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賢治・鏡花・太宰が綴る、秘めた想いを閉じこめた封蝋風ブローチ

一度開封したらひび割れ砕ける、そんな封蝋ふうろうの特性に心かれて。「秘めた想いがつづられた作品」に着想した、封蝋みたいなデザインのブローチ

みなさま、こんにちは!
歴史と読書が好きなミュージアム部プランナー・ささのはです。

自己紹介からお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は基本的に古いものが好き&どちらかというとアナログツールを好む傾向がありまして……紙モノや小さな雑貨などを集めたり、愛でたりすることが大好きなタイプの人間です。
そんな私が癒やしを求めてSNSを眺めていると、特にここ数年で現代風にアレンジされて、一気に市民権を得たアイテムがあることに気がつきました。
「封蝋(シーリングワックス)」「封蝋印(シーリングスタンプ)」と呼ばれる、手紙を閉じるためにふたつセットで使う文房具なのですが、みなさまご存じでしょうか?

封蝋とは、かつて欧米で使われていた「何かを密閉するため」の蝋のことを指します。瓶などの口を留めるためにも使われました。

仕組みとしては、溶かして固まる途中の蝋に書き手を示すデザインが刻印されたスタンプを押すことで、誰が差出人かの証明に。蝋には乾燥後に衝撃を与えるとひび割れたり砕けてしまう特性があるため、封蝋が無事な状態で届くことで、受取人は手紙が未開封であることを確認できたのだとか。

誰かに伝えたい大切な思いを守り、そして読まれるために必ずいつかは砕ける封蝋……まさに諸行無常しょぎょうむじょう……! ロマンチックでいいな~~~~^^とひとりニコニコしていた私でしたが、ふとピンとひらめきました。

封蝋独自の特性と、ページをめくる度にドキドキ胸が高鳴る「誰かが秘めた想い&秘密が書かれた文学作品」を組み合わせたら、何か超最強なものが生まれるのでは?

という訳で、「秘めた想いが綴られた作品」をイメージしたデザインが浮かぶ封蝋風ブローチを作ってみました。

ミュージアム部
文豪が綴った想いで留めて 物語を閉じこめた封蝋風ブローチの会

月1個 ¥2,400(+10% ¥2,640)
※1個だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。

ブローチは全3種! インスピレーションもととなった作品ラインナップの紹介をします。


〈太宰治著『駆け込み訴え』〉

私は所詮、商人だ。いやしめられている金銭で、あの人に見事、復讐ふくしゅうしてやるのだ。これが私に、一ばんふさわしい復讐の手段だ。ざまあみろ! 銀三十で、あいつは売られる。私は、ちっとも泣いてやしない。私は、あの人を愛していない。はじめから、みじんも愛していなかった。

『駆け込み訴え』より
『駆け込み訴え』のあらすじ:「私」は「旦那さま」のもとに駆け込み、自らの師である「あの人」にされた酷い仕打ちを訴え出る。そして彼は、人には理解されない純粋な愛のために「あの人」を訳人に引き渡すことに決めたと告白する。太宰の口述を、妻・美知子さんが書きとめたとしても知られる作品。

ブローチには「私が受け取った銀三十」と、「私があの人から与えられた一つまみのパン」をイメージした小麦をデザインしました。封蝋のシルエットは太宰の激しい感情がこめられた文体をイメージし、ランダムに蝋が広がった形状に。

一度でも開封されると砕けてしまう、封蝋独特の特性。秘密の終焉しゅうえんを表現したくて、秘めていた想いを洗いざらい告白する作品である『駆け込み訴え』ブローチには、デザインとしてひび風デザインを二本入れています。


〈泉鏡花きょうか著『外科室げかしつ』〉

「痛みますか」
「いいえ、あなただから、あなただから」

『外科室』より
『外科室』のあらすじ:主人公の画師えしはその職業を口実に、親友である医学士・高峰たかみねが担当する外科手術に立ち会うことになった。しかし手術の直前、患者である貴船きふね伯爵夫人は「麻酔で朦朧もうろうとして、誰にも言えない秘密をうわ言でもらしてしまう」ことを恐れ、がんとして麻酔剤の投与を拒む。彼女の意向を汲んだ高峰は麻酔を打たずに彼女の体にメスを入れるが……。

