【読書感想】君はリンゴで世界を驚かせるだろう
アート × ビジネス小説 × コメディの
異色だけれど、とっても本質的な本。
まだ一読しかしていないけれど、心に残った箇所をメモします。
断片的なメモになりますが、ご容赦ください…!!
「現代アートと切っても切り離せないユング心理学」というのも、自分にとっては意外なつながりだった。
アートと心理学が、ふかい関係にあるということ。
この言葉からすると、私がプライベートと仕事問わず夢中になっているハチミツは、もう芸術作品だ。
心理学者のユングも、自分の心を落ち着かせるために絵を描いていた、というところにも心動かされた。
著者の肩書の一つが「アートセラピスト」だが、アートの創作や鑑賞をとおして、人がケアされてゆく、ということなのかもしれない。
わたしがいちばん心動かされたのは、フリーダ・カーロが登場する段だ。
これらの箇所に、むちゃくちゃしびれた。
シンプルだけど、なかなかこういったことを体現できていないから、身にしみる。
どちらかだけでもダメで、“ひらめき”と“行動”を大事にすること――
* * *
登場人物のセリフで、
「これからの時代は“物”ではなくって“経験”が価値になる。AIだって作れないようなことじゃないとね」
というのも響いた。
この本に出てくるアーティストは、単なる“物”としてのアート作品をつくっているというよりは、人生の経験を、そのままありったけ表現としてぶつけている印象だ。
* * *
バンクシーのくだりでの、
「心の奥深くに人類に共通する何かが秘められている」
というセリフにも、深くふかく考えさせられた。
一読しただけでは、うまく意味をつかみきれない深さのある言葉で、アーティストたちが死後もその作品や名を残していることと、関係がありそうな言葉だ。
後述する、セザンヌの「起源」とも関わってきそうな内容なのかなぁと。
* * *
終盤のセザンヌの
「リンゴ一つでパリを驚かせてみせる」
という言葉にも、しびれてくらくらした。
セザンヌにとって、リンゴは親友ゾラとの友情の印でもあった。
彼が人生で最も大切にしたい“出会い”の象徴でもあった。
それをテーマにして描きつづけた。
「親友ゾラと絶交して、それ以来会えなかったことを後悔している」とも本書で書かれているが、そういう想いも含めて、ぜんぶ表現につながるのだと感じた。
きっと、セザンヌの絵を観た人たちは、彼の描くリンゴを、単なる物質ではなく、いろんな想いが結晶したものとして、受けとめたのかもしれない。
だから、時代を超えて残る作品になるのだろう。
著者が題名をつけるにあたっての想いや意図は、
セザンヌにとってリンゴが友情の印だったように、
読者のあなたが、人生で最も大切にしたいことを、忘れないで大切にし続けて欲しい、ということなのかもしれない。
現代は、自分が大切にしたいことを忘れるきっかけがたくさんある。
自分にとってど真ん中のこと。
一つのことをずっとやり続けることの、大きな価値と影響――
「起源」とはそういうことだろうか。
自分がまっとうに生きてゆくための起源・源流とは。
自分の無意識の声にも、きちんと耳を傾けると、
そうした「起源」の火が燃えつづけているのが分かるんだろうか
ひらめきと無意識も、やはり深くつながっているのかもしれない。
ひらめきは無意識からのサインなのかな?
わたしも日々の暮らしの中で、じぶんの“ひらめき”を大事にし、
行動して、表現しつづけてゆきたいと感じました。
以下は、著者の前の本を読んだあとに書いた文章です。