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本におかえりなさいませ


2024年8月6日(火)朝の6:00になりました。

書物は、君が君自身の中へ帰るのを助けてくれる。

どうも、高倉大希です。




本におかえりなさいませ。

蔦屋書店でもらえる栞に、書かれている言葉です。


代官山T-SITEがオープンする際に、作家の原田宗典さんが考えた言葉だそうです。

正直に言うと、はじめて見たときはなんだかスカした表現だなと思っていました。


ところが何度も目にしていると、不思議と馴染んでくるものです。

今となっては毎回、「ただいま」という気持ちで本のページを開いています。


現代は古典を読むには最高の時代です。だって、歴史上でもっとも古典の数が多いのが現代なんですから。人類には優秀な人がたくさんいて、自らの考えを本に残しています。現代を生きる僕たちはそれを読めるんです。これって、すごいことだと思いませんか?

深井龍之介(2022)「歴史思考」ダイヤモンド社


「おかえり」という言葉は、とても強力です。

どれだけ傷ついたとしても、帰れる場所がそこにあります。


ところが、そんな「おかえり」に甘えてしまうと大変です。

「おかえり」がなくなることを、過剰に恐れるようになります。


「おかえり」なんかなくたって、自分の足で歩いていける。

ほんとうはそれが、理想なのだろうなと思います。


大人であるということは、その人が自分自身のよりどころとする世界観をもっている、ということである。一人前の人間として、自分なりの見方によって、世界を観ることができる。あるいは、自分という存在を、この世のなかにうまく入れこんでいる、あるいは位置づけているといってもよい。

河合隼雄(2014)「大人になることのむずかしさ」岩波書店


その点、本は親切です。

こちらがページをめくるのを、いつだって待ってくれています。


変わることは、ありません。

いなくなることも、ありません。


本におかえりなさいませ。

この「おかえり」に救われた人たちが、きっと山ほどいるはずです。


情報社会と言うと、絶えず情報が新しくなっていく、変化の激しい社会をイメージする人が多いかもしれません。しかし、私の捉え方はまったく逆です。情報は動かないけれど、人間は変化する。

養老孟司(2023)「ものがわかるということ」祥伝社


この note を、毎朝6:00に更新している理由のひとつもここにあります。

いつ読みに来ても、「おかえり」と言える状態でありたいなと思っています。


毎日帰ってきても構いませんし、数ヶ月ぶりに帰ってきても構いません。

何なら、当分は帰ってこなくてもそれはそれで構いません。


柿の種」に、おかえりなさいませ。

明日も、6:00に書いています。






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