゃ、明日はジャンプの発売日だ。 一人暮らしにここまで寄り添ってくれる音楽であることは、一人暮らしを

          上京一日目。

          不合理で非効率な何かを摂取したい

          「また行こな」 そうして新大阪のホームで友だちに別れを告げる。 数秒してからそっと後ろを振り返り、友人が反対側のホームに向かうエスカレーターに乗り込んだことを確認してひと息をつく。 恋人の家は三ノ宮から一駅いったところにある。 新幹線で新神戸まで出てしまえば近いが、値段が安い鈍行で行こうとすると小一時間はかかる。どちらにしても快速急行から普通列車に乗り換える手間がかかる。面倒だ。 このまま自宅に帰る方が近く、楽であることは分かっている。 同性のみで行く旅行の後は、邪な気持ちが

          不合理で非効率な何かを摂取したい

          大学4年間バイト総まとめ(家庭教師編)

          ②家庭教師 始めた動機:高時給、勉強は得意 時期   :1年前期~4回後期(4年) メリット :高時給、集団のいざこざがない、流行感度が上がる デメリット:一回当たりの稼ぎが少ない、責任が重い オススメ :集団行動が苦手、教えるのが得意、子供が好き 身につく :情報伝達力、交渉力、聞く力 ぼくの場合、大学4年間の収入の大半は家庭教師によるものです。 担当生徒は合計で13人(そのうち4人はオンライン)。 小学6年生~浪人生まで、全ての学年を担当。 国数英のみでなく、古文や理

          大学4年間バイト総まとめ(家庭教師編)

          大学4年間バイト総まとめ(居酒屋編)

          ②居酒屋 始めた動機:一度経験したかった、まかないが美味しそうだった 時期   :1年後期~4回後期(3半年) メリット :食費が浮く、がっつり働ける、友達が作りやすい デメリット:時給が低い、制服の洗濯が面倒、立ち仕事で疲れる オススメ :コミュニティを広げたい、テキパキしている 身につく :気配りアップ、家事の手際アップ、料理の豆知識 思ったよりも居心地が良くて、まかないが美味しすぎて、半年で辞めるつもりが結局卒業まで続いちゃいました。 飲食店でのアルバイトはかなりの

          大学4年間バイト総まとめ(居酒屋編)

          大学4年間バイト総まとめ(ホテル編)

          大学に入ってまずすることはサークル・部活とアルバイト選びと、相場が決まっている気がします。 星の数ほどあるアルバイト。 ・接客業(飲食・コンビニ・アパレル・レジャーetc…) ・高時給インテリ業(塾/家庭教師・インターン・SNS運用etc…) ・日雇い/派遣(引っ越し・イベント・リゾートetc…) ・夜職(風俗・ホスト・ボーイ・バーテンetc…) ・その他(家業の手伝い・せどり・etc…) 上記のようになんとなく大別してみました。 その中でぼくは主に3つのアルバイトを行いま

          大学4年間バイト総まとめ(ホテル編)

          喋り下手≠コミュ障

          あなたは一週間にどれくらい、ひとり時間が要りますか? 0でも構わないという人、おしゃべりが大好きな人にとっては、 この記事にはあまり共感できるものがないかもしれません。 学校や会社など、ある程度固定されたコミュニティでの日常会話。 久しぶりに会った友人との近況報告会。 初めましての人との会話。 一度外出すれば、親密度に関わらず言葉を交わす機会が出てくる。 さよならしてから家に帰った後、どっと疲労感が押し寄せる。 決して楽しくなかった訳ではない。むしろ楽しかった。 なのにな

          喋り下手≠コミュ障

          リンゴのおもてうら

          「最後の晩餐は何が良いかな?」 そんな会話をしたのはもう10年も前のことになる。 最後に同じ飯を食らったのは5年前。 最後に会話をしたのは3年前。 最後に目が合ったのは1年前。 最近はもう、声を聞くこともなくなった。 銀色のリングが鈍く光る。反射した光は天井に細く映って小刻みに揺れる。 物音のしない部屋で聞こえてくる自らの心音はやけに喧しい。 彼女の肌の彩度は低く、まぶたはそっと閉じられたままだ。 ベッドの横に添えられたリンゴは赤を激しく主張している。 ** 「やっぱ

          リンゴのおもてうら

          春がもたらすは(.)かそれとも(,)か

          師走の月は忙しい。 12月1日からサンタクロースの到来する24日まで続く忙しない日常と、25日から31日の妙に落ち着かない年末特有の高揚感を含んだ1週間。天秤にかけた2つの時間感覚の釣り合いは保たれると考えるのは果たしてぼくだけだろうか。 元旦から一月三日までの束の間の休息を過ごすと、日常はぼくらに意気揚々と足を伸ばしてやってくる。 夢見心地でこたつに入って仮眠しているかのように、殆ど1月に過ごした記憶がないことが往々にしてある。 2月に入ったある日のこと、春うららを感じ

          春がもたらすは(.)かそれとも(,)か

          回転寿司でペロペロすな。

          「スクラップ・アンド・ビルド(羽田圭介/文藝春秋)」 第153回芥川賞受賞作。壊して作る。 高速道路の建設途中の写真を表紙に選んだセンスに脱帽。 心身衰えゆく老人の身体とは対照的に、主人公の健斗はタフネスな身と心を手に入れるべくして精力的に活動する。筋トレ、介護、転職活動、セックス…。 自分の理想像があったとしてそれに向かって真摯に努力できる人がこの世の中にどれくらいいるだろうか。 そんな人で世の中が溢れていたとしたら、オリンピックやワールドカップが終わった後、あらゆる

          回転寿司でペロペロすな。