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高松智史著(2022)『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』実業之日本社

ビジネスで考えるには基礎中の基礎

学生時代は常に答えが用意されていて、それに導かれるように回答すれば、勉強ができたといわれていたところも多いかも知れない。でも世の中の多くは、実は答えなんて予め用意されているものではなく、自ら導き出していくもの…
そのためには、自分の頭で「考える力」が必要で、そのための基礎的な指南書をごくわかりやすく解説しているのが本書である。

本書はある意味、ゲーム感覚的に読者をいざなうが、実際にビジネスで答えのないものを考えてきた経験があると、何かしらかの不思議なゲームに巻き込まれ、興味と探求の後に最適解に至ることは多いため、ゲームという言葉にうなずくところもある。

本書の肝は、最初にも出てくる「プロセスがセクシー」なこと、「2つ以上の選択肢を作り、選ぶ」こと、「炎上、議論が付き物」の3つです。社会人になって、これを憶えていると、物事の企画提案から商談まで色々と応用できます。

またそれに続く「示唆」についても、多くの人はファクトには当たるけど、それが何を示唆するのかまで、その一歩をしてないケースも多いですよね~。その辺も抜け目なく記載されてました。

また、著者のいう「B〇条件」という用語は面白いけれど、要はダイレクトに相手を否定するような直線的な物言いで提言するのではなく、双方「なるほど」とその案件に共通するものを持ち出し、相手の前提が違っていることを悟らせてから否定するという一つのやり方ですね。議論を早々に炎上させるよりは、賢く悟らせる方が、その案件を前に進めるためには重要なひと工夫です。

本書の第4章は、実際に仮説を考えて、どの程度実際に役立つのかを紙面でトライアル&エラー的に検証させて、あるゲームのルールや勝ち方などを導く方法がとられている。このゲームを予め知っていると、「な~んだ」って感じになるけど、思考の方向性という意味では理解できるのかも知れない。

第4章では、それでも今後、どのように答えのないものに対処していくのかという点で述べられており、全体を通して簡単に答えのないものに対処する思考方法が書かれており、特に学校を卒業して直ぐに社会人になった人などには、一読していても決して損にはならない本だと思います。

特に、最初にも記載しました「プロセスがセクシー」なこと、「2つ以上の選択肢を作り、選ぶ」こと、「炎上、議論が付き物」の3つは、やがてベテランの域になったとしても重要ですよ。

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