ブローチには、九年前に小石川の植物園に咲いていた「藤」と「つつじ」、「外科科長・高峰が手にせるメス」をデザインしました。封蝋のシルエットは鏡花の几帳面な性格がうかがえる文体をイメージし、きっちりとした形状に。
作中でひとりの人間に想いを気づかれた描写がある『外科室』ブローチには、デザインとしてひびを一本入れています。


〈宮沢賢治著『にてふ』〉

あなたの方からみたらずゐぶんさんたんたるけしきでせうが
わたくしから見えるのは
やっぱりきれいな青ぞらと
すきとほった風ばかりです。

『眼にて云ふ』より
『眼にて云ふ』について:疾中しっちゅう』という標題のもと綴られた一編の詩。闘病生活の最中、あるいは病床の記憶をもとに綴られたもの。原稿は賢治が亡くなった十年以上後に初めて発見されたという逸話があり、まさしく作者が秘めていた想いのかたまりといえる作品です。

ブローチには、初夏の始まりのころの「きれいな青空」と「すきとおった風」、「わたくしが見つめるもみぢの嫩芽わかめと毛のやうな花」をデザインしました。封蝋のシルエットは賢治の静かで穏やかな文体をイメージし、ゆるやかに蝋が広がった形状に。
作家が亡くなってから十年以上経って見つからなかった作品『眼にて云ふ』のブローチは、ひびなどが一切入っていないデザインに仕上げました。


直径約35mmの、絶妙なサイズ感。衿もとやスカーフに留めるだけで、お顔まわりがパッと華やぎます。

お手持ちのブローチを、別のアイテムとして楽しめる道具・コンバーター。お手持ちのブローチコンバーターを使ったら、コーデのアクセントにぴったりな帯留めやネックレスにも早変わりします♪

※ネックレスとして使用の際は、チェーンもご用意ください

パッケージは、そのまま飾っても素敵な封筒風デザインに。まるで本当に手紙を封じ留めているように、台紙にブローチをセットしてお届けします。

『駆け込み訴え』は、作中に登場するユダ(イエス・キリストの弟子)が絵画に描かれる際に身にまとっていることがある''黄色い衣''をイメージした色合いのパッケージでお届けします^^ 西洋では、黄色は裏切りを示す色なのだとか……。

文豪たちが綴った、誰にも知られないよう秘められていた人の想い。それらを大切に封筒に入れ、蝋でそっと留めるような気持ちで、お洋服に封蝋ブローチのピンを留めてみてくださいね。

ミュージアム部
文豪が綴った想いで留めて 物語を閉じこめた封蝋風ブローチの会

月1個 ¥2,400(+10% ¥2,640)
※1個だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。


~もっと作家・作品に触れたい方へおすすめ~

実際にプランナーが訪れた
作家ゆかりのミュージアム・その他の紹介コーナー

・泉鏡花記念館(石川・金沢)
泉鏡花の生家跡に建つ美しい建物には、「鏡花本」とも呼ばれる美しい装丁そうていが特徴の著作や、作家が集めていたうさぎモチーフの遺愛品など貴重な展示物がたっぷり。映像展示やジオラマ+音声の展示もあり、しっかり時間をかけて楽しく観覧しました。

観覧券にリボンを通せば栞になります!(訪問時期により仕様が異なる可能性があります)

泉鏡花記念館
〒920-0910 石川県金沢市下新町2番3号
開館時間:9時半~17時(最終入館は16時半)
休館日 :火曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)、展示替期間中
※展示内容は訪問期間によって異なる可能性があります。
※最新の情報は公式HPでご確認ください。


記事内の作中文章引用元:
①宮沢賢治(1946)『疾中』青空文庫より
②太宰治(1940)『駆け込み訴え』青空文庫より
③泉鏡花(1895)『外科室』青空文庫より


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