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【2023年最新版】国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ(前編)

日本国内で活躍するFemtech(フェムテック)企業のプレイヤーマップを作成しました。このマップは、女性ヘルスケアにおける課題・ギャップについて、テクノロジーを活用し、女性や女性を取り囲む人たちがより良い解決策やサポートを得ることができるような製品・サービス、企業を紹介します。

後編はこちら!
【2023年最新版】国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ(後編)

当Femtechプレイヤーマップでは、国内のFemtech企業を分野別にカテゴライズし、女性の健康におけるさまざまなソリューションに関心を持つ人々にとって貴重な情報源となるよう取り纏めました。女性ヘルスケアやFemtechの分野は、今後もさらなる成長や新たなイノベーション、ビジネスチャンスが生まれると期待しています。このプレイヤーマップが、女性の健康とウェルネスをサポートするための一助となることを願っています。

また、当Femtechプレイヤーマップ作成にあたっては、多くの有識者のみなさまからのアドバイス・ご支援をいただきました。公開に当りまして改めて心から御礼を申し上げます。

当Femtechプレーヤーマップの解説と個別企業についての詳細版レポートは、一般社団法人Femtech Community Japan(以下、FCJ)にて提供しております。詳細版レポートについては、email: hello@femtechjapan.orgまでお問い合わせください。


0. Femtechプレイヤーマップの背景

Femtechの定義 - Femtechとは?-

Femtech(フェムテック)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性が抱える月経、不妊、更年期などの女性特有の健康問題をテクノロジーで解決できる分野を指します。

Femtechの定義

Femtechの領域・対象カテゴリ

Femtechの対象となる女性ヘルスケアの課題とは、月経、不妊・妊活、出産・産後ケア、更年期などライフステージに伴って変わるもの、更に、避妊、女性特有の婦人科疾患、ホルモンの変動に伴うさまざまな症状などライフスタイルや個人に依存するものなどが挙げられます。今回、Femtechプレイヤーマップ作成にあたっては、複数領域にまたがったソリューションを提供する企業なども含め、月経・避妊、妊娠・不妊、更年期、ヘルスケア・ホルモン、婦人科系疾患の5分類としています。

Femtechの領域と女性の健康課題

Femtechの概要やビジネス動向については、下記のnoteでも解説しておりますのでぜひご一読ください。
Femtechまとめシリーズvol.1「Femtechへようこそ!」
Femtechまとめシリーズ vol.2「Femtechの事業立ち上げに向けたビジネスモデル事例のご紹介」

1. Femtechプレイヤーマップ概要と全体動向

2023年最新版 国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ

今回、2023年6月時点のFemtechプレイヤーマップの対象企業は、全体で55社となりました。

女性の健康課題における領域別には、妊活・不妊が一番多く22社、続いて月経・避妊14社、ヘルスケア・ホルモン14社となりました。更年期、婦人科系疾患においても数は少ないですが製品・サービスが出現しています。

健康課題における領域とは別に、どのような技術が活用されているかに着目して、テクノロジーのカテゴリでも分類しました。多くの製品・サービスではIT・デジタルの技術が製品・サービスの重要な実装手段となっています。今回、Femtechプレイヤーマップでは、生体データを取得するセンシング・検出技術、新たな検査・診断技術、機械学習・ディープラーニングなどのデータ解析技術などをコアとする製品・サービスをDeepTech(ディープテック)として紹介します。

テクノロジーのカテゴリでは、IT・デジタルの企業が37社、DeepTechの企業が18社が該当しますが、上記の定義においてDeepTechと呼ばれる領域をコアとして取り組んでいる企業はまだ多くないと考えられます。

海外のFemtech企業を見ると、大学発・研究開発領域から発するDeepTech企業が多数出てきており、今後、日本でもIT・デジタルと併せてDeepTechを活用した製品・サービスに取り組むFemtech企業の参入・拡大が期待されます。

近年、テクノロジー・イノベーションの文脈に限らず、女性ヘルスケア・ウェルネスの重要性が大きく注目されており、国内でもさまざまな取り組みや製品・サービスが立ち上がっています。
日本では、必ずしもテクノロジーを事業のコアとしていない、フェムケア等にあたる領域では、多数の企業が女性ヘルスケア・ウェルネスのギャップを埋めるためのさまざまな製品・サービスを展開し始めています。これまで人知れず健康課題に対処してきた多くの女性にとって新たな気付きと解決策に寄与することが期待されます。

