伏線なんて回収されずに日常は続く
2024年2月11日(日)朝の6:00になりました。
こんどはこんど、いまはいま。
どうも、高倉大希です。
昔から、ミステリー小説が苦手です。
綺麗なまでに伏線が回収される物語に、嫌気が差してしまいます。
最後の一行で、衝撃を受ける。
どんでん返しが、待っている。
このような触れ込みを見ると、一気に読む気がなくなります。
読み手を欺いてやろうという意志が、どうにも好きになれないのです。
先日、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』という映画を観ました。
役所広司さんが演じる平山正木の、何の変哲もない日常を切り取った作品です。
観終わったときの感想は、「怖くなかったのかな」でした。
映画らしい特別なできごとが、まったくもって起こりません。
ド派手なシーンや手の込んだギミックを、組み込みたくなりそうなものです。
まるでそのような要素を否定するかのごとく、穏やかな日々が続くのです。
意味がないものは、いらない。
役に立たないものは、いらない。
わたしたちは、伏線が回収されないと気が済まなくなってきています。
伏線なんて、回収されずに日常は続きます。
すべてのつじつまが、ぴったりと合うことなんてありません。
ぴったりと合った瞬間に、エンドロールが流れるなんてこともありません。
これは決して、ロジックを放棄しようという話ではありません。
自分らしく生きるだなんて言葉を盾にして、考えることをやめてはなりません。
ここの塩梅が、非常に難しいところです。
わかることなんてないけれど、わかろうとする努力は大切です。
こんどはこんど、いまはいま。
平山さんはきっと今日も、東京のトイレを掃除しているのだろうなと思います。
サポートしたあなたには幸せが訪れます。