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【2023年最新版】国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ(後編)

前編に引き続き、2023年最新版:国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップについて、Femtech周辺領域における動向をお伝えします。

前編はこちら:【2023年最新版】国内Femtech(フェムテック)プレイヤーマップ(前編)


Femtech周辺領域における動向

日本では、フェムテック・フェムケア、女性ヘルスケア・ウェルネスなど、女性の抱える健康課題・ギャップに紐づく課題に対する施策やソリューションが注目を集めています。女性活躍推進が進まない裏側にある課題としても指摘されており、ジェンダーギャップ・職場におけるダイバーシティなどとも深く関係していると考えられます。

当Femtechプレイヤーマップでは、フェムケア等に該当するサービスは多数・さまざまな分野にわたるため対象外としておりますが、周辺領域の動向・事例として紹介します。

1. 女性ヘルスケアとジェンダーギャップ

2023年版のジェンダー・ギャップ指数では、日本の総合順位は125位で、前年から9位下落しました。これは、日本が男女平等の観点では先進国の中で最も遅れていることを示しています。ジェンダー・ギャップ指数は、経済、教育、政治、健康の4つの分野で男女間の不均衡を測定していますが、日本の順位が最も低い分野は経済・政治です。これは、女性の労働参加率、賃金、管理職比率、政治参画率などが未だに低いことを示しています。

2023年の日本のジェンダーギャップ指数は世界125位
朝日新聞SDGs ACTION!より引用(出典:Global Gender Gap Report 2023)

日本では、多くの先進国と同様、社会システムとしての医療サービス・教育機会は提供されていますが、近年は経済・政治でのエンパワーメントが進まない背景として、その裏側にある女性の健康支援におけるジェンダーギャップが注目されています。
女性ならではの健康課題として、月経周期に伴うホルモンの変化による体調への影響がPMSや腹痛などさまざまな症状として現れます。更に、女性は一生というスパンで見てもホルモンの大きな波があり、加齢に伴うホルモン変化の度合いが男性に比べて女性では非常に大きく、更年期障害などの症状として現れます。現在の日本の社会システム・文化・企業制度などではこういった男女の差を十分に考慮できていないことが指摘されています。

日経BP 総合研究所 Beyond Healthより引用

女性の健康支援におけるジェンダーギャップと、日本全体の経済活動におけるインパクトについては、日経BP総合研究所にて昨年実施された「フェムケア イニシアティブ 座談会」にて詳しく議論されています。当団体の代表理事も参加しております。ぜひこちらも参照ください。
日経BP Beyond Health:女性の健康支援は国づくりの根幹 産学官連携でフェムケアを推進

日経BP 総合研究所 Beyond Healthより引用

座談会参加の有識者
・日経BP 総合研究所 主席研究員 藤井省吾(モデレーター)
・東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科 主任教授 大須賀 穣
・神奈川県 健康医療局 健康増進課 課長 柾 晴美
・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 係長 神野真帆
・一般社団法人 Femtech Community Japan 代表理事 皆川朋子
・明治 取締役専務執行役員 谷口 茂

2. 女性ヘルスケアに関連する展示会・EXPO

2020年頃よりフェムテック・フェムケアといった言葉がメディア等でも取り上げられるようになり、2021年には流行語大賞の候補としても話題となりました。
より多くの人々へさまざまなトレンドや製品・サービスに関する情報を発信する機会として、展示会・EXPOも多数開催されるようになりました。多くの展示会は、Femtech(テクノロジー)に限らず、女性の健康課題に関する認知拡大や、女性ヘルスケア・ウェルネス・美容など幅広い製品・サービスを紹介するものが多くなっています。今後、こういった展示会・EXPOを通じて広く女性ヘルスケア・ウェルネスに関する認知・啓発が進むことにより、より先進的・革新的な製品・サービスが市場に登場してくることを期待します。

