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脳に良い習慣

今回は、医学博士で国際予防医学協会理事長である白澤卓二先生の著書
「脳が10歳若返る! 1分脳活」という本の内容を紹介します。

人間の脳は、使わなければどんどん衰えていってしまいます。
筋肉を使わなければ目に見えて筋肉が衰えてしまうように、私たちの脳も
しっかりと毎日使ってあげなければなりません。

脳の老化は40代ごろから始まると言われていますので、若いうちから
脳活を取り入れて脳を刺激してあげることを著者は勧めています。

今回の内容を通して、人生100年時代を健康な脳で生きていきましょう。






脳からのSOSサイン

最近、人の名前が出てこないとか、さっき何をやろうとしていたのか
忘れてしまったなど、物忘れが増えてきたと感じていないでしょうか?

若い頃には無かった物忘れに、歯痒い思いを感じている人が
いるかもしれません。
このような物忘れとか、若い頃よりも頭の回転が遅くなったことに対して、
「年を取ったのだから仕方ない」と諦めている人が多いと思います。
しかし、物忘れが多くなったというのは、脳の老化のサインに
他なりません。

これまでは、
「物忘れやうっかりミスは認知症ではないから心配しなくていい」
言われていたのですが、これらは認知機能が低下している
脳からのSOSサインなのです。
こういったSOSサインをそのまま放置していると、いずれあなたは
認知症まっしぐらになってしまいます。

著者は長年、認知症の患者さんを診察してきた中で、認知症予防には
日頃の生活習慣が極めて重要であると感じています。
そこで、誰でも簡単に1分で取り組める脳活を伝えるために
本書を執筆しました。

「たった1分で何が変わるのか」と思うかもしれませんが、
世界中の研究によるエビデンス(証拠、裏付け)が、1分の脳活でも
確実に脳を活性化して認知症を予防する効果があると示しています。



ですから、日常生活の場面に取り入れられる、脳に良い1分の生活習慣を
取り入れることで、確実に脳の老化を予防し、認知症予防にも
効果的ですので、是非やってみてください。

40代から私たちの脳は老化が始まっていますので、最近物忘れが増えて
きたと気付く以前から、水面下ではどんどん進行しています。
年を取ると最初に衰え始めるのが「ワーキングメモリーネットワーク」
呼ばれる脳のネットワークです。
脳を老化させないためには、このワーキングメモリーネットワークを
しっかり使い続けることが大切です。

日常生活の中に、簡単に取り組める脳を活性化させる習慣を
取り入れることで、脳を若返らせたり、若い元気な脳を
キープしていきましょう。





利き手と逆の手を使う

ほとんどの人が、日常生活では利き手ばかりを使っていると思います。
歯磨きも、箸を持つのも、料理をするのも、ドアを開けるのも、
全て利き手で行っているという人が殆どでしょう。

そんな人は、簡単にできる脳活として、利き手と逆の手を使うという
ことをやってみてください。
脳は新しいことにチャレンジすると活性化するという性質を
持っていますので、歯磨きなどの日常生活の場面で
逆の手を使うことによって十分な脳活になります。

「たったそれだけで脳活になるのか」と思うかもしれませんが、
実際やってみると、逆の手で物事を行うのは難しいと気づく筈です。
このように、何気ない日常生活の場面で脳を刺激するチャンスを活用して
いくことこそが、脳を若く保つ秘訣です。

一生懸命脳活ドリルに取り組まなくても、日常生活を利き手と逆の手で
行ってみるだけで良いのです。





「ときめき」を感じる

最近の研究で、主観的幸福度(自分が幸せだと感じる)によって
寿命が変わるということが分かってきました。
ポイントは、自分が幸福だと思っているかどうかで、他の人から見て
全然幸せそうに見えていなくても、本人が幸せだと思っていれば
寿命が延びるのです。

本人に喜びや幸せなどのポジティブな気持ちがあると、心身にかかる
ストレスが大幅に減り、様々な病気のリスクが下がるといった
好循環によって長寿をもたらすと考えられています。

では、主観的な幸福度を高めるにはどうすればいいのでしょうか?

