2024年8月前半の読了本+感想と、活動報告
こんにちは!
文学フリマ大阪に、第一芸人文芸部での出店が決まりましたァァァ!
ブースは『い-01』!
関西の皆さま、ぜひ遊びに来てください〜!下にも詳しく書きます!
もう8月も折り返しですね。早いです。
収録もあるし、書評の仕事もいただけているので、読書ライフを充実させつつも、執筆も進めています〜!
2024年8月前半に読んだ本
①『新装版 京都 ものがたりの道』 彬子女王
本は著者と読者の交流というけれど、本当に話しかけてもらってるような優しい文体で書いてくださっているので、「へええ、そうなんや!」「そこは僕も行ったことあります!最高ですよね!」とか、思わず相槌を打ちながら読んだ。
気品と知性に満ちていて、尚且つチャーミングな人柄がにじみ出ていて、めちゃくちゃ楽しめせてくれた一冊。特に歴史への造詣が深く、平安以前から現代まで、京都の街に思いを馳せているのが素敵だった。
また自然を愛する描写がとても魅力的で、京都府庁の桜、堀川公園の銀杏、雪の日の洛北と洛中の景色の違いなど、見た時の感情を生き生きと書かれていて、情景が浮かぶとともに自分も行ってみたくなった。
市井の人々との交流、側衛の警察官とのユニークなやりとりも面白い。
最後まで読み終わると、Googleマップが「行ってみたい」のピンだらけになった。気がついたら京都府警本部ビルにまでピンをさしていた。その理由は読めばわかると思う。
地図やガイドブックで情報を得るだけでなく、「誰かのエッセイを読んで、著者の感情とともにその地を巡ってみる」というのはこれからの旅の醍醐味になるかもしれない。
②『ツミデミック』 一穂ミチ
第171回、直木賞受賞作品。
6本からなる短編集で、その共通点は舞台がコロナ禍だということ。パンデミックに大きく影響を受けた主人公たちの生活が崩れていく。
紹介に「犯罪小説集」とあるように、日常からひとつ歯車が狂ったことでは犯罪を犯してしまったり、巻き込まれたり。かなり読み応えがある作品集だった。
読みながら「ああ、そうだった」とコロナ禍の記憶が蘇り、同時にもう過去のことになってしまっていたことに驚く。しかし本当は地続きでつながっていて、いまだに苦しんでいる人も多くいるし、自分の周りにも、知らないだけでこの小説に出てくるような人物がいたかもしれないと思わずにはいられなかった。失業、借金、生活苦、家庭崩壊、助成金詐欺など、僕のそばにそんな人たちがいたらどんな声をかけてあげあれただろうか。
かといって、コロナの医療現場で繰り広げられる病魔との戦いではなく、どれも生活に根付いた話。かなりリアルな描写に、読んでしばらく経っても色濃く自分の心に残るような話ばかりだった。
特に好きだったのはコロナ禍で数が増えたフードデリバリーの美男子に会いたくて、何度も注文してしまう主婦を描いた『ロマンス』。夫にバレないように、子供に見つかって夫に報告されないようにと、注文の隠蔽を行う様子に狂気を覚えた。
③『地雷グリコ』 青崎有吾
おもろーー! 激しくおもろい! はげおも!
なんじゃこりゃ〜〜〜!時間があっという間、って感じ。
心理戦&頭脳戦を、思考を丁寧に追いながらめちゃくちゃ楽しませてもらいました!
惜しくも受賞しなかったけれど、171回直木賞候補にも選ばれた一冊。
あらすじ。
主人公は、勝負事にめっぽう強い射守矢 真兎(いもりや まと)。クラスの想いを背負って、文化祭の出し物(カレー屋)の場所を賭けて、生徒会と対決する。
対決種目は『地雷グリコ』。46段の階段を舞台にじゃんけんグリコを行うのだが、追加ルールが!
なんと自分も相手も好きな場所に『地雷(踏んだら10段戻らないといけない)』を仕掛けても良いことに。
グリコは3マス、チョコレイト、パイナップルは6マス。3の倍数の段に地雷を仕掛けるのが定石に思えるけれど……。
裏切りに次ぐ裏切り、相手の思考の読み合い——勝者は?
そのほか、『坊主衰弱』『自由律じゃんけん』『だるまさんがかぞえた』『フォールーム・ポーカー』と射守矢 真兎の戦いは続く。
感想。
バカおもろい!
まさにJK版カイジ、小説版ライアーゲーム。めちゃくちゃ楽しめた。
遊び慣れたゲームのルールを少し変えるだけで、こんなに楽しめるものに生まれ変わるとは。幼い頃、まだまだ遊べる余地があったんだなあ。
そしてバトルだけに終始しないのが良い。中学の同級生との再会や、親友を通したドラマ。生徒会との関係も面白かった。
熱中し、気がついたら読み終わっていた。
お気に入りのゲームは『自由律じゃんけん』『フォールーム・ポーカー』。やってみたい。
④『ずっと喪』 洛田二十日
めちゃくちゃ面白い!!
