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十代の頃からアラカンの今に至るまで続いている趣味・小説創作。noteでエンターテインメント公務員小説「やくみん!お役所民族誌」執筆を開始したのを機に、そのドラフトやアイディアメモ…
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#消費者行政

0912:「健康茶にステロイド剤」事件と行政の商品テストの限界

0912:「健康茶にステロイド剤」事件と行政の商品テストの限界

私たちの生活を巡る様々なリスクを注意喚起してくれる、国民生活センターの報道発表。今日の「花粉症への効果をほのめかした健康茶にステロイドが含有-飲用されている方は、医療機関にご相談を-」はまた衝撃的でマスコミ各社もすぐに報道に取り上げている。

花粉症に効くという健康茶。私もそうだが花粉症に悩まされている人は多く、こういう謳い文句には飛びつきたくなる。で、消費者問題目線ではまず誇大広告(実際には効か

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0817:やくみん覚え書き/第1話ドラフトを書き上げての所感

0817:やくみん覚え書き/第1話ドラフトを書き上げての所感

昨日、公務員小説『やくみん! お役所民族誌』第1話[26]をドラフト脱稿。これで第1話の最後まで辿り着いた。今日の午前中にまとめ読みを整備し、ひとまずの区切りをつけた形になる。

公務員の早期退職を心に決めてnoteを立ち上げた2020年9月時点で、県庁を舞台にした小説を書くことは想定していた。というより、早期退職により生み出す時間でやりたかったことのひとつが、まさにやくみんを書くことだった。no

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第1話[18]~[21]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[18]~[21]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

【前回】

[18]子と親と        *

 ブッさんの知る限り、これまでの候補者面談はせいぜいが30分程度だった。つまりそれまでに哲さんが相手を見限ったということだ。しかし、香守充に対する面談は1時間を超え、2時間に迫ろうとしている。
 面談当初に比べれば、充の様子はかなりほぐれた。哲さんは充に対して支配的に振る舞わない。充のどのような発言も受け止めて、ボールを投げ返す。コミュニケーション

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0649:消費生活講座

0649:消費生活講座

この夏は消費生活系のオンライン講座を複数申し込んでいる。司法書士試験も終わり(結局受験できなかったが)、この時期に集中して復習できるのは有り難い。

今日はそのうちのひとコマを受講した。消費者行政の大枠についての講座だ。なお、内容に関してSNS等への書き込みは禁じられていることから、詳しくは書かない。

私は6年間を消費者行政部門で過ごしたが、最後の在席から丸三年以上が経った。消費者団体に関わって

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0573:小説『やくみん! お役所民族誌』[16]

0573:小説『やくみん! お役所民族誌』[16]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」[16]

<前回>

        *

 澄舞県庁の組織体制は行政組織規則で定められている。本庁内部組織である生活環境総務課消費生活安全室と、地方機関の消費生活センターは、規則上は別組織だ。前者は消費者行政全体の企画・調整・運用を行い、後者は消費生活相談や消費者教育・啓発などを実施するものとして、役割が分かれている。
 このふたつ

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0566:小説『やくみん! お役所民族誌』[15]

0566:小説『やくみん! お役所民族誌』[15]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」[15]

<前回>

        *

 三日間の澄舞県消費生活センターインターンシップのゴールは、みなもと小室の二人で県民向けの広報素材をひとつ、仕上げることにある。そのために必要な「テーマ」「モチーフ」「媒体」を検討することが、初日午後の課題だ。
「まずはテーマね。午前中の話を思い出して」
 二階堂麻美主任が「正解」のない課題

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第1話[6]~[9]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[6]~[9]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」

【前回】

[6]澄舞県庁へ 朝の澄舞県庁前バス停は、多くの人が降車する。いつもなら、みなもはぼんやりその様子を眺め、そのまま澄舞大学前まで移動するところだ。今日は初めて、澄舞県庁前でバスを降りた。
 道路から広い前庭を挟んだ向こう、コンクリート打ち放しの6階建てビルが、澄舞県庁本庁舎だ。上下に軽く押しつぶしたサイコロのような安定感