・・・・・・

それは、ドキドキワクワクして、ときめく時間を増やすことです。
ときめくことで、ドーパミンが分泌されて幸福感を得たり、
物事に対する意欲が湧いてきます。

また、好きな異性でときめくことでエストロゲンが大量に放出され、
海馬が活発に活動することで脳が刺激されるということも分かっています。
つまり、ときめくというのは脳の認知機能を高めることに繋がるわけです。

ときめくというのは恋愛に限らず、素敵だと思うだけでも十分ですから、
テレビで見た素敵な俳優さんや女優さんにときめいたり、
漫画の主人公にときめくだけでも脳は十分に活性化します。





音読する

音読は、脳に素晴らしい影響を与えてくれる脳活で、認知症患者の人が
音読によって認知機能の低下を防げたという研究結果もあります。

私たちは日常で何気なく文章を読んでいますが、文章を読むときは
黙読するよりも、音読する方がたくさん脳の領域を使います。
文章を目で見て「視覚部位」を、理解することで「前頭前野」を、
声に出すことで「発語部位」を、自分の声を聞くことで「聴覚部位」など、
一度に脳の4つの部位を使うことになるので、一石二鳥どころか
一石四鳥の脳活です。

さらに、音読している時には脳内のセロトニンという
ストレスを和らげてくれるホルモンが分泌しています。
そして、前頭前野の働きが活発になるので、アイデアが閃いたり、
考えをまとめる能力が高くなります。
それと同時に、感情をコントロールしやすくなるので
イライラしにくくなると言われています。

これだけの効果が期待される音読ですから、家で新聞を読むときなど、
何か文章を読むときは音読を習慣にしてみてはいかがでしょうか。





2日前の日記を書く

皆さんは、2日前の晩御飯に何を食べたか聞かれて、
パッっと思い出せるでしょうか。
食事内容や服装、出掛けた場所など、日常生活の様々なことを
思い出すのは、記憶力の強化に良いと言われています。

2日前の日記をつけるのが良いのは、短期記憶を司る
海馬を活性化するのに最適だからです。
脳の機能が衰えてくると短期記憶が衰えてしまうので、海馬を活性化して
短期記憶を鍛えるのが2日前の日記を書くという習慣なのです。

いきなり2日前の日記をつけるのはハードルが高いという人は、
最初は昨日着ていた洋服を思い出したり、昨日の晩御飯から
思い出してみましょう。
こうやって、思い出そうと頑張れば頑張るほど、私たちの脳は
活性化するのです。

そして、思い出すことに慣れてきたら、2日前の出来事を思い出して
日記に書いてみましょう。
昨日のことはすぐに思い出せても、2日前となるとハードルが
高くなります。

「何をしたかな~」と、頑張って頭を使って思い出そうとすることで、
あなたの脳は大きく活性化するのです。





脳に良い食べ物

・ネバネバ系の食べ物

ネバネバ系の食べ物を具体的に言うと・・・
・野菜:納豆、オクラ、山芋、モロヘイヤ、つるむらさき、など
・海藻類:昆布、めかぶ、わかめ など
・キノコ類:なめたけ など

このような、ネバネバ系の食べ物は私たちの脳にとって非常に良いと
分かっています。
納豆やオクラなど、野菜のネバネバは「ムチン」と呼ばれる
多糖類の成分です。
ムチンが糖質と結びつくことによって、糖質の吸収を遅らせて
くれるという働きがあります。

糖質の吸収が遅れることによって、血糖値の急上昇を予防し、
体の血糖値コントロールの負担が減り、糖尿病予防に効果的です。
また、ネバネバ系の食べ物には、腸を整えてくれるという
素晴らしい働きがあります。
私たちの腸と脳は密接に関係していますので、腸の状態が
整うことによって、脳の状態も整うことになります。

また、海藻類やキノコ類のヌルヌルとした食べ物には
「水溶性食物繊維」が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維は、脳や腸の炎症を抑えて認知症予防に役立つことが
研究によって明らかになっています。

このような、ネバネバ系、ヌルヌル系の食べ物は、
日本など一部の地域でしか食べられていない食材だそうです。



・発芽玄米ともち麦

炊き立てのご飯が大好きという人、結構多いでしょう。
ですが、糖質の過剰摂取と物忘れとの関係が、最近注目されていることを
知っていたでしょうか。

糖質の摂り過ぎによって血糖値が高くなると、脳に届く
インスリンの量が減ります。
その結果、脳の中でも特にインスリンを必要とする、記憶力や注意力に
関係する機能に影響が出ることによって、物忘れをしやすく
なっているかもしれないのです。