ショートショート大賞を受賞して作家になった洛田二十日さんのデビュー作。
奇想天外な設定が多く、どうやって思いついたの?と思わず唸るものばかり。天才だと思う。思いついて、さらに書き切って、それぞれの話をまとめあげる筆力もすごい。最後までオチが読めないものばかり。
Aマッソ加納さんが帯に書いている『舞台袖で他の芸人のネタ見て思う「やられた」って気持ちが全編続いて最悪だった」が、本当に秀逸な感想だと思う。巻末の洛田さんと加納さんの対談も最高だった。
特に好きだったのは
月に一回、女の子に訪れる桂馬の日について書かれた『桂子ちゃん』
自分自身が人琴という楽器になり音を奏でる『初恋ファガール』
糠の中を泳ぐ新しい競技「糠泳」の日本代表を書いた『もっと糠糠と泳げ』
他にも書ききれないくらいたくさんあった。
ちなみに洛田さんは構成作家としても活躍中で、多数のライブや番組を担当している。
⑤『モルグ街の殺人』 エドガー・アラン・ポー
1841年に発表された世界で最初に書かれた推理小説。密室殺人を扱ったのも最初だと言われているらしい。
天才探偵と助手(非凡な語り手)は半世紀後、シャーロック・ホームズ、ワトソンという名コンビを生む。
作者のエドガー・アラン・ポーはもちろん、江戸川乱歩の名前の由来にもなっている。
なかなか今の感覚で読むと難しいところもあるけれど、面白いよ。
犯人は意外すぎて、そんなのアリですか!?となる。
あらすじ。
舞台は19世紀のパリ。語り手の「私」は青年デュパンと知り合う。デュパンは鋭い分析力の持ち主で、些細なことから物事を推理して楽しむ変わり者だった。
ある日、夕刊に掲載された殺人事件にデュパンが興味を持つ。深夜3時に悲鳴を聞いて近所の住人と警官が急行すると、鍵のかかった密室で母と娘が殺されていたらしい。犯人はどうやって密室から脱出したのか? 殺人の動機は?
今後の予定
①8/24,25『本と社交場』
本好きたちの交流と新たな出会いを楽しむブックイベント!会場には、老舗から気鋭まで個性溢れる書店やアーティストなど、本好きたちによるブースが登場。
第一芸人文芸部は、文芸誌『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』『こんなにバイトして芸人つづけなあかんか』『きょうも芸の夢をみる』のほか、ピストジャムさんと僕が選書した本を10冊販売します!
日時:8/24(土)、8/25(日)
時間:11:00~19:00
場所:表参道ヒルズ 本館 吹抜け大階段
出演:岩間有希+Sandy magazine 小宮山書店 櫻井万里明 第一芸人文芸部 有隣堂しか知らない世界 吉田沙世 BOOK BIRD Dan Leiya
PARADISE BOOKS stacks bookstore TANG DENG Co. WATARU KOMACHI
公式ページ↓↓
②9/8『文学フリマ大阪』
日時:9/8(日)
時間:12時~
場所:OMMビル2F A・B・Cホール
入場無料
文学フリマとは・・・
作り手が「自らが《文学》と信じるもの」を自らの手で販売する、文学作品展示即売会です。入場無料・事前予約不要です。ぜひお越しください!
https://bunfree.net/event/osaka12/
第一芸人文芸部のレギュラー
① 毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
今週読んだ本の紹介、そのほか文学ニュースについて語ったり、活動報告も行なっています!
お便りコーナーもあるので、質問等お待ちしております!
第一芸人文芸部の活動のベースとなっております!
② 毎週日曜16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』
7月7日から、毎週レギュラー放送が始まりました!
アーカイブはBSよしもとのサイトから!
また放送から1週間後にBSよしもとのYouTubeチャンネルでも公開されます!
YouTubeは記事の下の方にまとめているので、ぜひ!
放送予定
8月18日 ♯7 村上(しずる)、西田(キンボシ)
8月18日 ♯8 村上(しずる)、九条ジョー(レ・ヴァン)
9月 1日 ♯9 村上(しずる)、トニーフランク
9月 8日 ♯10 野沢直子、ネイチャーバーガー三浦
9月15日 ♯11 野沢直子、天津飯太郎
9月22日 ♯11 野沢直子、インディアンス田渕
文芸誌『第一芸人文芸部』の発売店まとめ
『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。
自信作です! ぜひゲットしてください!
※在庫は各店舗にお問い合わせください。
拙著について
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらに発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房 『本屋夜話』 (「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の小鳥書房文学賞を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。
“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
小鳥書房さんのページはこちら↓↓
アーカイブ
①(2024年7月〜)『第一芸人文芸部 俺の推し本』
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②(2024年3月) 特番『第一芸人文芸部 俺の推し本』
④ (2023年10月〜2024年3月)Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
面白いもの書きます!