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0462:小説『やくみん! お役所民族誌』[9]

0462:小説『やくみん! お役所民族誌』[9]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」[9]

<前回>

        *

「というわけなのよね」
 二階堂麻美は、昨日の顛末を15秒の情報量で説明した。
「でも、結果的には良かったんじゃないですか?」とみなも。「説明だけだと耳から入ってもすぐに忘れちゃうけど、あのインパクトは残りますよ」
「ぼくも香守さんと同じ意見ですね」と小室が言葉を継ぐ。「一視聴者として、公務員

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0432:やくみん覚え書き/さおだけ2本でニーキュッパ

 竿竹の訪問販売という古典的悪質商法で逮捕者が出た。「竿竹2本でニーキュッパ」と売り歩いて、2,980円だと思った人が声を掛けたら実は29,800円でキャンセルは効かないと凄み、物干し台込みで40万円で売りつけ立ち去ったという。もうほんと古典的押し売りだ。

 若い人は知らないかも知れないが、昔、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という本がベストセラーになった。車で竿竹を安値販売してなぜ商売が成り

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0415:成年年齢引き下げカウントダウン

0415:成年年齢引き下げカウントダウン

 今日は日本消費者法学会、全面オンライン開催で非会員にも公開されていたのでほくほくと視聴した。コロナ以前は大抵の学会や講演イベントは現地に行くしかなかったが、コロナでZOOM参加が当たり前の文化になり、今後コロナが収束して対面が原則になってもおそらくZOOM公開は残って行くのだろう。田舎住まいの身には有り難いことだ。

 今日の報告ラインナップは、こんな感じ。

■日本消費者法学会 第14回大会

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第1話[1]~[5]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話[1]~[5]まとめ/小説「やくみん! お役所民族誌」

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」

[1]みなもと秀一、アパートの朝 ぎゅっと背後から体に腕を回し、首筋に当てた鼻から、すうっ、と息を吸い込む。嗅ぎ慣れた恋人の体臭は鼻腔から脳に染み渡り、心地よく力が抜けていく。
「みなちゃん、もぎゅられるとネクタイ結べないんだけど」
「んー、あとひと吸いだけ補給ー」
 すうっ。じわじわっ。
 朝。二人が半同棲生活を送るアパートの洋間

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まとめ読み目次/小説『やくみん! お役所民族誌』

まとめ読み目次/小説『やくみん! お役所民族誌』

 note上で連載中の小説『やくみん! お役所民族誌』の本文目次機能のための記事です。

■概要説明 この小説のコンセプト等について記した記事です。

 16万字超まで膨らんだ作品をnote創作大賞応募用に制限字数14万字以内に刈り込んだ後に書いた記事。内容には重複もあります。

■ドラフト連載用マガジン 小説創作に関する様々なエッセイを集めたマガジン。やくみんドラフト版もここで書いています。

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0330:小説『やくみん! お役所民族誌』[4]

0330:小説『やくみん! お役所民族誌』[4]

第1話「香守茂乃は詐欺に遭い、香守みなもは卒論の題材を決める」(4)

<前回>

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 みなもの実家は、平成半ばに造成された比嘉今(ひがいま)町の新興住宅地にある。市町村合併によって県庁所在地・松映(まつばえ)市に組み込まれたものの、市中心部にある澄舞大学への通学には、徒歩と電車とバスで一時間あまりかかる。車で直行すれば15分ほどだが、免許を持たないみなもは公共交通機関に頼るほ

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0266:やくみん覚え書き/PIO-NETとニセ科学ビリーバー

0266:やくみん覚え書き/PIO-NETとニセ科学ビリーバー

 ウイルスや細菌を除去し、免疫力をアップさせると謳う24万円のマイナスイオン発生器。その広告に根拠がなかったとして、今日、消費者庁が行政処分を行った。

 報道はこれから増えていくだろう、ひとまず一例。

 上の報道では、この商品についての苦情や問い合わせが全国の消費生活センターに24件寄せられているとされている。全国で24件。少ないと思う人も多いだろう。確かに件数としては少ない。でもこれには背景

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