Femtech Fes! 2022(fermata株式会社)
2024年2月9日(金)~11日(日) 六本木アカデミーヒルズ
https://hellofermata.com/pages/femtechfes2402
「あなたのタブーをワクワクに変える“フェムテック交差点”」をテーマに六本木アカデミーヒルズで開催。日本未上陸の最新プロダクトを含む世界33カ国・6地域から約200社のFemtechプロダクトやサービスを展示。

Femtech推進EXPO(DMMイベントテクノロジー)
2023年10月6日〜10月13日 オンライン開催
生理・月経、妊活、育児介護、家事、働き方、更年期向けサービス、医療、財テクなど幅広いカテゴリで170社以上が出展し、多数のセッション・コンテンツを配信。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000081780.html

Femtech Tokyo(RX Japan)
2022年10月20日〜22日 東京ビックサイト
女性のライフステージに合わせた「健康」と「活躍」を支援するとして、テクノロジーに限定せずより広い定義で「フェムテック」を定義。フェムケア・女性ウェルネスに関して幅広く出展・発信する。
https://www.femtech-week.jp/hub/ja-jp/showreport/22/tob.html

フェムテック /フェムケアジャパン(G-Place)
自然派生理用品ブランドを提供する株式会社G-Place主催の展示会。月経ケア、妊活・不妊・妊娠後・産後、女性特有疾患、更年期ケア、セクシャルウェルネス、メンタルヘルス等に関する国内企業・団体が出展。
https://femtech-japan.com/news/n230621/

3. メンテック(メンズウェルネス)

海外・日本でも、男性不妊に代表されるメンテック(メンズウェルネス)に関連する企業や新規事業が増えてきています。

国内メンテック(メンズウェルネス)プレイヤー例

日本のメンテックのサービス・製品として、TENGAメンズルーペ(妊活検査キット)、コウノトリ(妊活検査キット)、SuguCare(妊活検査キット)、Oops LOVEOops HAIR(ED診療・AGA診療)、オーウェン(男性不妊)、ダンテ(男性不妊)、アルファメール(サプリメントD2C)、メカノジェニック(指先採血で診るメタボリスク)、エムボックス(AGA疾患管理アプリ)などがあります。
メンテック(メンズウェルネス)もフェムテックと同様に、「恥ずかしい」「知られたくない」といった顧客ニーズが存在すると考えられます。
メンテック(メンズウェルネス)の詳細については、Femtech Community Japan理事 木村恵のnote【フェムテック⑬通信】メンテック、メンズウェルネス関連のサービス・製品紹介と、新しい動き をご一読ください。

4. 女性ヘルスケアを支援する政府施策

女性活躍推進や少子化対策などの社会的課題への政策の必要性も後押しし、政府が主導となって各省庁が女性ヘルスケアの課 題解決への取り組みを拡大し、その手段の1つとしてFemtech推進の動きが進んでいます。
2023年6月5日、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針)」が提示され、日本政府もフェムテックの推進を積極的に進めています。
女性活躍・男女共同参画の重点方針2023:https://www.gender.go.jp/kaigi/danjo_kaigi/siryo/pdf/ka70-s-1.pdf

女性活躍・男女共同参画の重点方針2023 より抜粋

経済産業省では、2021年から「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を創設し、フェムテック製品・サービスの開発・実証を進める事業者を支援しています。過去の実証実験の参加企業と成果報告がこちらから参照できます。

厚生労働省では、2023年3月「女性の健康に関するナショナルセンター」を創設し、女性の健康に関する研究・教育・啓発に取り組んでいます。フェムテック等の普及により、女性の健康課題が解決され、女性のQOLが向上することが期待されると同時に、女性の社会進出を促進する効果も期待されています。

上記以外にも、政府施策として女性の起業を支援するための「女性の起業家育成プログラム」などが進められています。ジェンダー・ギャップ指数の低さに見られるように、日本社会の課題解決に向けてはまだ途中段階にあり、政府施策だけではなく社会全体の意識改革と産業領域として民間企業の参画が必須であり、その一助としてFemtech製品・サービスの発展があると考えられます。