今回のFemtechプレイヤーマップ作成にあたり、フェムケア等に該当するサービスは多数・さまざまな分野にわたるため対象外としておりますが、周辺領域の動向・事例として後編にて解説します。

後編はこちら:
【2023年最新版】国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ(後編)

Femtechを取り囲む領域・トレンド

2. Femtechプレイヤーマップ:領域別の動向

月経・避妊

Femtechに関連する健康課題では、月経ショーツやPMSの課題などを中心に最もメディアでも多く取り上げられる話題となっています。Femtech製品・サービスとしては、月経管理アプリ、オンラインピル処方サービスなどが多数出現しています。

月経管理アプリでは、20年以上前からの先駆者であるルナルナが妊活やホルモンに紐づく体調管理にサービスの幅を広げており、一方で、PAIRCAREケアミーなど10代など若年層をターゲットとしたスマホ前提のアプリやLINE上で気軽に使える、彼氏や家族と症状を共有できるなどの新しい機能が注目されます。

オンラインピル処方は、クリニック系列で展開するクリニックフォア、ピルに特化したオンラインプラットフォームのmederiスマルナエニピルなど新規参入が続き、既存のユーザー基盤を持つ大手ITプラットフォームの参入などにより、各社ともにCM展開などでユーザー獲得を進めています。

妊娠・不妊

2022年4月から不妊治療の保険適用が導入され、日本でも妊活・不妊分野において患者・企業・医療従事者を支援する製品・サービスが増えてきています。社会全体や当事者となる夫婦・パートナー同士においても妊娠・不妊などにおける知識拡大の重要性が求められてきています。

年齢やホルモンなどの個人の身体の状態などにより妊娠のしやすさや不妊の原因が異なるため、専門家による個別相談や、オンラインコミュニティ形成などが進み、B2C(個人向け)はもちろん、B2B(企業向け)の分野にも広がりを見せています。

不妊治療に取り組む企業としては、不妊治療の相談プラットフォームのファミワン、子宮内フローラの解析サービスを提供するVarinos、不妊治療の治療データを解析するvivolaなどが挙げられます。
また、再生医療のiPS細胞の技術を不妊治療に適用する大学発スタートアップDioseveなどより医療に近い取り組みも出現しています。

更年期

更年期特化のオンライン診療やオンラインチャット等のサービスがスタートアップ企業として立ち上がりつつあります。更年期に特化したチャットサービスTRULYなどの先行プレイヤーに続き、一人ひとりのデータに基づくセルフケアサポートのプラットフォームを目指すYStoryなど新しい企業も出てきています。
一方で、まだDeepTechをコアとして事業開発に取り組む企業は少ないと考えられます。

更年期の領域の動きとしては、2022年厚生労働省から更年期に関する調査が始まり、管理職における女性拡大といった政府の女性活躍推進などの動きもあるため、今後は更年期サービスを導入する起業など、企業数の増加が期待されます。

ヘルスケア・ホルモン

企業の女性活躍推進・健康経営の目的で、従業員向け福利厚生サービスとしてB2B2Eの形態で企業の従業員支援を目的とした幅広い女性ヘルスケアの教育・啓発やサポートのサービスが多く見られます。

また、オンライン処方や在宅向けホルモン検査キットなど、包括的に女性の健康課題に取り組んでる企業が該当します。新型コロナの影響もあり、自宅検査キットが海外でも増加した流れを受けて、日本でもリモートやオンラインでのサービス提供の流れは今後引き続き拡大が期待されます。

婦人科系疾患

痛みのない非侵襲の乳がん検査や遺伝子リスク判定など、主に早期の予防・診断サービスが提供されています。婦人科系疾患の検診・検査のハードルを下げるソリューションが、今後も拡大すると見込まれます。

