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言葉となかよくなりたい

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言葉ともっとなかよくなるために、言葉のいいところを探したり、意外な一面を見つけたり、時には嫌な部分を見てしまったり。言葉に関する思いや気づきをとりとめもなく書いていく試み。
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2019年7月の記事一覧

ドラマティックが止まらない

なんてタイトルだ。夏の夜に書いているとはいえいかがなものか。客観!

さて。

昔シナリオを書いていた頃、ドラマティックな物語を生み出そうと(そして賞を獲ろうと)いつもネタ探しをしていた。でもネタ探しをすればするほど出てくるアイデアはどこかで聞いたような陳腐なものばかりで、途中で飽きて最後まで書けなかったり、書いても一次で落選したりしていた。

そんな時、シングルマザーの子育てをテーマにした連ドラ

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ノスタルジック暴力

ようやく夏らしくなってきましたね。夏らしいとはなにか、ということはさておき。

夏といえば一年で一番ノスタルジックな季節で、毎年フジファブリックの「若者のすべて」を聴く度にそれを再確認するんですが、みなさんどうお過ごしですか?もっと「夏は今を楽しむ季節!」って感じなんでしょうか?

僕にとっては夏は今というより過去の色合いが濃い。蝉の音が夕暮れになりひぐらしに変わっていく瞬間や、夜の田んぼで鳴くカ

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共有と共感

「共有や共感って大事だとよく聞くけど本当に必要?むしろ共有や共感しやすい形に簡略化されることで失われるものが多いのでは?」

という文章を読んでとても共感しているという複雑な状況に今ある。確かに共有するためには共有する規模に応じた共通項が必要となるので、自分の頭で考えたことの跳ねたり尖ったりしてる部分をこすって落として無難な形にまるめてお届けする感覚があって「違うんだよなあ」ともどかしく感じること

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コンプレックスは僕の武器だ(10才)

10才の時に実家の階段の壁に書きつけた言葉だ。

おい何があった10才の俺。

なんで書いたのかは思い出せないが、書いたことははっきり覚えている。土壁っぽい材質だったから書くというより彫る感じだった。(以前実家に帰って確認しようとしたら消えてた)

コンプレックスという言葉を使ったのはちょっとカッコつけ成分が混じっている。覚えたての英語を使いたかった小4の背伸び感がうかがえていじらしいって自分のこ

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システムと一人称と千と千尋

知的慣性の法則パート2(なんだそれ)。

話し込んだ分だけ気づきも多くなる。そんな相手がいるのはとてもうれしいことだ。

さて。

システムの目的は効率化だ。そのために人はそれぞれ役割を与えられ、その役割を過不足なくこなすことを求められる。

ポイントは、不足はもちろん、過ぎたことをしても(例えそれが好意からくる善きことだとしても)いけないということだ。なぜならそうすることで全体のバランスが崩れて

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いい質問の形は意外と

昨日は話し込んだので、知的慣性の法則がたくさん働いて頭の中がぐるぐるだ(すごく楽しいという意味)。

その中で気になったテーマの一つ「いい質問」について。

答えよりも「どれだけいい質問ができるか」が大事だと言われて久しいし、実際その通りだと思う。

そしていい質問といえば池上彰さんの「いい質問ですねえ〜」が音声付きで思い浮かぶわけだが、それがある種「いい質問」の定義を限定している気がするのだ。

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予測変換の功罪

功罪はちょっと大げさだ。いいとこわるいとこくらい。

パソコンやスマホの予測変換は便利だ。現にいま「予測変換」という文字は予測変換で打った。

こういう、なんていうのか無機質な言葉なら予測変換を使うのにあまり抵抗はない。

ただ「ありがとう」とか「うれしい」のような心を伝える言葉を打つときに予測変換が出てくると違和感がある。

できればそういう言葉は文字で書きたい派だからか、打つ、しかも予測変換で

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詩とサードプレイス

強引なこじつけだということはわかっている。

ただ、自分がいま興味を持っている、距離的にはだいぶ離れたもの同士がふと結びついたのでメモとして。

結びついたきっかけは詩人の辻征夫の言葉だ。

彼は詩作について

仕事を持ち、家庭を持ち、社会での色んな役割を持った普通の人が、ある時すっきりした「ただの人間」として立って言葉を発する。それが詩だと思う。

と書いている。

この言葉を聞いてサードプレイ

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星合

七夕の日には雨が降り、彦星と織姫は年に一回の逢瀬を楽しむことができないという話は毎年のことで、昨日の七夕もそうだった。

昔は彦星と織姫が出逢うことを「星合」と言ったそうだ。とても綺麗な言葉だと思う。

その星合のために、鵲という鳥が羽を広げて並び、天の川の上に羽の橋をかけ、その上を通って二人は逢いに行くらしい。

柔らかい羽の上を、はやる気持ちをおさえつつそおっと、でもできるだけはやく歩く二人の

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具体と抽象〜とある会話の続き

仮にその人をKさんと呼ぶことにしよう。

Kさんとの会話は、話し込むうちにいつのまにか時間が過ぎ、面白い思考テーマに差し掛かった途中でタイムアップになるのはいつものことだ。

そしてその思考テーマは、その面白さゆえにその後も自分の頭の中で動きつづける。これもまたいつものことだ。この状態を「Kさんによる知的慣性の法則」と呼んでいる。というか今そう呼ぶことにした。

今回のテーマは「具体と抽象について

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言葉にした途端に

谷川俊太郎の詩で「ものは、手に入れた途端に、ちょっとつまらないものになる」という意味の一節があった。

それと同じように、言葉にした途端に、本当に伝えたかった心の量や質が少し変わってしまうとよく思う。

そう思うから、僕はついつい同じ言葉を繰り返してしまう。

言葉は誰かと繋がりたい、心を伝えたいから生まれたもので、だからこそ百万語以上の言葉があると思うけど、それでもなお伝えきれない心がある。

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