5. 研究分野におけるジェンダーの取り組み

McKinseyのレポートによると、2022年の医薬品の研究開発における投資金額のうち、女性特有疾患領域への投資は全体の5%、がんを除いた投資金額は1%に留まります。今後、診断・治療など医療領域においても、製薬・医療技術のプレイヤーだけではなく、投資家や関連するステークホルダーへもビジネスインパクトや関心拡大などの影響が広がっていくことが期待されます。

Unlocking opportunities in women’s healthcare / McKinsey & Company より引用

研究分野では、ジェンダード・イノベーション(Gendered Innovations)という領域において、性差(生物学的性差・社会学的性差)の視点や分析を取り入れた新しい研究開発のアプローチが注目されています。 海外では、公的研究機関が研究費の助成金の申請、査読付きジャーナルの多くが性差分析を必須にする動きが進んでおり、国内でも2022年6月お茶の水大学で「ジェンダード・イノベーション研究所」が立ち上げられました。
Femtech領域における技術・イノベーションの推進に向けて、産学の連携も期待されます。
ジェンダード・イノベーション研究所 | お茶の水女子大学 (ocha.ac.jp)

ジェンダード・イノベーションとは

Femtech Community Japan会員企業

私たちFemtech Community Japanでは、Femtech・女性ヘルスケア支援に取り組む企業を中心とした会員企業と有識者のコミュニティを推進しています。月次ミートアップイベント、有識者によるナレッジセッション、ネットワーキング、情報発信を行っています。
今後も、Femtech領域の最新動向や、会員企業を含むFemtech企業からの情報発信などを通じて、Femtech領域の拡大を推進していきます。

Femtech Community Japan会員企業(2023年6月現在)

会員企業一覧(順不同)

Think W-Wellness(朝日新聞社)
https://www.asahi.com/w-wellness/

あすか製薬株式会社
https://www.aska-pharma.co.jp/

アステラス製薬株式会社
https://www.astellas.com/jp/

株式会社エルズグランドケアアカデミー
https://feminityarch.com/

株式会社SUSTAINABLEME
https://sustainableme.co.jp/

株式会社サニーサイドアップグループ
https://ssug.co.jp/

株式会社サルース
https://anypill.skinsia.clinic/

株式会社サンシャインシティ
https://sunshinecity.jp/

株式会社ジョコネ。
https://joconne.com/

株式会社じょさんしGLOBAL Inc.
https://josanshi-cafe.com/

第一生命保険株式会社
https://www.dai-ichi-life.co.jp/

株式会社天煌堂
https://totonoeru.tenkodo.life/

東急不動産株式会社
https://www.tokyu-land.co.jp/

株式会社TRULY
https://www.truly-japan.co.jp/

豊田通商株式会社
https://www.toyota-tsusho.com/

vivola株式会社
https://www.vivola.jp/

Femnication Project
https://www.instagram.com/femnicationpj__2022/

FUJIYAMA BRIDGE LAB株式会社
http://fujiyamabl.com/

Flora株式会社
https://www.flora-tech.jp/

三菱地所株式会社
https://www.mec.co.jp/

株式会社リクエストプラス
https://rq-plus.com/

Shibuya Startup Deck
https://shibuya-startup-deck.studio.site/

Femtech Community Japan法人会員募集中

Femtech Community Japanでは、スタートアップ・大手企業、VC・投資家、⼤学・研究機関、医療・ヘルスケア関係者メディアパートナーなどが集まり、Femtech関連の取り組み・情報共有や現状の課題と今後に向けた議論・ネットワーキングなどを行っています。

ご関心のある方は、Webサイト、Twitter、facebookグループをぜひフォローください。
2023年より、法人会員・スタートアップ会員も募集しております。ご関心の方はお問合せ(hello@femtechjapan.com)もしくは下記お申込みフォームよりご連絡ください。

■会員申込フォーム
https://forms.gle/YF48DYmCkm6pa6mz5

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最後までご覧いただきありがとうございました!


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