知の学びを創造する者

頭の中を整理する創作の場としてnoteを始めました。 頭に浮かんだこと、短編小説(作…

知の学びを創造する者

頭の中を整理する創作の場としてnoteを始めました。 頭に浮かんだこと、短編小説(作品はフィクションです)などを書きたいと思います。

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【超短編小説】 消しゴム

俺は急いでいた。アカネが転校する。 今日は引っ越しの当日だった。 俺は坂道を走り、家の前に辿り着いた。 引っ越しのトラックが停まっている。 「ハアハア、間に合った」 ダンボール箱を抱えたアカネが玄関から出てきた。 「どうしたん?そんな慌てて」 「お前にさ、渡し、渡し忘れてたから」 俺はポケットから消しゴムを取り出した。 「それ、うちが貸した消しゴムやん。もう無くしたんかと思ってた」 「返そうと思ってて、引き出しに入れたままになってた」 「それを渡しに来た

    • 【ポエム】 情報過多カタカタ

      キーボード カタカタ鳴らす。 終わらない仕事。  程よいところで型つけて、 机の上を片付ける。 肩が痛くて、 肩こり酷くて、 スマートフォンを一度開けば、情報過多。 目が眩む。 カタカタ、カタカタ カタカタとどこを取っても 情報過多。 気付けば今夜もてっぺんだ。 カタカタ、カタカタと また、明日も。 朝は早い、型破り。

      • 【超短編小説】 チョコレートの海

        これでいいのかと思ってしまうぐらいに、冷静な自分がいる。 物事はチョコレートのように甘くはないのだ。 嫌というほど聞いたことのあるセリフを頭の中で反芻する。 『このままじゃ、僕は・・・』 だが、その甘いチョコレートの海の中で溺れてしまいたい自分もいる。 外気を吸うため、僕は海から顔を出した。 やがて、白いワイシャツが茶色に染まっていくことを想像する。 「誰も君のことなど、気にしてなんかいないさ」 目の前を泳いできた魚達は言う。 「君が勝手に気になっているだけ

        • 【超短編小説】 呟き

          「寝ている時に、起こして悪い。お前に言いたいことがあって来たんだ」 ある男は語り始めた。 「この町はずいぶん変わっちまった。 俺らが遊んでいた頃の町とは違うみたいだ。 そうやってお前が目を瞑っている間にも、 誰かが決めたことが当たり前かのように言われるようになっちまった。 以前からそうだったのかもしれないがな。 だが、どうも最近はそれだけに留まらなくなってきた。 あろうことか、お前さんが寝ている間に社会の秩序は大きく変わっちまったんだ。 最初はゲームみたいな

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        【超短編小説】 消しゴム

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        • ポエム
          34本
        • 超短編小説
          103本
        • 閉じこもりの日々に別れが来るまで
          5本
        • アオハル
          12本

        記事

          【ポエム】 地球は、また自転する

          地球は自転する。 人は別れては出会いを繰り返す。 ぐるぐると巡り合うその中で、 僕は君に会い、 君は僕に会った。 僕らは最初はぎこちなかったし、上手く話せなかった。 すれ違うことばかりで、顔を合わせるぐらいだった。 どういう人なのかも分からなかったし、あまり知ろうともしなかった。 でも、時は流れ、僕らは親しくなった。 たぶん、声をかけたのは君からだった気がする。 僕も何となく「うん」と返事をした。 君に出会ってからの僕は少し変わったような気がする。 君

          【ポエム】 地球は、また自転する

          【短編小説】 突然の来訪者

          外はまだ寒かった。 確か、8時を少し過ぎたぐらいの時間だった。 コーヒーを淹れて、少し休んでいる頃、 呼び鈴が押された。 予定時刻よりはまだ3時間ほどあった。 準備すら出来ていない私は窓の方に顔を向けると、 玄関先で待つ少女が見え、少しばかり焦っているようだった。 仕方なく、私は玄関の扉を開けた。 「ごめんくださいませ、マクセルさん」と彼女は言った。 「どうしたんだね。君は今日11時に来ると言っていたはずなのに」と私は言った。 「マクセルさん、私はどうして

          【短編小説】 突然の来訪者

          【ポエム】約束の空は青かったが、別れ際の雲は曇っていた

          何者でもない。 誰かの役に立てている訳でも。 あまり良い顔をされなくても、 誰かには思いが届くような気がして、 笑顔を作っては笑って見せた。 替えが利くロボットのように、 代わりなんてものもあるのかもしれない。 そういう世界線に立っている。 喜びの裏側で、悲しむ者たちがいる。 僕だって本当は辛いよ。 こんなはずじゃなかったのにさ。 もう少しこの世界に居たかった。 約束の空は青かったが、 別れ際の雲は曇っていた。(完)

