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知の学びを創造する者
2024年2月27日 23:49
「悲しいこともあるわ、生きていたらね」母さんはそう言った。「だってそうでしょ。今日も誰かが誰かを思う。涙が溢れることも。どうすることも出来ないことも、仕方がないことも」「悔しいことも、不甲斐ないこともあるわ」「そうやって何かを感じながら、また明日が来るのを待つしかないのよ。すぐには消え去らないことでも、誰もがどうにかやり過ごしているのよ」「私はね、日常にあるそういう言い表せない
2024年2月25日 20:30
君が気付いた頃、僕は君の携帯に電話をかけるだろう。何度も着信音が鳴り、そして、静かに音が止まるだろう。そう、あの頃はまだ僕は君のことが好きだった。僕が君に電話をかけて、君はだいたい1分45秒後にかけ直す。その繰り返しだったし、それが楽しかった。若さゆえの幸福と甘酸っぱい想いに満ち溢れていた。でも、君はもうここにはいない。随分と理性ばかり働いてしまった僕は君と一緒には居ら
2024年2月9日 00:13
小生はただの凡人であった。物書きになろうと志し、早15年が過ぎた頃か。作品を書こうにも、直ぐには浮かばないもので仕方がない程、頭を使うのである。同期に言わせれば「そんなものはスルリと書けてしまう」とのことであったが、どのようにすれば、この難題に向き合えるのか猫の手も借りたい所であった。難解な問題を解こうにも、思考停止の頭では回るものも回るまい。考えようにも発想が浮かぶどころ
2024年2月7日 00:24
私はメロンパンが好き。それは、幼馴染のお母さんが経営しているパン屋で売っている。「いらっしゃい、今日も来てくれたのね」とおばさんは温かく出迎えてくれた。「メロンパン1つ」私がおばさんとやりとりをしていると、あいつが店の奥から出てきた。「また、メロンパン、買いに来たのかよ。うちのパンなんか買いに来んなよ」あいつは私にそう言うと、おばさんはすぐに咎めた。「コラ、お客さんに失
2024年2月1日 00:23
それは果てしない物語だった。終わりの見えない、小さな世界の中で憂鬱な日々を過ごしていた。僕らは哀しみに暮れていた。この街には歓喜すら無かったのだ。楽園という名の遊びは封じられ、街の人達はどこか暗い表情をしていた。救われないこの場所にはただ息苦しさだけが残った。彼女が僕の前に現れるまで・・・。彼女は突然、姿を現した。それが僕と彼女の二度目の再会であったことを僕はまだ知