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そうならざるをえない何かがあった


2023年10月6日(金)朝の6:00になりました。

100人で食べたいな、富士山の上でおにぎりを(倒置法)

どうも、高倉大希です。




いちねんせいになったら、友だち100人できるかな。

この歌が、むかしから苦手です。


この歌のせいで「友だちは多い方がよい」という考え方がデフォルトになります。

クラスに集まる同級生なんて、たまたまおなじ年に生まれただけです。


何十もの人が集まれば、そりゃあ中には合わない人がいて当然です。

おなじクラスだからといって、全員が友だちだとは限りません。


彼が僕にしつこく干渉していた理由は、同じ直樹という名前だったからだと、事後処理をする大人達の会話で知った。先生が僕のことを、「直樹」と呼ぶのを聞いて、自分の名前を奪われると不安になったのかも知れない。その後、彼に怯えることはなくなった。僕を嫌う理由が分かったからだ。

又吉直樹(2023)「月と散文」KADOKAWA


クラスのみんなが、友だちになればよい。

これは、大人の願望です。


クラスのみんなが友だちになれば、大人が非常に楽なのです。

だからこそ、いちねんせいになったらこの歌をうたわせます。


100人でたべたいな、富士山の上でおにぎりを。

ぱっくん、ぱっくん、ぱっくんと。


すでに船は目的地(豊かな社会)に着いた。「ぼく」や「君」は別の小さな舟に乗って、それぞれの目的地(幸せ)に向かって航海を始めた。目的地は「ぼく」と「君」とで違う。自身が決めるしかない。目的地を決めることにさえいろいろ「試行錯誤」が必要になった。

宮台真司(2013)「14歳からの社会学」筑摩書房


大人になっても、合わない人とは出会います。

いっしょにおにぎりを食べたいとは、とても思えないような人です。


そんなときは、いつもこう考えるようにしています。

この人には、そうならざるをえない何かがあったんだ。


こう考えるようにしているというか、実際にそうなのだろうなと思います。

口がわるい人も棘のある人も、きっとそうならざるをえない何かがあったのです。


犯罪行為や自傷はやめられるならやめたほうがいいに決まっているのだが、それをしないとどうにも自分を保てないくらい患者は追い込まれている。やめたほうがいいことくらい分かっているのである。精神科医としては、規範的にその行動をやめさせるのではなく、盗撮に頼らないといけないその辛さを認めるところから診療が始まる。

尾久守侑(2022)「偽物論」金原出版


認めるとか、許すとか、そういう話ではありません。

そうならざるをえなかった「何か」を考えようともせずに、嫌厭するのは相手に対して申し訳なく思うのです。


いちねんせいになったら、友だち100人できるかな。

きっとこの歌にも、うたわざるをえない何かがあったはずです。






サポートしたあなたには幸せが訪れます。