          【ポエム】約束の空は青かったが、別れ際の雲は曇っていた

          【短編小説】 明日、死ぬかもしれない世界にて 

          「ごめんな」 俺は携帯電話を片手にそう呟いた。 電話口の相手は泣きじゃくった。 こんなつもりじゃなかった。 悲しい思いをさせたくはなかった。 でも、こうするしかなかった。 「これからどうするのよ」 俺は少し黙って「分からない」と答えた。 「死んだら、許さないから」 「分かってる」 そう言って、電話は切れた。 しばらく壁にもたれた状態で立っていた。 大丈夫だ、俺は死んだりなんかしない。 痛みも受け止める。 歓声が鳴り響く中、俺は酒を一口飲んだ。(完)

          【短編小説】 明日、死ぬかもしれない世界にて 

          【ポエム】 だから、ここにいる

          できないことだってある。 理解できることばかりで世界を見て、 顔が見えなければ何でも言える。 そんな世界で生きている。 でも、それは一部にしか過ぎない。 まだ知らないことだってあるんじゃないか。 こうしている間にも誰かは悩んでいて、 夜の静けさの中で泣いている。 だから、ここにいるんだろう。 だから、遠い場所でもすぐに来てくれるんだろう。 「待たせたな」って、顔出してくれよ。 お前が必要なんだ。(了)

          【ポエム】 だから、ここにいる

          【超短編小説】 饅頭を齧る女

          これは旅先で会った女の話だ。 その女は右手に饅頭を持ち、こちらを見ながら饅頭を一口齧った。 まるまるとした白い饅頭であったが、小さい口を器用に動かし、運んでいく。 それは頬張るというよりは齧るが適当であった。 まるで私に見せつけるかのように饅頭を美味そうに食べた。 女は饅頭を食べ終えると「ふー」と息を吐いた。 もう腹が一杯になったに違いない。 そう思った矢先、女は鞄から赤い饅頭を取り出した。 まだ食べるのか。余程、お腹が空いていたのだろう。 女は人目を憚るこ

          【超短編小説】 饅頭を齧る女

          【超短編小説】 夜中物語

          夜の静けさが好きだ。 真っ暗で何の音も聞こえない。 でも、だんだんと空は青になっていく。 わたしたちは笑った。 声はガラガラで、 すぐにでも眠りたい。 「明日、声、出ないかも」 「もう、今日だよ」とツッコまれながら、 飲みすぎて、歌いすぎて。 冷たい空気が身体を纏い、意識を保たせる。 こんな日常が続けばいいのに。 「じゃあね」と手を振ったら、 「おやすみ」と返したようだった。 気がついたら、布団の上にいて、 「おはようございます」と言ったスマートフ

          【超短編小説】 夜中物語

          【超短編小説】 形成

          人間はこれまで生きてきた中で経験したことを元に形成されていく。 過去にしがみつき、そして、また新たなものを取り入れ、形成していく。 そう、形成なくして生きていけぬ。 それが私の生き方だった。 積み上げたものを簡単には壊すことなど出来やしない。 そういうジレンマの中にいる。 私を形成するもの。 それは一体、いつから芽生えたのか。 それが私を蝕むようになったのはいつ頃の出来事なのか。 形成という、何とも言い難いものに支配され、 私の血肉となり、刻印のように今も

          【超短編小説】 形成

          【ポエム】 静かに消える。

          消えた。 音も立てずに。 そこにあったものは、すぐに消える。 存在したのかさえ分からず。 静かで、 夢のように見えて、 白い紙には10行ぐらいの文字が並ぶ。 消えて、また新しいものが現れる。 理由なんか分からないだろう。 分からない時点で、終焉を迎える。 油性ペンより水性に近い。 一瞬にして、文字は消えた。 そしてまた、ペンは動く。(完)

          【ポエム】 静かに消える。

          【超短編小説】 リセット

          俺は横断歩道で車にはねられたはずだったが、 「リセット」という女の声がした。 気が付くと、いつもの交差点にいた。 母さんは5年前に亡くなった。 母子家庭だった俺は、母さんがある日、用事もないのにどこかに出掛けて行くことがあった。 ご飯は用意してあり、「夕方には帰るから」と言ったきり、どこに行くのか何も教えてはくれなかった。 母さんが亡くなって以後、不思議なことが起きた。 それは不慮の事故にあっても無傷で生きていたということだ。 しばらくして、俺は雨の日に雷に打

          【超短編小説】 リセット

          【ポエム】 海底に沈む世界

          起きている現実 それを取り巻くもの その渦中にいるもの 明日には変わってしまうかもしれない未来を 私たちは見過ごしているのかもしれない 照らされた明かりは、まぶしく その裏側にある影を 分かったふりして頷いた でも、そうじゃない そうじゃなかったのかもしれない 君が教えてくれた もう一度、時間をくれないか 考えてみるから 海底に沈む世界について(了)

          【ポエム】 海底に沈む世界

          いつもお読み頂き、ありがとうございます。超短編小説ももうすぐ100作目に近づいて来ました。 100作目に向け、また一つ、日々小説を考えたいと思います。

          いつもお読み頂き、ありがとうございます。超短編小説ももうすぐ100作目に近づいて来ました。 100作目に向け、また一つ、日々小説を考えたいと思います。