3. Femtechプレイヤーマップ:Techカテゴリ別の動向

IT・デジタル

ユーザー側の受容性が高く、アプリ・デジタルサービスの活用に積極的な対象人口が多い若い世代を中心として、月経・避妊、妊娠・不妊を中心にさまざまなオンラインサービスが提供されています。また、ヘルスケア・ホルモンの領域では、企業の女性活躍推進・健康経営の目的で、B2B2Eの形態で企業の従業員支援を目的とした幅広い女性ヘルスケアの教育・啓発やサポートのサービスが多く見られます。

今後、上記の領域においては、専門家オンライン相談、コミュニティ形成、更に関連製品のD2Cなどへの拡大が考えられます。また更年期、婦人科疾患、セクシャルウェルネス等への拡大が期待されます。

DeepTech

生体データを取得するセンシング・検出技術、新たな検査・診断技術、機械学習・ディープラーニングなどのデータ解析技術といったいわゆるDeepTechと呼ばれる領域に取り組む企業17社を紹介しています。国内における大学や研究機関、大企業の研究所など日本の技術の厚みを考慮すると、日本でも世界の先進領域に遜色のない研究・技術開発が進められており、Femtech×DeepTechの領域においては、まだまだ革新的なイノベーションを創出できるホワイトスペースがあると期待されます。

現在は、国内Femtech領域におけるDeapTech企業の多くがアーリーステージで、技術系創業者の支援、さまざまな分野からの技術者の参画、資金投資などが活性化することで、今後この領域をより推進していくことが望まれます。

4. Femtechプレイヤーマップ選定について

当Femtechプレイヤーマップ作成においては、私たちFCJが「女性ヘルスケアの課題の解決に向けて、テクノロジーを軸とした製品・サービス」として以下の考慮点を踏まえて判断させていただいた企業を紹介しています。

<選定における考慮点>

  1. 女性ヘルスケア領域における課題解決をビジョン・ミッションとして事業展開や製品・サービス開発を進めるプレイヤー
    例)月経・避妊、妊娠・不妊、更年期、ヘルスケア・ホルモン、婦人科系疾患

  2. テック要素がビジネスモデルのコアにある製品・サービス
    (テック要素の例)
    ・アプリ・ITプラットフォームがビジネスモデルのコアの価値となっているもの
    ・生体データのセンシング・検出や検査・診断技術などに革新性のあるもの
    ・機械学習・ディープラーニングなどのデータ解析技術を活用しているもの

  3. プロトタイプ以上の製品・サービス提供できている、もしくは資金調達や政府系の助成プログラムからファンディングを受けているなど、一定レベルの事業・技術開発が進んでいるもの(研究開発段階は除く)

5. 当Femtechプレイヤーマップのご利用について

・当Femtechプレイヤーマップのご利用の際には引用元(作成:一般社団法人Femtech Community Japan、当noteのURL)を明記くださいますようお願いいたします。

・当団体が公開情報をもとに独自の調査により作成したものであり、網羅性や正確性を完全に担保するものではありません。

・企業・サービスのロゴを使用させていただいておりますが、使用上問題のある場合は削除・差し替え等対応いたします。お手数ですが、下記メールアドレス宛にご連絡ください。

・当Femtechプレイヤーマップへのご意見・コメント等がございましたら、下記までご連絡ください。なお、当Femtechプレイヤーマップへの掲載ご希望については、ご共有いただく内容を踏まえて当団体にて判断させていただきます。

email: hello@femtechjapan.org

6. 会員企業を募集しています!

当Femtechプレーヤーマップの解説と個別企業についての詳細版レポートは、一般社団法人Femtech Community Japan(以下、FCJ)の法人会員の企業向に配布・解説セッションなどを提供しております。
法人会員以外の方で詳細版レポートについてご関心の方は、下記FCJ問い合わせアドレス email: hello@femtechjapan.org までお問い合わせください。

Femtech Community Japanでは、スタートアップ・大手企業、VC・投資家、⼤学・研究機関、医療・ヘルスケア関係者メディアパートナーなどが集まり、フェムテック関連の取り組み・情報共有や現状の課題と今後に向けた議論・WG活動などを行っています。

ご関心のある方は是非、Webサイト、Twitter、facebookグループフォローください。
2023年より、法人会員・スタートアップ会員も募集しております。ご関心の方はお問合せ(hello@femtechjapan.org)もしくは下記お申込みフォームよりご連絡ください。

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