つまり、血糖値の急上昇は脳に良くないということですから、
炊き立ての白いご飯や焼き立ての食パンなど、炭水化物を食べて
血糖値を急激に上げてしまうことは、脳にダメージを与えて
しまうということです。

そこで、白いご飯の代わりにお勧めしたいのが、
発芽玄米やもち麦を活用するということです。
こういったものは食物繊維を豊富に含んでいますから、白米に比べて
血糖値が上がりにくいということが分かっていて、もち麦には
腸内環境を整える水溶性食物繊維が豊富に含まれています。



・脳に良いオイル

脂質や油などと言うと、体に悪いというイメージを持っている人が
いるかもしれませんが、私たちの脳というのは重さの60%が脂質ですから、
まさに脂肪の塊のような臓器です。

ですから、健康な脳を保ちたいのであれば、良質な脂質を
摂取しなければいけません。
悪い油は脳に炎症を引き起こしてしまうかもしれないので、
料理の際には脳に良い油を使うことを心掛けましょう。

脳に良い油は・・・・

・オリーブオイル
・亜麻仁油
・エゴマ油
・ココナッツオイル
・マカダミアナッツオイル

これらを選ぶときには、純度100%のものを選ぶようにしてください。
逆に、脳に炎症を起こしてしまうかもしれない油は・・・・

・サラダ油
・コーン油
・大豆油
・ごま油

これらの油は健康に悪い油ですから、摂り過ぎに注意しましょう。



・鮭

鮭には、非常に抗酸化作用が高い色素成分、
「アスタキサンチン」が豊富に含まれています。
その抗酸化力は、ビタミンEの500倍とされていて、
鮭は魚の王様とも言える脳に良い食べ物です。

このアスタキサンチンは、老化防止に効果的であったり、記憶力向上に
効果的な栄養素として有名です。
アスタキサンチンは海馬を活性化し、学習記憶能力を向上させる効果が
あると報告されています。

魚を食べれば頭が良くなると聞いたことがある人もいるかもしれません。
それは、魚にはDHAやEPAといった脳に良い脂質がたっぷりと含まれて
いるからなのですが、鮭にはDHAやEPAが豊富に含まれています。

DHAやEPAには、脳細胞を活性化して記憶力を向上させる効果が
期待できると言われています。
また、鮭にはビタミンDも豊富に含まれていて、ビタミンDは
アルツハイマー病や認知症の予防に繋がると言われている
重要な栄養素です。



・赤ワイン

お酒が好きな人はたくさんいると思いますが、例え少量であっても
アルコールは健康に良くないことが、数多くの研究で
明らかになっています。
さらに、お酒を飲み過ぎることは脳委縮が進むことも分かっているので
注意してください。

とはいえ、お酒なしでは人生がつまらないと思っている人もいると
思いますから、そのような人は、赤ワインを飲むことをおススメします。
それは、赤ワインに含まれている「レズベラトロール」という
ポリフェノールには、高い抗酸化作用と抗炎症作用があるからです。

また、このレズベラトロールには老化を遅らせて寿命を延ばす働きがあり、
長寿遺伝子を活性化させて老化防止にも効果があると考えられています。
さらに、赤ワインが記憶力の低下を防いでくれるといったことを
報告している研究もあります。

アルコールが私たちの体に悪いのは間違いないことですが、
赤ワインに含まれているレズベラトロールには、私たちの体に良い効果が
あるという研究結果もあります。

ですから、良いのか悪いのか判断が難しいところですが、お酒の中で
健康に良いという研究結果が出ているのは赤ワインだけなので、
お酒が大好きな人は赤ワインを選ぶのが良いと思います。


※本文中の説明について、訂正があります。

納豆やオクラなど、野菜のネバネバは「ムチン」と呼ばれる
多糖類の成分です。
ムチンが糖質と結びつくことによって、糖質の吸収を遅らせて
くれるという働きがあります。

という一文がありましたが、ムチンとは異なる成分だそうです。
下の画像も参考にしてみてください。


終わり

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