2024年5月後半の読了本+感想と、活動報告
こんにちは。
あらためて文学フリマに来てくださった皆さま、『第一芸人文芸部 創刊準備二号』を買ってくださった皆さまありがとうございます。
活動のベースとなっているstandFM『第一芸人文芸部ラジオ』を聞いてくださっている皆さまもありがとうございます!
さて、5月はまた読書量が爆増しております。
noteの記事で紹介できる、最後まで読み切ったのは4冊ですが、読み途中なのが6冊(standFMや俺の推し本で紹介するもの)。
本を紹介するお仕事をいただいて、別媒体で感想を書いたのが1冊。(後日、報告します)。これから読まないといけないものが4冊。
読みたいものは♾️にあります。
なかなか深い読書体験が続いており、自分はどこか本の中の世界にいるようで、現実と地続きではないような錯覚におちいっています。
郵便受けに入っていたマンション前の道路の工事日程を確認したり、領収書を仕分けたり、排水溝の掃除をするときにふと現実世界に戻ってきています。
2024年5月後半に読んだ本
① 『むれ』 ひろたあきら
「あれ!クラスで自分だけみんなと違う!」と感じたことないでしょうか? 自分だけ見た目が違う、自分だけ家庭環境が違う、自分だけ感覚が違う——それは時にはネガティブに「なんで自分だけ」と影を落としたり、時にはポジティブに「自分だけが特別だ」と思い込ませてくれたり……。
反対に「自分はクラスのみんなと一緒で、ぜんぜん個性がなくてダメだなあ……あいつはあんなに輝いてるのに」と悩んだことないですか?
そんな感情の全てを肯定してくれるのが、よしもと所属の絵本作家・ひろたあきらのデビュー作『むれ』。ゆるめの可愛いイラストで、きりん、さかな、うんち、宇宙人、透明人間などいろんな群れが登場します!
でもよく見ると、1匹だけみんなと違う……。
首の短いきりんがいる。
と、本文でリードしてくれますが、他にもみんなと違うきりんがいたり。
カラフルなうんちがいますとリードしてくれますが、長いうんちもいたり。
一度だけじゃなく、二度三度読んでも楽しめる絵本。めちゃくちゃ工夫して作ってるなあ〜。
マクロでみたら群れの一人、ミクロでみたら同じ人なんていない、だから群れの一員てことも否定しないで、個性も否定しないで、あるがままで良いんだよ。そんなメッセージを受け取りました。
大人も子供も、時には間違い探しのように楽しめるし、時には強烈なメッセージを読み取ることもできる。クオリティの高い一冊!おすすめです。
② 『校閲ガール』 宮木あや子
最高に面白い。トレンディドラマを見てるように情景が浮かぶ。お仕事コメディ小説。そりゃドラマ化する。
主人公は河野悦子(こうのえつこ)。
ファッション誌の編集者になることが夢。
しかし憧れの出版社に合格したものの、文芸書の校閲部に配属されてしまう。名前が河野悦子だからか!?と疑いながら、もくもくと原稿と格闘する日々。
一日でも早く、ファッション誌の編集部に移動したい。そのためには校閲の仕事を完璧にこなして、仕事のできるヤツと認められないといけない。
堅苦しい作家を説得したり、偉そうな先輩に言い返したり、作家のパーティーに出席する同僚を垢抜けさせたり、独創的な純文学に辟易したり、事実確認が大変な時代小説の担当になったり。校閲者の仕事は大変だけど奥が深いなぁと勉強になった。
そして悦子は、ある作家に恋をする。校閲者は編集者と違い、簡単に作家には近づけないはずだけど……。
予想外の展開だらけで、一気読み。めちゃくちゃエンターテインメント。シリーズものなので、次作も読みたい。
③ 『人間椅子』 江戸川乱歩
無料で読めます↓↓
タイトルだけ知っていた江戸川乱歩の『人間椅子』。
誰かを四つん這いさせて、背中に座り、椅子のようにして扱う話だと思っていたが全く違った。もっと人間椅子だった。
お化けや妖怪が出てこない系のホラーのお手本のような話。発表は1925年、約100年前。ぜんぜん色褪せない。
主人公の女性はある手紙を受け取る。差出人の男は貧しく、醜い顔で、人生に絶望していると書かれている。代々続く椅子職人で、自分がオーダーメイドした椅子は、自分とは縁のない金持ちの家に届けられる。そんな状況や境遇が嫌で死のうと思うが、椅子の中に隠れることを思いつく。こうして男が入った椅子は出荷され、高級ホテルのロビーに置かれるのだった。
と、ここまで約三分の一くらいのあらすじだか、それでもおぞましい。ここから椅子に座る人、主に女性に好意を抱くようになる。革一枚を間に挟んだつながり。実際にあった、ベッドの下にストーカーが隠れていた事件を思い出す。
