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知の学びを創造する者
2024年4月24日 00:54
俺は横断歩道で車にはねられたはずだったが、「リセット」という女の声がした。気が付くと、いつもの交差点にいた。母さんは5年前に亡くなった。母子家庭だった俺は、母さんがある日、用事もないのにどこかに出掛けて行くことがあった。ご飯は用意してあり、「夕方には帰るから」と言ったきり、どこに行くのか何も教えてはくれなかった。母さんが亡くなって以後、不思議なことが起きた。それは不慮の
2024年4月14日 21:14
下降して、横に移動する。私を乗せた"それ"という物は目的なく、上下に動いては並行移動した。到達点は何もない。誰かの指示で動いているというより、その日の感覚を頼りにとりあえず動いているという印象である。乗せられている側からすればひどく迷惑な訳だが、アルファベットのLの字や片仮名のトに近い形で動いていることだけは分かった。私はそれを「エルト」と名付けた。エルトはどこ
2024年4月7日 22:58
「ウチらの記念。桜の前でジャンプしよう!」桜が舞い散る4月、入学式のあの日。同じ中学に入ったミナと校門にある桜の木の前で写真を撮った。写真はひどくブレていたが、そこには笑顔の二人が映っていた。3年後、卒業式。私は、桜の木の前にいた。ミナは生徒会長になり、クラスも2年生まで一緒だったが、なんとなく遠い存在になった。校門の前で桜を眺めていると、ミナがこっちにやって来た。