【超短編小説】 形成
人間はこれまで生きてきた中で経験したことを元に形成されていく。
過去にしがみつき、そして、また新たなものを取り入れ、形成していく。
そう、形成なくして生きていけぬ。
それが私の生き方だった。
積み上げたものを簡単には壊すことなど出来やしない。
そういうジレンマの中にいる。
私を形成するもの。
それは一体、いつから芽生えたのか。
それが私を蝕むようになったのはいつ頃の出来事なのか。
形成という、何とも言い難いものに支配され、
私の血肉となり、刻印のように今も残り続ける。
逃れようのない場所まで来てしまった。
私はいつしか形成の中に存在を見出そうとしていた。
まだ遅くない。
まだ道は続いている。
形成がある限り(了)