そして何といってもオチが見事。内容の気持ち悪さと、美しいラストは一度読んだら忘れないと思う。なんで2回に分けて手紙送るんだよ。
④ 『モノグラム』 江戸川乱歩
無料で読めます↓↓
まるで落語やすべらない話のような、よくできたお話。独白だけでグイグイと読ませられる。
「私」は栗原という守衛の男に昔話を聞かせられる。これは言わばちょっと仲良くなった相手には聞かせているような、謂わばテッパン話。
栗原一造は浅草公園で田中という男に出会う。「どこかで会ったことはないか?」と聞かれるが身に覚えがない。しかし話していくうちにどこか面影は記憶にあり、それを解明させるために二人が思い出を語り合う。
オチが二つある話は技巧的で大好き。自分が栗原でも、こんな経験があれば人に話すと思う。当時の浅草の描写も面白かった。六区には映画館や見せ物小屋があったんだ。
報われたかに思えたかつての恋心は、思わぬ影を落とし栗原の心に刻まれた。
今後の予定
① 6月1日(土) standFM『第一芸人文芸部ラジオ』公開生配信
毎週水曜22時〜 ピストジャムさんと行っているstand.fm生配信の公開生配信です。
芳林堂書店高田馬場店8Fにて。
開始17:00(開場16:45)です。
ゲストは、『第一芸人文芸部 創刊準備二号』にも俳句と散文を寄稿されているフルーツポンチ・村上さんと、つぼみ大革命の糸原さん。
入場無料なので、ぜひ遊びに来てください!
② 6/4 BSよしもと 『第一芸人文芸部 俺の推し本。』公開収録
BSよしもとでオンエアされた特番『第一芸人文芸部 俺の推し本。』をたくさんの方々が見てくださったおかげで、レギュラー化が決まりました!
第一回の公開収録があるので、ぜひ遊びに来てください!
場所:下北沢B&B
時間:2024/06/04(火)19:00〜
メンバー:ピストジャム、ファビアン、フルーツポンチ村上
ゲスト:滝音・さすけ、ダイヤモンド・小野、赤嶺総理
こちら3本撮りで、各回ごとに特別ゲストが登場し、4人で推し本について話すイベントです!
③ カレー出します!
カレーと文学が融合したおもしろ企画に参加させていただきます!
本屋が仕掛ける“ココでしか買えない”読書体験「華麗に文学をすくう?」
赤坂に店舗を構える「双子のライオン堂」さんと、神保町・秋葉原などで「書泉」「芳林堂書店」の2つの屋号で「アタマオカシイ本屋」を展開する株式会社書泉さんの共同企画です!
小説を書いて、その中に登場するカレーがレトルトカレーとして実際に発売します!
執筆メンバーはこちら
尾崎世界観(ミュージシャン・作家)
高山羽根子さん(作家)
青木杏樹さん(作家)
オルタナ旧市街さん(作家)
浅生鴨さん(作家)
第一芸人文芸部:ピストジャム(芸人・作家)ファビアン(芸人・作家)
豪華執筆メンバーに入れていただいて光栄です!
リリースはこちら↓↓
第一芸人文芸部の活動報告
① 毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
「今週の推し本」コーナーでは本の紹介、そのほか文学ニュースについて語ったり、活動報告も行なっています!
お便りコーナーもあるので、質問等お待ちしております!
ぜひ聴いてください!
第一芸人文芸部の活動のベースとなっております!
文芸誌『第一芸人文芸部』の発売店まとめ
『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。ぜひゲットしてください!
① 『第一芸人文芸部 創刊準備二号』
② 『第一芸人文芸部 創刊準備号』
拙著について
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらに発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房『本屋夜話』(「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の小鳥書房文学賞を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。
“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
小鳥書房さんのページはこちら↓↓
過去のアーカイブ
① 特別番組「第一芸人文芸部 俺の推し本」
② Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
登録30日間は無料なので、ぜひ聴いてください!
面白いもの書きます!